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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

IMF見解とケインズ

2011年01月31日 | 経済
 今日の経済教室は、IMFのシンさんが登場だ。内容は、スタンダードの一言であろう。まるで日経の日頃の主張を写したかのようでもある。しかし、現在、それは機能不全に陥っている。スタンダードの中にどんな問題があるのか、そこを指摘できるようでないと、一級のエコノミストとは言えない。

 一番の問題は、解決の過程を曖昧にしていることだ。リーマン・ショックの危機に際して、財政・金融政策は衝撃を和らげたとしながら、財政健全化が中長期的な成長に必要だとする。この程度なら、誰でも言えるだろう。その過程として、11年、12年の財政による需要管理を、どう舵取りするかが問われている。

 10年、11年と、日本は急速に財政収支を改善している。このペースが正しいのか、もっと強めるべきなのか、デフレの中で、現状の政策を正当化できるか否か、まじめに答えなければならない。しかも、IMFさんは、11年における日本の成長率の急減速を予想しているわけですよね?

 次に、成長促進策として、安易に法人減税を持ち出しているのも疑問だ。そういう効果があるのは否定しないが、後段で、自ら指摘する、企業の現状における投資への消極性とどう整合させるのか。ご提案の損失繰越の拡大やベンチャー支援では、タカがしれているだろう。これと見合いの消費増税による投資冷却効果の方が遥かに大きくはないか。おまけに、日本の個人消費のシェアが低いのが問題と、お勧めの政策とは矛盾する指摘までしている。

 では、日本に対する正しい処方箋とは、どんなものなのか。筆者なら、現下で、保育、介護、医療を中心とする社会保障を増加させて内需を拡大するとともに、物価上昇が見られたところで自動的に消費税アップがなされる仕組みを導入する。短期と中期の政策をセットで決めることが重要だ。

 経済政策は、投資促進や財政再建といった、経済に資するようなことを唱えていれば済むものではなく、順番や作用・副作用の量の把握が極めて重要である。企業を優遇し、小さい政府にすれば、あとは市場メカニズムが上手く働き、成長の加速で皆に還元されるというのは幻想だろう。リーマン・ショック後に問われているのは、そこである。

 投資にはアニマルスピリットが必要だと言ったのは、ケインズである。彼は、それを理解した上で、需要管理政策を提案した。シンさんのように、企業の優遇と小さな政府で、それを刺激すべきだと言ったのではない。碩学の言葉の重みを、改めて認識すべきではないか。

(今日の日経)
 エルピーダ、台湾の事業取得。エジプト長期独裁に限界・中西俊裕。社説・ネット配信。FX倍率規制から半年、存在感保つ。自動車保険、年明けに動き。ダボス・ドイツ責任論・岡部直明。ウォン理論値より1割安。日本に似た課題、中国直撃。比、モロと交渉再開。ダボス・照準は中国、すしのみ人気。NEC・最後のチャンス。カーナビ、ガラスに表示。ステロイド含有ナノ粒子。ビック・君は伸びる業界に・宮嶋宏幸。経済教室・生産性向上・アヌープ・シン。

※DRAMも寡占へ。欧州はスレイマンでいけると踏んだか。禁止よりビジネスモデルが必要。日経が批判した施策を素直に検証、これは立派。自動車の消費が気になる。人気がなくても必要。韓国の苦境はこれから。中国への処方箋は既述(1/27)。
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成長を考える枠組

2011年01月30日 | 経済
 経済成長を高めることに誰も異論はない。問題は「どうすれば」である。その成長なのだが、設備投資が源泉であることも、これまた異論はない。したがって、焦点は、どうすれば、設備投資が高まるかということになる。

 通常、ここで出てくるのは、低金利と規制緩和である。この二つが人気なのは、コストがかからないからである。本当はコストフリーではないのだが、これ以外の策には、何かしら財政資金が必要になるため、それが要らないところに人気の理由がある。

 ところが、この二つ、効き目がないとは言えないが、不況の肝心なときには、ほとんど役に立たない。効果があるなら、米国は、大規模な金融緩和を行い、自由な経済環境にあるのだから、とっくに力強い成長を見せていてもおかしくない。

 どうも、この二つは、植物を育てる際の水のようなものらしい。水は必要なものだが、やればやるほど良く育つというものではない。成長が始まるまで、ひたすら量的緩和をすればよいという論者を見ると、筆者は、水を浴びせかける園芸家をイメージしてしまう。やりすぎで、根腐れをおこさなければいいが。

 次に人気なのは、企業を楽にする各種の策で、法人減税がその典型だ。雇用規制を緩和したり、社会保険料を減らしたりなど、労働コストを減らすことも、その中に入る。いわば、肥料をたっぷり与えれば、設備投資を開始するという考え方だ。

 しかし、これも、現実には上手くいっていない。日本だけでなく、米国でも、企業は栄養を貯め込むばかりで、さっぱり設備投資には回さない現象が起こっている。投資するにしても、自社株買いやM&Aをする始末で、実物の設備投資へは、なかなか結びかない。しかも、困るのは、「効果がないのは、まだ足りないからだ」と、要求に際限がないことである。

 ここで成長戦略は、打つ手なしになってしまう。政府の成長戦略が、「戦略」の名に反して、やらないよりはマシな雑多な政策の寄せ集めになってしまうのは、このためだ。それを作っている側ですら、それで成長が回復するとは思っていない。思っているなら、政策のひとつ一つにどれだけの投資促進効果があるか示せるというものだろう。

 さて、それでは、どうすれば設備投資をしてくれるものなのか。それを知りたければ、経営者に聞いてみれば良い。実は、筆者は、何人もの経営者に尋ねたことがあるが、答えは一つ、「需要があればします」というものだった。これは、ある意味、当たり前だし、統計的にも確かめられることだ。

 ところが、これは堂々巡りになってしまう。需要がないと設備投資をしない、設備投資がないと雇用も所得も増えない、雇用と所得がないと需要が増えないとなるのである。どこかで、この悪循環を変えなければならない。多くの場合、それは、需要のところで好循環へと変わる。

 最も好都合なのは、輸出が増えることである。これを目指して、為替安や低金利の政策が取られることになる。 むろん、輸出から設備投資、そして、所得増から内需向け設備投資へと波及することで、成長が回復するという道筋だ。日本も、かつては、このバターンで何度も成功を収めている。

 ただし、この10年ほどは、輸出で成長が回復し始めると、早々に財政再建に乗り出し、内需への波及を断ち切るということをしている。米国のバブル景気によって、世界中が輸出を起点に成長を高めたのに対し、日本だけがデフレなのは、こういう特殊な政策を取っているためなのである。

 何も、大規模な財政出動をして、景気のエンジンを噴かせと言っているのではない。現在のように、デフレにあるのに、わざわざ財政収支を改善する緊縮財政をとる必要はないということである。財政再建は、物価がプラスになったら、自動的に消費税が上がる仕組みを整えておけばよいだけのことだ。

 かくして、国内の需要を抜いておいて、企業に設備投資をさせるという、非常に困難な道を、日本は敢えて選び、そのための政策論は、白熱の様相を呈している。経済状況とは無関係に、消費税を引き上げたいという焦りも大変なものがある。成長を考えるといっても、しょせん、こういう狭い範囲での議論に過ぎない。議論に出口がないように思えるのは、思考の枠組に自ら制約を課している結果なのである。

(今日の日経)
 温暖化ガス、製造業20年度18%削減。エジプト、情報長官を副大統領に。社説・エジプト。金融市場混乱含み、株安や原油高、エジプト緊迫化で。消費税・不正還付未遂罪。カーシェア、年9000km以下ならお得。政治漂流・危機対応。人工光合成、英知集める。経済論壇・人口減少・福田慎一。
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消費の不思議な伸びと縮み

2011年01月29日 | 経済
 米国の10-12月四半期GDPは、個人消費が好調で、3.2%成長を達成した。他方、日本は12月の消費支出が3.3%減と、マーケットの予想を遥かに下回る落ち込みだった。消費統計は振れが大きいとは言え、ちょっと驚きの結果だ。

 まず、米国から見ていこう。個人消費は4.4%の伸びで、これは、出来過ぎのように思える。設備投資も好調で、こちらの数字も4.4%の伸びだが、景気回復期には、設備投資が先行し、雇用から消費へと波及するのが通常だから、設備投資の伸びと比較して、個人消費は高すぎるのではないか。

 日経は、年末商戦は史上最高額とするが、リーマン前水準を少し上回っただけで、落ち込みからの回復の範囲であり、新たな領域に入ると減速する可能性もある。また、減税決定や株価上昇が消費者心理を上向かせていると言うが、本コラムのモットーは、「経済学は心理学にあらず」である。やはり、高水準の失業率、家計所得の伸び悩みを踏まえれば、まったく楽観できない。

 なお、あまり注目されてないが、輸出については8.5%と大きく伸び、輸入は-13.6%と更に減った。この結果、貿易赤字は4000億ドルまで縮小している。赤字縮小は、GDPのプラス要因というだけではない。これだけ好調であれば、更なる金融緩和によって、ドル安を進める必要はないし、貿易赤字の縮小は、米国債の信用を高めることにもなる。

 さて、日本の家計調査の結果だが、マーケットの事前予測の平均は-0.7%であり、筆者は年末商戦の状況から、もっと高めではないかと予想していた。確かに、1/4公表の12月分の自動車販売は落ち込んでいたが、ここまで影響するとは思っていなかった。

 少し詳しく見ていくと、-3.3%のうち、自動車等関係費の寄与度が-1.42にもなっている。これは、エコカー減税終了後の10月、11月にも見られなかったほどの落ち込みで、なぜか12月になって大きく出てきた。今後、家計消費指数の公表段階で、振れの大きさは修正されるだろうが、ある程度に止まらざるを得ない。

 これ以外の減少項目も、交際費が-0.98もあったり、諸雑費が-0.45だったりと、ちょっと解せない内容だ。交際費については、11月の減は、10月の反動かと見ていたが、12月も続いた。むろん、食料や被服といった一般的な消費も弱いのだが、さほどでもない。家電エコポイント廃止の影響も心配されていたが、家庭用耐久財はプラスである。そもそも、12月のベースとなる勤労者世帯の実収入は-1.4%と、5か月ぶりに減少した上に、平均消費性向まで低下するといった具合である。

 大きく落ちた家計調査の結果を踏まえると、10-12月期のGDPは、先日、予想外に良かった輸出や、上向きにある設備投資と住宅投資を勘案しても、マイナス成長になる公算が高い。筆者は、消費が粘りを見せ、マイナス成長になるとしても小さくて済むと見ていたから、予想とは異なる結果になりそうだ。

 ただ、統計の当局者にありがちなセリフになってしまうが、「消費の動向については、もう少し様子を見る必要がある」としておこう。12月の失業率は消費と裏腹に改善を見せているし、消費性向の低下は、来月以降の消費の回復につながる可能性もある。日米の「意外」な動きが今後も続くかどうか、結論は持ち越されたと考えている。うーん、弁解になるかな。

(今日の日経)
 年金協定、新興国に拡大。米年率3.2%成長に。エジプト夜間外出禁止。ASEAN、中国以外の選択肢を。インドネシアと戦略対話。社会保障目的にもハードル。英、四半期マイナス成長でも財政再建。神鋼、ベトナムに専用港。国債金利は値ごろ感で低下。家事調停にTV会議。前日夕刊/消費支出3.3%減。日経ビジネス・サムスン赤字転落。

※すべきは坦々と。ASEANの期待に応えたい。英はきつ過ぎる。格付け低下が逆に買い場に。LGも苦境、韓国の転機は11/17に記したとおり。

※エジプトは、先の総選挙で、民主化の空間を広げるのではなく、従来以上に野党を圧迫した。その反動が出ている。経済は離陸し始めているのに、ここで政治が混乱するのは惜しい。民主化はゆっくりでも進めなければならないというのが教訓だ。
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他人の格付けよりデータ

2011年01月28日 | 経済
 日本国債を格下げというニュースが入ってきたが、これは政治的な理由だろう。ネジレ国会で11年度予算が執行不能になるかもしれないのだから、それは分かる。しかし、経済的にはどうか。債務危機がささやかれるスペインより下とはね。

 今日の日経には、もう一本、ニュースが載っている。IMFの財政見通しなのだが、日本はGDP比で0.3%改善するとしている。他方、米国は0.2%の悪化である。経済的な方向性からしたら、格付けが下がるのは不思議である。バブルの後始末を踏まえると、筆者は、むしろ欧州や米国の方に危うさを感じる。今回の結果は、欧米のホームバイアスがかかった評価のように思える。

 もっとも、IMFの数字を見て、意外に思う方も多いのではないか。日本の財政赤字が着実に改善されていることを、財政当局は一切説明しないので、日本の正確なポジションが世間には認識されていないのである。それゆえ、更に財政再建を加速しようという、現実を知らない危い意見が続出する。昨日の日経の「どうする消費税」は、その典型である。

 団塊世代が本格的に社会保障給付を受ける「前」に財政再建とか、政府負債が民間資産を上回る「前」に財政再建とか、そう言われると、なんとなく納得してしまうが、時間軸をまったく理解していない。「前」に財政再建をするということは、マネーを使う「前」に、集めてしまうということで、それは民間の需要を吸い上げ、デフレを強めることになる。

 正しい政策は、社会保障給付の増大と歩調を合わせて増税を行うことであり、焦って増税をしようものなら、成長を損なうことになる。民間資産についても、民間「投資」が出てくる前に、政府が引き受けることをやめてしまうと、貯蓄過剰となり、需要不足から経済が収縮し、所得減を通じて民間資産が減ることになる。民間資産を上回る時期を遅らそうとしたのに、民間資産を減らしてしまい、かえって早めるという皮肉な結果になる。

 こうした焦りの背景には、日本の成長に対する希望のなさがある。「どうせ成長しないし、デフレなのだから、それを強めたって大したことはない」というわけだ。最初から、将来を捨てているのである。成長するには、設備投資が必要で、それは「臆病」だから、需要を見極めながら、徐々に増えていく。今日の経済教室のように、小さな政府にして、規制緩和をしたら、設備投資が出るというものではあるまい。

 国債の格付け引き下げで、財政再建を急ごうという声は、またぞろ高まることになろうが、これで成長を失速させては元も子もない。日本経済がどういう位置にいるのか、他人の格付けに頼らず、足元のデータでよく確かめるべきであろう。

(今日の日経)
 外資系証券、日本株業務を拡充。日本国債を格下げ。ゼロ金利解除の議事録。貿易、中国以外に広がり。輸出数量12月3.3%増。IMF、日本の財政赤字は改善、米国は悪化。休眠口座活用。高額医療費の立て替え払い不要に。エルバラダイ氏が引退求める。北方領土に第3国投資も。中国企業、賃上げ相次ぐ。ヤマト、アジア宅配網拡大。経済教室・小さな政府・谷内満。

※外資は目ざといね。ゼロ金利解除は批判され過ぎ。脱中国だな。思ったより輸出強し。政治のやる気次第だが。地道に改善。予断を許さない情勢。きっちり牽制しないと。彼らだけが物価高から救われる。内需型産業も外へ。

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新興国における政策の目的

2011年01月27日 | 経済
 利上げが始まったら、ブームは終わり。しかし、良い思いをして来たから、なかなか切り替えられず、資産価格の「高原状態」を保てるのではないかと希望的観測を持ってしまう。もちろん、例外もないわけではないしね。そして、ほとんどが深みにはまるわけである。

 日本のバブル崩壊のときは、日銀の引き締め開始から株価下落まで半年かかっているし、地価に及ぶのはもっと後になった。結構、タイムラグがある。この時期に、引き締めにもかかわらず、バブルが膨らみ続けるという「不思議」な現象が見られることになる。ここで、「まだまだ行ける」と強気で向かうと大やけどになるわけだ。

 1990年代のバブル崩壊は、日本経済の痛手となったが、まだマシな方だった。円高容認と消費税導入によって、一般物価は安定していたからだ。インフレにはなかったため、バブルが弾けた後は、すぐに金融緩和や財政出動をすることができた。それでも、設備投資が回復するまでには、3年かかっている。

 同様のことが、これから、中国などの新興国で起こるのではないか。しかも、インフレが進んでいるから、しばらくは、スタグフレーションも覚悟せねばならない。今にして思えば、ドル高を維持するようなことをしてなければ、物価を抑制できただろうし、所得再分配に必要な税制や社会保障をまじめに整えておけば、企業のマネーが投機に向かうのを減らせただろうに。

 今の状況でも、まず取るべきは、自国通貨高である。ここに至ると、急速さも必要だ。輸出企業への打撃は仕方がない。また、資産や利子への課税も強化する必要がある。他方、社会保障給付は拡大し、低所得者対策を行う。インフレ対策とは逆向きだが、取り除くべき需要は、中高所得者のそれだからだ。これで金融政策への負荷が減り、金利水準をむやみに高めずに済む。高金利は、供給力拡大のための設備投資まで阻害する。そして、不動産バブルが弾けたところで、建設需要を補うように公共事業を注入する。

 新興国では、成長率が高まった割りに、所得格差がつき、若年失業者の失業率もあまり下がらなかった。ここは日本の高度成長期と異なるところである。輸出主導の経済は、恒常的な貿易赤字の克服までは良いが、外貨を溜め込むようになっては行き過ぎである。その資金を国内向けに使うよう、内需を補ってやらなければならない。

 高度成長期の日本は、法人税も高かったし、頻繁に所得税の減税も行った。医療を中心に社会保障も拡充した。労働組合の賃上げ圧力もあり、所得分配は上手くいっていた。これが幅広い階層での消費拡大につながり、若年雇用も広範な職種で好調であった。そもそも、今の新興国は、外資の設備投資に頼っているから、マネーは外へ出やすく、内需向けに資金を使うことにはなりにくい。

 経済というのは、輸出需要という起点がないと成長を始めないし、分配によって消費需要を用意してやらないと、使われない不動産や金融資産に投資するようになる。前者は、リスクを恐れるがゆえに機会利益を捨てる不合理な行動だし、後者は、短期利益に目が眩んだ、いずれは大損をする不合理な行動である。投資行動は不合理なもので、本来は、それを是正するのが政策だが、輸出を増やし、企業に稼がせることが目的化しがちだ。それをもって、国民に何を与えようとしていたのかは、忘れられてしまうのである。

(今日の日経)
 防衛省、民間資金使い通信衛星。車用鋼板の海外生産倍増。アジア通貨上昇続く。どうする消費税・「団塊」「債務」2つの臨界点。ロシア・自由制限も必要。中朝、貿易額最高に。エジプト、反政府デモ続く。新興国、所得格差が影。サントリー中東進出。パナ・LED電球販売倍増。手塚漫画で千客万来。原油や金、上昇一服。液晶パネル2~3円安。経済教室・海外直接投資・小池和男。履歴書・経営企画部・広報部、コンプラ、情報開示、官の副総裁、調達改革。前日夕刊/韓国・0.5%成長に鈍化。

※国際利用がミソ。需要地に投資。強圧とテロの国。中朝一体化。経済は離陸しそうなのだが。エコは伸び。コンテンツは見られてこそ。小池先生のは読ませるね。さすがの経営者だ。韓国はやはり失速。
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アマノジャクのモデル

2011年01月26日 | 経済
 「景気回復の兆し」なんて周りが楽観的になると、筆者は悲観的になり始める。まあ、アマノジャクなんだろうね。それにしても、皆は、「海外経済が改善しているから、日本も良くなるだろう」という傾向が強すぎるのではないか。

 経済を見る場合、毎月発表される景気指標に振り回されないようにしなければならない。特に、消費や雇用の統計は振れも大きいので、その国の基調がどのようなものであるかのイメージを持つことが重要だ。

 例えば、米国は、このところ、明るいデータが出て来ているが、筆者は、まったく油断していない。住宅バブル崩壊後の停滞が基調だと思っているからで、停滞に戻る要素がないかに注意を払うようにしている。海外は、欧州にもバブルの後遺症があると見ているし、中国はバブルの最中である。失速や崩壊があると思って観察している。

 逆に、日本は、消費関連の明るい要素がないか、探すように心がけている。例えば、景気の「遅行指数」と言われるIMFの成長見通しは、10年が4.3%である。政府や日銀より遥かに高いが、こういうものに目が行く。これは、単に逆張りをしているとか、リスク要因を重視しているとかではない。

 更に言えば、自分がどのような観点から見ているかを意識することも大切である。これは、観点と言うより、モデルと言った方が近い。本コラムでも、それを「どうすれば経済学」などと称している。それは日本経済の歩みを丹念に追いながら、説明しやすいものへと練り上げて作ってきた。

 そうした観点からすれば、今日の経済教室はいただけない。実証に時系列データを使うなら、その歴史的な理解が欠かせない。小泉改革の規制緩和が成長に効果があったと言われても、この当時は、米国の消費拡大で輸出が伸びていた時期で、これだけで設備投資の増加は説明がついてしまう。規制緩和の効果もあろうが、何が主因だったのか、全体の中での位置づけが重要である。

 こういう総体的な理解の欠落は、今日の財務省試算でも見られる。財源不足を強調するために税収をかなり低く見積もり、3年で2兆円しか増えないとしているのだが、他方で、国債費の膨張も強調したくて、利払い費が5兆円増加するとしている。利子課税を考えれば、これだけで1兆円の増収になるわけで、不整合もはなはだしい。

 海外経済の動きにばかり期待し、成長は規制緩和にあると信じ、いい加減な試算で財政の舵取りをしようとする。どうして、物事を総体的に捉えようとしないのだろうか。日本には何か重要なものが欠けている気がしてならない。

(今日の日経)
 医薬ネット販売、緩和へ。インド0.25%、新興国、利上げ相次ぐ。シンガポール5年で76万人増。景気、足踏み脱却の兆し。東電20年ぶり原発着工。共通番号14年割り当て。利払い費、2%前提で14年5.6兆円増。仏揚陸艦ロシアに売却。EU共同債は見送りへ。リーフ、3月フル生産。宇部興産が電解液の生産倍増。経済教室・規制緩和・星・カシャップ。履歴書・妻には総理から夕食会。

※リスクをどう担保するかで答えが出る。利上げより為替なんだが。好況のうちは良いが。ICカードが必要か。仏には抗議しないの。権力者も心配り。
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既成概念への挑戦

2011年01月25日 | 社会保障
 「高齢者1人を○人で支える」という分析は、もうやめてはどうか。おそらく、これを使う人は、何人が適正かを分かっていない。レファレンスなしに数字を弄んでも意味がなかろう。適正値は約1.7人なのだが、なぜだか分かるかね?

 人口が静止状態にあるとき、すなわち、毎年、生まれる人が同じで、年齢によって人数に違いがないということになるが、その場合、平均寿命が83歳とすると、加入期間が20~59歳の40年間、受給期間が60~83歳の23年間になるから、40÷23=約1.7人ということになる。

 この数字は、平均寿命が伸びると下がってしまうが、それは喜ぶべきことだろう。寿命を短くしようという政策はあり得ない。また、人口が増加状態にあるときには、支える人数は1.7より多いことになる。これも結構なことだが、地球は有限であり、人口は永遠に増やせないので、一時的な幸運と思うべきである。

 結局、現在の1.8人で支える状態というのは、過去の幸運な状況が終わりつつあることを示しているだけで、何ら悲しむべきものではない。今後、1.7で安定するなら、つまり、人口が静止状態に移行していくなら、それで良いのである。これらなら、年金数理上も、払った分は還ってくる状態が維持される。従来のように、人口増加の下で、払った分以上の給付を得る状態を保ちたいと思うのは、欲が深すぎるというものだ。

 問題は、人口が静止状態を突き抜けて、減少状態にあることだ。これは、長期的には絶滅を意味するから、持続不能であり、年金はもちろん、どんな社会制度も成り立たない。問題の本質は、人数比が下がることではなく、少子化にある。

 この1.7という数字は、年金の支給開始年齢を引き上げれば、高まることになる。つまり、受給期間が65~83歳の18年間に減ることで、40÷18=約2.2人になるわけだ。そうすると、これをもっと引き上げれば、支える人数を増やせるのではないかと思うだろう。ところが、そう考えるのは、浅はかである。

 支給開始年齢の引き上げは、生涯の給付総額の削減につながるので、それには限界がある。引き上げ過ぎると、給付が保険料を下回ることになって、保険制度として成り立たなくなるからだ。現在の制度は、これがギリギリでバランスしているので、無理がある。まあ、保険料を、反対給付を約束しない「税」にしてしまえば、できなくはないが。このあたりは、慶大の権丈善一先生も理解が十分でないように思う。

 団塊世代は保険料の低い時期に払っていたから、今すぐ給付開始を先延ばすなら、給付が保険料を下回ることはないが、生活への影響が甚大でとてもできない。かといって、現在の開始年齢の引き上げ計画の後、更に引き上げるのでは、十数年先となるから、まさに給付が下回る世代を直撃する。負担軽減のつもりが、「損」を拡大することになる。

 結局、解決策は、支給年齢の引き上げにはなく、少子化を緩和するしかないのだが、またも、日本の年金論議は、無意味な方へ迷い込みそうである。

(今日の日経)
 年金給付50兆円突破、1.8人で1人支える。旭化成、韓国に世界最大拠点。食糧危機で政情不安も。韓台「経済領土」競う。社説・成長軽視では財政再建できず。太陽光買取価格を42円に下げ。ルール作り米豪と主導・川崎研一。財政支援で子ども園移行。米、地方でリストラ加速。マツダEVを自社開発。ヤマト、部品メーカー支援。一目均衡・中国急減速にCDS買い・藤田和明。経済教室・介護の規制緩和・石川和男。疲労は脳に起因する。検索してもアイデア出ない。

※国内に変えるため補助金を出したら。QE2の破壊力。そのとおりだが、策は金融緩和だけ。幼保一元化はカネの問題。リストラで消費と雇用は減。

※藤田さん、読ませる内容だった。市場は中国失速を織り込み始めている。インフレ輸出国に変わるとか、世界経済のアイドルが消えるという表現も出色。経済紙はこうでないとね。本文で取り上げたかったが、紙幅が尽きた。タイトルはその名残。
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経済への企業の責任

2011年01月24日 | 経済
 また、西岡さんの「核心」を取り上げることになったなあ。法人減税の中の就職難だから、これからは企業の責任が問われることになるだろう。こういう風向きの変化を鋭く捉えつつ、「どうすれば」も示している。「心配は3D」も、ちょっと流行りそうな言葉だ。

 古い話で恐縮だが、30年前の日本人は、企業の責任をまったく違って捉えていた。現在は、法人減税と消費増税の組み合わせが当たり前だが、1981年には、企業は財政再建のために法人減税を受け入れ、1984年には所得税減税のために再び法人減税を受け入れている。こうした経済に対する責任感覚は、今や昔であろう。

 この1984年の税制改革は、結果としても大成功だった。ちょうどレーガノミックスによる対米輸出が伸びて企業が潤いだしたころであり、これが内需へと還元され、日本経済は、二つのオイルショック期の長い低迷から抜け出すのである。そして、景気が上り坂になったところで、消費税導入と法人減税の議論が進み、景気絶頂の89年に実現するわけである。こういう成功事例は、すっかり忘れ去られている。

 今は、輸出が伸びて企業収益が急回復する中で、法人減税をして更に利益を溜めさせようとしている。ここで就職難に応えなければ、企業批判に対する声が一気に高まりかねない。そこで、西岡さんの企業系列での合同採用は、非常に良いアイデアだと思う。就職活動は、情報化が進み、内定をたくさん取れる人と、面接に落ち続ける人の二極化が進む。ここに不合理があるからだ。

 大手で内定に至らなくても、あと一歩という学生に系列企業を紹介すれば、学生は「祈りメール」をもらうだけより遥かに希望が持てるし、自分の位置づけも分かる。系列企業にとってもスクリーニングの手間が省ける。大手企業の面接結果というコストのかかった情報を無駄にせず、やたらに大手に学生が押し寄せるのを減らす効果もある。三方にメリットのある工夫だろう。

 今週の日経ビジネスは、人と技術を大事にする企業として有名なボッシュの特集だった。企業を潤せば経済は良くなるという米国流の考え方は、米国ですら疑問視され出している。企業の役割への見方は、原点回帰の時期に来ていると言えるだろう。それは、日本人に合う行き方だと思う。

(今日の日経)
 宮崎鳥インフル2例目。抗体薬に武田やアステ参入。モーターに省エネ規制、米欧は先行。社説・TPPは2月に各国案。エコノF・食料・資源高は先進国でも。円高損失の為替商品・1.9万社保有。核心・採用は関連企業と合同説明会で・西岡幸一。英医療60年ぶり改革、予算配分をかかりつけ医に。ゲーム機に携帯回線。有機材料、相次ぎ実用化へ。国税通則法改正案提出へ。経済教室・インド中国・浦田秀次郎。

※何と不運な。日本もようやくか。遅れて苦労するのは農業だが。円高の日本はマシな方。大問題になるね。公私バランスに注目。出しても通るか。成長屈曲も心配しないと。
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軌道修正は民主だけでなく

2011年01月23日 | 社会保障
 年金については、日経だけが取り残されている。今日の社説を見る限り、日経だけは税方式を推進したいようだが、読売、朝日は保険料方式だし、民主党すら税方式から軌道修正を進めている。企業負担の保険料が軽くなることへの拘りがあるのかもしれないが、税方式への転換は無理がある。

 日経が指摘する、物価下落に合わせた年金額の引き下げ、診療報酬のオンライン化には、筆者も賛成だが、無年金を防ぐなら、税方式への転換のような大改革をせずとも、対応策はあるし(1/18参照)、高齢層に負担させたければ、年金課税や給付水準引き下げの方がずっと簡単だ。政策目的と解決手段がマッチしていない。

 正直に言って、日経は、他紙に比べても年金の制度研究が足りないと思う。税方式なら、すべて解決といった単純思考に陥っているのではないか。年金の支給年齢の引き上げに賛意を示すなどは、素人としか言いようがない。経財相が慌てて訂正したのは、専門家から無意味だとの指摘を受けたと見なければならない。

 本コラムの「小論」を論説の間で、担当委員だけでなく、じっくり読んでみてほしい。おそらく、税方式に最も近い提案であることが分かるはずだ。年金給付の節約できる部分がどころにあるかも明確に示してある。企業にとっても、女性や非正規を雇っているところには、大きなメリットがある。ここでレファレンスを据え直さないと、社説が政党の論議より原理主義的という事態になりかねない。  

 社会保障での原理主義的な見方は禁物で、保育所不足について、日経が規制緩和で解決できると言いがちなことにも危うさを感じる。今日の記事では、認可外保育所への補助金が100億円であることを伝えているが、乳幼児なら1人年間50万円の補助は必要だから、2万人分というところだろう。これでは現在の待機数すら下回る。ここがポイントだ。

 認可外にも補助金が出るという規制緩和が必要なのであって、参入規制を緩和すれば、補助金なしでも供給が増えるというものではない。焦点は、規制そのものより、財源にある。その意味で、今日の記事は、いつもより掘り下げた内容になっており、好感の持てるものだった。実態に即したことで、一歩前進したのだと思う。

 さて、政治はとかく負担増を嫌うから、それを批判するのは新聞の重要な役割である。しかし、財政状況が酷いからといって、小さい政府の方向なら、いつも「外さない」論説になるわけではない。保育や医療のように財政拡大が必要な分野もある。年金問題は、この数年、慶大の権丈善一教授の尽力によって、各紙の議論は急速に現実化してきた。そろそろ日経も考えどころである。

(今日の日経)
 新興国の為替介入加速、中国が7割。宇宙輸送機、打ち上げ成功。社説・社会保障改革は論より実行。普天間、閣僚ちぐはぐ。アラビア語養成・防衛省。議長が迫る参議院改革。保育所、認可外も補助金、子ども手当関連の交付金から100億円。TPPもうひとつの顔・太田泰彦。新興国、若者に届かぬ職。親ロ回帰の流れ・池田元博。細胞に三つ目の死に方。読書・日本の農林水産業・八田・高田、不可能、不確定、不完全。

※世界バブルの様相(除く日本)。日本が頼られるなんて。議長に期待。太田さんの指摘は重要。経済には分配が要るということ。資源の力かな。八田先生は年金から農業へ。

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ここまで素人では

2011年01月22日 | 社会保障
 年金支給の開始年齢の引き上げが表明されたが、これを言うのは「素人」の証明だ。しょせん、社会保障の抑制のためのアドバルーンなのだろうが、どうして、日本人は、やらなくも良いことに一生懸命なのだろうね。

 まず、年金の支給開始年齢の引き上げは、現在、続行中であり、65歳からの支給も完成していない。したがって、引き上げをしたところで、財政的な効果が出てくるのは、かなり先のことになる。前倒し実施をすれば、老後の生活設計を急に変えることになるため、国民への影響が大きすぎる。

 また、65歳までの雇用も十分でないため、原則の支給開始年齢を引き上げても、選択的な前倒し支給も認めざるを得ない。むろん、これは年金数理的に公平でなければならないから、前倒し支給をすれば、毎月の年金額を下げるということなのだが、それならば、素直に年金水準そのものを下げれば良いことになる。

 結局、支給開始年齢の引き上げのような新規のことを考えなくても、デフレのために停止状態にある「マクロ経済スライド」の発動、すなわち、年金水準の引き下げを発動を考えるべきなのであり、いたずらに国民の不安を煽るようなことをする必要はまったくない。おそらく、今回の表明の意図は、不安を煽って負担増を図ろうということなのだろう。もう、年金を政治の玩具にすることは、やめていただきたい。

 マクロ経済スライドの発動も、デフレ下での実施を敢行するより、安定的な需要管理政策を取り、物価上昇率を上げることで自然に発動させるのが、最も無理のない方法である。現在のように、デフレ下で緊縮財政を取り、その上、年金を下げて購買力を奪うことを考えるというのは、どういう思想なのだろうか。

 民主党は、年金の税方式化という、およそ実現可能性のない構想を打ち出して、国民を惑わせたが、ようやく軌道修正をしてきた。それが今度は、財政タカ派の観点からの年金見直し策である。改革の言葉が宙を舞い、極端な策ばかりが持ち出される。

 ここ数年の年金改革論の原点は、非正規雇用の増大に伴う未納・未加入の問題だったはず。問題は忘れられ、年金は消費税増税の道具でしかなくなっている。それにしても、あまりに素人っぽい話ではないか。

(今日の日経)
 年金支給の年齢上げ検討。米、再生会議を刷新、企業配慮に。米中・さじ投げた米側。新興国利上げ株価に影。社会保障改革は突貫工事に。ソマリア沖、韓国軍が乗員救助。LGディスプレー赤字に。中国主席、青年交流を呼び掛け。最高益企業じわり増加、内需型も。元海上保安官を基礎猶予。
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