ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

坂東玉三郎特別公演「怪談 牡丹燈籠」 @名古屋市・御園座

2024年06月12日 | 歌舞伎・文楽

坂東玉三郎特別公演「怪談 牡丹燈籠」「吉野山」(6月8日・御園座)

御園座で開催された坂東玉三郎の特別公演「怪談 牡丹燈籠」へ。一時はなかなか名古屋にお目見えしていなかった玉三郎だが、ここ3年で3度目の御園座(ただし今回は1週間のみ)。ただ玉三郎は大劇場公演からの引退を示唆しているので今のうちに観ておかないと。共演は愛之助。前回の御園座公演は同時代の盟友ともいえる仁左衛門だった(偶然どちらも怪談だ)。その息子の孝太郎は女形なので、愛之助が松嶋屋の立ち役の継承者ということになるのかな。

土曜日とあってなかなかの客入り。今回は所用で来られない可能性もあったので一番安い2階最後尾の席を取った。自分はこの演目は初めてなので軽く話の筋を予習したけれど、登場人物は多くないのになぜかなかなか頭に入ってこない。なので後は実際の舞台に任せることにした(※歌舞伎は話の筋をちゃんと頭に入れて臨む方が楽しめます)。ただ舞台はほぼ現代語に近い台詞のみで進行していくので案ずることはなかった。観客もすっと話に入っていけるので、ほとんどコメディーのように進んでいく玉三郎と愛之助の夫婦の丁々発止に何度も笑いがおこる。今でこそ世俗的な背景が全く違うので”時代劇”として観られるが、この話が発表された江戸末期はまだリアル・タイムと言っていいような時代。人魂(ひとだま)ひとつ取っても怖さは今とは比べ物にならないだろうし、ロウソクしか明かりが無い時代なので幽霊というものにもっとリアリティーがあっただろう。

皆のイメージする玉三郎の高貴な雰囲気と違って今回は市井の女将さんの役。台詞はアドリブでやっているように思えるような(そんな訳はないだろうが)間があったり、かと思えば物凄い早口でまくし立てたりと何だかとぼけていて可愛らしい。夫の不義理をなじりつつも添い遂げたいという優しさが垣間見える。愛之助は口跡もはっきりと力強く活きがいい。演じる浮気者の役もぴったりだ。それであの顔立ちだもの、女性から見たら堪らないかっこよさなんだろうなァ(男性も?)。幕間は1回のみで正味2時間程度の演目だったが楽しめた。

 


三遊亭円朝 原作
大西信行 脚本
坂東玉三郎 演出
今井豊茂 演出・補綴

怪談 牡丹燈籠(かいだん ぼたんどうろう)

伴蔵女房お峰 坂東 玉三郎
伴蔵     片岡 愛之助
萩原新三郎  中村 吉之丞
お六     中村 歌女之丞
乳母お米   上村 吉弥


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