ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

香楽 @岐阜県岐阜市 (※閉店)

2014年10月16日 | 岐阜県(岐阜)

惜しまれながら先月末をもって閉店となった岐阜市の「香楽」。ベトコンラーメンで有名な店で、長良川に架かる長良橋のたもとにある。店の前を通ったことは何度もあったのだが、夜営業のみということもあって、入った事は一度もなかった。創業は昭和53(1978)年という。もっと古いと思っていた。その店が閉店してしまうという情報を知ったのは9月に入ってから(参考)。岐阜の名物店だ、何とか一度くらいは行っておきたいなと、休みが2日続く日の前日を狙って訪問した。ベトコンラーメンはニンニクがたっぷりなので次の日の仕事に差し支えるかもしれないという用心からだ。

長良橋を歩いて渡る。まだ鵜飼をやっていたので、川面には船の明かりがいくつも見えている。シーズンも終わりなので、7時過ぎだともう真っ暗。もうすぐ10月だなぁ、と随分涼しくなった川面からの夜風にあたりつつ店へ向かう。店の前まで来るとタイミング悪く行列が…。今までにこの店で行列を見た事はなかったが、さすがにみんな閉店の情報を聞きつけて来たのだろう。しかたなく店の前で待っていると、店の中から完全に潰れた泥酔者が引きずられて出てきた。どうもこの店の高齢の親父さん(主人)との惜別で呑み過ぎた常連客らしい(苦笑)。店の入り口には、

 「ベトコンラーメン長村・昭和53年5月9日スタート・昭和89年9月29日ラスト・36年間おせわになりました・店主」

と貼られている。昭和89年って…面白い(笑)。店の中には若い女性のグループも座っているのが見えるが、辛過ぎるのか、なかなか箸が進んでいないようで、喋ってばかり。主人はカウンターに座って麺をほぐしたり、常連と喋ったり、ウロウロするだけで基本的に調理はしないようで、厨房の中では大陸の青年が2人で奮闘していた。結局(普段なら有り得ないが)40分くらい待っただろうか、やっと件の女性陣が店を出たので空席が出来た。特に誘導も案内もないので、勝手に中に入ってカウンターに座る。もちろん注文は基本の醤油ベースのベトコンラーメンのレギュラー。主人に「半辛でええ?」って訊かれたので特に異議なし。たぶんすごく辛い事は分かっていたしね。

調理を待っている間にも、主人との別れを惜しむ常連達が次々とやってきて主人に声をかけている。愛されているんだねェ。そして、やっとお待ちかねのベトコンラーメンが配膳された。見るからに辛そうな輪切りの唐辛子がたっぷり。他には柔らかくなるまで煮込まれたニンニクの固まりが4つ程。それにもやしとニラ。同じものを注文した隣の人と比べると盛り付けにバラツキがあるようだが、そんなもんなんだろう。どう上手く口に運んでも大量の輪切り唐辛子を避ける事は出来ないくらいの大変な量。思い切って麺と共に啜ってみる。自分は辛いのが不得意ではないので、むせ返る程ではなかったが、半辛でも結構辛い。ニンニクそれ自体はしっかり煮込まれている事もあって、さほど臭わない。スープはあっさりしているが、なんせのっている物が刺激的なので、じっくり味わうようなものでもない。以前に訪問した事のある一宮の元祖の店と比べると、辛さも含めてこちらの方が尖った味。隣の人は2口程食べて出ていってしまった(笑)。長い間、この地で独特なラーメンを提供し続けた名物店。もっと前に来ておきたかった店だけれど、ギリギリ最期に来られてよかった。意外と臭わなかったな、と思っていたけれど、翌朝、前の晩は先に寝ていた嫁に、「うわっ、ニンニク臭っ!」と指摘されました(笑)。(勘定は¥950)

香楽

岐阜市長良126-2

(こうらく ベトコンラーメン ベトコン)

コメント
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