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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

4/29の日経

2015年04月29日 | 今日の日経
 商業動態統計がかなり悪いね。1-3月期の季節調整済指数の前期比は、卸売業で-0.6%、小売業で-2.1%だった。これでは1-3月期GDPの消費のマイナスもあり得るのではないか。季調値と言えど、昨年の駆け込みの大変動の影響はあるだろうから、実勢はもう少しマシかもしれないが、商業計は消費増税後の7-9月期さえ下回って二番底の様相である。

 それと対照的に、企業収益の増大を反映して、3月税収は絶好調である。法人税の累計値は15.8%増だ。筆者の2014年度の最新税収予想は53.7兆円で、補正予算の+1.9兆円となった。前月予想よりは低下したが、これは所得税の3月の上積みが少なかったためで、前年の証券税制強化前の伸びの反動である。

 企業収益や税収の絶好調さと消費の二番底の明暗は、金融緩和と緊縮財政の組み合わせの威力を遺憾なく発揮している。これが「あなたの望んだ世界」というやつか。原油安メリットは、これからなのかな。賃上げもあるが、ベア分は+0.5%程度とされるのに対し、今年も年金保険料は0.354%上がるんだけどね。「来期こそ回復」を、いつまで聞かされるのやら。

(今日の日経)
 日米は不動の同盟国・首脳会談。原発は電源の20-22%に。社説・電源案は展望欠く。職人復権の変わる常識。税収はリーマン前上回る、法人税伸びる。介護保険料が初の5000円超。

 ※社説のとおりで、反原発でなくても、60年間も使うと言われると萎えるよ。※ベアについては、内閣府「今週の指標」(3/30)参照。ちなみに、健保連の2015年度の保険料率は0.2ポイント上がる(日経4/22)。
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女性にとってのプロクルステスの寝台

2015年04月26日 | 社会保障
 妊娠するには医学的に最適な時期があり、それは24歳頃になる。むろん、時期を選ぶのは個人の自由だが、その時期を選べず、遅らせざるを得ないというのでは、足を切って寝台に合わせたというプロクルステスの故事と同じになる。経済や社会は、身体に合わせるべきものだ。それが少子化という長期的絶滅の要因になっているとしたら、なおさらである。

 4/17にダイヤモンドO.L.で紹介されたニッセイ研の天野馨南子さんの「女性活躍推進=少子化推進の失敗を繰り返さないために」(2/23)を読んで、とても意義のある内容だと思ったし、ちょっと悲痛さも感じてね。これに関しては、「身体に合わせた経済社会」(2012/1/9)を書いたこともあったが、改めて筆を執ることにした。

………
 天野さんの主張は、女性活躍の推進が少子化に結びつかないよう、医学的な妊産適齢期に関する知識を普及させるべきとするものだ。煎じ詰めれば、「子供を持ちたい人は20代のうちに」という啓発をすることになる。確かに、多くの女性が時期を知らずに後悔をすることになっては悲劇だろう。

 とは言え、フランスと同様に政府が旗を振ることは、少なくとも、これまでの日本では困難だった。もし、それをしていたら、強い批判を浴び、少子化対策まで否定され、保育の充実といったできることさえ不可能になっていただろう。今でさえ、年金広報のマンガのオチに苦情が殺到するように、女性の「産む・産まない」への容喙は要注意なのだ。

 また、啓発と施策は車の両輪であり、施策が貧困なままで、刺激的な啓発をすることはできない。妊産に時期のあることが、たとえ真実であっても、それを知らせるだけで、「早いうちに産みたくてもできる環境にない」のでは、徒に不安を煽るものだとされるに違いない。警報を鳴らしておいて、出口を示さないのでは、悲しいかな、無責任の謗りを受けよう。

 日本は1995年に武村蔵相が財政危機宣言をした。団塊ジュニアが20代に入ったこの時期に、意味ある少子化対策をしていれば、違った未来になっていただろう。現実には、少子化対策どころか、過激な緊縮財政で経済を壊してしまい、就職氷河期で若者を苦しめ、少子化を更に激しくした。今からすれば大したものでない財政赤字で危機感を煽り、時期を失してはならなかった少子化克服の啓発は等閑視されたのである。

………
 昔話になったので、合計特殊出生率の動向をおさらいしておく。図は「少子化要因の複合性」(2013/6/11)で使ったものをリニューアルしたもので、出産年齢の上昇による見かけ上の出生率の低下を修正してある。これで分かるのは、いかに出生率が経済の影響を受けたかだ。出生率は、バブル期における女性の社会進出で大きく低下し、崩壊後に小康状態となった。ここが保育を充実させるチャンスだったのだが、逆に、1997年のハシモトデフレによる雇用の悪化で、出生率は地に落ちてしまう。

 その後、出生率は、景気の回復と地道な少子化対策の下で、わずかずつではあるが、改善を見せている。底だった2005年の1.26と直近の2013年の1.43は、大差ないように見えるかもしれないが、子世代の負担の大きさの見地からは、大きな違いがある。前者は、負担が子世代の受ける給付の64%増しにもなるのに対し、後者は45%増しで済むからだ。

 もし、若者の希望を満たすことで実現するとされる1.75になれば、18%増しまで漕ぎ着けられる。ここまで来れば、年金については、既存の積立金で「損」を埋められる領域だ。医療・介護に積立金はないが、一世代の時間の経済成長を踏まえれば、この程度の負担なら、耐えられるだろう。むろん、2.07に到達すれば、無限世代による分担が可能となるが、そこまで行かずとも、出生率の向上は、わずかな上積みでも、そして、今からであっても、極めて意味がある。

(図)合計特殊出生率の推移

※修正値は1歳の年齢上昇が当年の 合計特殊出生率を0にするものと仮定して計算

………
 天野さんは「もっと早くに気がついていれば」と嘆いておられるが、団塊ジュニア世代の悲劇は、これからである。おそらく、このままでは、この世代は、6割台にまで細らせてしまった子世代から、「育ててくれた親は支えるが、子供を持たなかった人は我慢して」と申し渡されるはめになろう。「そうなる前に教えてもらえていれば」と言われないよう、古い世代の責任として、ここに記しておく。その頃には生きてないけどね。

 繰り返しになるが、啓発と施策は車の両輪になる。20代に無理なく子供を持てるために、どんな制度が必要かも大切である。例えば、ゼロ歳児保育を受けていない女性には、月額8万円を給付するのはどうか。人手も施設も必要なゼロ歳児保育は整備に時間を要するが、あたら若い時間を空費させてはなるまい。次善の策に過ぎないとしても、需要を和らげる効果もあろう。

 少子化対策で常にネックにされるのは財源だが、容易に捻出できることは基本内容の「雪白の翼」で示しておいた。若者の非正規と低所得の対策に欠かせない社会保険の適用拡大は「ニッポンの理想」で書いたとおりである。すなわち、一番難しい問題は既に解いてある。だから、あとは、女性や、あるいは、若者の側から、どうして欲しいのかという具体的な提案をしてもらうことがとても重要だと思う。


(今日の日経)
 銀行の国債保有を規制・バーゼル委。
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4/23の日経

2015年04月23日 | 今日の日経
 貿易統計が発表になり、1-3月期の輸出の季節調整値は前期比0.5%と、2期連続で好調だったものにブレーキがかかった。ニッセイの斎藤太郎さんによれば、1-3月期の外需はマイナス寄与になるらしい。3月は百貨店が比較的良かったが、スーパー、コンビニと余り伸びた感じがなく、消費がこの調子では、1-3月期GDPはゼロ%台に落ちるかもしれない。アベノミクスは更に減速だ。

(今日の日経)
 日経平均15年ぶり2万円。貿易収支・原油安一服、輸出伸び弱く。3月訪日客・初の150万人超。
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政策提言はどうして必要なの?

2015年04月19日 | 経済
 データをきれいにまとめ、新たな事実を示す。その発見が世の中の役に立つかは、工学部の人に考えてもらえばいい。まあ、物理学なら、それでも良いのかもしれない。しかし、経済学はどうだ。経済の営みは、所詮は人為だ。不変の物理法則とは異なり、真実もその時代限りのものである。むしろ、現実を在るべき形に変える力を示すことが、その本質ではないのか。

………
 研究成果の政策的インプリケーションには、さまざまなタイプがある。そもそも、政策は、その時々の必要に応ずることで進化してきたものだ。悪く言えば、ツギハギだが、進化という名の「盲目の時計職人」が秩序立ったものに仕上げている。他方、経済学は論理であるから、政策の冗長さを省き、筋道を正しつつ、評価し、提言することになる。

 その第一のタイプは、正しい方向にあるかないかである。年金制度で言えば、状況分析を踏まえた上で、給付を充実すべき、あるいは、減量すべきといったものになる。第二のタイプは、欠落や過剰はないかである、非正規のように制度からこぼれている者はいないか、高所得者に税で手厚くするのは妥当かといったものになる。第三は、制度原理の変換になる。こうなると、必然的に代案なしでは済まされない。

 具体的には、保険料に応じて年金を給付するという原理を修正し、賦課方式の本質は、前世代の扶養と次世代の育成の両方の負担を満たすことにあるとし、子供を持たない者への給付は半減するといった手段を用い、年金制度の負担と給付の均衡を図るといったものである。(詳しくは「小論」を参照)

 なお、年金制度は少子化への対応を迫られたわけだが、普通なら在り得ない事態である。少子化は長期的絶滅にほかならないから、年金を少子化に合わせるのでなく、少子化の克服が先決になるだからだ。ところが、日本では、財政再建が最優先されるという、奇妙なことになっている。死に至る病に際し、カネを惜しんで治療を棄てるに等しい所業だが、世の中に、命よりカネを大事にする輩は少なくない。

……… 
 政策提言には、別のアプローチもある。例えば、統一地方選を意識して、地方創生を力説し、消滅可能性都市という驚くべき「事実」を示すといったものであり、いわば、時宜に合わせる形での提言だ。地方創生は、瞬く間に時の政権のアジェンダとなり、全国で地方振興商品券が企画され、結果として、与党に勝利をもたらした。

 この伝で行けば、来年夏の参院選には何が求められるのか。2017年に2%の消費増税が控え、実施するしかないとすれば、ショックを和らげるための需要追加策が必要とされよう。既に、軽減税率の検討は始まっているが、生鮮食品を8%に据え置くだけなら、3600億円程度にしかならない。これでは到底足りず、あと2兆円程は必要だ。

 そうかと言って、公共事業は供給力に難があるし、金融緩和による一段の円安・株高は弊害を心配する領域となっている。また、法人減税はサッパリ効果が上がっておらず、地域振興商品券も、結果はこれからにしても、景気浮揚の効果は望み薄である。政治的には、フレッシュな需要追加策が欲しいところだ。

 そんな中、本当に日本が必要としているのは、低所得層にも一律25%も掛かる社会保険料の軽減である。低所得層に限定されるから、先に挙げたような数々の策とは、効果も効率も段違いに優れる。130万円の壁は、若者や女性を非正規に閉じ込めているし、企業側にとっても、労務費が軽くなるのは願ってもないことで、特に中小は助かる。おまけに、物価が上がるにつれて、軽減措置は自動的に薄くなるから、財政負担も限定的である。

 この策の存在を知ってしまえば、他の策がバカバカしく見えるほどだ。すなわち、この策を逸早くつかんだ者には、参院選における政策論の主導権を取れるチャンスがあるということである。もし、どこかの野党が言い出したら、対抗上、与党も似たような策を掲げざるを得なくなるだろう。それだけ、ここには社会の不合理が蓄積されている。

………
 言うまでもなく、チャンスがあるということと、起こりそうということは同じではない。そこは、リスクと同じである。「ニッポンの理想」では、消費増税で成長が失速し、需要追加策が求められるだろうと予想し、増税前の準備可能な早い段階で書いておいたが、現実に採用されたのは、やはり、地方振興商品券のバラマキだった。だいたい、政策提言なんて、えらい労力をかけて作っても、こんなものである。

 社会保険に関する提案の理解には、それなりの素養が必要で、普通の人々は、「どうして、こんなに重いんだ」と嘆息しても、軽減を求めることさえ思い浮かばない。それより、少しでも多く稼ぐ方が関心事だ。また、年金は、医療保険と違い、負担に応じた給付という原理が強いので、そういうものだと言われれば、あっさり受け入れてしまうだろう。

 現実とは重たいもので、そう簡単に動かない。石橋湛山の小日本主義だって、戦前の日本を変えることはできず、人々の記憶に残っただけである。ケインズは、「平和の経済的帰結」で警鐘を鳴らしたが、戦争は繰り返された。それでも、私は全力で書く。必要とする人たちがいる限り、語るべき「言葉」を与えずにはいられない。経済学は、真実を知るだけでは足りず、時論を欠けない学問だと思うからである。


(昨日の日経)
 TPP詰めの交渉。財政健全化の揺れる方程式。総人口4年連続減、ピークより100万人。

(今日の日経)
 ベア実施は53.2%・本社1次集計。交易条件が5年ぶり改善。英保守党も労働者に的。
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4/16の日経

2015年04月16日 | 今日の日経
 ようやく、2月の消費総合指数が出た。2か月連続のマイナスで、1,2月平均は、10-12月期比で-0.1となった。家計調査などの結果から、悪いとは思っていたんだけどね。消費がこれだと、GDPの成長率は、前期を下回って0%台に落ちるかもしれない。中国の雲行きがおかしく、3月の貿易統計が足を引っ張らなければ良いが。アベノミクスは回復どころか減速だ。消費増税の後遺症は重いよ。

(今日の日経)
 電力の東西融通2.5倍に。原油価格に底入れ観測。中国1-3月期7%に減速。
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4/15の日経

2015年04月15日 | 今日の日経
 今日の一面トップは、4/8日経の「イオン、設備投資額を2割減 国内出店抑える」と合わせて読みたい。要は、重点が変わるということだよ。消費増税による需要減と建築費の高騰を踏まえた守りの経営だね。3位以下の伸びは小さく、規模間の格差が大きいようだ。トヨタや日立を引き合いに出しているが、この記事でマクロの設備投資を占うわけにはいかない。

(今日の日経)
 イオン投資6割増、スーパー改装に軸足。黒田総裁が首相に直言・諮問会議議事録。IMF経済予測、米は大幅な下方修正。大還元時代・トヨタ1兆円台へ迫る。
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4/14の日経

2015年04月14日 | 今日の日経
 機械受注からすると、日経のとおり、設備投資は緩やかにとどまるだろうね。政策減税は4800億円もしたのに、2013暦年の設備投資は0.4%増に過ぎない。2014暦年は4.1増になるが、2011、2012暦年も4%前後だった。四半期でみると、この1-3月期で、ようやく、3期連続のマイナスから脱するといった体たらくだ。

 浜田先生にはすまないが、法人減税は効いてないのではないか。消費増税の悪影響とするなら、更なる法人減税より、安定的な需要管理が必要だろう。少なくとも、2017年の消費増税に、法人減税との組み合わせで臨むのは危うい。来年7月の参院選までに、国民が広く支持するような需要追加策を提示せねはなるまい。時間はあるようでない。


(今日の日経)
 中小に優先株・りそな。病院再編、地域で分担。2013年度政策減税4800億円拡大。機械受注2月0.4%減、けん引役乏しく。浜田参与・法人税は英国より下げるジェスチャー必要。梶原誠・使えない現金。

※梶原さんの記事はなかなかだった。KitaAlpsさん、久々の長文だね。平家さんは統計に強いんだな。心強いよ。
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長期停滞の原因追求と解消への戦略

2015年04月12日 | 経済
 京大の諸富徹先生の書評(ブック・アサヒ・コム2/22)を見て、『日本経済の構造変化―長期停滞からなぜ抜け出せないのか』(著・須藤時仁、野村容康)を読んだ。なるほど、90年代からの長期停滞は、労働分配率の不当な抑制によって企業に未活用留保が溜め込まれたことに原因があろうし、その処方箋として税制における所得再分配の強化が必要であることも納得できる。好著に出会えたのだから、今回は、これらを敷衍して考えてみたい。

………
 労働分配率が下がっても、企業が減らした分を投資に回してくれるのなら、成長の加速によって労働者も報われる。それなのに、どうして、企業は資金を溜め込むばかりなのか。それは、おそらく売上げが見込めないからだろう。では、なぜ、見込めないかというと、労働者の賃金が十分でなく、消費が盛り上がらないからである。

 つまり、低投資→低賃金→低消費→低投資と、堂々巡りになるわけだ。これでは、長期停滞の理由の説明になってないように見えるかもしれないが、そうではない。そもそも、経済は循環するものなのである。問題は、なぜ、循環が加速しないかにある。普通であれば、放っておいても加速するのが、資本主義の習いであるはずなのに。

 まず、考えるべきは、途中でお金が抜かれてないかてある。企業がせっかく賃金を払っても、労働者が使う段になって、消費増税で抜いてしまったら、消費が増えるはずもない。そうなるのが見えているから、投資を増やそうともならない。現に、2012、13年と1.5%成長を遂げていたのに、2014年は、循環に急ブレーキがかかり、ゼロ成長となった。

 これ以上の分かり易い例があろうか。過去をたどれば、阪神大震災からの復興を起点に2.7%成長を回復していたところを、1997年の過激な緊縮財政で潰し、小泉政権は、大規模な外需に恵まれていたのに、緊縮財政を敷いて国内に波及させられずじまい、第1次安倍内閣は6兆円の公債減額をする中で格差批判を浴びた。民主党政権もリーマン対策を一気に10兆円も切って失速させている。

 日本は、デフレギャップを埋めてから財政再建を始めるという我慢ができず、摘芽型の財政を繰り返している。今回の消費増税において、政府は年度成長率を1.4%と置いていたが、結果は-1%にまで落ちる。「財政赤字が巨大だから、緊縮財政に悪影響はない」という、不変の意識構造が、これをもたらしたのだ。

………
 日本は、1980年代以降、公的年金が家計所得を吸い上げ、巨額の積立金の造成をしたために消費不足となり、これを補おうと、財政赤字を出して公共事業をするという跛行的な経済運営をして来た。そして、地方と社会保険を統括した一般政府では黒字だったのに、中央政府の財政赤字を気に病み、1997年に過激な緊縮財政を行って高投資の成長構造を壊し、本物の財政危機を招いてしまった。(「壮大なる愚行」参照)

 今日では、企業が賃金を増やしても、25%の社会保険料が課せられ、更に8%の消費税で抜かれるようになっている。成長力が弱く、ブレーキが重い、経済の好循環が起こりにくい構造なのである。成長を加速させようとすれば、需要管理には、余程、気を使って経済運営をしなければならないが、まったく無自覚であり、米国から為替報告書で緊縮を批判される始末だ(ロイター4/10)。実態については、1/12や2/22で記したとおりである。

 2017年には、2%の消費増税が待っている。今の成長ペースでは、このショックには、耐えられまい。増税を1%ずつに刻めないのなら、所得の吸い上げを相殺する対策が欠かせない。今のところ、検討されているのは、消費税の軽減税率の設定のみであり、おそらく、生鮮食品だけを8%に据え置きにし、3600億円程度の軽減をするのが落とし所だろう。これだけでは不十分である。

 したがって、求められる政策提言は、これに加えるものとなる。それは、公共事業の追加なのか、地方振興商品券なのか、はたまた、給付付き税額控除なのか、アイデアが必要だ。本コラムの提案については、「ニッポンの理想」で示したとおりである。むろん、「政策は、所詮、力が作るのであって正しさが作るのではない」のは承知の上だ。それでも、別の採り得る選択肢が存在していたことを歴史に記しておきたいんだよ。小日本主義のようにね。

………
 最後に、蛇足を一つ。『日本経済の構造変化』では、年金のスウェーデン方式の導入が提案されているが、これには無理がある。同方式は少子化の激しい国には使えないからだ。少子化が激しいと、保険料>給付になる(長寿化は逆)。実は、日本の年金の国庫負担は、そうなって制度の信用が揺らがないよう、支え手を持たない「子供のない人」のために使われる。本当は、対象者を減らすべく、いかに少子化対策を年金に組み込むか、あるいは、他制度で補完するかが課題だ。(詳しくは小論を参照)


(今日の日経)
 関電が首都圏初の発電所。

※もっと書こうと思ったんだが、年のせいか、雑駁になる一方だよ。書評には、とてもならないな。申し訳ないね。そうそう、新「家」さんは、第一生命経済研の主席、内容は段差調整、毎勤は5人未満が対象外。
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4/9の日経

2015年04月09日 | 今日の日経
 景気ウォッチャー調査について、日経は「街角景気改善、企業とねじれ」としているが、3月は高めに出るので、ここは季節調整値で見ないと。すると、現状は低下、先行きが横ばい、水準は大幅減であるから、企業や生産と整合的だ。

 輸出量が増えてないから、1-3月期は外需の押し上げが少ないかな。消費は相変わらずなので、成長率は高まらないことになりそう。証券各社の2015年度の業績予想は上向いていて、原油安メリットは企業には届いているようだ。

 問題は、そこから賃金に行くかになる。労働分配率はこんなに低下しているのだけどね。人手不足も、深夜をバイトにやらせたいといった方針を捨ててないという側面もある。去年の毎勤があの調子だと、去年を上回る賃上げと言われても、割り引かないといけない。

(今日の日経)
 温暖化ガス削減20%。日経平均・市場2ケタ増益期待。貿易収支・輸出量の拡大に勢いなし。旅行収支は最大黒字。製造業の労働分配率40年ぶり低水準。中国株7年ぶり高値、住宅から流入。ゼンセン・パート18.9円上げ。すき家・バイト採用遅れる。経済教室・大都市依存・佐無田光。
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4/8の日経

2015年04月08日 | 今日の日経
 毎月勤労統計のサンプル調整で所定内給与がマイナスになっていたとは、新家さんのレポート(4/3)を読むまで見逃していたよ。確かにサプライズだ。去年の秋、家計調査の実収入が低過ぎると、サンプルの問題が指摘されていたが、多くて正しいはずの毎勤が家計調査の方に寄った形だ。中小零細に消費税は辛かったということかな。恐るべしランダムサンプルの家計調査。

 設備投資でも、中小零細の低調さが法人企業統計に十分に表れていなくて、7-9月期GDPのサプライズにつながった。金融緩和と緊縮財政の組み合わせが格差を強めるように働くことは、分かっていたつもりだったが、まったく驚かされるよ。国民の生活実感が苦しいというのは、真摯に受けとめるべきなんだろうね。

(今日の日経)
 コマツがGEとビッグデータ提携。経済教室・医療の超高齢社会対応を急げ・島崎譲治。 
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