「地球創生ミステリー マザー・プラネット」(TBS)を観ておりました。
TBSのドキュメンタリーは昔から定評があるとおり、実に好いですね。バラエティやボクシングはやめて、ドキュメンタリーの番組をもっと増やして欲しいと思うのですけれども、まぁそこまでは言わないでおきますか。
1978年、世界で初の「世界自然遺産」に登録された、ガラパゴス諸島。それから、30年。今や「世界危機遺産リスト」にも登録されてしまった。
危機遺産に登録されたのは、去年の7月。このとき、世界で初めて世界遺産登録抹消された自然遺産もありました。環境破壊が深刻化する中、毎年増え続けていた世界遺産が、日本の人口のようにやがて山場を迎えて現象の一途を辿る日が来るのではないだろうか、とそういう恐ろしいことすら頭を過(よぎ)るのです。
それにしても驚いた。まさかここまで、ガラパゴス諸島が危機的状況に陥っていたとは。これこそ正真正銘の「ダーウィンの悪夢」ではないか。
頻発するエルニーニョ現象により、海中の植物プランクトンが死滅、島は大飢饉に陥った。けれどもこれぞ生物進化の真髄、陸イグアナと海イグアナが交雑し、「ハイブリッド(交雑)イグアナ」なる「新種」が誕生した。エルニーニョくらいではへこたれない生命の強さは偉大だ。
けれども近年の地球温暖化は、それよりも激しい変化を引き起こす。最早それに生物は進化の速度を合わせることが出来なくなっている。
しかししかし、それだけには留まらない。いや寧ろ、それどころではない。
とある漁港で、地元民が魚を売る市場。その側でえさをねだる鳥たち。寝そべるアシカ。一見して、実に微笑ましい野生動物と人間との共生。けれども彼らはもう狩をする術を忘れ、野生で生き抜くことが出来ないのではないか、とも言われている。否、近所のネコを見ていれば分かるとおり、必ずしもその危惧は当たらないとは思うのだが。
とあるゴミ捨て場で。「進化論」の根拠となったフィンチが、残飯をあさっている。そのゴミ捨て場は、プラスチックや金属類も、ガンガン燃やされている。
ゴミが発生するのは仕方が無い、住んでいる人たちに、出て行けなんていうのはもってのほか。どの国の世界自然遺産にも、そういった悲劇が起きているからだ。ところが、ゴミが多く発生した原因というのが、観光客とそれを目当てに移住してくる人々の増加。
むむぅ、何だかどうにか出来そうに思えるではないか。何とかならんのか。
今回は凄まじく衝撃を受けた、内容でした。けれどもやはり、ガラパゴスというところは摩訶不思議、かつての生物屋は好奇心をそそられっ放しで、堪りませんでしたなぁ。