経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

サプライズの家計調査

2013年03月31日 | 経済
 いや驚いたね。2月の家計調査の結果である。季節調整済の実質指数が+2.2も伸びて102.5に達した。これはリーマン・ショック前の2008年前半のレベルを軽く上回る高さだ。1月の高い伸びから、反動減を予想していた筆者は、またも大外れである。これで宗旨替えをしたりすると、しっかり反動減が来て、二重に裏切られたりする。さて、どうしたものか。

………
 経済というのは、設備投資増、雇用増、所得増、消費増と進む。まだ、設備投資が底を打つか打たないかという状況で、消費が先行して増えるのは不自然だ。したがって、2月連続の急伸という家計調査の結果は、偶然なのかもしれない。ただ、2月の商業統計の結果も好調だったことからすると、家計調査だけの単なるブレではなさそうである。

 これが偶然だとしても、1-3月期の成長率に与える影響は大きい。3月の家計調査の結果が12月並みの低い水準に逆戻りすると仮定しても、GDPの6割を占める民間消費が年率8%も成長することになる。もし、2月並みの横バイとなれば、13%成長というケタ違いの数字になる。まるで、アベノミクスによって、経済がV字回復を果たすかのようだ。

 気をつけたいのは、今回の消費増は、所得増の裏打ちのないもので、勤労者世帯の消費性向は77.8%にまで高まっていることである。この数値は2000年以降の最高値であり、長続きするとは思われない。通常、消費性向の急上昇は、所得の減少によって起こる。所得が減っても、生活習慣から消費水準を急には落とさないからだ。

 むろん、今回は、それとは異なり、実収入が微増の状況で起こった。似たような過去の例を引っ張り出すと、2010年3月がある。あまり所得が増えない中で消費が急伸し、消費性向は、奇しくも同じ77.8%に達した。この頃は、リーマンショック後の回復期で、エコカー補助金などで消費が押し上げられていた。それで、翌月、どうなったかと言えば、消費性向は元へ戻り、消費指数は7.5ボイントも落ちている。そして、その後、実収入と消費支出は、連れ立って緩やかに伸びていった。

 今回の消費増は、二つの面で考えれば良いと思う。一つは、仕方なく増やした面で、寒さで光熱費は高止まりし、防寒衣料も買わざるを得ず、教育費もまた欠かせなかった。もう一つは、所得面であり、実収入の底入れ、あるいは、経常収入の増加により、クルマやスマホ、教養娯楽費を増やした世帯があったという見方だ。労働力調査では就業者数が増加してもいる。結局、今月の消費増は出来過ぎで、やはり反動減はあろうが、消費増の下地は整っているということである。

 ところで、米国の2月の消費も好調だった。こちらはガソリン価格の上昇で仕方なく増やした面と、増税のあった1月の所得減から、2月は所得増へと転じたことがある。日本も、昨年を上回った春闘の結果、賃金増が伴うと、消費増は、たまたまから必然へと、性格が変化するだろう。それにしても、米国の消費の良さは結構だが、これも筆者の予想外であった。

………
 1、2月の統計結果が出たので、日本の1-3月期の成長率の予想が出始めるだろう。これが思いがけず高いと、反動で4-6月期は小休止になるのかなと思ったりする。5月の結果の出る6月末には、それが明らかになる。低めの4-6月期の予想を受けて、7月の参議院選での消費増税の方向付けはどうするのか。単に10月に判断するとして済ますのか、これでは上げ幅の圧縮もあると打って出るのか、なかなか興味深い。

 1月、2月と珍しい統計結果が続いた。偶然が連続したのか、それとも、経済というのは、本来、そうしたものなのか。むろん、過去の経験やモデルより、事実が重いことは言うまでもない。そして、偶然であっても、政策判断や政権保持に影響を与えて、日本経済の先行きを規定するかもしれない。歴史とは、偶然と意思とが織り成す「綾」なのだ。
 
(昨日の日経)
 期末株価3年ぶり上げ幅、生損保の含み益6兆円。トヨタ利益上振れ1.3兆円も。電気代平均7000円超。在庫指数1年2か月ぶり低水準。米消費2月0.7%増。
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3/29の日経

2013年03月29日 | 今日の日経

(今日の日経)
 法人税ゼロ特区。日本版クラスアクション。太陽電池に耐久性基準。職務限定の正社員を普及へ。中国「高利回り」商品拡大。エイサー・自前に回帰。ヤフー検索、ユーザー目線。東北電が浪江小高原発断念。高齢者住宅をREITに売却。不安がスロベニアに波及、金利0.510に低下。経済教室・樋口美雄、労働者保護規制は欧州・韓国より緩い、雇用弾力性は小さく、賃金弾力性は大きい。

※税も払わず、高度人材は外国人という企業は日本に何をしてくれるのか。※こんな商品が売られる国で成長率が落ちたら悲劇が起こる。※樋口先生の論考は示唆に富む。賃金に弾力性のある日本に、緊縮財政を組み合わせたらどうなるか、興味深い。特別給で今年は夏の失速はないかな。
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驚いていることに驚く

2013年03月28日 | 社会保障
 都道府県、市町村別の将来人口推計が発表され、驚きをもって受けとめられたようだ。身近なもので示されたことで実感したというのは分かるが、昨年1月に発表された全国的な推計と同じものなのだから、今更といった感じはする。人口の激減は、専門家には10年も前から分かっていたことで、やはり、世間は、手遅れになってからでないと、実感できないものらしい。

 そんなわけだから、日経が「人口増を前提にした社会保障制度の再設計やインフラの見直しが課題になる」としているのは、やや的外れで、少なくとも年金については、とっくに対応済みである。むしろ、直近の人口推計では、2004年の年金改革時より出生率が上向いている。あとは、脱デフレさえすれば、制度は問題ない。ただし、少子化に合わせた実質的な給付水準の引下げが「目の前」になったら、また驚くのかもしれないが。

 まあ、まじめに少子化対策をすることだね。0~2歳児の保育所不足を仕方がないと言っているうちは、カネを惜しんで人口崩壊を覚悟するということなんだよ。こうした実感に行き着くまで、まだまだ時間が必要なのかな。今回の推計で、現状の出生率が1.8台の沖縄県の人口がほとんど減らないことに注目してほしい。少子化は運命みたいなものでなく、日本人の意思にかかる問題なのだ。

(今日の日経)
 2020年前都道府県で人口減。縮む日本が目の前に。IHI、エアバスのエンジンを福島で量産。金利一段と低下0.515%。BRICS開銀の設立合意。ミャンマー米を5000t輸入。経済教室・構造改革が本質・谷内満。
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3/27の日経

2013年03月27日 | 今日の日経

(今日の日経)
 日銀・新目標で国債購入拡大。1費用の格差、最高裁へ。長期金利低下に拍車、一時0.5%前半に。米銀、融資伸び加速、住宅回復けん引。クルーグマン・アベノミクスは積極財政を。経済教室・賃上げ政労使で・高橋進。

※米国はドル安で輸出好調、住宅回復で成長へのプロセスを達成した。あとは緊縮財政が早すぎないかということ。実態を崩すと資産価格に響くから悪影響は侮れない。※筆者もリベラルなのでクルーグマンには同感。※昨日の経済教室の翁邦雄さんのように数値があると議論が進む。日銀納付金がなくなるのは大した問題じゃない。政府は国債を買ってもらって恩恵を受けているのだから。ただし、こうした細部の問題が舵取りの制約になったりするものなので、今から考えておくことは有益だ。
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3/25の日経

2013年03月25日 | 今日の日経

(今日の日経)
 海外インフラにも投資、公的年金の運用を毎年見直し。牧港返還を優先、沖縄に配慮。核心・かくも重き黒田氏の使命・岡部直明。マレーシア中銀・ゼティ・アジズ氏。経済教室・期待への働きかけ強化を・伊藤隆敏。

※岡部さん、日銀総裁に財政の番人までさせるのかい。※伊藤先生の「実体経済への伝達経路の丁寧な説明が重要」というのは、そのとおり。ならば、「資産効果や為替を通じた効果」の量的把握が必要なはず。そういう検証を誰も必要と思わないのが日本の欠点。
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物価上昇へのプロセス

2013年03月24日 | 経済
 あまり物事を簡単に考えない方が良い。金融緩和をすれば、景気が上向き、物価が上昇する。大きな流れは、それで良いが、実現には、いくつものプロセスを経る必要がある。これを理解していないと、上手く行かなかったときに、余計に失望することになる。効かない魔法の杖は、あっさり捨てられかねない。

………
 通常、金融緩和は、輸出と住宅投資に効く。金融緩和が円安を呼んで、輸出を増やし、それが設備投資を促し、雇用増、所得増、消費増、物価上昇というプロセスをたどる。迂遠な話であり、どこかで引っかかり、上手く行かなくなることも多い。そもそも、円安になるかどうかも相対的な問題で、米国の景気が減速し、実質金利が低下する観測が出たりすると、入り口でつまずくことになる。

 円安が実現しても、輸出増や設備投資増は楽観できない。円高を経て、国内への投資には慎重になっているからだ。昨日の日経にあったトヨタの動きにあるように、実際に生産増へ向かうのか、一つひとつ確かめねばならない。また、雇用と言っても、非正規ばかりが増える段階では、消費増は極めて緩やかなものになる。

 住宅投資の現状は、比較的好調である。低金利、優遇策、駆け込み需要に加え、所得の底入れも理由だ。住宅投資は、設備投資と違い、金利に感応的である。とは言え、いつも効くとは限らない。この数年、米国が苦しんだように、バブルの過剰投資後に出て来ないのは当然だし、前回の安倍政権下では、耐震偽装問題による落ち込みといったこともあった。

 気をつけたいのは、金融緩和は、直接、設備投資に効くものではなく、輸出増や住宅増などの需要増加によって、間接的に導き出されるものである。これは、設備投資が需要リスクに極めて強く影響されるためであり、「自分が住む」という確実な需要が見込める住宅投資とは、まったく対照的なのである。

 言うまでもないが、アベノミクスによる金融緩和が脱デフレに成功するかどうかは、今後、輸出や住宅投資がどう動くかを観察するしかない。加えて、資産効果や公共事業による需要が、どの程度、設備投資を引き出すのか。他方では、円安による価格上昇による消費抑制などのマイナス要因もある。設備投資は、いまだ底入れしたか、しないかといった程度にとどまっている。

………
 3/21のダイヤモンドO.Lに、高橋洋一先生がマネーストックとインフレ率が相関しているという図を載せているが、いかがなものか。時系列の分析は、構造変化に気をつける必要があり、その観点からすると、1994年前後で傾向性に違いが見られる。確かに、その年までは相関があるようだが、その後は、むしろ、逆のような動きになっている。バブルを潰した後は、金融政策が効かなくなったようにも受け取れる。

 前回の安倍政権の頃は、金融緩和によって、円安にもなっていたし、株価も回復を見せていた。しかし、その後、耐震偽装問題で住宅投資が落ち込み、サブブライム問題以降は輸出も失速していく。おまけに緊縮財政もやった。こうなるとデフレ脱却とはならない。金融緩和から物価上昇までのプロセスがつながらなくなったからである。

 結局、当たり前の話になるが、「金融緩和でデフレ脱出」と簡単に考えるのではなく、プロセスのチェックが欠かせないということだ。設備投資は、輸出などの需要増から、だいたい半年遅れになる。期待先行の現状から、実際が伴うまで、しばらく時間が要る。それまでにも国際経済は刻々と変化し、何か一つが崩れるたけで、プロセスはつながらなくなる。そんな目で眺める必要がある。
 
(昨日の日経)
 ネットで小口資金調達・金融庁検討。トヨタ国内1割増産。キプロス・裏金庫炎上のロシア。車は国内生産でも利益。夏の電力に景気復調が影。スティグリッツ教授に聞く。REIT時下総額最高。地価・安心で選別。サンテック破綻で長期保証に懸念。金利0.555%に低下。

(今日の日経)
 賃上げへ政労使協定が浮上。円高修正も国内拡大は6.8%・社長100人調査。読書・ベトナムで高まる日本の存在感、
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3/22の日経

2013年03月22日 | 今日の日経
 
(今日の日経)
 物価2%は2年を念頭、黒田日銀始動。長期金利9年9月ぶり低水準。脊髄iPSで治療16年にも。公示地価底入れの兆し。脱デフレ地価で先行。REITが物件争奪戦。円安訪日客3割増。トヨタ・政府協力でプラス5万円。輸出・中国はASEAN下回る。南シナ海領有権を国際法で裁定へ。セブン最高益、ヨーカ堂が改善。経済教室・地方は製造業と失業が相関・川口大司。

※金融緩和は円安と株高から地価へと広がる。まだバブルではないのは、景気回復で収益がついてくる可能性があるから。しかし、緊縮財政で収益を潰してしまうと、結果的にバブルになる。バブルは弾けてから分かるとは、そういうこと。
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3/21の日経

2013年03月21日 | 今日の日経

(今日の日経)
 車安全基準をEUと統一。キプロス・預金課税案を否決。黒田日銀2年で2%道険し、2.3%成長でも5年、失業率1.5%下げ必要。韓国でサイバー攻撃。資産倍増を・Nシーツ。キプロス、ロシアによる救済も。経済教室・製造業の国内回帰促進・浜口伸明。

※拙い経済政策を取り続けるEUには呆れるよ。※線形的には無理な話だが、経済は必ずしもそうではないからね。消費税を上げるようでは話にならんが。※今朝は、日経よりFMOC。バーナンキFRBだって証券のリスクには言及している。現実的課題なのだ。
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日経新聞の真実を考える

2013年03月20日 | 経済
 産経の田村秀男さんは、全国紙では数少ない財務省の批判者で、ある意味、筆者のお仲間である。そんな田村さんが「日経新聞の真実」という新書を出された。記者を志す若者に、財務省や日銀の虜にならず、自分の頭で考えて行動せよというのは、まさしく、そのとおりだが、そう簡単なことではない。

 個人的な努力の問題は別にして、構造的な難しさは二つある。一つは、財務省や日銀は、そもそも、国民にとって最も重要な経済成長を目的とする組織ではないこと。もう一つは、経済成長を実現する方法として何が正しいのか、批判の拠って立つ経済学は、本当のところは分かっていないということである。

………
 財務省は収支の均衡を、日銀はインフレの防止を役目としているので、それらを目指すためなら、経済成長を阻害するようなことになっても仕方がないと考える。もし、今の日本がインフレ気味であるなら、彼らの志向性は有用なものだろうし、彼らと一体となっての世論作りをする日経も「御用メディア」とは呼ばれることはないに違いない。

 日本がインフレを心配していた1983年頃まで、つまり、ポスト・オイルショックに至るまで、官僚も日銀も、そして、新聞も敬意を払われていたのは、役目を果たすことが日本経済にとってプラスであったからだろう。むろん、失われた20年において、すっかり権威が失墜してしまったのも、ひとえに経済が上手くいかなくなったからである。

 世間的には、経済成長に責任を持つのは、経産省と目されようが、基本的に経済界の利益を代弁する存在でしかなく、旧経済企画庁や内閣府のマクロ経済部門とて、新自由主義的な経済思想が浸透してからは、経済をコントロールすることによって、より良い経済パフォーマンスを得ようとは思わなくなっている。

………
 田村さんは「記者は経済学を学べ」とする。では、その経済学は何を指し示すのか。経済学の基礎である利潤最大化行動を前提にすると、どんな緊縮財政も経済には影響を及ぼさないということになる。なぜなら、緊縮財政が余らせた資金や労働力を、そのままにすることは、合理性の上であり得ないからだ。経済学を学んだ記者は、財務省や日銀の見方と同様になるに違いない。

 リーマン・ショックが起こってから、米国では、それまで主流だった新古典派的な経済学は信用を失うことになった。もし、記者が主流派の経済学を熱心に学んでいたら、どうしたら良いか分からなくなっていただろう。田村さんが今のところ頼りにする貨幣数量説だって、果たして現実の経済に通用するのか、やってみなければ分からない。

 大胆な金融緩和だって弊害はあり、前回の安倍政権下の頃、実際に起こっている。金融緩和が円キャリを起こし、円安が円安を呼ぶバブルが生じた。円安を過信し、大規模な設備投資に打って出たシャープやパナソニックは苦境に喘いでいる。日銀が金融緩和を躊躇することに理由がないわけではないのだ。当時、並行して緊縮財政を取らず、好調な輸出を内需に波及させていれば、デフレを脱していたかもしれないが、そういう視点は、田村さんにはないようである。

 筆者は、デフレの原因を、成長の循環が十分加速する前に、緊縮財政で需要を抜くためと考えている。田村さんには、リーマンショック後に民主党政権が景気対策を打ち切って、一気に10兆円もの緊縮財政をしたこと、震災ショック後も復興増税のために雪が降るまで引き締め気味の財政にしたこと、緊縮財政の下、日米の物価上昇率が縮まり、円高に襲われるはめになったことにも気づいてほしい。そして、今の安倍政権も、秋に補正をしなければ、緊縮財政になるよう、本予算が仕掛けられていることも。

……… 
 ところで、細かい話で恐縮だが、田村さんの新書の中にある、消費者物価の下落以上に家計所得が落ちているという図だが、必ずしも適当でないように思う。家計所得のデータに、家計調査の勤労者世帯を用いているが、家計調査のサンプルは、世帯主の年齢上昇や世帯人員減少の影響を受ける。また、勤労者世帯の比率も下がり続けているからだ。

 物価下落と家計福利を見るなら、GDP統計の家計消費の名目値を見るべきだろう。こちらの推移をみれば、1997年以降、ほぼ横ばいであり、物価下落の分だけ実質的な消費が増えていることが分かる。むろん、増えていると言っても、極めて低い伸び率であり、経済運営の失敗を示していることに変わりはない。

 田村さんは、若手は自分でグラフを書けと言っているが、グラフ一つにも知識が要り、記者にしてみれば、当局のグラフや分析を敢えて否定し、独自の見解を書くことは、それなりの勇気がいる。独自の見解に近いことを言ってくれる有識者でもいると良いが、頭からの反増税論者を除けば、当局の需要管理の巧拙を批判する論者は皆無に近い。

……… 
 「御用メディア」の日経新聞だが、原発事故が起こるまで、地球環境問題について、経済界や経産省の見解を真っ向から批判していた。そういう気骨ある論説の書ける滝順一さんのような記者もいるし、国際政治については、秋田浩之さんのような手練を育成する努力も続けて来ている。何が正しいのか分からない経済学の専門性を磨くのは、どうしたら良いのかとは思うがね。

 田村さんは、記者への投書は意外に心に響くとする。これは同感だ。それもあって、田村さんへの投書の代わりに、こうして書いてみた。言論において多様性は、やはり大切なもので、それは事実を引きながらしたいものだと思う。思想や経済学に基づいて書くことも必要だが、見落としている事実はないか、探すことから始めたい。それはジャーナリズムの基本なのである。

(昨日の夕刊の日経)
 保育士の処遇改善なお遠く、国は補正予算で対策費盛り込むが、手当上乗せ「認可」のみ、待機児童解消の課題に、半数が非正規雇用、資格取得は後押し・阿部奈美。

※問題点を明確に切り取った良い記事ですね。
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3/19の日経

2013年03月19日 | 今日の日経
 
(今日の日経)
 南海トラフ被害220兆円。キプロス混乱、欧州誤算。地域支援機構発足。新築全棟スマート住宅、補助金で負担ゼロ。プラズマ撤退へ、巨額投資は実を結ばず。ヒッグス粒子断定、次の焦点は。ローソン営業益最高。経済教室・中小企業の目利き・小川一夫。

※ちょっとしたことでも円高株安になるとは危ういものだ。※大企業を相手にしないファンドで利益を出すのは大変。※需要が底堅いだけで強い企業は利益が出る。※目利きは需要も見通せるのかな。
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