自民党は石破新総裁に変わったが、経済政策上の課題は変わらないし、適切な政策が選ばれるかは、誰が選ばれようとも、偶然でしかないのが、この国のありようである。さしあたり、昨年は、補正が13.2兆円、定額減税が3.2兆円だったものを、今年は、どうするかになる。何もしなければ、GDP比で2.7%もの緊縮になるため、成長を低下させ、物価を抑制するのは必定である。
………
総裁選のあった9/27に、円が急落急騰し、株価も動いたが、誰が総理であれ、FRBの利下げの方向は変えられないのだから、バカバカしい限りである。財政にしても、総裁選の候補者の違いは、雰囲気だけで具体性に乏しく、自民党が、いよいよ総選挙というときに、昨年より小さい経済対策を掲げて戦うとも思えず、参院選を前にして、来年は減税に代わるものが何もないでは済まされまい。その意味で、キシノミクスは引き継がれる。
日経は盛んに財政規律を訴えるが、第一次安倍政権は、改革を掲げ、緊縮を誇ったが、高い支持率は瞬く間に失われ、景気が悪化する中、翌年の参院選で惨敗し、捻じれ国会を生じさせ、後の政権交代の下地を作った。改革より生活なのである。財政の安定的管理という経済政策上の課題は、まったく分かっていなくても、権力を譲りたくないという一点で、必要な政策は選ばれよう。
ただし、財政出動には大義名分が必要だ。いつまでも円安・物価高の対策というわけにはいかず、下手な理屈は、中間層からの評判を下げてしまう。石破総理なら、地方創生の交付金をドカ積みして少子化対策をやらせるのは一案だろう。税収増に恵まれた東京都は、給食や乳幼児保育の無償化で還元し、若者を奪われそうな周辺の県を閉口させている。その際、非正規の女性への育児休業給付もさせてはどうか。正社員率の低い地方こそ欠かせまい。
来年の通常国会での最大の課題は、年金法案で、想定より少子化が悪化しているのに、大丈夫かという議論になる。大丈夫にするには、適用拡大を一気に進めるしかないが、それには急な負担増を避ける給付がいる。定額減税の代わりにするなら、これだろう。財政当局も、ただやめるわけには行かないと観念して、意義があって将来の撤退の道筋のある策を練るべきだろう。
(図)
………
9月の東京都区部のCPIは、前月比-0.3であったが、7-9月期の前期比は+0.8と物価上昇は続いている。ただ、円高・原油安なので、エネルギーは落ち着いてくることになる。他方、サービスは、前期比が+0.4で順調と言えるだろう。当たり前だが、売上が立たないと値段は上げられない。それには可処分所得が増えることが必要だ。緊縮で無闇に減らさないようにするのが、見えざる政策課題である。
(今日までの日経)
総裁選後、日経平均先物2300円超安。石破氏、日米安保条約改定を提起。自民総裁に石破氏。物流費上昇で食品値上げ。サントリー、7%賃上げへ。3メガ、ラピダスに出資へ 計150億円。スズキ、インド全土で販売網。電池部材、中国シェア8割超。保育第1子無償化 「区市町村と連携」検討。
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総裁選のあった9/27に、円が急落急騰し、株価も動いたが、誰が総理であれ、FRBの利下げの方向は変えられないのだから、バカバカしい限りである。財政にしても、総裁選の候補者の違いは、雰囲気だけで具体性に乏しく、自民党が、いよいよ総選挙というときに、昨年より小さい経済対策を掲げて戦うとも思えず、参院選を前にして、来年は減税に代わるものが何もないでは済まされまい。その意味で、キシノミクスは引き継がれる。
日経は盛んに財政規律を訴えるが、第一次安倍政権は、改革を掲げ、緊縮を誇ったが、高い支持率は瞬く間に失われ、景気が悪化する中、翌年の参院選で惨敗し、捻じれ国会を生じさせ、後の政権交代の下地を作った。改革より生活なのである。財政の安定的管理という経済政策上の課題は、まったく分かっていなくても、権力を譲りたくないという一点で、必要な政策は選ばれよう。
ただし、財政出動には大義名分が必要だ。いつまでも円安・物価高の対策というわけにはいかず、下手な理屈は、中間層からの評判を下げてしまう。石破総理なら、地方創生の交付金をドカ積みして少子化対策をやらせるのは一案だろう。税収増に恵まれた東京都は、給食や乳幼児保育の無償化で還元し、若者を奪われそうな周辺の県を閉口させている。その際、非正規の女性への育児休業給付もさせてはどうか。正社員率の低い地方こそ欠かせまい。
来年の通常国会での最大の課題は、年金法案で、想定より少子化が悪化しているのに、大丈夫かという議論になる。大丈夫にするには、適用拡大を一気に進めるしかないが、それには急な負担増を避ける給付がいる。定額減税の代わりにするなら、これだろう。財政当局も、ただやめるわけには行かないと観念して、意義があって将来の撤退の道筋のある策を練るべきだろう。
(図)
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9月の東京都区部のCPIは、前月比-0.3であったが、7-9月期の前期比は+0.8と物価上昇は続いている。ただ、円高・原油安なので、エネルギーは落ち着いてくることになる。他方、サービスは、前期比が+0.4で順調と言えるだろう。当たり前だが、売上が立たないと値段は上げられない。それには可処分所得が増えることが必要だ。緊縮で無闇に減らさないようにするのが、見えざる政策課題である。
(今日までの日経)
総裁選後、日経平均先物2300円超安。石破氏、日米安保条約改定を提起。自民総裁に石破氏。物流費上昇で食品値上げ。サントリー、7%賃上げへ。3メガ、ラピダスに出資へ 計150億円。スズキ、インド全土で販売網。電池部材、中国シェア8割超。保育第1子無償化 「区市町村と連携」検討。