今回の「THE世界遺産」(TBS)は、
スウェーデンのヴァルベリ無線通信局でした。
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昔は巨大な装置だが、今は手のひらに収まる。
これはちょっと違うなと思いましたね。
巨大な機会と言っても、スウェーデンから
アメリカまで電波を飛ばすのに、
これだけの機械でいいのかと逆に驚いたもの。
アンテナはめちゃくちゃでかいのだけれども、
心臓部と言っている機械は蒸気機関車より全然小さい。
だからこの機械の開発者は
よほどの天才だったんだなと納得できる。
一転してケータイは、もちろんこんなに小さくなるのは
ものすごい科学技術の進歩だけれど。
ケータイの電波は数キロしか送信できなくて、
いくつもの中継局が運んでいるから
遠くへ届くわけでしょう。
今スウェーデンからアメリカまでメールを打とうものなら、
海底ケーブルを通じて送信されているわけでしょう。
施設の規模からいえば電波塔よりも相当でかい
インフラがあるから出来ること。
だから、こんなにシンプルな施設が、
直接電波を遠くまで届けられるなんて、
ケータイよりもすごいじゃないかと
思うのですがどうでしょうかね。
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1行、十数万円。
この条件で、遠く離れた人に
伝えたいことがある時。
何を綴ればいいのだろう。
20世紀初頭なのだから、手紙という通信手段はある。
安いし、はるかに多くの情報を詰め込むことが出来る。
ただし、遅い。数カ月かかる。
だから早く伝えたい。
わずか1日で伝えられる。
だが、高い。
節約のために1行で伝えないといけない。
さて何を語ろう。
今やメールで、事足りてしまう。
普段は特に1通のメールに
それほどの気を使わない。
何度でも送り返せる。
10分あれば表題は
Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:
とすることが出来る。
あろうことか今や、
本当にどうでもいい一瞬感じたことを、
140文字以内でいくらでも
垂れ流すように発信できる。
もはや1行に懸ける想いなんて
この世から切り捨てられてしまったかのよう。
1行の価値。
それを思い起こさせるのが
この通信施設保存の意義なのだと思える。
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モールス信号って、考えてみればこれって
デジタル通信よね。
だって電波のONとOFFの二進法の信号なんだから。
でもそれを発信するのは人間の手で、
受信して文字に変換するのは人間なのよね。
何というアナログなデジタル通信。
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世界遺産の中でも、産業遺産は特に好き。
なんかときめいちゃうね。
理系なのかな自分は。
4月7日に記す。