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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

アベノミクス・次に崩れるのは設備投資

2019年03月31日 | 経済(主なもの)
 2019年度予算が成立し、消費増税は制度的に固まった。一方、景気は、中国失速による輸出急減から、後退局面入りしている。景気後退には順序があり、次は、設備投資が崩れる。続いて、消費、雇用と行くわけで、ちょうど半年後の増税の時分には、破綻のお膳立てが整うことになる。増税による消費への人為的打撃を、対策を総動員して辛くも支えようとしている際に、更なる対策が求められる事態となる。無理な上積みは空回りするばかりで、防御が決壊しないか心配だ。

………
 2月の鉱工業生産は前月比+1.4と、前月の急落からの戻りが弱く、1,2月の平均は、前期比-3.3という異様な低さだ。3月予測の+1.3を加えても、前期比は-2.7にしかならず、1-3月期の生産は大幅なマイナスになる見通しだ。特に深刻なのは、設備投資を占う資本財生産(除く輸送機械)の1,2月平均の前期比が-9.1にもなっており、3月予測も微増にとどまる。資本財は、生産全体より大きく変動し、景気動向を表すだけに重大である。

 当然ながら、1-3月期GDPの設備投資が崩れることは避けがたい。アベノミクスの成長の柱は輸出と設備投資で、二本とも倒れることになる。GDPとしては、輸出急減の反面、輸入も減っていて、外需はマイナスにならない可能性があり、その他の需要項目は小康状態なので、1-3月期GDPがマイナス成長になるかは、設備投資がどこまで崩れるかにかかっている。むろん、若干のプラス成長に踏みとどまるにせよ、景気後退の波及は明らかだ。

 設備投資には、企業による建設投資もあるが、建設業活動指数を見る限り、ピークを過ぎているようで、陰りが見える。ちなみに、公共と住宅も含む建設財生産の1,2月平均は、前期比-1.8とマイナス圏にあり、3月予測を含む前期比でも、さほど変わらない。住宅は上向きつつも、公共は下がり続けており、建設投資全体が一進一退を繰り返してきた中で、1-3月期は「一退」が出そうである。

 なお、1-3月期GDPについては、消費の読みがなかなか難しい。GDPに近い内閣府・消費総合指数は、1月の前期比が-0.6にもなっているのに対し、日銀・消費活動指数は逆に+0.4と極端に分かれているからだ。とりあえず、中庸の統計局・CTIの+0.1をベースとし、商業動態・小売業の2月が+0.2で、物価も落ち着いていることを加味すれば、若干のプラスになると見込むのが順当だろう。

 2月は、雇用関係の指標が好調であり、労働力調査では雇用者数が最多を更新し、新規求人倍率も2.50と最高になった。しかし、就業者数は頭打ちであり、求人の前年同月比の増加数は低下が続き、除くパートの3か月移動平均は、とうとうマイナスに至った。除くパートでは、宿泊飲食に続いて、製造業も下がり始め、パートでは、卸小売の低下が目立つ。景気が雇用に及ぶのは最後ではあるが、既に兆しは表れている。

(図)


………
 2019年度予算は、消費増税対策をそのままカウントしたとしても、自然増収を少なく見積もっている関係で緊縮になっている。しかも、その対策は穴だらけだ。公共事業が供給力の制約で空回りしたり、還元されるポイントが溜め込まれたり、幼児教育無償化の軽減分が進学用の貯蓄になったり、高等教育無償化は奨学金の付け替えになったりと、増税で減らした需要を補えない事態に実際に遭遇したら、後でハタと気付くような事柄は幾つもある。景気後退の中での緊縮になるため、「発射台」がほぼないこともあり、2019年のプラス成長の達成は茨の道だ。
 

(今日までの日経)
 非製造業、無人化が救う。生産の動き 足踏み続く。日本スマホ、世界で失墜。米「双子の赤字」懸念再び。首相「増税延期はリスク」 19年度予算成立。政権、目立つ若年層支持。

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3/27の日経

2019年03月27日 | 今日の日経
 輸出が減少して、製造業の設備投資に影響が出ているだけでなく、建設投資の動向も怪しくなっている。公共が足を引っ張っているだけでなく、企業の建設投資も下降しているからだ。住宅投資は、増税前の駆け込みのせいか底打ちを見せるが、多少にとどまる。当然ながら、景気を先導する需要となる「住宅・公共・輸出」の合成も低下中である。消費と設備投資は上向きで自立していたが、資本財出荷の国内供給は失速の兆しを見せる。景気は、緩やかに「後退」しているのではないか。

(図)



(今日までの日経)
 FRB、新緩和策を検討へ。細る国債、不正の温床に。リスク警戒 世界に波及 金利逆転、銀行株を直撃。

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緊縮速報・財政収支がGDP比で1.5%も改善

2019年03月24日 | 経済(主なもの)
 2018年は、実質成長率が+0.8%に下がる中、財政収支はGDP比で+1.5%も改善した。もし、緊縮で資金をせき止めず、財政が中立だったら、単純計算で+2.3%くらいの成長率になっていたのではないか。経済運営としてベストなのは、十分に成長率が高まり、物価が上向いてから、徐々に緊縮に移る方法である。逆に言えば、景気が順調なときに、あるがままに税収で吸い上げ、還元せずにブレーキをかけてしまうから、いつまで経ってもデフレから脱却できない。これが本当の意味での日本の政策上の構造問題である。

………
 3/19に10-12月期の日銀・資金循環統計が公表され、一般政府の資金過不足は、4四半期移動合計で-8.5兆円となり、名目GDP比は-1.6%まで縮小した。2018年各期のGDP比の平均を計算すると-2.0%となり、2017年の-3.5%から1.5%もの改善である。2018年は、輸出の停滞で成長が鈍り、消費がほとんど増えなかった一方、財政再建だけは大幅に進んだことになる。むしろ、これだけ緊縮をかければ、好循環が阻害され、成長が滞るのは当然であろう。

 経済モデルを脇に置き、単純な足し算で、財政がGDP比で1.5%の緊縮をしていなかったとしたら、成長率は+2.3%くらいのものだろう。それだけ所得が増え、消費が伸びれば、物価も上向き、あっさりデフレ脱却である。消費が伸びる中なら、販売価格を上げられるし、他方で労働需給が引き締まるから、業容の拡大には、賃上げが理に適った経営戦略となる。なぜ、物価も賃金も上がらないのか、緊縮ぶりを見れば、何の謎もない。

 デフレが難問に思えるのは、緊縮は成長に無関係という思想の下、需要管理を視野の外に置くためである。また、国の財政ばかり見て、地方や公的年金主体の社会保障基金の収支を無きがごとくに思うからだ。実際、2018年の資金過不足の改善幅は、中央政府が5.1兆円、地方政府が4.9兆円、社会保障基金が3.1兆円となっており、地方財政や社会保険の収支を知らなければ、実態を把握できない。

 今後については、中央+地方政府を過去3年半のトレンドで伸ばすと、2021年度末に、赤字ゼロに到達する。また、社会保障基金について、今期のGDP比+0.4%程度の黒字が維持されると仮定すれば、一般政府での財政再建は、更に1年近く早まる。以上は、今年の消費増税を前提としないものである。これだけ早く財政再建が成るのであれば、需要ショックのリスクを敢えて犯す必要はない。消費増税への固執は、財政全体の最新の状況を見ないがゆえなのである。

(図)


………
 日本の本当の構造問題は、景気回復期の財政運営の拙さにある。常に歳出増を一定にとどめ、チャンスを活かす戦略性を欠くので、デフレに勝ち切る前に、増える税収をせき止めてしまい、好循環に急ブレーキをかけることになる。アベノミクスは、立ち上がりの2013年に金融緩和と財政出動を組み合わせ、急速な景気回復を達成して、長期政権の基礎としたが、翌2014年には、消費増税を打ち、デフレ脱却のチャンスを潰してしまう。

 実は、2018年もチャンスであった。前年の輸出拡大で企業収益は回復、輸出の伸びは止まったが、崩れることはなく、ここで税収を還元し、1/3の女性しか貰えていない育児休業給付を全員に拡大するなどし、次世代育成の投資をしていれば、世の中の景色や気分は、大きく変わっていただろう。ところが、知らずに選ばされていたのは大幅な緊縮であり、公共投資に至っては、成長の足を引っ張り続けた。閉塞感の理由が何かは、語るまでもない。

 内需に還元しない経済は脆い。アベノミクスの間に増やしたGDPのほとんどは、輸出とそれに伴う設備投資である。もし、チャイナショックやハードブレグジットで輸出が崩れたら、すぐに瓦解してしまう。小泉政権期は、アベノミクスと同様、大幅に財政収支を改善させて、内需を育てず、外需頼みだったために、不良債権問題には無縁だったにもかかわらず、リーマンショックで大打撃を被った。今も、悲劇を繰り返す素地は、形作られている。

 日本の財政は、景気後退期には、ビルトインスタビライザーが強く効き、裁量性も多少は発揮されるため、底割れの問題は小さい。その代わり、真の問題が景気回復期に表れる。緊縮のタイミングとボリュームという微妙な違いがパフォーマンスを大きく左右しているのだ。財政を早く再建したいと焦り、緊縮を我慢できないことが成長するチャンスの芽を摘んでしまう。こうして、失われた期間は、10年、20年と延び、永久デフレと化している。

……… 
 にわかに、MMTが注目されているが、財政赤字を拡大すれば、成長率より金利の方が早く強く反応するので、どうコントロールするかが最大の関門になる。そのため、使う財政の量を明確にするとともに、質についても、出生率を高めて年金財政を良くするような、需要と財政にダブルで効くものを選ぶ必要がある。併せて、金利上昇時に利払いをファイナンスできる利子課税の枠組みを用意するなど、無用な信用リスクを与えない工夫もいる。

 日本は世界一の債権国で、経常収支も黒字であり、MMT向きである。逆に、米国は、財政赤字による高金利で苦しんだ経験もあって、舵取りは難しい。そもそも、トランプ政権で財政出動と内需拡大が実現し、長期停滞論は雲散霧消した。日本における焦点は、円高への対応だろう。財政を使う以上、ある程度の円高の覚悟がいる。輸出が鈍っても、内需が支えられるよう政策を組み立てなければならない。いずれにせよ、急進改革は鬼門である。今の日本にとって、緊縮幅を半減し、毎年、7千億円規模の再分配の新施策を実現していくだけで、経済も社会も大いに改善されると考える。


(今日までの日経)
 児相設置 財源・人材の壁。米、景気警戒に転換。ニッポンの賃金(下) 投資家、企業の背中押す ヒトへの投資、原資は200兆円。「景気回復」判断変えず 月例経済報告 3月、表現は下方修正。FT・住宅は高騰一途、賃金上昇伴わず。

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3/20の日経

2019年03月20日 | 今日の日経
 2月の貿易統計が出て、1月の反動増とはなったものの、戻りが弱い。日銀・実質輸出で見ると、2月の水準は、10-12月の平均並みだから、1月の急落をまったく埋め合わせていない。1,2月の輸出水準だとGDPに対する寄与度は-0.3を超える。ただし、輸入も大きく減っており、1-3月期の外需の寄与度がマイナスになるかは、まだ見極めが必要だ。

 他方、財政再建は、10-12月期の資金循環統計の公表で、2018年の一般政府の資金過不足が前年より13兆円も改善したことが判明した。2017年の反動の面もあるが、輸出が停滞する中で、こんなに緊縮していたら、成長する方が、むしろ、おかしいのではないか。景気が順調な時に、財政の強いブレーキがかかることがデフレから脱却できない理由である。

(図)


(今日までの日経)
 公示地価、4年連続上昇。ニッポンの賃金 賃金水準、世界に劣後 時給、20年で9%下落。対アジア輸出、戻り弱く 1~2月、対中は6.3%減 春節後も減速傾向続く。
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消費性向の低下とエンゲル係数の上昇

2019年03月17日 | 経済
 エコノミストの中には、消費性向が低下して貯蓄が増すと、条件反射のように「将来不安が増大した」と唱える人が居て、「不安を除くには財政再建」と大仰な処方を出したりする。実際の消費性向は、そうした心理で動くものではなく、収入や物価によってマクロ的に決まる。そうでなければ、2014年の消費増税を境に、消費性向が急低下していることの説明がつかない。もっとも、消費増税をしたために、ますます財政再建が不安になったと言うなら別であるが。

………
 家計調査(二人以上の勤労者世帯)には、実収入に占める「非食料消費」の割合が半世紀もの長きに渡り一定を保ってきたという「法則」の存在が知られている。正確には、極めて安定的な中、長期的な景気変動を示す緩やかな下降と上昇を繰り返している。そして、残る「食料消費」は、1997年までは、年を追うごとに低下していた。つまり、経済成長で所得が増えるに従い、エンゲル係数は小さくなり、社会が豊かになった証拠となってきたのである。

 ところが、1997年に大規模な緊縮財政を行い、デフレ経済に転落し、名目成長が失われてしまうと、エンゲル係数は、一進一退の状況へと変化し、2006年以降になると、わずかずつ上昇するようになり、2014年の消費増税を経て、2015~16年に急上昇する。果たして、日本は、貧しくなったのか。「法則」を揺るがすような激しい変化は、なかなか見られないのだから、詳しく分析する価値があろう。

 まず、消費者物価指数の食料は、2014~16年にかけて、+3.9%、+3.1%、+1.7%と急上昇した。総合指数は、消費増税の2014年こそ+2.7%であったが、2015,16年は+0.8、-0.1に止まり、その高さが目立つ。食料は、高騰しても、なかなか量を減らせないので、その消費支出は増加して、2014~16年には+0.9%、+4.4%、+0.6%となった。そんな中、消費支出の全体は、-0.1%、-1.1%、-1.8%と、逆に減っている。この結果がエンゲル係数の急上昇だった。

 こうした消費支出の減少は、収入が減り続けたためではない。「実収入」は-0.7%、+1.1%、+0.2%と推移した。そのため、実収入から「消費支出」と「税・保険料」を差し引いた残差(貯蓄を示す)の割合は、20.5%、21.3%、22.6%と拡大している。すなわち、食費が増大し、消費が減って生活水準は落ちたものの、実収入と貯蓄は増え、名目では、必ずしも家計が貧しくなったわけではない。むろん、実質だと、まったく追いついていないのだが。

(図)


………
 さて、その後の2017、18年はどうだったのか。2017年には、実収入が+1.1%と更に伸び、消費支出が+0.8%となる中で、食料が-0.4%だったことから、エンゲル係数は0.3低下し、残差(貯蓄)の割合が0.3上昇した。そして、2018年には、統計調査の接続の問題もあって、実収入が+4.6%と急伸し、消費は+0.8%、物価高だった食料が+2.0%となり、エンゲル係数は0.3上昇して元に戻るとともに、残差(貯蓄)は+2.7と著増した。

 2018年は、世帯主の収入を見ると、+1.4%と前年並みの伸びに過ぎず、実収入の急伸は配偶者と他の世帯員によるものであるため、調査票の変更による把握範囲の拡大の影響があると考えられる。実態的には、残差(貯蓄)は若干の増加に止まるものと思われる。一方、2017,18年の消費者物価の総合指数は、+0.5%と+0.9%だったので、世帯主の収入の伸びだけで上回っており、わずかにせよ豊かになったとは言えよう。

 長期的に見ると、貯蓄の割合は、1983~98年にかけての景気上昇局面で拡大し、1998~2014年にかけての景気停滞局面で縮小してきた。貯蓄は、税・保険料の負担とは、対称的な関係にもあり、この局面においては、貯蓄減の一方、負担増にもなっている。こうして眺めるなら、消費や貯蓄の割合について、将来不安のような曖昧なもので解釈せず、収入や負担、物価の状況によって動くと考える方が自然である。

 そして、2014年以降の緊縮的なアベノミクスにおいて、貯蓄の割合は大きく拡大した。 これは、景気上昇局面での拡大ということもあるが、消費増税と円安による輸入物価高で、食料を中心に、強引にデフレではない状況にしたために、非食料消費は抑制されてしまったということだろう。しかも、エンゲル係数の拡大には、消費増税分が含まれており、実収入の伸びは、臨時収入・賞与と配偶者や他の世帯員の支えによるもので、経常的支出に結びつきにくい。結局、需要の強さによる物価上昇という、本当の意味でのデフレ脱却にはなっていないのである。


(今日までの日経)
 米で財政赤字容認論が浮上 民主左派が支持、学界巻き込み論争。パート賃金2.82%上げ 小売り・外食、昨年上回る 正社員は微減。

※財政赤字は、次善の策として忌避すべきものではない。すなわち、格差が拡大し、消費性向の低い富裕層に十分な課税ができていない状況なら、容認すべきものである。課税から逃れた上に、資産価格を守ろうと赤字も許さない態度が経済成長を阻害する。

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3/14の日経

2019年03月14日 | 今日の日経
 今日はホワイトデーというわけで、バレンタインデーに低調な10-12月期のGDPが出て、にわかに景気後退の危機感が高まってから1か月が経つことになる。この間、経済指標の証拠は色濃くなるばかりだ。昨日の機械受注も、輸出の急落を受けた製造業の減速ぶりは明らかで、非製造業が粘りを見せているのがありがたいくらいである。次の指標は、3/18公表の貿易統計だが、この景気後退に「チャイナ・ショック」の呼び名が付くのも時間の問題かな。名付けによって、一段と認識は広がるだろうね。それも新聞の役割だ。

(図)



(今日までの日経)
 賃上げ幅 縮小傾向 トヨタ3.01%、日立は2%。中国異変、邦銀追い込む。工作機械受注 2月29.3%減 中国減速、内需にも波及。「最長景気」に乱気流 中国減速、世界に連鎖 電子部品の輸出鈍化 設備・生産にも影。
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10-12月期GDP2次・上方修正の中身は悪い兆し

2019年03月10日 | 経済
 3/8公表の10-12月期GDP2次速報の実質成長率は年率1.9%と、1次速報の年率1.4%から上方修正された。ただし、中身は、在庫の寄与度が-0.2から0.0に変わった要因が最も大きく、最終需要で見れば、わずかながら低下したという結果だった。このため、1-3月期は、在庫の復元で需要増となる可能性が薄れ、マイナス成長に陥る恐れが一層、強まった。実際、次回の1次速報で仮置きされる原材料と仕掛品の在庫の寄与度は-0.1となり、一つ重荷を抱える形になっている。

………
 2018暦年のGDPは534.3兆円であり、2017年10-12月期が534.0兆円であったから、この1年は、ゼロ成長だったということになる。設備投資は増したが、消費がほぼ横バイで、輸出が伸び悩み、住宅と公共投資が足を引っ張ったことで、こうした数字となった。この間、財政収支は、GDP比で1%程の大幅な改善となったが、国民生活はまったく豊かになっていない。なにしろ、今期の家計消費(除く帰属家賃)の水準は、6年前のアベノミクスのスタート時の2013年1-3月期より低い。特に、消費増税以降の停滞ぶりは明らかだ。

 増税と緊縮で、家計を徹底してイジメ抜くのがアベノミクスの特徴なので、当然の帰結だが、それでも成長して来られたのは、輸出があればこそである。その輸出が停滞した2018年はゼロ成長となり、ここに来て、輸出は減少へと向かっている。中国の1,2月の貿易動向からすれば、日本の1月の輸出減は春節の季節要因とは言えないようだ。2月上中旬までの貿易統計も今一つであり、1月毎勤の製造業の時間外労働も連続で減っている。アベノミクスは、成長の支えを失おうとしており、1-3月期は、なかなか厳しいものとなろう。

 今週は1月の消費指標が出たが、統計によってバラバラの状況だ。とりあえず、統計局・CTIを引くと、前月比が+0.2、10-12月期からは+0.1となっている。1月は、商業動態と日銀・消費活動指数が大きく食い違ったりしているので、2次速報に従って調整される内閣府・消費総合指数に注目したい。他方、1月に大きく下げた景気ウォッチャーは、2月に底打ちしたものの、この2か月の落ち方が激しかった反動の範囲内である。先行きはマイナスとなっており、消費も楽観できない。

(図)


………
 経済は循環である。輸出増が設備投資と所得を増やし、所得増が消費を拡大させ、それが更なる設備投資と所得をもたらす。こうして物価も上昇する。日本は、需要超過で物価が上昇するところまで待てず、早々と緊縮をするので、消費が停滞し、いつまで経っても好循環に至らない。そのうち、輸出が衰退して成長を失い、税収も含めて元の木阿弥となる。これがデフレ経済の正体であり、緊縮のタイミングという微妙な違いが日本経済のパフォーマンスを大きく変えている。

 政治的には、国民生活がまったく向上していないのに、増税で消費を圧殺して構わないとする思想が蔓延している。教育無償化で還元する分はまだしも、純増税の分だけ景気対策でバラまくくらいなら、両方やめるべきだろう。消費増税がすべてに優先するのでなければ、あり得ない政策選択である。他方、法人税収については、野村と日興から3月の企業業績見通しが出て、経常利益の伸び率の平均は、2018年度が4.8%、2019年度が6.6%と下方修正されたが、それでも、2018年度で6千億円、2019年度で9千億円、政府予算を上回る計算だ。

 財政再建に欲をかいて無理な純増税を試み、法人税収の過少な見積りで隠れ緊縮を貫徹する。こんな杜撰な需要管理をしているから、いつまで経っても、デフレ脱却も、財政再建も成らない。民のかまどを顧みない政治とは、このようなものになる。


(今日までの日経)
 中国、輸出入とも減少 1-2月。景気判断、分かれる見方 「後退局面」との声も。
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3/8の日経

2019年03月08日 | 今日の日経
 エンゲル係数が話題になっていたので、家計調査から年平均1か月間の消費支出の推移を見てみた。食料費/消費支出が飛び跳ねたのは、2014年から2016年にかけてである。2015年には、食料費が大きく伸び、交通・通信費が減った。消費増税に伴い、食料費は増やさざるを得なかったが、自動車関係費は控えたことによる。2016年にかけては、食料費が若干増え、水道・光熱費が低下した。さて、今年の消費増税では、どうなるかな。

(図)



(今日までの日経)
 景気指数 3カ月連続低下 1月、基調判断を下方修正。ルネサス、国内6工場を2カ月停止 車載半導体、中国需要減で。日本の実質成長、0.8%に下方修正 OECD、今年見通し。
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アベノミクス・1-3月期はマイナス成長の恐れ

2019年03月03日 | 経済(主なもの)
 先月のコラムで、景気後退期にある可能性を指摘したが、事態は悪化の様相を見せており、1-3月期はマイナス成長もあり得る形勢となってきた。むろん、そうなれば、アベノミクスのイザナミ景気超えは、幻だったことになる。もはや、去年の実質賃金のプラマイの議論に熱中している場合ではない。不況下で消費増税をする愚行から、いかに緊急脱出を図るのか、真剣に考えるべきときに至った。

………
 2/28公表の1月の鉱工業指数、住宅着工、商業動態のどれもがネガティブ・サプライズで、心配していたことが現実となった。鉱工業生産は、前月比-3.9と大きく下がり、3か月連続の低下である。2,3月の予測指数を基に計算した1-3月期の前期比は-1.5に落ちてしまう。この水準は、災害のために大きく低下した7-9月期とほとんど変わらない。しかも、予測指数の実現率の低さを踏まえれば、更に下ブレする可能性が強い。

 設備投資の動向を示す資本財生産(除く輸送機械)は、増加傾向が影を潜め、同様に計算した1-3月期は前期比-6.4にもなっており。景気をリードする設備投資が失速する恐れが出てきた。加えて、企業の不動産投資に係る建設業活動指数が、9月から12月までの4か月連続で低下していることも気になるところてある。3/1の法人企業統計において、設備投資の動機となる売上と収益に低下が見られるだけに、警戒を怠れない。

 また、住宅投資を占う1月の着工件数は、年換算値の前月比が-8.9万戸の低下となった。秋以来の貸家の不調が止まらないところへ、分譲住宅の剥落があったためだ。増税前の駆け込みが始まっておかしくない頃合いなのに、低調である。他方、公共事業については、12月までの建設業活動指数で見る限り、1年半に渡って低落傾向が続いている。水準が下がり過ぎて、これから補正予算の執行が始まっても下支えにとどまろう。

(図)


………
 投資の需要項目が厳しい状況の中、消費はどうか。商業動態の小売業は、1月の前月比が-2.4と大きく下落した。これは名目値なので、財の物価指数の上昇を踏まえれば、実質での落ち幅はもっと大きい。今後、公表される1月の消費指数は、商業動態ほどの激しい変動はないと考えられるが、高めだった10-12月期の水準を超えるのは難しく、2,3月で挽回するのも、なかなか苦しい展開になるだろう。

 消費の背景となる雇用を見ると、1月の労働力調査の雇用者数は、前月比が2か月連続の減少となった。「質はともかく、量は増やした」と主張するアベノミクスだが、夏以降、伸びが衰え、とうとう低下するに至った。特に男性は昨年4月の水準まで一気に逆戻りである。これでは、2月の消費者態度指数が5か月連続の減となり、今年に入ってからの落ち幅の大きさから、基調判断が「衰えている」に下方修正されたのもうなずける。

 投資に加え、消費についても、前期比での減少が危惧されるなら、1-3月期GDPはマイナス成長になると思わざるを得まい。第一生命研の新家さんのレポート(3/1)によれば、1月の内閣府・景気動向指数は、CIの一致指数の大幅低下が必至で、 基調判断は「下方への局面変化」に修正される可能性が大とする。もはや、景気動向への懸念は、筆者だけのものではなく、客観的に裏付けられようとしている。

………
 2019年度予算案が衆議院を通過して、成立は時間の問題となった。成立後の補正の議論について、政治的フリーハンドを得たことになる。財政当局は、「消費増税には経済対策があるから、景気に影響しない」と理屈を並べるだろうが、「景気後退局面で、増税のリスクを犯すなんてバカげてる」という常識論には勝てまい。政権が増税への拘りを長引かせれば、評判は下がり続けることになる。2018年度税収の上ブレが現時点で9000億円ほど見込まれる中、何をやめて、何を残すのか、早く考えるべきである。


(今日までの日経)
 米成長率、10~12月 2.6%に減速 消費堅調も住宅投資減。輸出低迷、生産に波及 鉱工業生産1月3.7%低下 中国減速色濃く 1~3月も減産予測。中国で採用、3割が抑制。韓国出生率 初の「1」割れ 世界最低水準 若者の経済不安背景。
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