今年最後の「THE世界遺産」(TBS)は、インドの「エローラ石窟群」でした。
一枚岩を地面にくりぬいて、そこに壮大なレリーフを施した建造物を作ってしまうという、「引き算の建築様式」。
エチオピアにも同様の建築様式がありますし、中国やアフガニスタン、日本においても、同様の建造物あるいは石窟が存在します。
しかし現代の建築は、無いものからあるものへと創造しようとするものばかり。
超高層ビルの乱立も然り、ドバイの建築ラッシュの蔭りなんかが、最近の「報ステ」で報告されていましたけれども、世界初とか世界最大とか、無尽蔵な欲望のままに作り上げてしまう世界というのは、有限な地球上においていつか頭打ちになることを無視しているのか。
はたまた本来持ち合わせていたその危機感が、科学技術の飛躍という陶酔のうちに麻痺させられてしまうものか。
その一方で、あるものから作り出すというのは、初めからその有限性を有効に使えるよう、計画的に計算して作り出さねばならない。
計算によって作り出されたものは美しく、世界もまた美しくなるのは先の例の真逆の論理か。
「引き算の建築様式」から見出されるその価値と美学を、引き算の資源利用や経済政策といったものに転用されれば、この世界遺産の価値はまたさらに高まる、だろうか。
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