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ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

ザ・スペシャルズ @名古屋・Zepp Nagoya

2017年03月23日 | ライヴ(日本公演)

ザ・スペシャルズ (3月22日 名古屋・Zepp Nagoya)

チケットは買ったものの、色々な用事で行けないかもと半ば諦めていたスペシャルズ(The Specials)の来日公演に、なんとか無事行くことが出来た。ヨカッター。ここんところのいわゆる”名古屋とばし”で、スティーヴン・タイラー(Steven Tyler)、ヴィンテージ・トラブル(Vintage Trouble)と、行きたいのに仕事の都合上、大阪までは無理、と諦めたライヴばかり。名古屋の洋楽ライヴ事情は相変わらずひどく、広い会場が使えるほどのビッグネームならまだしも、会場が小さいとあっさりとトバされることが多い。

さて、気になる来日メンバーは以下の通り。

Terry Hall(vocals) *
Horace Panter(bass guitar) *
Lynval Golding(rhythm guitar, vocals) *
Gary Powell (drums) Libertines
Steve Craddock (lead guitar) Ocean Colour Scene
Nikolaj Thorp Larsen(keyboards)
+Strings, Brass

ドラムスのジョン(John “Brad” Bradbury )が2年程前に亡くなったので、元リバティーンズ(Libertines)のGary Powellにリプレイスされている。ジェリー・ダマーズ(Jerry Dammers)抜きで再結成が行われた2008年以降はトースティング(掛け声)のネヴィル(Neville Staple)とギターのロディ(Roddy Radiation)も在籍していたのだが、これでオリジナル(*)と呼べるメンバーは3人だけになってしまった。白人と黒人の混成バンドという当初の特徴はギリギリ維持されているが、さすがにちょっと厳しい。ま、70年代のバンドが”メモリアル・バンド”化してしまうのはもう致し方ない。あのテリー(Terry Hall)が見られるだけで良しとしなければ。というかテリーの音楽活動歴を見ると絶対に再結成なんかしないだろうと思っていたので、いまだにツアーが行われているのがある意味不思議でもある。

さて、という訳で久々のライヴ。今回の来日ツアー、後から発表されたのだが、サポート・アクト(前座)に「東京スカパラダイスオーケストラ」が抜擢されたと聞いて喜んだのは自分だけではないはず。お得感がグッとアップ。スカパラを観るのは何年ぶりか覚えていないが、彼らのメジャーデビュー前くらいの頃が自分の”スカ熱”が一番激しく、スペシャルズらツートーン・スカを聴きまくった時代なのでこれだけでも嬉しい。客入りは6分といったところか。最前のスペースでなければ他の人と体が触れないくらいの入り。少し寂しいが今回のプロモーションを考えればまぁまぁと言えるかも。まずは定刻からスカパラ。元気よく最初から飛ばしていた。もちろん短いセットリストなので有名曲ばかり。サポートなのにクオリティが半端ないが(笑)、スペシャルズのライヴを暖めようという気概が前面に出て清々しい。谷中敦は相変わらず日本人離れしてかっこいいナ。

そして8時を15分も過ぎた頃スペシャルズ登場。最初がいきなり「Ghost Town」というマイナー調の曲。それからもすぐに踊らせる曲でなく、じわじわとくるセットリスト。後期(といっても実質活動期は4年程だったが)の曲も好きなので嬉しい。テリーは相変わらずニコリともせず淡々と歌っている。太ったし、囚人服のような(笑)地味な服だが、声はしっかりと”あの声”。ギターのリンヴァルも、ベースのホレスもとても元気に跳ね回っていて安心する。中盤に入ってだんだんとアップ・テンポの曲が多くなってきて、会場前方はダンス・ホールと化してきた。元々レパートリーが多い訳ではないので、途中リンバルがヴォーカルをとってボブ・マーリー(Bob Marley)のカヴァーを演った以外の演奏曲は予想通り。テリーも地味にマイクを持った手で調子を取ったり、お茶目にふざけてみたりして楽しんでそう(表情を変えないので分からない・苦笑)。欲を言えばリンバル以外にもトースティング役を誰かにやってもらって煽って欲しいところだが、これ以上は望めない。サポートメンバーも含めてバンド内にあたたかい雰囲気があることが感じ取れ、若い頃聴きまくったアーティストをこうしてまたひとつ観ることが出来て幸せ。本編最後の「Enjoy Yourself」あたりでは思わずうるっと…。

 

 

< Setlist > ※間違いがあるかもしれません

01 Ghost Town
02 Do Nothing
03 Friday Night, Saturday Morning
04 Stereotype
05 Man at C&A
06 Blank Expression
07 Rat Race
08 Why?
09 Redemption Song
10 Doesn't Make It Alright
11 Nite Klub
12 (Dawning of a) New Era
13 Do the Dog
14 Gangsters
15 Concrete Jungle
16 A Message to You, Rudy
17 Monkey Man
18 Little Bitch
19 Too Much Too Young
20 Enjoy Yourself

Encore

21 Guns of Navarone
22 You're Wondering Now

 

 

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ボブ・ディラン @名古屋・センチュリーホール

2016年04月16日 | ライヴ(日本公演)

ボブ・ディラン (4月15日 名古屋・センチュリーホール)

2年ぶりのボブ・ディラン(Bob Dylan)来日公演。前回2014年も春だったなァ。いまだ通称「Never Ending Tour」を続ける御大。もう凄いを通り越して信じられない。金なんてあり余るくらいあるだろうし、自分がやろうと思うことは何だって出来るはずなのに(やらない選択肢だってある)、選んだのは「ツアー」…。その辺の小金持ちミュージシャン達よ、見習え!という訳でやってきたのは熱田のセンチュリーホール。同建物の名古屋国際会議場は仕事で何度も利用しているが、ホールに入るのは実は初めて。開場前に外の広場でぼーっとしていたが、こうして見るとなかなか立派な建物だ。

 

グッズを買う気はさらさら無いので、列に並ぶこともなくのんびりと入場。今回は最前にSS席(¥25,000)と名付けられたポスター付きの席があったが(←おまけがショボくないか?)、もう前回のツアーで近くでは見たので普通のS席(¥16,000也)を購入。1階ややうしろといった席だが、ホールなのでどんな席でも見やすくてOK。

日本公演が始まってから長いので、すでに公演の基本的なところは情報が入っていた。もちろん彼らが日本に来る前から予習(※)に入っていたが(※ディランの場合、原曲を崩して歌うので、原曲をしっかり頭に入れるために予想セットリストを作って直前まで聴き倒します)。選曲も概ね同じで、構成も同じ。サプライズは望めない。バックドロップに映し出される模様の変化ぐらいでステージセットも2年前(初日2日目)とほとんど変わらずなので、正直言って新鮮味はゼロ。これをどう捉えるかだが、巷の絶賛傾向に反して、自分の中ではいまいち公演前の盛り上がりに欠けた。何か少しでも新機軸がないとなー。観客はほどほどの入り。ホール1階の端っこの方の席に着く。なぜかブロック丸々空いている所や、場所によっては空席も見える。みんな大人しく着席し、ディランの登場を待った。

通常あるようなロビー追い出しの開演案内放送も無く、前回あったチャイムのような音も無く、定刻になると唐突に暗転し、ギターの音が鳴り響く。もちろんディランではなく、スチュ(Stu Kimball)。手ぶらで歩いてセンターマイクまで来たディランは、刺しゅう入りのテックス・メックスのようなカントリー・スーツにハット。装いも依然と変わらず(どんだけ気に入ってるんだ…)。そしてあの歌声が鳴り響く。アレンジも「ほぼ同じだなァ」と感じつつ聴いていたのだが、歌、上手くなってないか? 声は伸びやかだし、音程も安定している。相変わらず崩しては歌うが、まとまりが良く朗々と歌い上げ、ヴォーカリストとしての魅力が伝わってくる。絶好調。恐るべき75歳。

おなじみのバンドの面々の演奏も、タッチは以前と変わらず。ドラムスの音のセッティングがいまいち気に入らないが(スネアがドタドタとした音なので)、破たんのない(悪く言えば面白みの無い)演奏だ。ま、そもそもどれだけ自由が与えられているのか知らないのだが。相変わらず長身でイケメンのチャーリー(Charlie Sexton)に目がいってしまう。頭も白くなっていい歳になったが、彼のミュージシャン歴はこのままこういう形でいってしまうのかな(注・元アイドル・イケメン・ロック・ギタリストです)。

御大のご機嫌までは分からないが、恒例の途中休憩前には「ミナサーン、アーリガトーッ」と日本語でひと言。照明が点いてインターミッション。ひと息ついて考える。ここまで前回の来日公演の内容を踏襲していると、やっぱり面白みは少ない。通称「Never Ending Tour」自体がそうやって展開されていることはもちろん承知しているのだが。21曲中、約13曲同じで、アレンジもステージも変わらないんだもんなァ。どうしても頭の片隅に終始焼き直し感がつきまとう(前回見ていない人には問題無し)。あれだけ自分の素晴らしい曲が山ほどあるのに入れ替えた曲はほとんどないし。前アルバムがシナトラ(Frank Sinatra)のカヴァー・アルバムだったから、変更があったのはそれらの曲と、次のアルバムに収録予定の曲ぐらいか(「Tempest」以前の3枚からの曲は大好きだからいい)。ディランの「歌いたいモード」を理解して、前回のツアーはとても楽しめたのだが…。予定通りに曲は進み、予定通りにアンコール2曲。最後に演奏された「Love Sick」は唯一ロックな感じでガッツが有って良かった。終わって、またまた考える。評論家(会場でも見かけたナ)や、メディアの論調が大絶賛なので言い辛いが、公演全体を通して自分の正直な気持ちとして、今回は可くらいで、良ではなかった…(不可ではない)。何とか自分を納得させようと色々考えたが、やはり何も驚かせてくれないのは辛い。もちろんディランの歌は素晴らしい出来だったので、見に行く価値は充分あるんだけれど…。

 <セットリスト>  ※不正確かもしれません

01 Things Have Changed
02 She Belongs to me
03 Beyond Here Lies Nothin'
04 What'll I Do (Irving Berlin cover)
05 Duquesne Whistle
06 Melancholy Mood (Frank Sinatra cover)
07 Pay in Blood
08 I'm a Fool to Want You (Frank Sinatra cover)
09 That Old Black Magic
10 Tangled Up in Blue

- Intermission -

11 High Water (For Charley Patton)
12 Why Try to Change Me Now (Cy Coleman cover)
13 Early Roman Kings
14 The Night We Called It a Day (Frank Sinatra cover)
15 Spirit on the Water
16 Scarlet Town
17 All or Nothing at All (Frank Sinatra cover)
18 Long and Wasted Years
19 Autumn Leaves (Yves Montand cover)

- encore -

20 Blowin' in the Wind
21 Love Sick

 

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ヴィンテージ・トラブル @名古屋・ダイアモンドホール

2016年04月06日 | ライヴ(日本公演)

ヴィンテージ・トラブル (4月5日 名古屋・ダイアモンド・ホール)

前回のライヴから1週間と置かずに、またライヴ(嬉)。今度は大注目のヴィンテージ・トラブル(Vintage Trouble)。会場は新栄のダイアモンド・ホール。ビルの5階にあり、キャパはそう大きくない(スタンディングで1,000名だそう)。入場者は階段に並ぶので、売れ行きの状況は会場入りするまで分からないが、中に入ってみると、うーん、ちょっと少なめ。自分も去年までは知らなかったので偉そうなことは言えないが、注目株でも洋楽はこの程度か…。ポスターとかフライヤーとか全然見なかったもんなァ(呼び屋はもっと努力しろっ)。開演までのBGMはマディ・ウォータース(Muddy Waters)やジミー・リード(Jimmy Reed)のブルースや、アイク&ティナ・ターナー(Ike & Tina Turner)などのR&B中心(ちなみに追い出しはレッド・ツェッペリン)。これで大体のテイストが分かるというもの。

この日は前座(サポート・アクト)があり、日本のバンド「Scoobie Do」が演奏。若く見えてキャリアは長いらしく、ヴィンテージ・トラブルの面々と以前の来日時に面識もちゃんとあるそう。このバンドの演奏がなかなか良かった。骨のあるファンキーなロックで、演奏も小気味良く、ヴォーカルもしっかり会場を盛り上げていた。音作りやステージ・スタイルのセンスも良く、ヴィンテージ・トラブルの前座にぴったり。

時計の針が8時半を指した頃、やっとメインのヴィンテージ・トラブルがタイトなスーツをビシッと決めて登場し、開演。いきなりギアをトップまで上げて、大丈夫かというくらいの高いテンション。桜の花を胸に飾ったタイ(Ty Taylor)のヴォーカルは、生で聴くとやはり凄い。狭いステージを駆け回り、アクションもド派手。JB(James Brown)とリトル・リチャード(Little Richard)を合わせた感じって言ったら言い過ぎだろうか。だがこのバンド、バックの3人が負けず劣らず良かった。3ピースなので持ち玉は多くないだろうに、タイトな演奏で、バンド・アンサンブルが素晴らしい。そして何よりファッションを含めた立ち姿がめちゃくちゃかっこいい。

 

MCの内容からも分かるがこのバンド、「音楽の力」を信じ切っていて、ピュア過ぎて眩しいくらい。今どき珍しい。でなきゃ歌詞知ってるかも分からず、誰も歌わないかもしれないのにマイクをオフにして観客にシンガロン(sing-along)させないよなァ、日本人に…(過去にうっかり日本人に歌わせて、盛り下げてしまったバンド数知れず)。もちろん盛り上げ方も上手いのだが、日本人が英語で上手く歌えないなんて、全く気にせず、強引に勢いで口を開かせてしまうのだからエライ。観客も多くないのに(フロアーで他の客と体が触れない…)客席の後ろまで全身汗だくで駆け回り、観客の中にダイヴしてサーフィンするんだから勇気ある。またそれをスーツでやるからかっこいいのだ(知らなかったが彼、なんと現在46歳!)。なんだか清々しい。

 

時にジミー・ペイジ(Jimmy Page)を思わせるようなギターを弾くナル・コルト(Nalle Colt)、クラシックな低いドラム配置でビシビシ決めるグッドルッキンなドラマー、リチャード·ダニエルソン(Richard Danielson)、ノッポで存在感ばっちり、このバンドの音が好きでしょうがないといった風情で微笑ましいベースのリック·バリオ·ディル(Rick Barrio Dill)、そして全身エネルギーの塊のようなタイ・テイラー。バンドの一体感が完璧。演奏時間は1時間20分くらいと長くはないが、濃密な楽しい時間だった。エエもん見た。

 

 

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テデスキ・トラックス・バンド @名古屋・名古屋市公会堂

2016年03月31日 | ライヴ(日本公演)

テデスキ・トラックス・バンド (3月30日 名古屋・名古屋市公会堂)

 いろんな事情でなかなか都合がつかなかったので本当に久しぶりのライヴ。2014年以来2年ぶりのテデスキ・トラックス・バンド(Tedeschi Trucks Band)の来日公演初日は、大好きな名古屋市公会堂で。近代建築好きにとって願ったり叶ったりの公演会場だ。中学生の頃から外タレの公演でここに来ているが、昔はただの古臭い会場と思っていた建物が、今ではダイヤモンドの輝き(笑)。建物のレポートは別の機会に譲るとして…。公会堂のある鶴舞公園は花見の季節とあって、ありとあらゆる屋台や、大道芸人も繰り出して大騒ぎの様相。すでにそこかしこで酒盛りが始まっており、終わっちゃってる人も。バンドのメンバーはこの騒ぎを何と見るやと目を凝らすとコーラス隊が屋台で何かを仕入れてはしゃいでいる様子(笑)。せっかくなのでメンバーみんなに日本のお祭り騒ぎと桜の花を楽しんでほしいナ、と思いつつ会場内へ(メンバーは日中しゃぶしゃぶの店を探した模様)。

前日でもサイトではチケットが残っていたので予想はついていたが客入りは芳しくない。3階席まである公会堂だが、3階はもちろん2階も全然埋まっていない様子(3階席チケットの人は2階に振り替えられていた)。洋楽不況の昨今だから仕方がないとはいえ、招聘元や協賛各社はもっと努力が必要なんじゃないかな。中年以降の人間は少々チケット代が高くても買ってしまうが、こういう”本物”のバンドこそ若い人達に見てもらわないと裾野が拡がっていかないだろうに。3階席や2階席の後ろでいいから、もっとチケット料金を細かく設定して、安い値段でも入れるようにするとか、前売りで売れ行きが悪いと判明した公演は直前に割引して客入りを改善するとか…。せっかくの公演を満員で盛り上げてあげなきゃどうするの。「日本が好き」なんて曲まで作ってくれてるのに。たぶん興行的には成り立っているんだろうが…。もう名古屋来ないヨ、きっと。

今回の席は普通にネットで取ったのだが、真ん中辺りでなかなかいいやと思っていたところ、着席してみるとミキシング卓の真後ろの席。悪くはないけどモニターの灯りが目障りなんだよなー。(※ちなみに公演中でも携帯電話・スマホでの写真撮影、動画撮影はOKです)

バックドロップ以外何もないシンプルなステージに緩い雰囲気でメンバーが登場するも、デレク(Derek Trucks)のギブソンSGが鳴ると、その神々しい音で空気が変わる。相変わらずほとんど愛想無しの超地味な態度だが、エフェクト無し、フィンガーピッキングのみのギターは信じられないくらい雄弁。相変わらず凄い。スーザン(Susan Tedeschi)のヴォーカルはツアー初めとあって休養充分なのか、艶も伸びも最高にいい。会場は年齢層が高めなこともあって一部を除いて着席。ま、このバンドなら座って観ていいだろう。でもいい演奏があった時は立って拍手を送ってほしいなァ。自分は来日前の活動を押さえていたので、カヴァー大会になるかもという予想はついていて、しっかり予習済み(と言っても知っている曲ばかりだが)。結局半分がカヴァー曲という構成だった。ニュー・アルバムが発売されたばかりだから、そこからもう少し演って欲しいけれど…。

詳しくは知らないが(なにせ大人数なもので)、バックのメンバーは前回来日時から何人か異動があった模様。アルバムでは効果が今ひとつ分かり難いツイン・ドラム体制も、ライヴでは素晴らしい迫力と対決。なぜか何度もスネアを取替えていたようだが、素晴らしいパフォーマンスと音圧だった。キーボード兼フルートのコフィ(Kofi Burbridge)が大活躍。バンドはインド風、(エレクトリック)マイルス風など、色んな側面も見せ、とても充実した演奏内容だった。スーザンはヴォーカルのみならず、ブルース曲でのギター・ソロでも素晴らしく、時に身をよじって声を張り上げるパフォーマンスはガッツがあり、迫力充分。絶好調だ。途中デレクのソロと共に派手なノイズが入っていたように聴こえたけど何だったのかな?(エンジニアが慌てていた)。アンコールでは、あるかと思っていたデヴィッド・ボウイ(David Bowie)のカヴァーは無かったけれど、前回聴くことが叶わなかった「スペース・キャプテン」(Mad Dogs And Englishmen !)を演ってくれて最高に嬉しい。メンバーはこの後の武道館公演(4/1)をやはり特別に捉えているみたいだし、GOですよ、みなさん。超満員にしてやって。 

公開されている名古屋公演の音源はこちら

 

 <セットリスト> 

01. Don't Know What It Means 
02. The Letter (Joe Cocker cover) 
03. Laugh About It
04. Bird on the Wire (Leonard Cohen cover) 
05. Within You Without You (The Beatles cover) 
06. Just As Strange
07. Idle Wind
08. Get What You Deserve (The Derek Trucks Band cover) 
09. Don't Think Twice, It's All Right (Bob Dylan cover・without Derek) 
10. I Want More
11. I Pity the Fool (Bobby “Blue” Bland cover) 
12. Let Me Get By
13. Bound for Glory

ーEncoreー

14. Space Captain (Mad Dogs And Englishmen cover)

 

 

↓ 会場を出るとまだ大盛り上がりの鶴舞公園。酔っ払いばっかりだ。(下右)ライトアップされた終演後の「名古屋市公会堂」(昭和5年・1930・建造)。来年から改修工事に入るとの事。

 

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キッス @名古屋・日本ガイシホール

2015年02月24日 | ライヴ(日本公演)

 

キッス (2月23日 名古屋・日本ガイシホール)

キッス(Kiss)来日公演初日。今回の来日の目玉は「ももいろクローバーZとの競演!」なんだろう、世間的には(苦笑)…。自分はそっち方面に全く興味がないので、一緒に出るなら見送ろうと思っていたが、競演があるのは東京ドームだけということで、無事チケットを手に入れた。オリジナル・アルバムも全部揃っていない位で、熱心なキッス・ファンでは全然ないし、今までライヴを見に行った事もない。つまり全くのキッス・ライヴ初体験。しかも一番のお気に入りの曲がMTV素顔時代の「Heaven's On Fire」と、キッス・ファンからしたら「ド素人」もいいところ。自分の過去の音楽遍歴を見ても、なぜ彼らにハマらなかったかが全然分からないのだが…。当時小学生の坊主とキッスとのファースト・コンタクトがイマイチだったからか…(そのいきさつはこちら)。AC/DCも、エアロ(Aerosmith)も、クイーン(Queen)も大好きなのに…。やっと最近その魅力が分かってきて、後追いをしている次第。

さて、ライヴ会場の日本ガイシホールへ。グッズ売り場は混雑しているが、興味ないので無視して場内へ。今回のチケットは5列目という素晴らしい席をゲット出来た。席に着いてみると…、うわァ、こりゃ近い。テンションが上がってきた。ちなみに携帯・スマホでの写真撮影はOKでした。会場にはハードロックが流れているが、同世代のエアロやクイーンの曲もかけられているのがあっけらかんとしていて面白い。パッと見で2階席は半分くらいの入りか。少々寂しい。客層はもちろん(自分を含めて)中年が多いが、もう洋楽ライヴはこの年齢層が支えていると言って差し支えないだろう。

そして噂には聞いていたが、レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)の「Rock and Roll」(おいおい…)がフル音量で流れた後に暗転してキッス登場! のっけからパイロ(炎)、スモーク、レーザー、電飾、とド派手なギミックのオンパレード。席が前の方なので、上部スクリーンが頭の上にまで覆いかぶさっている感覚で、視界一杯が別世界なのが楽しい。パイロは自分が立っている席でも熱いくらいだから、メンバーは熱いだろうなァ。ポール・スタンレー(Paul Stanley)は肉厚で(笑)、なんか同じ人間ではないみたい。ジーン・シモンズ(Gene Simmons)は、もう見ているだけで笑顔になってくる。ロック至上最高のアイコンのひとつを目の前にしているという幸福感。

 

 

 

ライヴ内容を一言で表すと、「That's Entertainment!」。ポール、ジーン、それに現行の他のメンバーも自分の役割が何かを熟知していて、サービス精神の塊だ。相変わらず途中で「スキヤキ」を歌うのは何とかして欲しいが、これもサービス精神の表れ。彼らのステージはよく歌舞伎との類似性が語られるが、本当にその通りだった。隈取りあり、宙乗りあり、せり上がりあり、紙吹雪ありと、これでもかの「外連(けれん)」がたっぷり。どれもすでに分かりきった演出なんだろうけど、それでも楽しめるテーマ・パークみたいなライヴだ。予習の効果か、知らない曲が全く無かったので、ずっと集中して楽しめた。最後は「多過ぎやろ」という紙吹雪に埋もれて終了。いやぁ、行ってみて良かった。楽しかった!

 

そういえば、みなさん、どの曲だったか忘れたが(※)、途中でザ・フー(The Who)の「Won't Get Fooled Again」(6:40辺りからのくだり)をコピーして演ったのがお分かりだっただろうか?(しっかりレーザー光線とスモークもコピーしてました)。(※10でした)

<セットリスト>

01.Detroit Rock City
02.Creatures of the Night
03.Psycho Circus
04.Parasite
05.War Machine
06.Do You Love Me
07.Deuce
08.Hell or Hallelujah
09.I Love It Loud
10.Lick It Up
11.Bass Solo
12.God of Thunder
13.Hide Your Heart
14.Love Gun
15.Black Diamond

- Encore -

16.Shout It Out Loud
17.I Was Made for Lovin' You
18.Samurai Son
19.Rock and Roll All Nite

(kiss japan 2015 nagoya setlist キッス来日公演 ももいろクローバーZ ももクロ 夢の浮世に咲いてみな momoiro momoclo )

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ムッシュかまやつ・泉谷しげる トーク&ライブ @岐阜県可児市・可児市文化創造センター

2014年06月14日 | ライヴ(日本公演)

ムッシュかまやつ・泉谷しげる (6月13日・可児市文化創造センター)

Izumiya

岐阜県可児市で行われた泉谷しげるのライヴに参戦。トーク&ライヴということだったのでトーク7割かな(笑)と覚悟の上、会場へ。とても綺麗で上品な感じの会場なので泉谷に合うのか心配しつつ、入場する。ステージにはソファが用意してある。地方会場だが、結構大きいハコなので客の入りを心配したが、1階席で6~7割とまあまあの入り。趣向からすると、もっと小さい会場の方が合っているような気もする。客の年齢層はさすがに高い。

司会の女性と2人がステージに登場。ソファに座ってトークを繰り広げる(といってもほとんど泉谷が司会の女性と丁々発止やり合うだけだったが)。ゲストに地元のヤイリ・ギターの方を招いてギターに関するトーク。この日はみんなで会場すぐ近くの工場見学もしたんだとか。行ってみると町工場程度の小さな会社でびっくりするけれど、知名度は全世界的で、各国の有名アーティスト御用達のすごい会社です。

ライヴはまず、かまやつひろし氏の有名曲を中心に演奏。泉谷のギターは相変わらず騒がしいが、やっぱり真面目だ、この人。年長者を罵倒しつつも(笑)気を使っている。最初サポート・ギタリストが誰かよく分からなかったが、泉谷が紹介してびっくり、アナーキーの藤沼伸一だ! しかもアコースティック・ギター、目茶苦茶上手い。こんなテクニシャンだとは知らなかったので感動した。ギターのタッチからして2人とは全然違い(失礼)、素晴しい音色。だから演奏中は目が藤沼氏に釘付け。かまやつ氏作曲のアニメ「はじめ人間ギャートルズ」のエンディング・テーマ、「やつらの足音のバラード」良かったなぁ。

途中でかまやつ氏が抜けて泉谷と藤沼氏の2人のセット。順番は覚えていないが、「里帰り」「旅立て女房」「野良犬」など渋い選曲。アカペラでやった「おー脳」「黒いカバン」はまあお遊びとして、藤沼氏がボトルネックを披露して、自分の好きな「春のからっ風」を演ってくれたので感激した。「すべて時代のせいにして」「春夏秋冬」などを演奏、かまやつ氏がストーンズのTシャツを着てステージに戻って、数曲演り、ラストの「野生のバラッド」と続いた。この2人だとトークも老人ネタが多いのは仕方ないが(実際、老人だし)、ライヴもしっかり演ってくれて良かった。かまやつ氏は自身でも洋楽ばっかり聴いていると言っていたが、ギターの弾き方もまんまキース・リチャーズ(Keith Richards)(笑)。泉谷は客を巻き込んで飛ばせたり、客席に降りて周ったりと、相変わらずサービス精神たっぷり。真面目だなー。そして、なんと言っても藤沼氏のアコギに感動。久しぶりに泉谷のライヴを見て、昔、ルーザー(The Loser)の学園祭ライヴを追っかけしていた頃を思い出した。

(泉谷しげるのみ敬称略、セットリストについてはたぶん誤りがあります)

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ボブ・ディラン (2) @名古屋・Zepp Nagoya

2014年04月19日 | ライヴ(日本公演)

Dylan18

ボブ・ディラン (4月18日 名古屋・Zepp Nagoya)

昨日に続いてのボブ・ディラン(Bob Dylan)名古屋公演2日目。開場時間前に到着。昨日の場所からはメンバーの様子がよく分からなかったので、整理番号が早かったこともあって、もっと見える場所にと少しだけ気合を入れ、ステージ前から7列目位のボブのピアノの前に陣取る。この日も満員御礼。ただ観客の年齢層が高いこともあってか、押し合いへしあいという訳ではなく、適度に空間が残っていたので苦にはならなかった。フロアに設置されている区切りのバーよりも後方のほうが後から押されて混んでいたみたいだ。

相変わらずSEは何もなく、ほぼ定刻にチャイムのようなブザーのような音で場内が暗転し、メンバーが登場。今日のボブは白いハットにサイドに白いラインの入ったパンツで、テックスメックスといった感じ。表情もよく読み取れていい位置だ。場所が近いこともあってか、昨日より演奏の細部に集中出来て楽しい。こんな小さいホールなんだからどこでも変わりないような気もしていたが、やっぱり違う。マイクスタンドに立ったボブは遠目から見ると表情を読み取る事が難しいけれど、近くで見ると微妙にほほ笑んだり、辺りを見回していることが分かる。ま、それでもほぼ無表情なんですけど(笑)。昨日はクールに仕事をこなしているとしか見えなかったメンバーは、演奏中ずっと全員がボブの動きを注視していることが分かった。メンバー同士という訳でなく、皆ボブの方にまっすぐ視点を定めている。演奏中は別に指示を出しているようには見えないのだが、特にピアノを弾いている時のボブにはそれぞれが視線をボブから外さないのが印象的だった。昨日のようなちょっとした暴走があるからだろうか。それともあとで厳しいダメ出しでもあるのかな(笑)。この日は昨日のような演奏の乱れは感じられることなく、ピアノのフレーズもばっちり決まっていて、とても質の高い演奏だったと思う。

ボブの機嫌はけっこう良さそうで、長ーいインターミッション(休憩)の前にもまた「アリガトッ」の発声あり。休憩の間に少し観客が動き、前の方にも人が流れてきていたが、ステージ、しかもボブのピアノのすぐ前というのになぜか自分の周りは充分なスペースがあって楽だった。みなさん、ボクそんなに怖くないですよ(笑)。でも3日連続のライヴでさすがに疲れていたので、これには本当に助かった。周りの観客も暖かい視線で演奏を楽しんでいる。少しでもボブがアクションらしき動きをとると歓声。漏れ聞こえてきた後ろの女性達の会話では、

「バンジョー弾いてる人かっこいい」 「その横のギターの人もまぁまぁかっこいいわね」

……おーい! 彼、「あの」チャーリー・セクストン(Charlie Sexton)ですよっ!(心の声)

本編最終曲「Long and Wasted Years 」ではずっと暗いままのステージ上の照明がずいぶん明るくなり、ボブの表情もしっかりと見える。本編は最初からこの位でもいいのに、っていうくらい暗い照明演出なので、身振り手振りを交えながら情感込めて歌うボブがはっきりと浮かび上がり、ボブのみならずバンド全体の音圧というか勢いが急上昇した感じで、感動。やっぱり今のボブは「歌いたい」モード。昨日とほとんど同じセットリストなのに、今日の演奏は自分にはとてもしっくりきて良かった。ライヴ全体の雰囲気も昨日よりずっと良く感じた。

これで2月から始まった自分のライヴ・デイズも終了。次は何かまた「お楽しみ」を探さなくちゃ。

前日の様子はこちら

<セットリスト> ※不正確かもしれません

01 Things Have Changed
02 She Belongs to Me
03 Beyond Here Lies Nothin'
04 What Good Am I?
05 Waiting For You
06 Duquesne Whistle
07 Pay in Blood
08 Tangled Up in Blue
09 Love Sick

- Intermission -

10 High Water (For Charley Patton)
11 Simple Twist of Fate
12 Early Roman Kings
13 Forgetful Heart
14 Spirit on the Water
15 Scarlet Town
16 Soon after Midnight
17 Long and Wasted Years

- Encore -

18 All Along the Watchtower
19 Blowin' in the Wind

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ボブ・ディラン @名古屋・Zepp Nagoya

2014年04月18日 | ライヴ(日本公演)

ボブ・ディラン (4月17日 名古屋・Zepp Nagoya)

Dylan_2

ボブ・ディラン(Bob Dylan)4年ぶりの来日公演は前回と同会場のZepp Nagoya。昨日のテレヴィジョン公演に続いて2日連続のライヴだ。会場前は入場を待つ長蛇の列。昨日とはえらい違い。中に入るとすでにホール内もけっこうな混雑。ここのキャパシティーは1800人程度とのことなので満員御礼だろう。なぜかホール内にはSEがかかっておらず、静かな、そして変な雰囲気。4年前もそうだったか思い出せないが、もうすぐライヴが始まるっていうのに静まり返っているっていうのもどうかな…。

定刻が過ぎて間もなく、ブザーのような音で公演開始。暗転してメンバーがぞろぞろと登場。ステージには6個の照明がぶら下がっていて、映画でみたことのある昔のヴォードビル・ショーを彷彿とさせるような独特なライティング。そして、御大ディランはいきなりマイク・スタンドの前に。もちろんギターは持っておらず、ヴォーカリストとしての登場。この公演に際して、すでに終了した東京公演や札幌公演の情報は絶っていたのでびっくり。そう、今のディランは「歌いたい気分」なんだな(笑)。相変わらずのダミ声だが、聴きづらいものではなく、艶があり、調子の良さが伝わってくる。相変わらず原曲崩しが顕著なので、歌詞が聴き取れないと何の曲か分かるまでに少し時間がかかる事が多い。ディランを普段からよく聴いている自分でもそうなので、代表曲しか聴いた事のない人は最後までどの曲を歌っていたのか分からなかったんじゃないだろうか。お気に入りの最新アルバム「Tempest」からの曲が多いのは嬉しいな。

ステージ上では月日を経てカドが取れた芳醇な音楽が繰り広げられていく。決してノリノリではないし、決して派手なロックではないけれど、こういう歳のとり方もあるんだなぁ。ミック(Mick Jagger)のような70歳も驚異的だが、相変わらずツアーに明け暮れるディランも驚異的でかっこいい。ただ、ステージ中盤に入るインターミッション(休憩)だけは長過ぎ。照明も点いちゃって、またもやSE無しの25分はスタンディングのライヴにはそぐわない。これだったらきちんとした椅子席のホールの方がいいんじゃないか。興醒めであることはもちろん、実際、観客の中には貧血でぶっ倒れている人もいたし。観客も高齢の方が多いのでつらいぞ、これは。

休憩後、何事もなかったように再開。ディランは時折ピアノに戻るが、おおかたマイク・スタンドの前。歌いたいディラン。途中ピアノで暴走しかけたディランにメンバーが慌てて合わせるような面白い場面もあった。ただ現在のこのバンド、構成は前回来日時と変わらないと思うが(確かめてません)、よく言えば職人っぽくクール、悪く言えば正直あまり楽しそうじゃない。来日中のセットリストも数曲を除いてあまり替えていないようだし、ちょっとマンネリ気味なのかも。その辺のバンドの息遣いまで今日の自分の場所からは見えなかったので、明日の2日目はもう少し前に行ってみよう。

Zepp

<セットリスト> ※不正確かもしれません

01 Things Have Changed
02 She Belongs to Me
03 Beyond Here Lies Nothin'
04 What Good Am I?
05 Working Man's Blues #2
06 Duquesne Whistle
07 Pay in Blood
08 Tangled Up in Blue
09 Love Sick

- Intermission -

10 High Water (For Charley Patton)
11 Simple Twist of Fate
12 Early Roman Kings
13 Forgetful Heart
14 Spirit on the Water
15 Scarlet Town
16 Soon after Midnight
17 Long and Wasted Years

- Encore -

18 All Along the Watchtower
19 Blowin' in the Wind

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テレヴィジョン @名古屋・CLUB UPSET

2014年04月17日 | ライヴ(日本公演)

Television

テレヴィジョン (4月16日 名古屋 CLUB UPSET)

NYパンクの伝説的なバンド、テレヴィジョン(Television)。1978年に解散し、1992年に再結成。自分はその後の来日公演以来だからライヴを見るのは22年ぶりということになる。あの時はクラブクアトロだったかな。会場は初めて訪れるCLUB UPSET。池下のビルの5Fにある。開場時間が過ぎてから建物に向かうも、周囲には人っ子ひとりおらず、PILの悪夢が甦る。階段を上って会場へ。えっ?とビックリするほど小さなハコ。一番後ろに立ってもステージまで10mくらいだろうか。まだ客も20人位しかいない。人気が無い事もあってか、大物を除く最近の洋楽ライヴはメディアへの露出が少なく、街頭ポスターなどを含めて公演の情報が行き渡っていないような気がする。えー、来てたの?ってあとで思うライヴも多い。身近なライヴ・ハウスでチケット争奪戦も無いというのは嬉しいのだが、複雑な気分。だってあのテレヴィジョンだよ…。公演開始15分前位になってやっと人が集まってきたが、それでも150人位じゃないだろうか。贅沢と言えば贅沢。まるで彼らが巣立ったニューヨークのCBGBで見るような感覚か(行ったことありません、もちろん)。

開始予定時刻から15分程遅れて、自分達が入場した後ろのドアから普通に入ってきたメンバーが横を抜けてステージへ(笑)。もちろん皆老けたが、その佇まいは昔とあまり変わらない。オリジナル・メンバーのリチャード・ロイド(Riochard Lloyd)が抜けて、現在はジミー・リップ(Jimmy Rip)が加入している。ジミーと言えばミック・ジャガー(Mick Jagger)とも仕事をしている事もあり、アルバムも1枚持っている。そしてチューニングを始めたトム・ヴァ―レイン(Tom Verlaine)のフェンダー・ギターから「あの」音色が。最初にやり始めた曲に覚えがない。トムは歌う時に中空を見つめ、派手な動きは全く無い。特徴ある声にエモーショナルなギターの音色が重なり、またたく間にテレヴィジョンの独特の世界が広がる。ジミーはリチャード・ロイドの弾いた旋律を忠実に再現しつつ、時折控えめに独自のギター解釈を入れていくといった感じで、テレヴィジョンにこんなにしっくりはまっているとは思わなかった。もちろんトムのソロ時代からの相棒だから、トムとの息もぴったり。曲毎に神経質にチューニングをしつつ、演奏は進む。ライティングも何もないシンプル過ぎるステージ。デビュー・シングルの「Little Johnny Jewel」を挟みつつ、最近のライヴでの定番となっている公式未発表曲「Persia」へ。ちょっと中東っぽい旋律の曲で、少しだけヴォーカルが入るが、ほとんどはギターのインプロヴァイゼーション。2人のギターが絡み合い、静に入ったかと思うとじわじわと動に移っていき、そのボトムをフレッド・スミス(Fred Smith)のベースとビリー・フィッカ(Billy Ficca)のドラムが支える。何分演ったか分からないくらい長いが、その長さを感じさせないグルーヴ。いやぁ、この曲かっこいい。この曲のライヴ・ヴァージョンを公式に発表してくれないかな。そしてこの長尺の曲のあとに名曲「Marquee Moon」! 92年の来日時にはこの曲の有名なイントロでわざと外したりしていたが、今回はバッチリ緊張感を保ったまま。いやぁ、やっぱりかっこいいな、この曲。オリジナルに忠実なアレンジの演奏もうれしい。ひとつも無駄な音のない名曲(ただしアナログ・オリジナル・ヴァージョンに限る)だからアレンジする隙間が無いか。名曲が目の前で完全再現される幸せ。アンコールで1曲演ったあと、何処にあったのか小さなステージに横から引割幕がサーッと引かれ(笑)、終了。

92年の「Television」(再結成ものには珍しくこれも名盤です)以来オリジナル・アルバムの発表は無く、時折のライヴ活動といった感じの彼らだが、少しも変わらない繊細さと音色を味わうことが出来た。意外と若い人も多いなと思った少ない観客の中にはNYパンクの「パンク」という部分にだけ反応したお馬鹿さんも1人2人居たが、概ねいいライヴだった。ライヴ・アルバム発売なんて事にならないかな。

Television_2

コメント (2)
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ザ・ローリング・ストーンズ @東京・東京ドーム

2014年03月15日 | ライヴ(日本公演)

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ザ・ローリング・ストーンズ (2月26日 東京ドーム ツアー初日)

待ちに待ったストーンズ(The Rolling Stones)の来日公演。場所がどこであろうが行く事は決まっていたが、今回の来日ツアー日程が東京のみ、それもドームのみというのは予想外だった。来日公演発表後、やけに間の空いたツアー日程だったので、必ず大阪かどこか別の場所で追加公演が1回くらいあるだろうと思っていた。この日程のせいで自分のように買い控えたファンも多かったのではないか。平日なので、結局初日に行くか、3月4日・6日の2日行くかという選択を迫られ、悩んで前者を選択。さすがに初日から5日も経ったら、情報が蔓延して新鮮味や楽しみがなくなってしまうだろう、という思いだったのだ。

今回の呼び屋「キョードー東京」のチケットの販売方法や席の割り振りは本当に納得出来ない事ばかりだった。過去にもストーンズのツアー毎に参戦しているが、2003年の1回のみの特別な武道館公演(酷い席だったが必死で手に入れました)は別として、他の公演は席の良し悪しを自分で判断して購入する事が出来ていたが、今回の呼び屋はチケットの値段毎の席の割り振りや、肝心の席表も全く発表せず、高額なチケットの先行抽選販売を繰り返すという蛮行を行い、正直疲れ果ててしまった。誰もが感じた事だろうが、例えばS席18,000円を購入して、アリーナ前方と、1階スタンド席と、2階スタンド席が同額って納得できるわけがない。しかもチケットが届くまで自分がどの席を買ったか分らないなんて! それにGC席と称する花道周辺の席は80,000円…(もちろん買っていません)。まぁ、これには前例もあったことだし、金額に驚きは無かったが、果たして本当にそれに値する席だっただろうか? そんな、どこにもぶつけることの出来ないモヤモヤ(こんな高額商品を扱っておきながらキョードーにはカスタマーサービスに相当する場が無いのだ!)を残しつつ東京ドームに向かう。

Photo

ドーム周辺は物販テントに並ぶ長蛇の列。あまりグッズに執着はないので、さっさと購入をあきらめ中へ。実は東京ドームでライヴを見るのは初めて。他のイベントでは入場した事はあるが、音の悪さでは定評のある会場なので心配。オークションで席の場所をしっかり確認してから(定価で)購入した席は1階スタンド席。過去のどのツアーでもアリーナに降りていたので、過去一番遠い席だったかもしれない。それでも席についてしまえばあとは楽しむだけ。

↓ 公演開始前の会場内

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会場は上の方までほぼ満員。知人によると東京ドームが2階席まで満員であることは珍しいらしい。日本に不在で自分が参加しなかった初来日公演(1990年)以来ではないかとの事。それだけ今回のツアーが見納めになるんじゃないか、というファンの気持ちが切実だったんだろう。そして公演が始まる…。

公演後に話題になったが、キース(Keith Richards)が普段と違って仏頂面で演奏していて、動きも少なく、お約束とはいえ、ミス・トーンがかなり多く、ドキドキものだった。公演後に彼が体調不良であった事を知って合点がいったが、実はライヴ中、自分はいつになくストイックにギターと悪戦苦闘する姿を見て感動さえしていたのだ。思えば(映像で見ただけだが)82年以前のキースはニコニコ愛想なんか振り撒いていなかったし。元はと言えば、40年以上も前に「最も早く死ぬだろうロック・スター」のダントツ1位(笑)だった人だ。生きて今、ステージの上に居るだけですでに奇跡。

奇跡といえば御大ミック・ジャガー(Mick Jagger)。前回も、前々回の来日でも彼の動きとヴォーカルは尋常じゃなく度肝を抜かれた。しかし彼とて人間。70歳にもなったらさすがに衰えが目に見えるだろうと思っていたが…相変わらずのスリムな体型に唯一無二の声、そして外野に横幅広く建てられたステージの端から端まで走って歌うその姿に、あ然…。しかも絶対にきつくなってきているはずの高音域も、音程を外しやすいファルセットも難なくこなしている…。相変わらずの片言の日本語コメントで笑いもとりつつ、踊りまくる70歳。もう感動を通り越してあきれてしまった。

来日前のツアーでもお約束だった地元のコーラス隊を起用しての演奏では、「洗足フレッシュマン・シンガーズ」なる若い日本人達のコーラス隊が登場。素晴しいコーラスで会場を盛り上げた。ストーンズのライヴでお約束の巨大スクリーンに、日本人が写って、メンバーとステージを同じくしているのを観るのは感動もの。前回の来日では精彩を欠いていた(と思えた)女性バック・シンガーのリサ・フィッシャー(Lisa Fisher)も、今公演でのミックとのデュエットでは素晴しいパフォーマンスを見せてくれた。ただダリル(Daryl Jones)のベース・プレイはなんだか鼻につく違和感があり、以前はダリル容認派だった自分でも好きになれない。

会場ではギター(特にキース)の音がかなり大きめで、時々ビックリするような爆音が唐突に会場に響き渡る。やはり会場特有のエコーはきついし、時々ハウリング(最近のライヴでは珍しい…)が起こるものの、全体的な音の悪さはさほど気にならず、最後までライヴを楽しむ事が出来た。ライヴが終わった途端に、もう4日の公演をどうしようかと無駄に考え始めている(東京に住む兄はこの4日にアリーナ参戦)。東京在住ならまだしも、地方に居て、仕事があるから絶対無理なんだけど…。取り合えずチケットはまだ買えるのか探している自分…。

もしストーンズのライヴをこの日初めて見た人が居たら、演奏は下手くそで、まとまりがなく、音も良くないし、席は遠いし、なんて高いチケットだったと思うかもしれない。それはたぶんすべて正しい。でも、行けないと分かっている残りの公演の高額なチケットを、どうにかできないものか悩んでしまう地方の男がいるくらい魅力があるのも間違いないのだ。

<セットリスト>

01.Get Off of My Cloud
02.It's Only Rock 'n' Roll (But I Like It)
03.Tumbling Dice
04.Wild Horses
05.Emotional Rescue
06.Doom and Gloom
07.Bitch(by request)
08.Honky Tonk Women (followed by band introductions)
90.Slipping Away(with Mick Taylor) (Keith Richards on lead vocals)
10.Before They Make Me Run (Keith Richards on lead vocals)
11.Midnight Rambler (with Mick Taylor)
12.Miss You
13.Paint It Black
14.Gimme Shelter
15.Start Me Up
16.Brown Sugar
17.Jumpin' Jack Flash
18.Sympathy for the Devil
--- Encore ---
19.You Can't Always Get What You Want (with the Senzoku Freshman singers)
20.(I Can't Get No) Satisfaction (with Mick Taylor)

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