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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

「年収の壁」除去は、年金改革と少子化対策の必須パーツ

2024年11月26日 | 経済
 9月の人口動態速報の出生は、前年同月比-4.4%、過去1年間は-5.3%だった。合計特殊出生率に換算すると1.15人のレベルが続いている。厚生年金の財政検証では、経済前提が過去30年投影ケースで、出生中位だと所得代替率が50.5%で収まるが、出生低位だと46.8%と維持すべき水準の50%を割ってしまう。足下の1.15人は低位に近く、中位なら2024年は1.27人になってないといけない。出生率を上げるか、適用拡大という改革をしないとマズい状況に追い込まれているわけである。

 適用拡大の難しさは、非正規などの低所得者に保険料負担を課すことにある。厚労省は力技で進めようとするけど、「年収の壁」を除くために、専業主婦を含めすべての低所得者に保険料の所得控除なり軽減給付を行えば、クリアされる。この意味で、コレジャナイ壁除去なんてやってる場合ではないのである。そもそも、少子化とは、生活が苦しくなった低所得者が結婚から脱落することで激化するものなので、ここをテコ入れしてやらなければ、浮かばれない。いい加減、分かれよと言いたい。

(図)



(今日までの日経)
 SNS、選挙の争点単純に 「分かりやすい主張」拡散。基礎年金3割底上げ、厚労省が提示。中国の経済社会が転機。103万円の壁、物価連動なら税収減1兆円。自爆営業、パワハラ。

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コレジャナイを極める「年収の壁」の政策論議

2024年11月24日 | 経済
 国民党の手取増・壁除去を巡る政策論議は、ますますコレジャナイものになってきた。地方税収が心配だと言って、単一税率の住民税を分離したら、ますます低所得への分配が不利になってしまう。そもそも、所得控除の引き上げでは、手取増は偏るし、壁除去には無意味だ。明確な代案が描けないから、間抜けな政策と批判することさえできていない。国民がかわいそうになってくるよ。

……… 
 壁除去は、11/15に書いたように、1万円から負担を課すか、100万円を超えた1万円から課すかしかない。最低限の生計費を奪うわけにいかないから、道は後者だけだ。つまり、社会保険料に所得控除を創設するか、その代わりに給付をして相殺するかになる。こうしたやり方なら、低所得者の手取りを厚くできるし、財源も1.1兆円程で済むから、地方財政を損なって、給食無償化などの分配ができなくなるなんて話にはならない。

 専業主婦攻撃もひどい。保険料免除の3号被保険者を廃止したら、個人所得がゼロで国年を払えない人は、基礎年金は半額だ。低所得の国年免除者は、将来の貧困が問題視されており、生活保護で救わざるを得ないだろう。公平を期するとして、こういう底辺への競争をしてどうする。壁除去で低所得でも本人負担なしで厚年に加入できるようにし、できるだけ国年から救い出すというのがあるべき政策だろう。

 むろん、税財源による給付だけでなく、保険財源で低所得者の負担軽減をする道もある。国保では軽減しているから、社会保険だからできないというわけでもないし、壁除去で適用が拡大すると、厚生年金にとっては人口増加と同じだから、年金財政は楽になる。ある意味、財源なしに負担軽減もできるわけである。ゆえに、税財源で軽減しておいて、給付面で税財源を回収する方法もある。

 来年の年金改正では、想定より少子化が激化する中で、給付水準の代替率50%割れを防ぐために、どうするかが焦点になる。さっさと適用拡大をすれば良いのだが、その際、ネックになるのは、零細での低所得者の負担が重いという問題だ。前述の軽減策を取っていれば、あっさりかわせるが、そこまで誰も考えていない。コレジャナイをやった後、またぞろ議論を繰り返すのかね。

 ちゃんと制度設計をすれば、極めて経済合理的な政策が作れる。だけど、合理性の理解が難しいんだよ。だから、あーでもない、こーでもないと迷走する。プレゼン能力があるのは、財務省と厚労省だけだが、彼らのインセンティブはマイナスだ。政策提言は、OBや本コラムでもできるけれど、内容を詰めて各所に説明にあたるのは無理だ。言論だけだと、何が必要かもなかなか理解してもらえない。デマは膾炙する世の中なのにね。

………
(図)


 10月の消費者物価は、前月比+0.5と相変わらず高い。それでも、名目では消費が増えているのは、再分配があってこそ。日経は経済対策を批判するが、昨年やったから、今年があるのであり、前年並みを維持しないと、来年の消費が萎えてしまう。他方、インフレで税収は伸びていて、その分、財政再建が進む。大変とされる地方財政も、税収が伸び、資金過不足では「黒字」の状況だ。財政は、「赤字は悪」の信仰からでなく、現状を把握して批評しようよ。それだから、反動で財務省攻撃みたいな言説もはやるのである。


(今日までの日経)
 上場企業が一転最高益 25年3月期、金利上昇で金融好調。経済対策、補正13.9兆円。ラピダスに税優遇 出資に伴う負担軽減。過半数の市区で税収最高 23年度、賃上げ・地価上昇映す。米中経済戦争が激化 日本への「漁夫の利」が発生。

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11/20の日経

2024年11月20日 | 今日の日経
 9月の機械受注は、民需(除く船電)が前月比-0.7%で、7-9月期は前期比-1.3%にとどまった。非製造業は底入れ、製造業は下向きの状況である。10-12月期の見通しも、非製造業は上昇、製造業は横ばいであり、輸出が冴えない製造業の不振が目立つ。他方、設備投資のウェートは小さいが、ソフトウェアは好調で、省力化投資が盛んなようだ。こうした違いは、需要の見通しによるものだ。

 政府税調は、法人減税で国内の設備投資や賃金は増えていないとの分析を示し、「対象を絞った投資減税のほうが有効」なんて議論しているが、設備投資促進策に効果が薄いのは、需要の見通しに強く影響されるからだ。いくら政府がインセンティブを与えても、売れると思えないのに設備投資をするバカはいない。他に手も思いつかないので、机上の論理の政策を捨てられないのである。

(図)



(今日までの日経)
 法人減税、波及乏しく。中国関連株、世界で下落 景気対策に失望。働くシニアの年金減緩和。プロパンガスの料金「上げ底」。「ファイブ・アイズ」、日本初開催。希望退職募集1万人迫る。

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7-9月期GDP1次・強い消費に救われる

2024年11月17日 | 経済
 7-9月期GDPの実質成長率は前期比0.2%で、消費が予想外に強かった。除く帰属家賃の名目は+1.5%もあり、実質も+1.1%であった。CPIの+0.9からすると、消費のデフレーターの+0.5は小さい。他方、設備投資、住宅、公共はマイナスであり、輸出の伸び悩みからすれば、消費に救われた形である。ボーナス増で雇用者報酬の名目が+0.4%だったことを踏まえると、定額減税による可処分所得の増加が消費を押し上げたと見るべきだろう。

………
 賃金が上がらないことが日本経済の30年来の悩みだったが、この数年で、売上が伸びれば、賃金は上がることが確かめられた。従来は、景気回復期に急速な緊縮財政をして、売上を抑制してきたから、賃金は上がるはずもなかった。設備投資の促進にばかり力を注いできたが、売上が伸びなければ、設備投資だって着いて来れない。需要管理を蔑ろにする政策がデフレ経済を形作っていたわけである。

 昨年、岸田政権は、13.2兆円の補正予算と3.2兆円の定額減税で需要を確保し、結果、足下までの成長がある。これを保つために、昨年と同じ財政をするには、今年は19.8兆円規模が必要であり、それでも税収増で財政再建は一歩前進となる。目下の経済政策の焦点は、19.8兆円をどういうもので積み上げるかだ。補正予算は、昨年を多少上回る規模のようなので、定額減税分+αをどうするかになる。

 ここで、国民民主党の手取り増と壁の除去なのだが、所得税の控除を上げても、コレジャナイなんだよね。厚労省は、「壁を何とかしろ」のプレッシャーで、20時間の壁に衣替えして、手取り減の穴埋めを有力企業にさせる弥縫策を繰り出してきた。他方、日経は、専業主婦の特権叩きで逸らそうとする始末で、もう滅茶苦茶だ。壁の抜本的解決は、全員に重い保険料を課して壁にぶち当てるか、低所得の全員を軽減して緩やかに課すかのいずれかしかない。ぐたぐた言わずに覚悟を決めてほしい。

 壁の問題は、社会保険を低所得者に普遍化するにあたり、過重にならぬよう、どう軽減するかの問題だ。正規でも非正規でも、すべての低所得者に、給付つき税額控除をやることによって、実質的に保険料負担を軽くしてやり、個人所得が名目上ゼロの専業主婦もその一環で解決する。いわば、軽減の普遍化だ。公平とかと言って、生活が苦しくて少子化まで起こしているのに、低所得者からもガッツリ保険料を取る方向で考えてはいけないし、経済的に不合理というものだ。

(図)


………
 保険料を軽減する給付つき税額控除なんて、民間が設計するのは容易じゃない。日経には、かつて年金の改革案を出したときのように、がんばってほしいのだがね。厚労省は猿ぐつわが嵌っているし、財務省は財布を痛めるまねはしない。正直、長年、このブログを書いてきて、概念を理解してもらうことさえ難しいと痛感している。初めは、財源の問題だと思っていたが、そうじゃなかった。負担と給付に関する色々な直観に阻まれて、推論で合理的な政策に到達できないのだよ。


(今日までの日経)
 民間パート求人、3年半ぶりマイナス 時給上昇など響く。エンゲル係数 日本圧迫。パートの社会保険料、会社が肩代わり 厚労省案。
 ※人手不足も安い人材に限られるということか。※エンゲル係数の上昇は、消費全般が抑圧され、貯蓄の割合が増えたことによる。つまりは、円安と消費税という下らない話だよ。

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「年収の壁」を除くとは、こういうこと

2024年11月15日 | 社会保障

 「年収の壁」を除くには、給付つき税額控除を導入するしかないので、早いところ、そこに行き着いてほしい。所得税の所得控除を上げるのでは全然ダメで、迷走してる場合じゃない。税収を減らす話に、財務省はだんまりなのだから、政治や新聞などの民間が知恵を出さねばならない。導入は、勤労者皆保険にもつながり、年金の給付水準を上げ、少子化の緩和にも資するので、その意義は、とてつもなく大きい。

 「壁」の本質は、一定の収入を超えると、根っこから負担を課してくることによる。図の紺色の線を見れば、100万円のところに壁が立ち上がっているのが分かるだろう。そこで、負担率が30%なのに合わせ、30万円を全所得階層に一律に給付すると、黄色の線へ下方にシフトして、壁がなくなることが見て取れる。

 実は、黄色の線は100万円の所得控除を設け、それを超えた分にだけ税率をかける場合と、まったく同じである。つまり、所得税には「壁」はなく、「壁」になっているのは、所得控除のない社会保険料ということになる。そして、社会保険料に、所得控除の代わりに、定額給付を行う必要があるというのが「壁」の問題の本質なのだ。

 定額給付を全所得階層にするのは、財源がかかり過ぎて、さすがに無理なので、低所得層に絞ってするのが妥当だ。そうすれば、財源も現実的な範囲に収まる。そうした、収入増につれて給付額を減らしていく方法を示したのが緑色の線である。図では、収入の増額に対し、その1/2だけ給付の額が小さくなるようにした例である。

 実際の制度設計は、もっとめんどくさいものであり、一案は以前に示したとおりだが、要するに、どれだけ給付つき税額控除をするかだ。大事なのは、政治や新聞が本質を理解して、細かい設計をするのではなく、そういうものを作って持ってこいと財務省に指示できるかどうかであり、それが「壁」の問題を解くカギになる。

(図)



(今日までの日経)
 基礎年金、給付水準3割底上げ 厚生年金の財源活用。高額療養の負担上限上げ。円、一時155円台。iPhoneからEVの街へ。奨学金の返済、結婚に影響4割。

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11/13の日経

2024年11月13日 | 今日の日経
 論説委員の柳瀬和央さんは、「年収の壁」の正体として専業主婦の優遇を挙げるが、本質は、そこにはない。日経自身、「年収の壁」低いイギリス・保険料発生でも収入急減せず(2024/3/28)という若手記者のレポートで、正解を書いているではないか。所得税に壁はなく、社会保険料が壁になっているのは、所得控除の有無による。所得税のように、控除額を超えた部分にだけ税率をかけるなら、壁は生じない。社会保険料のように、根っこからかけるから壁になるのである。

 所得控除があるのは、最低生活費を確保してやる趣旨だから、社会保険料は情け容赦がないことになる。社会保険料率が高まった今では、低所得層には耐えがたいものになっているのだ。壁の存在は、労働力の供給を妨げ、流動性を下げているから、合理的な労働政策を求める日経としては、論説が主張すべきは社会保険料への控除の導入になるはずだ。そして、所得控除と税額控除は機能的に同じものなので、給付つき税額控除の実現を課題としなければならない。

 国民民主党も目立たない形ながら公約で掲げているように、給付つき税額控除が大事なことは、政労使官とも何となく思っている。ただ、それが具現化しなかったのは、偏に財源がないという諦めからだった。しかし、与党の過半数割れによって、無理やり出てくることになった。所得税の控除引上げでは、効率が悪過ぎて、手取増や壁撤廃を支持した国民も、コレジャナイものになってしまう。今こそ、社会の木鐸たるマスコミが正解を示し、政労使官に本来の思いを再認識させるときである。

 10月の景気ウォッチャーは前月比-0.3と、物価高を受けて、陰りを見せている。ボーナス増や定額減税の効き目も薄れてきたようだ。それでも、雇用は増勢を保っている。消費が増え、売上が立たないことには、次の賃上げもない。円安による物価高の下、大規模な経済対策を打って、ようやく今の状況にある。消費を増やす低所得層への再分配はゆるがせにできず、不効率なことはやっていられない。

(図)



(今日までの日経)
 年上の妻、互いに経済力求める。半導体・AI支援10兆円。「103万円の壁」解消の手取り増、パート7割は年数万円。

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それぞれの「壁」を超える経済政策

2024年11月10日 | 経済
 9月のCTIマクロが出て、7-9月期は実質で前期比+0.5となった。思ったより高くて安心したよ。むろん、名目は+1.1と好調だ。いずれも、前期より加速した形となった。やはり、可処分所得を伸ばせば、消費が増えるということで、岸田政権の定額減税が奏功したと言えるが、既に退場してしまった。GDPギャップは前期では-0.6%に過ぎないが、前年は、補正と減税で19.8兆円を投入して得られたもので、その意味で、デフレ脱却にはなっていない。

………
 今年、再び19.8兆円を投入しても、2025年度は税収増が国と地方で4.9兆円程が見込まれるので、財政再建は着実に進捗する。公的年金の支給開始年齢の引き上げもあるので、政府全体では、それ以上になるはずだ。あとは、19.8兆円をどういう政策で構成していくかである。そこで出てきたのが、国民党の所得税の控除引上げだが、正直、低所得者の手取りを増やす観点からはスジが良くない。

 とは言え、11/8の大機小機でミストさんが「財政ポピュリズムが国民の支持を増やした背景は真剣に考える必要があり、格差問題が深刻化しているという貴重なメッセージと受け止めるべき」というのは、正鵠を得ていると思う。財務省も、「年収の壁」は税でなく、社会保険料の問題と、隣の庭の事と突き放すのではなく、給付つき税額控除に集約される事柄だと、正面から受け止めてほしい。

 他方、厚労省は「106万円の壁」を見えなくする挙に出た。最低賃金の高まりを踏まえれば、自然な策ではあるものの、「20時間の壁」に変わるだけである。貧乏人から最低生活費を抜くことになる所得比例の負担は、料率が高くなれば無理になることから目を背けてはならない。年金でなく福祉の専門家であってほしい。英国がそうであるように、社会保険だから控除ができないということではあるまい。

 結局、ミストさんが述べるように、出口は、給付つき税額控除しかない。これで「壁」が消えて、勤労者皆保険が実現すると、将来人口推計どおりであれば、必要以上に年金の給付水準が高まることになる。そうなれば、年金への財政負担を軽減する道が開ける。給付つき税額控除は、財政にとって、持ち出しだけではない。それを、いわば「財源」にしつつ、制度設計をすれば良いだけだ。

(図)


………
 政治も、給付つき税額控除という真の課題に、早く行き着いてほしい。10%消費増税のときの軽減税率の選択のように、分かり易さで本質を外してしまうが、良い再分配の政策を掲げることが次の選挙での勝利につながるだろう。日経だって、論説を展開していってほしい。リスキリングやジョブ型より、ずっと意味のある労働政策になるし、単なるバラマキ批判では、マクロ政策にならないのである。


(今日までの日経)
 中国、地方負債対策210兆円。週20時間以上に原則適用。賃上げ「トランプ関税」が影 対米輸出額、7年で4割増。FRB、0.25%追加利下げ。「103万円の壁」は給付付き税額控除で。トランプ氏、若者に浸透 激戦州獲得。金融所得課税の課題・諸富徹。

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11/6の日経

2024年11月06日 | 今日の日経
 上半期の出生数の概数が発表されたが、足下の合計特殊出生率は1.14人くらいになっている。これで人口維持水準の2.08人を割ると1.82で、子世代は182%の負担で親世代を支えなければならないことを意味する。6年前は1.42人で148%だったから、35%も負担が増えることになる。同じ少子化でも深刻さが断然違う。148%であれば、1世代30年で、年率1.3%の成長があれば追いつくが、182%になると年率2.0%が必要になる。生産性の向上では補い切れないだろう。すなわち、これだけ少子化が激しいと、老後の支えは疎かになるという覚悟が必要になるが、深刻さが理解されていないと思う。しかも、婚姻数は、減り方が緩んできたとはいえ、下げ止まっておらず、出生率は更に下がろうとしている。

(図)



(今日までの日経)
 「年収の壁」178万円の場合、個人住民税4兆円減。今年の出生数が70万人割れ公算 上半期33万人、6%減。製造業、5割超が減速 4~9月業績。

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イシ(タマ)ノミクス・パーシャルで良い経済政策を

2024年11月03日 | 経済
 この国に足りないのは財源ではなく理想だというのは、本コラムの年来の主張だ。思いつきで経済政策が採られ、趣旨は悪くないが、的を外してばかりいる。非正規の育児休業給付を外して少子化対策をしてみたり、若い低所得者に恩恵の薄い所得税の控除を大幅に引き上げようとしたりである。広くバラ撒いてウケを狙いたい浅ましさが透け、深い思いが足らず、本当に必要な改革を国民に届けられないでいる。

………
 今回の総選挙で、「手取りを増やす」を掲げ、若者の支持を得た国民党の躍進には、驚かされた。石破総理には、勝ちたければ、地方創生の枠組で低取得の若者への再分配をすべしと勧めていたわけだが、ここまで威力があるとは思わなかった。政治資金問題は然ることながら、物価高の中、賃上げでも負担増で可処分所得が上がらないことへの憤懣がいかに強いかを示している。

 しかし、同じ減税なら、所得控除より税額控除の方が効果的であり、キシノミクスの定額減税がマシだったことになる。一番良いのは、国民民主党が副次的な公約にしている給付つき税額控除である。「壁」の問題も、そもそも、所得税は「壁」でなく、まったく控除のない社会保険料が「壁」になっている。こういう問題をクリアできる定額給付制度を、とっくに英米は導入していて。日本は、政策が貧困なまま、改革が遅れている。

 どうすれば良いかは、「1.8兆円の再分配による少子化の緩和と非正規の解放」で書いたとおりで、社会保険料の負担に連動させて、「給付つき税額控除」を行うものだ。低所得者にも比例負担を課す現状の無理を直すことが必要であり、結婚を難しくしている要因を除いて、財政の改善まで期待できる。理想がぼんやりしているから、政策が合理的にならず、的外れになってしまう。

 もっとも、看板公約だから、この3年の物価上昇に合わせて、8%程の部分的な所得控除の引き上げはあっても良いかもしれない。しかし、7.6兆円もの減税はやり過ぎだし、もっと減税をするなら、真っ当な給付つき税額控除を組み込むべきである。財務省も、野放図になるのを防ぎ、後始末もつくよう、制度設計の知恵を出してほしい。国民民主党にしても、部分的な公約の実現の方が次の参院選への期待をつなぐことになろう。

………
(図)


 9月の指標が出て、7-9月期GDPは、若干のプラス成長にとどまり、もしかするとマイナスもある。消費が伸びず、設備投資はマイナスになりそうだ。ただし、消費は名目では伸びていて、物価高が足を引っ張っている。それには円安の是正が必要だが、政治は日銀の作戦を邪魔している。円安で輸出を増やせる状況でなく、円高になった方が建設資材が下がって投資を増やす方向に働くくらいである。こちらも、思いつきで口出しをしてはいかんよ。


(今日までの日経)
 固定資産税収増、自治体9割。資材、値上がりゼロ 鉄鋼や木材急ブレーキ。日銀、利上げシナリオ堅持。改革本丸は社会保険料 壁で働き控え。トラック輸送力落ちず 「24年問題」対応。はがれた若者の自民支持。「年収の壁」178万円なら、国・地方7.6兆円税収減。昨年度法人所得、過去最高98兆円。

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