ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

ボブ・ディラン @名古屋・センチュリーホール

2016年04月16日 | ライヴ(日本公演)

ボブ・ディラン (4月15日 名古屋・センチュリーホール)

2年ぶりのボブ・ディラン(Bob Dylan)来日公演。前回2014年も春だったなァ。いまだ通称「Never Ending Tour」を続ける御大。もう凄いを通り越して信じられない。金なんてあり余るくらいあるだろうし、自分がやろうと思うことは何だって出来るはずなのに(やらない選択肢だってある)、選んだのは「ツアー」…。その辺の小金持ちミュージシャン達よ、見習え!という訳でやってきたのは熱田のセンチュリーホール。同建物の名古屋国際会議場は仕事で何度も利用しているが、ホールに入るのは実は初めて。開場前に外の広場でぼーっとしていたが、こうして見るとなかなか立派な建物だ。

 

グッズを買う気はさらさら無いので、列に並ぶこともなくのんびりと入場。今回は最前にSS席(¥25,000)と名付けられたポスター付きの席があったが(←おまけがショボくないか?)、もう前回のツアーで近くでは見たので普通のS席(¥16,000也)を購入。1階ややうしろといった席だが、ホールなのでどんな席でも見やすくてOK。

日本公演が始まってから長いので、すでに公演の基本的なところは情報が入っていた。もちろん彼らが日本に来る前から予習(※)に入っていたが(※ディランの場合、原曲を崩して歌うので、原曲をしっかり頭に入れるために予想セットリストを作って直前まで聴き倒します)。選曲も概ね同じで、構成も同じ。サプライズは望めない。バックドロップに映し出される模様の変化ぐらいでステージセットも2年前(初日2日目)とほとんど変わらずなので、正直言って新鮮味はゼロ。これをどう捉えるかだが、巷の絶賛傾向に反して、自分の中ではいまいち公演前の盛り上がりに欠けた。何か少しでも新機軸がないとなー。観客はほどほどの入り。ホール1階の端っこの方の席に着く。なぜかブロック丸々空いている所や、場所によっては空席も見える。みんな大人しく着席し、ディランの登場を待った。

通常あるようなロビー追い出しの開演案内放送も無く、前回あったチャイムのような音も無く、定刻になると唐突に暗転し、ギターの音が鳴り響く。もちろんディランではなく、スチュ(Stu Kimball)。手ぶらで歩いてセンターマイクまで来たディランは、刺しゅう入りのテックス・メックスのようなカントリー・スーツにハット。装いも依然と変わらず(どんだけ気に入ってるんだ…)。そしてあの歌声が鳴り響く。アレンジも「ほぼ同じだなァ」と感じつつ聴いていたのだが、歌、上手くなってないか? 声は伸びやかだし、音程も安定している。相変わらず崩しては歌うが、まとまりが良く朗々と歌い上げ、ヴォーカリストとしての魅力が伝わってくる。絶好調。恐るべき75歳。

おなじみのバンドの面々の演奏も、タッチは以前と変わらず。ドラムスの音のセッティングがいまいち気に入らないが(スネアがドタドタとした音なので)、破たんのない(悪く言えば面白みの無い)演奏だ。ま、そもそもどれだけ自由が与えられているのか知らないのだが。相変わらず長身でイケメンのチャーリー(Charlie Sexton)に目がいってしまう。頭も白くなっていい歳になったが、彼のミュージシャン歴はこのままこういう形でいってしまうのかな(注・元アイドル・イケメン・ロック・ギタリストです)。

御大のご機嫌までは分からないが、恒例の途中休憩前には「ミナサーン、アーリガトーッ」と日本語でひと言。照明が点いてインターミッション。ひと息ついて考える。ここまで前回の来日公演の内容を踏襲していると、やっぱり面白みは少ない。通称「Never Ending Tour」自体がそうやって展開されていることはもちろん承知しているのだが。21曲中、約13曲同じで、アレンジもステージも変わらないんだもんなァ。どうしても頭の片隅に終始焼き直し感がつきまとう(前回見ていない人には問題無し)。あれだけ自分の素晴らしい曲が山ほどあるのに入れ替えた曲はほとんどないし。前アルバムがシナトラ(Frank Sinatra)のカヴァー・アルバムだったから、変更があったのはそれらの曲と、次のアルバムに収録予定の曲ぐらいか(「Tempest」以前の3枚からの曲は大好きだからいい)。ディランの「歌いたいモード」を理解して、前回のツアーはとても楽しめたのだが…。予定通りに曲は進み、予定通りにアンコール2曲。最後に演奏された「Love Sick」は唯一ロックな感じでガッツが有って良かった。終わって、またまた考える。評論家(会場でも見かけたナ)や、メディアの論調が大絶賛なので言い辛いが、公演全体を通して自分の正直な気持ちとして、今回は可くらいで、良ではなかった…(不可ではない)。何とか自分を納得させようと色々考えたが、やはり何も驚かせてくれないのは辛い。もちろんディランの歌は素晴らしい出来だったので、見に行く価値は充分あるんだけれど…。

 <セットリスト>  ※不正確かもしれません

01 Things Have Changed
02 She Belongs to me
03 Beyond Here Lies Nothin'
04 What'll I Do (Irving Berlin cover)
05 Duquesne Whistle
06 Melancholy Mood (Frank Sinatra cover)
07 Pay in Blood
08 I'm a Fool to Want You (Frank Sinatra cover)
09 That Old Black Magic
10 Tangled Up in Blue

- Intermission -

11 High Water (For Charley Patton)
12 Why Try to Change Me Now (Cy Coleman cover)
13 Early Roman Kings
14 The Night We Called It a Day (Frank Sinatra cover)
15 Spirit on the Water
16 Scarlet Town
17 All or Nothing at All (Frank Sinatra cover)
18 Long and Wasted Years
19 Autumn Leaves (Yves Montand cover)

- encore -

20 Blowin' in the Wind
21 Love Sick

 


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