DANCING 古事記 / 山下洋輔トリオ (1969)
一晩だけ復活した山下洋輔トリオを見に行った時に、森山威男のライヴでは恒例の観客との”じゃんけん大会”で商品に挙がっていたライヴ・アナログ盤「DANCING古事記」(写真下・本人も持っていないのだとか)。
残念ながらじゃんけんは負けたが(近くに座っていて”あとだし”をした男がゲットしていた…涙)、その存在や発売の経緯を知ってどうしても音を聴きたくなった。CD化はされているのだが時期によって発売元が違っているよう。某オークション・サイトを覗いていたらライナー(正確には立松和平執筆の小説)無しの不完全盤があったので、音だけで構わないと購入してみた。
原盤は麿赤兒による自主制作。1969年7月、学生運動でバリケード封鎖された早稲田大学構内での演奏。同日の演奏は田原総一朗がドキュメンタリーの形で収録、放送している(←ちなみに実際は演出があったそう)。学生運動というともうはるか昔の歴史上の話に聞こえるかもしれないが、自分の通っていた学校では在学中の80年代後半でも左翼運動家が校門をバリケードで封鎖して授業が中止になったり、校門の外の道路上に私服警官が毎日ウロウロしているというなかなか面白い学校だったのでとても身近に感じる(笑)。
収録曲は3曲と少なく、しかもそのうち冒頭は当時の学生運動家のアジテーションなので実質2曲、30分強。アジっている最中に入るドラムの音に緊迫感が漂う。山下の強い鍵盤打撃から始まり、森山威男がリズムを刻んで合流し、後からフリーキーな中村誠一のサックスが加わって煽り立てていく。自分はこういうフリージャズの世界をほとんど知らないし、山下洋輔だって音楽家というよりは文筆家としての方が馴染みがあるくらいなので、正直いつも聴きたい音楽ではないが、その迫力と熱量はスゴイ。現場では心配していた妨害や暴動は起こらず(田原総一朗は期待していたらしい・笑)、運動家も聴き入っていたらしいが、この激しい演奏をあの時代に狭い講堂の中で音圧を感じながら聴くとどんなインパクトを受けるんだろう。味わってみたかったナ。
オークションにて購入(¥1,030)
- CD (1995/3/11)
- Disc : 1
- Label : 貞錬結社