権力があると、知恵も工夫もしないものだ。驕って反省がないから、同じ失敗を繰り返す。消費増税一点張りの日本の財政当局には、ほとほと着ける薬がないよ。これに対して、増税を批判する側も、すぐに、埋蔵金だの、日銀引き受けだの、政府紙幣だのと、すぐに野放図なことを言い出すから、訳が分からなくなる。
本コラムの読者は御存知のことだが、二次補正で、復興予算をあと1兆円積み増しても、財政規模は、前年度補正後とほぼ同じである。来年度は、復興予算を1兆円減らして、社会保障費の自然増を呑み込み、同水準の財政規模を保つ。これを5年間繰り返せば、15兆円の復興予算を確保でき、膨張のない安定した財政が手に入る。景気が順調に回復すれば、法人税を中心に3年間で10兆円の自然増収が期待できるから、財政赤字も着実に改善される。
何の難しさもないし、奇策に出る必要もない。デフレ下で震災ショックから癒えないときに無理やり消費税を上げたり、未知の政策に踏み込む危険を冒すより、ずっと簡単で容易だと思うのだが、いかがだろうか。日本の経済運営と、それを巡る議論が、いかに度外れたものかが良く分かると思う。
日経によれば、政府の一体改革の原案は、消費増税を段階的に引き上げ、15年に税率10%にするもののようだが、これでは一度に1%ずつの引き上げに抑えることさえ難しい。「増税は景気後退を招かない」という絶対安全神話をお持ちのようだが、1997年のハシモトデフレで失敗しているのだから、最小の刻みにするくらいの謙虚さを示したらどうか。日本がメルトダウンを起こすのは、当局の耳に「危ぶむ声」が一切入らないためだろう。
おまけに、低所得者対策と言えば、軽減税率は役所のコスト高で、生涯所得では逆進性も小さいから、不要なのだそうだ。何だろうね、この強引さは。財政破綻の脅しと、復興支援の哀れみで押し切れると思っているらしい。消費税を導入する際、中小企業には随分と配慮したものだ。工夫のなさは酷いもので、かつてとも比べものにならない。
低所得者対策は、本当は、「医療・介護・保育の負担に合算上限を設けること」で実現できるはずだ。要は、消費税を上げる代わりに、社会保険料の軽減を図るものだ。低所得でも健康保険だけは払う人が多いから、これを還付すれば、消費増税の痛みを和らげることができる。これを蹴り飛ばすあたりに、財政当局の驕りが見える。
他方、日経は、「社会保障の給付抑制置き去り」とするのだが、年金の支給開始年齢の引き上げは、年金数理からも無理があるもので、厚労省が反対するのも当然だ。こんなことを抑制策の「切り札」に引っ張り出す財政当局の知識の乏しさには呆れる。抑制策としては、プラス成長を達成して「マクロ経済スライド」を作動させる方が簡単だが、デフレのまま増税をするつもりらしく、「デフレ下のスライド」を掲げる。強引さも極まれりだろう。
帝政ロシアでは、専制政治に対して、テロが渦巻いたが、強引な財政当局に、日銀引き受けの急進論で対抗という構図も、何やら似ていなくもない。どうして、日本は、平凡で普通の財政運営ができないのだろう。極端なことをしなければ、成長も復興も容易なのに、次から次へと、しなくて良いことをやって、苦境にはまっていく。危機において穏健派は挟撃されるというのは、分かってはいるのだがね。見るに耐えんよ。
(今日の日経)
レアメタル開発拡大。消費増税段階的に15年に税率10%念頭。外国人の日本株買い越しは29週連続だか変調も。社説・復興会議は特区の具体策を。グアム移転費再協議へ。東電株、海外勢逆張り。需要不足なお20兆円、供給力6兆円減でも。独立法人改革先送り。節電上手な家庭に景品・経産省。内モンゴル厳戒態勢。中ロが原油輸送料で対立。米参謀議長の人事で大統領が譲歩。台湾EMS利益率悪化。デジカメ中堅は苦戦。電力・ガス7月も値上げ最大幅。経済教室・ムラ社会脱し・松本紘。
※外国人も、復興の鈍さと増税論の高まりに、さすがに不安を感じてきたのではないか。 ※日経が評価する規制の「一本化」は、一つにして矛盾はさせないが緩めないと言う意味だよ、それぐらい読めないでどうする。規制緩和は、痛みへの手当の財源と、効用が目に見えることが必要。そうでないと漁業権のように迷走する。※需要不足20兆円の日本で増税論議か。日本人は数字を見ての政策判断ができないんだよね。※内モンゴルがチュニジアにならねば良いが。※成長が少し鈍ると「装置産業」こうなる。変化の兆しだ。※消費への影響が気になるね。V字回復のブレーキになる。
本コラムの読者は御存知のことだが、二次補正で、復興予算をあと1兆円積み増しても、財政規模は、前年度補正後とほぼ同じである。来年度は、復興予算を1兆円減らして、社会保障費の自然増を呑み込み、同水準の財政規模を保つ。これを5年間繰り返せば、15兆円の復興予算を確保でき、膨張のない安定した財政が手に入る。景気が順調に回復すれば、法人税を中心に3年間で10兆円の自然増収が期待できるから、財政赤字も着実に改善される。
何の難しさもないし、奇策に出る必要もない。デフレ下で震災ショックから癒えないときに無理やり消費税を上げたり、未知の政策に踏み込む危険を冒すより、ずっと簡単で容易だと思うのだが、いかがだろうか。日本の経済運営と、それを巡る議論が、いかに度外れたものかが良く分かると思う。
日経によれば、政府の一体改革の原案は、消費増税を段階的に引き上げ、15年に税率10%にするもののようだが、これでは一度に1%ずつの引き上げに抑えることさえ難しい。「増税は景気後退を招かない」という絶対安全神話をお持ちのようだが、1997年のハシモトデフレで失敗しているのだから、最小の刻みにするくらいの謙虚さを示したらどうか。日本がメルトダウンを起こすのは、当局の耳に「危ぶむ声」が一切入らないためだろう。
おまけに、低所得者対策と言えば、軽減税率は役所のコスト高で、生涯所得では逆進性も小さいから、不要なのだそうだ。何だろうね、この強引さは。財政破綻の脅しと、復興支援の哀れみで押し切れると思っているらしい。消費税を導入する際、中小企業には随分と配慮したものだ。工夫のなさは酷いもので、かつてとも比べものにならない。
低所得者対策は、本当は、「医療・介護・保育の負担に合算上限を設けること」で実現できるはずだ。要は、消費税を上げる代わりに、社会保険料の軽減を図るものだ。低所得でも健康保険だけは払う人が多いから、これを還付すれば、消費増税の痛みを和らげることができる。これを蹴り飛ばすあたりに、財政当局の驕りが見える。
他方、日経は、「社会保障の給付抑制置き去り」とするのだが、年金の支給開始年齢の引き上げは、年金数理からも無理があるもので、厚労省が反対するのも当然だ。こんなことを抑制策の「切り札」に引っ張り出す財政当局の知識の乏しさには呆れる。抑制策としては、プラス成長を達成して「マクロ経済スライド」を作動させる方が簡単だが、デフレのまま増税をするつもりらしく、「デフレ下のスライド」を掲げる。強引さも極まれりだろう。
帝政ロシアでは、専制政治に対して、テロが渦巻いたが、強引な財政当局に、日銀引き受けの急進論で対抗という構図も、何やら似ていなくもない。どうして、日本は、平凡で普通の財政運営ができないのだろう。極端なことをしなければ、成長も復興も容易なのに、次から次へと、しなくて良いことをやって、苦境にはまっていく。危機において穏健派は挟撃されるというのは、分かってはいるのだがね。見るに耐えんよ。
(今日の日経)
レアメタル開発拡大。消費増税段階的に15年に税率10%念頭。外国人の日本株買い越しは29週連続だか変調も。社説・復興会議は特区の具体策を。グアム移転費再協議へ。東電株、海外勢逆張り。需要不足なお20兆円、供給力6兆円減でも。独立法人改革先送り。節電上手な家庭に景品・経産省。内モンゴル厳戒態勢。中ロが原油輸送料で対立。米参謀議長の人事で大統領が譲歩。台湾EMS利益率悪化。デジカメ中堅は苦戦。電力・ガス7月も値上げ最大幅。経済教室・ムラ社会脱し・松本紘。
※外国人も、復興の鈍さと増税論の高まりに、さすがに不安を感じてきたのではないか。 ※日経が評価する規制の「一本化」は、一つにして矛盾はさせないが緩めないと言う意味だよ、それぐらい読めないでどうする。規制緩和は、痛みへの手当の財源と、効用が目に見えることが必要。そうでないと漁業権のように迷走する。※需要不足20兆円の日本で増税論議か。日本人は数字を見ての政策判断ができないんだよね。※内モンゴルがチュニジアにならねば良いが。※成長が少し鈍ると「装置産業」こうなる。変化の兆しだ。※消費への影響が気になるね。V字回復のブレーキになる。





