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ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

Substance 1977-1980 / Joy Division

2020年05月16日 | パンク・ニューウェーヴ

Substance 1977-1980 / Joy Division (1988)

ジョイ・ディヴィジョン(Joy Division)のスタジオ・アルバム未収録曲を集めたコンピレーション盤。アナログ盤(10曲収録)で所有しているが、CDは17曲と収録曲が多くなっている。まだパンク・バンド然とした78年のデビューEP「Ideal For Living」収録曲を始め、ヴォーカルのイアン・カーティス(Ian Curtis)死去直後の80年のシングル「Love Will Tear Us Apart 」B面曲まで。特にこのCDではコンピレーション盤やソノシートで発表された入手困難曲も含まれるので便利な1枚。後身のニュー・オーダー(New Order)にも同じタイトルの編集盤があるので注意。

元々ジョイ・ディヴィジョンはアルバム収録以外の重要曲も多く、ここに収録されている6、8、10なども他のアーティストに強い影響を与えた彼らの本質を最もよく伝える代表曲。自分が彼らの音楽を初めて聴いたのはたぶん「Peel Sessions」のアナログ12inch盤だったと思うけれど、後追いで聴き出してすぐにハマり、オリジナル・アルバムを購入することになった。凡百のパンク・バンドのようにアングリ―ではなく、凡百のニュー・ウェーヴ・バンドのようにポップでもなかったが、”冷たく燃える”としか表現しづらい心の内面に突き刺さるような歌詞と、イアンのヴォーカルの痛々しさの虜になる(既にバンドの映像や、結末を知っているから余計かもしれないが…)。ネイティヴに英語が理解出来たらもっと直接的に感情を揺さぶるんだろう。

中古店にて購入(¥290)

  • CD (1990/10/25)
  • Disc : 1
  • Format: Import
  • Label : Qwest / Wea
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Alternative Eighties / Various Artists

2020年04月18日 | パンク・ニューウェーヴ

Alternative Eighties / Various Artists (2002)

音楽上の”オルタナティヴ(Alternative)”という言葉を自分が意識したのは89~90年頃だと思う。それまでそういう言葉が使われていたかどうかは知らないが、メインストリームのロック(=クラシック・ロック)とは違う文脈で語られるバンドが多くなってきて注目され、それがそれまでの全米カレッジ・チャート等だけでなく一般のチャートでも躍進し始めたのがその時期だったと記憶している(少なくとも自分の中では)。今回購入したこのコンピ盤はオルタナとはいってもエイティーズ、つまり80年代のロックを取り上げている。その頃はパンクなどから派生したいわゆるポスト・パンク、ニュー・ウェーヴ期と重なるので自分としては”オルタナティヴ”と言われるとちょっと時代的に違和感があるし、ちょっとポップに過ぎる曲が多いのがアレだが、言葉本来の”本流でない”というような意味で捉えればなかなか興味深い選曲のコンピ盤だ。

ごく普通にチャートで見かけた曲も含まれているので有名どころとそうでないバンドが混在しているが、1-01や2-18のようにパンク(ここではオリジナル・ロンドン・パンク)として有名なバンドは後期の作品が収録されている。オリジナル・パンクだったメンバーが結成したバンド、パンクの系譜で出てきた当時から既に毛色が変わっていたバンド等々、なかなかバラエティに富んでいて楽しい。バンド名は自分も8割方知っていたが、聴いたことのない曲が沢山あった。こうして聴いているとニュー・ウェーヴ、オルタナティヴなどのお題目に関わらず、こういう設定で必ずラインナップされるニュー・オーダー(New Order)の「Blue Monday」はどんな方面にもえらく大きなインパクトを与えたんだなァと感心。こういうコンピ盤でいつも思うことだけれど、(この時期は特に)それぞれの曲が発表された時期(例えば1977年なのか、1979年なのか)って結構重要なので、裏の曲名一覧に載せておいてくれると理解に助かるんだけどなァ。

<Disc 1>

01 Rock The Casbah - The Clash
02 The First Picture Of You - Lotus Eaters
03 Pretty In Pink - The Psychedelic Furs
04 Brilliant Mind - Furniture
05 Love Is A Wonderful Colour - The Icicle Works
06 Life In A Northern Town - Dream Academy
07 Blue Monday - New Order
08 The King Of Rock'N'Roll - Prefab Sprout
09 I'm In Love With A German Film Star - The Passions
10 Digging Your Scene - The Blow Monkeys
11 Ziggy Stardust - Bauhaus
12 Birthday - The Sugarcubes
13 Another Girl, Another Planet - The Only Ones
14 E=MC² - Big Audio Dynamite
15 Never Never - The Assembly
16 Crash - The Primitives
17 World Shut Your Mouth - Julian Cope
18 There's A Ghost In My House - The Fall
19 Are Friends Electric? - Tubeway Army

<Disc 2>

01 She Sells Sanctuary - The Cult
02 The Killing Moon - Echo & The Bunnymen
03 Boys Don't Cry - The Cure
04 Party Fears Two - The Associates
05 Liberator - Spear Of Destiny
06 Reward - The Teardrop Explodes
07 (Feels Like) Heaven - Fiction Factory
08 Young At Heart - The Bluebells
09 Could Be Happy - Altered Images
10 Pearly-Dewdrops' Drops - Cocteau Twins
11 Sometimes - Erasure
12 This Is The Day - The The
13 Sonic Boom Boy - Westworld
14 Living On The Ceiling - Blancmanche
15 Lost Weekend - Lloyd Cole And The Commotions
16 Everyday I Write The Book - Elvis Costello & The Attractions
17 Shout To The Top - The Style Council
18 Always The Sun - The Stranglers
19 Dirty Old Town - The Pogues
20 A New England - Kirty MacColl

オークションにて購入(¥756)

  • CD (2002/4/22)
  • Disc : 1
  • Format: Import
  • Label : Bmg TV
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Death Disco / Various Artists

2020年03月25日 | パンク・ニューウェーヴ

Death Disco / Various Artists (2004)

EMIから発売されたポスト・パンクのバンドのコンピレーション盤。もちろんタイトルはジョン・ライドン(John Lydon)率いるPIL(パブリック・イメージ・リミテッド)の曲名から。ロンドン・パンクを通過した数々のバンドの重要曲を収録している。収録曲は以下の通り。

01 Public Image Ltd - Death Disco   
02 The Steel Leg Vs The Electric Dread - Haile Unlikely (By The Electric Dread)   
03 Gang Of Four - I Love A Man In Uniform   
04 Delta 5 - Journey   
05 The Normal - Warm Leatherette   
06 Throbbing Gristle - United   
07 Brian Eno / David Byrne - The Jezebel Spirit   
08 Cabaret Voltaire - Yashar (John Robie Remix)
09 Rip Rig & Panic - Bob Hope Takes Risks   
10 The Higsons - Put The Punk Back Into Funk   
11 The Lounge Lizards - Do The Wrong Thing   
12 XTC - Meccanik Dancing (Oh We Go!)   
13 Buzzcocks - Why Can't I Touch It?   
14 Simple Minds - Theme For Great Cities   
15 Human League - Hard Times   
16 Heaven 17 - (We Don't Need This) Fascist Groove Thing   
17 Arto Lindsay / Ambitious Lovers - Let's Be Adult 

どのバンドもポスト・パンクを語るには欠かせない重要バンドばかりだが、副題は「Songs From Under the Dance Floor 1978–1984 」としてあり、どちらかというとリズムがハッキリとしたビートの効いた曲が多い。これらの曲がディスコで頻繁にかかったとはちょっと考えにくいが、時代が時代だけにそういうこともあったのかもしれない。ファンク的なリズムの影響も顕著で、スラップ・ベースやボトムを強調した曲も多い。その意味で先陣を切ったPILの存在はやはり大きいナ。時代が時代なので全体としてはキーボード、シンセサイザー主体の曲が目に付くが、エッジの効いたギターもあるし、さすがこの面子だけあって一筋縄ではいかないクセの強さもあって楽しい。この中からも80年代半ばにはポップ路線に舵をきってインターナショナルなヒットを飛ばすバンド(01、11、12、13、14、15、16など)が出てくる。自分はジム・カー(Jim Kerr)率いるシンプル・マインズ(Simple Minds)はヒットしてからしか知らなかったのだが、初期はかなりアバンギャルドな音楽性があったことを最近知った。

オークションにて購入(¥564)

  • CD (2004/5/25)
  • Disc : 1
  • Format: Import
  • Label : EMI Import
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Andy Gill ( Gang Of Four ) 1956 – 2020

2020年02月06日 | パンク・ニューウェーヴ

先日、ギャング・オブ・フォー(Gang Of Four)のギタリスト、アンディ・ギル(Andy Gill)が亡くなった。昨年10月に来日したばかりのはず…(東京公演のみで行けなかったが)。最初に彼らの曲を聴いたのは、もちろんファースト「entertainment!」(アナログ盤)。とはいっても自分はポスト・パンクの連中を後追いで聴き出したので80年代も半ばを過ぎてから。かっこよかったなァ。ザクザクと切り刻むような硬質なギター、ぶっといベース、熱量は高くてもクールなヴォーカル。ネット時代の現在と違い、当時はまだこの辺りのバンドの情報は多くなく、写真さえあまり出回っていなかったので、バンドの中心だったアンディ・ギルの素性は左翼寄りの大学生だったぐらいしかよく知らなかったし、彼らの政治的なバックグラウンドも理解しないままだったが、音だけでイケるカッコよさがあった。それからアナログを集め始め、シングル以外で所有しているアナログ盤は以下の作品。

 

これ以外は編集盤CDを2作品。後期(再結成前)に行くにしたがって女性コーラスとラッパの度合いが大きくなって、初期にあったようなソリッドで尖った音楽性は影を潜めてポップな曲調が多くなっていったが、その辺りの音も今聴くと意外と良かったりする。初期レッチリ(Red Hot Chili Peppers)のファンでもあったので、アンディ・ギルがファーストのプロデュースを担当したことは知っていたが、今でこそヒレル(Hillel Slovak)のギターやフリー(Flea)のベースに強い影響を認識できるものの、誰が聴いても成功したとは言い難く、その名を聞くことも少なくなっていった。再結成後のオリジナル・アルバムのCDは3作品程所有。それぞれ悪くない出来だし、2011年の「Content」なんかは往時を思わせる鋭さも。けれど、どうしたってファーストの衝撃は越えられない。

64歳とまだ若かったが、この時代のアーティストも訃報を聞くことが多くなったので、若い頃に聴き倒したファンとしては寂しさがつのる。一度でいいからライヴ会場であのギターを聴いてみたかったナ…。R.I.P.

 

        Andy Gill  ( 1956 – 2020 )

 

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Private Life : The Compass Point Sessions / Grace Jones

2020年01月13日 | パンク・ニューウェーヴ

Private Life : The Compass Point Sessions / Grace Jones (1998)

怪女グレース・ジョーンズ(Grace Jones)のアイランド時代のアルバムに収録されたバハマはコンパスポイント・スタジオでのセッションを収録した編集盤。前から買おうと思っていたのをやっと手に入れた。この期に発表されたアルバムは「Warm Leatherette」('80)、「Nightclubbing」('81)、「Living My Life」('82)と、モデル出身の彼女がある意味音楽界にセンセーションを起こした3枚。つまり黄金期。リズム・セクションにはあのスライ&ロビー(Sly & Robbie)や、マイキー・チャン(Mikey "Mao" Chung ※中国系ジャマイカンで数多くのセッションに参加している強者)らが参加し、自分が作曲に関わった曲の他に、未発表曲、シングルB面曲、ロング・ヴァージョンなどが収録されている。スタジオ単位で括ることが出来るという事はいつもこのスタジオを使ってレコーディングしていたということだろう(バックの面々は”Compass Point All-Stars”と称されていたとか)。

カヴァーの多い彼女だが、ここでもプリテンダーズ(The Pretenders)、ロキシー・ミュージック(Roxy Music)、トム・ペティ&ザ・ハートブレーカーズ(Tom Petty & The Heartbreakers)、ビル・ウィザーズ(Bill Withers)、ジョイ・ディヴィジョン(Joy Division)、イギー・ポップ(Iggy Pop)、ポリス(The Police)、ジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)などの曲を彼女なりの解釈でカヴァーしている。ジャマイカ出身だからというのもあるのだろう、ダブ・レゲエ的なアプローチが多く、その出来映えがクールで素晴らしい。カヴァーされた面子は自分の好きなアーティストばかりなのでアレンジも含めてどれも興味深く聴いた。モデル出身故に彼女がどれだけ音楽的主導権を握っていたのか知らないが(偏見?)、垢抜けていて何度聴いてもカッコイイ。

amazonにて購入(¥1,174)

  • CD (1998/6/16)
  • Disc : 2
  • Format: CD, Import
  • Label : Island
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The Sire Years 1976-1981 / Ramones

2019年12月26日 | パンク・ニューウェーヴ

The Sire Years 1976-1981 / Ramones (2013)

泣く子も黙るラモーンズ(Ramones)のサイア―時代のオリジナル・アルバム6枚組。ロック界に衝撃を与えた76年のデビュー・アルバムから始まり、フィル・スペクター(Phil Spector)プロデュースの「End Of The Century」、政治的な視点が歌詞にも現れた81年の「Pleasant Dreams」まで。彼らのこの作品群(特に3枚目まで)が無かったらロンドン・パンクは生まれなかったろうし、後のアメリカのハードコア・パンクも形を変えていただろう。自分はもちろん後追いなので、すでにロックの名盤という扱いでファーストから全部揃えたが(もちろんアナログ盤)、「1-2-3-4!」という掛け声から始まるその一本調子なスタイル、バブルガム・ミュージックやサーフィン・ミュージックを彷彿とさせるポップな音楽性、Tシャツ、革ジャン、破れたジーンズという”パンク”を定義づけたファッションなど、全てがかっこ良かった。ライヴにも何度か足を運び、お約束連続の金太郎飴の如き、たった60分のステージを楽しんだ。

各CDは紙ジャケットに収納されボーナス・トラックは未収録。新装なのにボーナス・トラックが入っていないことに賛否があるが、自分は大賛成。ラモーンズのアルバムはどれも30分程度のあっけないほどの短さだが、それを一気に聴くことが肝要と信じる。ダラダラと他でも聴けるデモ・テイクや細切れのライヴ音源を聴く必要は無しだ。ギュッと凝縮された2分程度の曲が並ぶ初期はやっぱりサイコー。パンクはのちのセックス・ピストルズ(Sex Pistols)らのロンドン勢も含めて”ロックンロール・リバイバル”という側面を忘れてはいけないだろう。70年代に入ってハード・ロックやプログレッシヴ・ロックの曲がどんどん長く冗漫になりつつあったところに、50年代のような親から「ダメ!」と言われていたロックンロールが(ちょいと粗雑になって)キッズに戻ってきたという感じだろうか。

そんなラモーンズも既にクラシック。初めてラモーンズを聴いた時は10代だった自分もすでに社会人や大学生の子供を持つオッサンだ。メンバーは解散後次々に亡くなり、もうオリジナル・メンバーは1人も存命していない。でもロックが存在する以上、ラモーンズが忘れられることは決してないのだ。

amazonにて購入(¥1,840)

  • CD  (2013/11/5)
  • Disc : 6
  • Format: Box Set, CD, Import
  • Label : Rhino
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Original Album Series / Buzzcocks

2019年12月05日 | パンク・ニューウェーヴ

Original Album Series / Buzzcocks (2014)

こういうまとめ買いはイケナイと分かっていてもつい手が伸びてしまう「Original Album Series」簡易紙ジャケCD5枚組。買い控えるどころか最近購入頻度が加速してしまっている(苦笑)。今回購入したのはバズコックス(Buzzcocks)。1976年セックス・ピストルズ(Sex Pistols)のライヴに感化され、すぐにバンド結成。もう翌年には一緒にツアーし、ファースト・アルバムを発表したという典型的なロンドン・パンクの”DIY(Do It Yourself)”型バンド。ハワード・ディヴォート(Howard Devoto・のちにMagazine結成)脱退後にヴォーカルを担当したギターのピート・シェリー(Pete Shelley)の飄々としたヴォーカルと、ギター中心にアイデア溢れるメロディー、胸にチクッと刺さるラヴ・ソングなど、現在のギター・ポップ・バンドのひな型と言っていい存在だ。このボックスに収録されているのは以下の5枚。

  1. Another Music In A Different Kitchen (1978)
  2. Love Bites (1978)
  3. Entertaining Friends (Live At The Hammersmith Odeon March 1979) (1992)
  4. A Different Kind Of Tension (1979)
  5. All Set (1996)

3枚目(ライヴ)と5枚目(再活動後のアルバム)以外のオリジナル・アルバムはアナログで所有しているが、どれもクオリティーが高くハズレ無し。どれだけ聴き倒したことか。40年以上経っても数多のバンドにリスペクトされ続ける至宝だ。ライヴ作品は90年代に入ってから発売されたものだが、当時(’79)発売されていたら良かったのにと思える安定の内容。彼らの場合、スタジオだろうとライヴだろうと終止テンションは変わらずいたってクールなので、物凄い名演というのも無いがハズレも無い。再活動後のオリジナル・アルバム「All Set」はさすがに印象に残る曲は少ないものの、今聴いても初期と変わらず聴いてすぐバズコックスだと分かるテクスチュアは見事。バズコックスのアルバムを聴いていると、若い頃に毎日のようにうろついていた西新宿の冬の夜景を思いだす(遠い眼…)。

オークションにて購入(¥1,045)

  • CD  (2014/6/10)
  • Disc : 1
  • Format: CD, Import
  • Label : Parlophone
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Every Move You Make : The Studio Recordings / The Police

2019年11月24日 | パンク・ニューウェーヴ

 

Every Move You Make : The Studio Recordings / The Police (2019)

完璧。駄作なし。ポリス(The Police)が発表した5枚のオリジナル・アルバムとアルバム未収録曲をまとめた1枚を含む6枚組CDボックス・セット。ファースト・アルバムが1978年、ラスト・アルバムが1983年だから、たった5年間の記録。もちろんアナログ盤(12インチ・シングル含む)で全部揃っているし、かつて1993年に「Message In A Box」(ジャケ写真下)というデジブック仕様4枚組で、B面などに収録されたライヴ音源も入った(ほぼ)全曲入りCDが発売されて、それも持っているから本来は必要ないボックス・セットだが、値段が安かったのでついポチっとしてしまった。

彼らを最初に聴いたのは1枚目と2枚目のアルバム。長兄のレコードだったと思うが小学生ながらよく聴いた(←マセガキ)。その頃には某地方Gテレビで夕方になぜかロックのPVが繰り返し繰り返し流れており、その中に彼らのクリップもあったと記憶している。当時はもちろんバックグラウンドなどは全く知らずに聴いていたので、レゲエを取り入れた音楽性とはいってもよく分かっておらず、自分で買ったラストの「Synchronicity」辺りで初めてどういうバンドなのかをちゃんと系統立てて把握することになった。”パンク”という括りで出てきた彼らだが、3人とも音楽的なキャリアはとうに確立されており、数多のパンク・バンドのようにその辺の街のあんちゃん達がバンドを組んだ訳ではなかったのだが、幸か不幸か”パンク&ニュー・ウェーヴ”という大きめの括りでは必ず入ってきた。

レゲエのリズムを取り入れた為、今でいう”文化の盗用”的な批判も多くあったと思う。でもそんな事言い始めたらクラッシュ(The Clash)らもそうなってしまうし、メジャーなバンドやアーティストもひとつの流行として多く取り上げられていたから言いがかりみたいなものだ(ストーンズなんて盗用しまくり・笑)。ただ彼らの場合、その取り入れ方が実に上手く、変幻自在でロックっぽくないスチュアート・コープランド(Stewart Copeland)のドラミング、プログレッシヴでドリーミーなディレイのかかったアンディ・サマーズ(Andy Summers)のギター、ハスキーでセクシーなスティング(Sting)のヴォーカルとシンプルながら意外と目立つベース。3ピースのそれぞれが抜群に個性的だった。メンバー間では様々な葛藤があったらしいが(特にスティングとコープランドの間で)、出来上がった作品はどれも素晴らしい。個人的には4枚目の「Ghost In The Machine」のヴォーカル・アレンジ等は気に入らないが、アルバム未収録曲でさえクオリティが高いのだから恐れ入る。唯一の汚点は86年に発表した再録音の「Don't Stand So Close To Me '86」ぐらいか(もちろんこのボックス・セットでは無視されている)。「De Do Do Do, De Da Da Da」の日本語ヴァージョンスペイン語ヴァージョンは…、やっぱり入ってないや(笑)。

「デ・ドゥ、ドゥ、ドゥ、デ・ダァ、ダァ、ダァ・ハ・オレ・ノ・コトバ・サ!」

amazonにて購入(¥2,500)

  • CD  (2019/11/15)
  • Disc : 6
  • Format: CD, Import
  • Label : A&M
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The Definitive Story Of CBGB : The Home Of U.S. Punk / Various Artists

2019年11月21日 | パンク・ニューウェーヴ

The Definitive Story Of CBGB : The Home Of U.S. Punk / Various Artists (2006)

ニューヨークのマンハッタン・バワリー地区にあったライヴ・ハウス「CBGB」にちなんだアーティストを集めた2枚組CD。「CBGB」はヒリー・クリスタル(Hilly Kristal)が1973年に開いたライヴ・ハウスで、正式名称は「CBGB & OMFUG (Country Bluegrass Blues and Other Music For Uplifting Gormandizers)」という(ちなみに2006年に閉業)。 当時の写真やフィルムを見ると本当に小さくて汚い店で、特に初期はステージなんて言えるほど立派な物も無いくらいの小屋。そこがいわゆる「ニューヨーク・パンク」の拠点となって数々の有名アーティストを輩出した。自分はテレヴィジョン(Television)、ラモーンズ(Ramones)、パティ・スミス(Patti Smith)、リチャード・ヘル(Richard Hell & The Voidoids)辺りからニューヨーク・パンクのアーティストを聴くようになったので、当然「CBGB」という名前を知るに至り、中古レコード屋で当時廃盤だった「Live At CBGB's(邦題:パンクロックの極致)」(ジャケ下)というオムニバス盤を結構な金額(¥8,000位だったか)を出して購入したこともある。

自分が漁っていた80年代後半ではまだまだ情報は少なく、映像は音とシンクロしていない白黒映画「Blank Generation」をVHSでチラッと見られるくらい(今では映像もネット上に沢山転がっている)、洋書(洋雑誌)も買ったけど読み切れず、後に発行された書籍「CBGB伝説」を読んで情報を整理、後追いするくらいだった。このCD2枚組に収録されているのは、

<Disc 1>

  • 1-01 Television - See No Evil
  • 1-02 Patti Smith - Piss Factory
  • 1-03 Johnny Thunders & The Heartbreakers - Born To Lose
  • 1-04 Blondie - X Offender
  • 1-05 Ramones - I Wanne Be Your Boyfriend
  • 1-06 Mink DeVille - Soul Twist
  • 1-07 The B-52's - Planet Claire
  • 1-08 James Chance & The Contortions - I Got You (I Feel Good) (Live)
  • 1-09 Destroy All Monsters - Bored
  • 1-10 Suicide - Cool As Ice
  • 1-11 The Cramps - Human Fly
  • 1-12 The Gun Club - Sex Beat
  • 1-13 Plasmatics - Butcher Baby
  • 1-14 Pere Ubu - Final Solution
  • 1-15 Mars - Helen Fordsdale
  • 1-16 Bad Brains - Pay To Cum
  • 1-17 Mumps - We Ended Up

<Disc 2>

  • 2-01 MC5 - Kick Out The Jams (Live)
  • 2-02 Iggy & The Stooges - Penetration
  • 2-03 New York Dolls - Jet Boy
  • 2-04 The Velvet Underground & Nico - Run Run Run
  • 2-05 Lydia Lunch / Teenage Jesus & The Jerks - Orphans
  • 2-06 The Shirts - Teenage Crutch
  • 2-07 The Runaways - Cherry Bomb
  • 2-08 Devo - Jocko Homo
  • 2-09 The Waitresses - I Know What Boys Like
  • 2-10 John Cale - Heartbreak Hotel
  • 2-11 Rocket From The Tombs - Never Gonna Kill Myself Again
  • 2-12 Dead Boys - Sonic Reducer (Live)
  • 2-13 The Electric Eels - Spin Age Blasters
  • 2-14 The Dictators - Next Big Thing (Live)
  • 2-15 Bush Tetras - Too Many Creeps
  • 2-16 Tuff Darts - Fun City
  • 2-17 Hilly Kristal / Mad Mordechai - Mud

という面々。1枚目はまあ妥当という感じ。2枚目の最初、MC5(フェードアウト…)やイギー、ヴェルヴェッツなどは年代的に実際にCBGBで演奏はしていないと思うが違うのかな。ひょっとするとソロ(イギー、ルー・リード、フレッド・スミスなど)での出演があったかも。権利の関係か、リチャード・ヘルとトーキング・ヘッズ(Talking Heads)が抜けているのはちょっと痛い。未発表音源でもあれば飛び上がる程うれしいが、収録されているのはスタジオ・テイクが主なので珍しい音源も無いだろう(未確認)。それでも90年代くらいまではパティ・スミスの1-02だってレア曲だったのだ。”No New York"の面々もラインナップされているは〇。このニューヨーク・パンクというムーヴメントはある一定の様式があった訳ではないので音楽性もファッションもバラバラだし、そもそも出演しているアーティスト達には”パンク・ロック”という意識はまるで無かったらしい。それはこれらの音源を聴いてもよく分かる。それでもこれだけのアーティストを集めるのはかなり大変だし、特に自分がアルバムを所有していないアーティストの曲が楽しめるのは有難い。各アーティストを端的にまとめたライナーノーツもいいし、この盤が90年代くらいまでに発売されていたら名コンピレーションと評されたろう。ニューヨーク・パンクに興味のある人なら必聴(←今の時代にそんな人いるのかな?・笑)。

オークションにて購入(¥880)

  • CD  (2006/10/24)
  • Disc : 2
  • Format: Import
  • Label : Salvo
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Rising Free : The Very Best Of TRB / Tom Robinson Band

2019年09月22日 | パンク・ニューウェーヴ

Rising Free : The Very Best Of TRB / Tom Robinson Band (1997)

セックス・ピストルズ(Sex Pistols)が登場した1976年に勃興したロンドンのパンク・ロック・ムーヴメント。ライヴを観に行った者が家に帰ってからバンドを始めるという”Do It Yourself”の精神であっという間に若者の間に蔓延した。そんなバンドの中で一風毛色が変わっていたトム・ロビンソン・バンド(Tom Robinson Band)。名前の通りリーダーはトム・ロビンソン。男っぽさを全面に出しているクラッシュ(The Clash)のようなバンドが多い中で、風貌もまじめだし、珍しく当時からゲイを公言していた。今でこそLGBTが一般的になってきたが、当時はまだまだ偏見の真っ只中。風当りも強かっただろうと想像出来る。

ロンドン・パンク、ニューヨーク・パンクにひと通りハマった自分だが、彼らのレコードはシングル盤を1枚持っているだけ。定評のあったファースト・アルバムも何故か買わなかった(クラッシュ推しだった自分にも偏見があったのかも)。このベスト盤は彼らの77~79年に発表した初期音源からコンパイルされたベスト盤。2曲(7、14)の未発表ライヴ曲が加えられている。”パンク”から想像するようなハードな音ではないのだが、ギターの音が心地よくコンパクトにまとまった曲群は、さしずめ今ならパワー・ポップとかギター・ポップと呼ばれるタイプ(そういう言い方ももう古いか…)。どの曲も出来が良く、こんなに自分にしっくりくるとは思わなかった。カヴァーもしているが、オリジナル曲でもディラン(Bob Dylan)の影響が強く感じられる。思うにパンク・ムーヴメント吹き荒れるイギリスで、そのジャンルに一括りにされてしまったのは、このバンドにとってちょっと不幸だったかもしれない。

オークションにて購入(¥425)

  • CD  (1997/6/16)
  • Disc : 1
  • Format : Import
  • Label : Caroline
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