経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

必要な経済政策は偶然に選ばれる

2024年09月29日 | 経済
 自民党は石破新総裁に変わったが、経済政策上の課題は変わらないし、適切な政策が選ばれるかは、誰が選ばれようとも、偶然でしかないのが、この国のありようである。さしあたり、昨年は、補正が13.2兆円、定額減税が3.2兆円だったものを、今年は、どうするかになる。何もしなければ、GDP比で2.7%もの緊縮になるため、成長を低下させ、物価を抑制するのは必定である。

………
 総裁選のあった9/27に、円が急落急騰し、株価も動いたが、誰が総理であれ、FRBの利下げの方向は変えられないのだから、バカバカしい限りである。財政にしても、総裁選の候補者の違いは、雰囲気だけで具体性に乏しく、自民党が、いよいよ総選挙というときに、昨年より小さい経済対策を掲げて戦うとも思えず、参院選を前にして、来年は減税に代わるものが何もないでは済まされまい。その意味で、キシノミクスは引き継がれる。

 日経は盛んに財政規律を訴えるが、第一次安倍政権は、改革を掲げ、緊縮を誇ったが、高い支持率は瞬く間に失われ、景気が悪化する中、翌年の参院選で惨敗し、捻じれ国会を生じさせ、後の政権交代の下地を作った。改革より生活なのである。財政の安定的管理という経済政策上の課題は、まったく分かっていなくても、権力を譲りたくないという一点で、必要な政策は選ばれよう。

 ただし、財政出動には大義名分が必要だ。いつまでも円安・物価高の対策というわけにはいかず、下手な理屈は、中間層からの評判を下げてしまう。石破総理なら、地方創生の交付金をドカ積みして少子化対策をやらせるのは一案だろう。税収増に恵まれた東京都は、給食や乳幼児保育の無償化で還元し、若者を奪われそうな周辺の県を閉口させている。その際、非正規の女性への育児休業給付もさせてはどうか。正社員率の低い地方こそ欠かせまい。

 来年の通常国会での最大の課題は、年金法案で、想定より少子化が悪化しているのに、大丈夫かという議論になる。大丈夫にするには、適用拡大を一気に進めるしかないが、それには急な負担増を避ける給付がいる。定額減税の代わりにするなら、これだろう。財政当局も、ただやめるわけには行かないと観念して、意義があって将来の撤退の道筋のある策を練るべきだろう。

(図)


………
 9月の東京都区部のCPIは、前月比-0.3であったが、7-9月期の前期比は+0.8と物価上昇は続いている。ただ、円高・原油安なので、エネルギーは落ち着いてくることになる。他方、サービスは、前期比が+0.4で順調と言えるだろう。当たり前だが、売上が立たないと値段は上げられない。それには可処分所得が増えることが必要だ。緊縮で無闇に減らさないようにするのが、見えざる政策課題である。


(今日までの日経)
 総裁選後、日経平均先物2300円超安。石破氏、日米安保条約改定を提起。自民総裁に石破氏。物流費上昇で食品値上げ。サントリー、7%賃上げへ。3メガ、ラピダスに出資へ 計150億円。スズキ、インド全土で販売網。電池部材、中国シェア8割超。保育第1子無償化 「区市町村と連携」検討。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

9/25の日経

2024年09月25日 | 今日の日経
 7月の人口動態速報が公表され、出生は、前年同月比-1.9%と減少が緩んだものの、過去1年間では-6.1%と最低水準が続いている。婚姻は、前年同月比+41.2%と跳び上がった。今年に入って減少が緩んできていたが、今月で過去1年間がプラスとなった。もっとも、婚姻は振れが大きいので、来月は反動減が出るだけかもしれない。賃金アップで若者の状況が回復しているのが背景だと思うが、下げ止まったとも言えないところだ。

(図)



(今日までの日経)
 東大、授業料11万円上げ決定。中国、景気刺激へ追加緩和。中古マンション17年ぶり上昇率。見えぬ待機学童、実態は1.7倍。岸田首相、経済再起へまいた種 日経座談会。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

緊縮速報・4-6月期資金循環・再分配への無関心

2024年09月22日 | 経済(主なもの)
 4-6月期の資金過不足を4期移動平均のGDP比で見ると、一般政府は-2.7%と前期から横ばいだった。定額減税のせいか、中央政府は前期比-0.3だったが、地方政府が+0.1、社会保障基金が+0.3となって相殺した形だ。税収減の影響は次の7-9月期に大きく出るが、地方と社会保障が人知れず緊縮を強めており、あっさり負担減になっていないことには、注意が必要だ。財政全体の締まり具合なんて景気には無関係だと、みんな思っているだろうが。

………
 諸富徹先生の『税と社会保障』を読んだけど、非正規への育児休業給付が実現しなかったことを残念がっておられて、まったく同感だったよ。若い人には社会保険料負担が重過ぎ、少子化対策には再分配が必要とか、富裕層への課税強化とか、再分配のインフラがないとか、専門家には重要な課題だと分かっていることが、世間的には無関心なままにあるのが身につまされる。 

 与野党でトップを選ぶ論戦が繰り広げられているが、若い人の負担軽減や少子化対策の具体策を示してほしいものだ。曖昧なもので済まされる状況ではないだろう。出生率の低下には歯止めがかかっておらず、東京都は、2023年1月に高校生以下に月5000円の給付をすると発表したが、2024年前半の出生数の減少率は、全国平均より良いものの、神奈川県と変わらず、大阪府より悪い。既に決めている児童手当の増額以外の策が必要だ。

 そもそも、結婚した人ではなく、結婚に踏み切れない人への支援が肝要と識者から言われているのに、既に生まれている子供へ支給しても、効果が薄いことは分かり切っている。社会保険料の上乗せまでして肝心なことを実現できなかった岸田政権を、誰も批判しないし、乗り越えようともしない。しょせん、いくらやってもムダみたいな気分なのだろうか。解雇規制の緩和と同じくらいの熱意で突っ込んでほしいものだ。

(図)


………
 社会保障の財政収支が良いのは、雇用が拡大し、資産価格が高まったからである。それで財政検証も、少子化が進んだにもかかわらず、悪化せずに済んでいる。しかし、こうした幸運は、少子化の穴埋めではなく、若い人の負担軽減や乳幼児期の所得保障に使うべきものではないか。結局、それが少子化を緩和し、財政を改善するのである。あきめるのは、それからである。


(今日までの日経)
 自民新総裁は成長ファクターか。日銀、揺れる利上げペース。畜産向け配合飼料、15年ぶり下げ幅。米、利下げ局面へ転換。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

9/18の日経

2024年09月19日 | 今日の日経
 8月の日銀・実質輸出は、前月比+1.5で3か月連続の増加となった。米国向け自動車とか、物足りなさはあるにせよ、これで十分というところだろう。輸入は、原油価格の低下がありがたい。円高でも意外に企業収益が堅いのは、内需が順調だからで、これを安定した財政で支えることが成長には大事である。円高と原油安で、物価高対策の意義が薄れていくけれど、締まり過ぎないためにどうするのか。増税を避けるくらいでは足りないんだけどね。

(図)



(今日までの日経)
 原油、供給過剰の兆し。日本株「増益シナリオ」維持。基準地価、地方32年ぶり上昇。共働き、専業主婦の3倍に。働く高齢者、最多の914万人。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4-6月期GDP2次・消費トレンドのプラス転換

2024年09月15日 | 経済
 4-6月期GDPの2次速報は、実質前期比+0.7%と、消費と設備投資が少し減り、若干の下方修正となった。今期、名目GDPは。めでたく600兆円を超えたが、実質では558兆円に過ぎず、1年半前の水準さえ超えられずにいる。設備投資は93兆円で、10%消費増税前の最高をとっくに取り戻しているのであるが、消費は増税後に落ち込んだ水準にも足りない。政策課題は、投資でなく、消費なのである。

………
 2023年は、雇用者報酬が増えているのに、負担増で可処分所得が減り、消費が停滞していたが、足下では、大幅な賃上げに給付と減税があって、ようやく上向いている。消費を増やすには、物価の安定と可処分所得の向上が必要であり、日銀の利上げで円安は是正され、物価高は収まりそうだから、あとは、1年限りの減税が剥落し、可処分所得が削減されるのをどう防ぐかになる。

 国の税収は、円安是正で企業収益に不透明感はあるにせよ、2025年度は成長で77.9兆円が見込まれ、政府の中長期試算より1.1兆円ほど多くなるから、防衛増税をしなくても、自然増収で賄える計算になる。そもそも、中長期試算では、プライマリーバランスを0.8兆円ほど過剰達成することになっていて、それは少子化の支援金の大半を賄えるほどだ。そうした中、増税をすれば、相当にきついものになる。

 自民党総裁選では、茂木候補の増税見送りは評判が悪いが、マクロ政策上は、理に適ったものである。賃上げや成長に言及する候補者は多いが、消費が増えなければ、次の賃上げに必要な売上の増加もないし成長もしない。自然体では急速に緊縮が進んでしまう状況で、どう財政を調整すべきかが課題なのであり、「財政再建は進むほど良い」というような態度は論外で、経済を知らないとしか言いようがない。

 小泉候補の解雇規制の緩和が議論を呼んでいるが、経済政策の上では小さな問題である。むしろ、勤労者皆保険を1年でやるとした公約は、給付を組合せないと実現できない大きな問題なのだが、まったく関心が集まらない。労働移動の障害になっているのは、正規・非正規の壁であり、これを崩すには皆保険が必要だ。しょせん、世間は、非正規のことなど視野の外なのであろう。

(図)


………
 政府が補助金を出して半導体工場を作れば、設備投資が増えるのは当たり前である。意味ある施策とは思うが、マクロ的には設備投資の回復は済んでいる。済んでいないのは、アベノミクスがいじめ抜いた消費だ。消費は、10%増税後、マイナス成長のトレンドを描いていたが、この4-6月期で、ようやく平均上昇率がプラスに転換した。ちゃんとした再分配がいかに大切か分かるのだが、誰も、成果も課題も認識していない。


(今日までの日経)
 構造的な生鮮食品の高値、消費者に負担増の体感重く。「経済強く」「改革断行」自民総裁選、独自政策を主張。バイト時給、地方底上げ。金融業サービス、海外支払い拡大。米、大企業に最低税率15%。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

9/11の日経

2024年09月11日 | 今日の日経
 8月の景気ウォッチャーは、前月比+0.5の49.0と3か月連続の上昇となった。先行きも+2..0と順調である。ボーナスと定額減税で可処分所得が向上して、消費が上向きなのだから、景気が良いと感じられるのは自然な流れである。加えて、円安の是正も後押しすることになろう。あとは、今一つの製造業が内需に導かれて上がって来れば、満点である。節目となる50に、あと一歩のところに漕ぎ着けた。

(図)



(今日までの日経)
 東大、授業料11万円上げ。半導体再興、4兆円不足。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

進次郎は勤労者皆保険を1年でできるのか

2024年09月08日 | 経済
 A・V・バナジーは、「成長の決め手といったものは存在しない」と言うのであるが、それもどうかと思う。突き詰めれば、「輸出が成長を加速する理由が分からない」ということであり、主流の経済学だと、理解しがたいというだけのことである。現実には、金融緩和や産業政策は設備投資を高めないのに、輸出は設備投資を高めて成長に結びつく。不合理にも、需要は経済を動かしてしまうのだ。

 経営者は、金利や政策など気にせず、外需で売上が見込めるとなれば、供給を増やすべく設備投資をする。ごく常識的な行動だ。それで投資率が高まれば、成長は加速する。これが「東アジアの奇跡」のコアの部分である。もっとも、これがどの途上国でも使える戦略ではないのは、販路をつかむのも、直接投資を呼び込むのも、そう簡単ではないからである。それでも、日本からバングラデシュまで、成功は何度も再現されている。

 先進国にしても、ドイツは、ユーロ圏に入ってマルク高をなくし、輸出を伸ばして復活を果たしている。他方、成功者でもあり、失敗者でもあるのは日本で、小泉政権下とアベノミクスでは、せっかく輸出増で成長加速のチャンスを得ながら、緊縮で内需への波及を阻害して、不発に終わっている。高度成長期において、予め税収増を見込んだ積極財政で、循環を堰き止めなかったことが実は成功のカギだったのだと、今更ながら評価できるのである。

 キシノミクスでは、2022年までは、輸出の増加もあり、コロナ後の回復が見られたが、2023年になると、輸出が一服し、負担増で可処分所得を削って消費を停滞させたことで、成長が止まってしまった。足下では、賃上げの中、物価高対策と定額減税をして、ようやく、消費が増加し始めている。これで新政権が何もしないと、一時的な政策の剥落で急速な緊縮となり、またぞろ成長を阻んでしまう。これが隠れた課題になっている。

(図)


………
 新政権は、常識的には、規模を縮小しつつも、同じ政策を繰り返すだろうが、バラマキには、大義名分が大切であり、成長に資することもアピールしたい。その一つの方法は、低所得層を対象に社会保険料の負担に応じて給付をすることだ。給付と言っても、会社に保険料を取らないでもらうだけなので、減税に近い。実は、これができると、小泉進次郎議員が公約する勤労者皆保険が実現する運びとなる。

 小泉議員は1年で実現すると言うが、零細企業の負担増が急過ぎて、せいぜい、制度改正はしても、実施は何年も先という、期待を裏切るものにしかならないだろう。ただし、給付を組み合わせるとなれば、話は別だ。具体策は前にも書いたが、小泉議員には、制度設計の能力はないと思うので、「若い低所得層に社会保険料に応じた給付をせよ」と号令を発するだけで良い。あとは上手い方法を官僚に考えさせるのである。

 政治家として大事なのは、若い低所得層に支援をすれば、思い切り働けて、結婚もできるようになり、日本は成長できるとアピールし、強い支持を獲得することである。政権発足の直後に公約の具体策作りを指示して総選挙に臨み、勝利後、経済対策の補正予算に盛り込むという段取りだ。官僚は、当面は補正で財源を手当てしつつ、適用拡大で年金の給付水準が余分に上がるのに合わせ、先々は年金制度の枠内で賄う策を持ってくるだろう。

………
 憲政史上の最年少総理は伊藤博文で、次は「お飾り」の近衛文麿であり、戦後は安倍晋三だ。第一次安倍政権は、新規国債を4.5兆円圧縮などと財政の改革をアピールしたが、景気の悪化とともに、清新さで得た高い支持率は失われ、予想もしなかった短命政権に終わった。政権にとって景気は大事である。それには財政をしっかりコンロールすることだ。黙っていると急速な緊縮になる日本では、流れに任せているとホゾを噛むことになる。


(今日までの日経)
 米雇用、急減速は回避。小泉氏、めざす最年少首相。介護現場にこそ遠隔診療。コマツが北米値上げ緩和 金利高が影、販売増優先。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

9/4の日経

2024年09月04日 | 今日の日経
 日経の松田卓也さんの『「身の丈経営」忘れたシャープの慢心 テレビ用液晶撤退』は、設備投資において、売上がいかに死活的かをよく示している。売上が見込めなければ、設備投資はできない。成長の停滞は、企業がカネを溜め込むからだと批判されるが、9/2に公表された法人企業統計で「設備投資/売上高」を見ると、アベノミクス以降は、それなりになされていることが分かる。

 また、「人件費/売上高」も、景気で上下しつつも、安定的だ。賃金が伸び悩んでいた頃も、大幅な賃上げがなされている今も、比率には大差がない。すなわち、企業は、売上に応じて、設備投資や賃上げをしているだけで、それらが十分でないとするなら、売上が伸びてないからということになる。政策的には、景気回復時において、急過ぎる緊縮をして、徹底して消費をいじめ抜いてきたので、売上が加速するはずもなかった。

 総裁選たけなわだが、成長させたいなら、産業政策や雇用政策の構造改革ではなく、安定的に財政を運営するという凡事が大切だが、走らなければ急速に緊縮が進むという構造にあって、明確な意志がなければ、容易な業ではない。もっとも、政治は、外科手術が大好きで、体調をよく把握しての内科療法は好まないから、患者のためになる医師を選びようがないところが残念なところである。

(図)



(今日までの日経)
 岸田政権、未完の脱デフレ。iPhone液晶ゼロに。中小企業、人件費6.7%増 4~6月。3D印刷をバカにするな。三越伊勢丹、店も人も「科学」で改革。技能実習生の失踪最多、昨年9753人。財政検証と年金改革の課題・就業率大幅上昇で財政改善・厚生年金の適用拡大 加速を・高齢期の就業促進策。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

キシノミクス・消費確保と少子化と

2024年09月01日 | 経済(主なもの)
 7月の商業動態・小売業は、前月比+0.2と小幅ながら、4か月連続の増となり、消費は順調と言えるだろう。内容は、自動車と機械器具が伸び、ボーナス増や定額減税の効果がうかがわれる。利上げで円安が収まり、物価上昇圧力が緩む中で、消費が安定的に増えていくことが成長のカギになるので、循環を妨げない財政にすることが大切だ。金利上昇に慄き、緊縮を求めるような課題の取り違えをしてはならない。

………
 7月の鉱工業生産は前月比+2.8と、前月の-4.4からすれば物足りないが、8月の予測が+2.2なので、まずまずであろう。年初の大きな落ち込みから緩やかに回復しており、もう一歩のところに来ている。設備投資を示す資本財(除く輸送機械)は、振幅しつつも昨年後半の水準で推移し、建設財は、明確に底入れを見せている。消費の順調さを受け、生産が昨年の水準を超えていくという展開が望まれる。

 7月の労働力調査は、雇用者が前月比-15万人と、前月の増を戻す形だった。就業者は4-6月期が-2万人と停滞したが、7月もその水準と同じにとどまる。人手不足が言われる割に、就業者が増えていない。製造業や建設業がいま一つで、バラツキがある。失業率は+0.2と、久々に2.7%になった。7月の新規求人倍率は2.22倍で-0.04の低下だった。求人数は、製造業や建設業が少ない状態が続いていたが、7月は上向いた。

 8月の消費者態度指数は、前月比0.0であった。耐久財の買い時が3か月連続の上昇となったものの、雇用環境と収入の増え方が低下し、全体では横ばいという内容である。8月の東京区部の消費者物価指数は、総合が前月比+0.6と高めだった。財の7,8月の前期比は+1.6と引き続き高い。消費者態度は、物価に引きずられがちなので、円安の是正によって宥められると良いのだが。

(図)


………
 2024年6月時点での過去1年間の出生数は前年比-6.1%まで低下した。これだと合計特殊出生率は1.15人を割ってしまう。人口維持水準のわずか30%である。出生数は、わずか3年で15%も減る危機的な状況で、婚姻数は下げ止まった感が出てきたが、こんな低水準では、惨憺たるものに変わりはない。

 背景には、物価高での若い低所得層の生活苦がある。岸田政権は、支援金という負担増までしておきながら、決定的に重要な非正規の女性への育児休業給付をうやむやにした。税収が拡大し、何もしなければ、マクロ的に拙いほど緊縮が進む状況にあって、拱手するのみである。少子化は、勝つまで諦めてはならない戦いなのだが。


(今日までの日経)
 中国、止まらぬデフレ輸出。厚生年金 対象企業の範囲拡大 会社が築く「年収の壁」。出生数1〜6月、5.7%減の35万人 通年初の70万人割れも。膨張予算にデフレの残影。韓国、年金積立金が逼迫。カップル向け賃貸、7.4%高。10年債、0.890%に上昇。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする