なんだこのラーメンは!
目の前に出されたその丼の中のスープは、
余りに透き通っていて美しかった。
一口、スープを飲む。
あっさりしていて、コクがある。
しかし、味が薄い。透明度を出すための
犠牲と思えば、やむを得ない、か。
ところが、スープの薄さは、計算だった。
まずは麺。コシがあり、驚くべきことに麺自体が
濃厚な味わいがあるのだ。
そして具材。チャーシュー、メンマ、
いずれも個性を主張した味わいなのだ。旨い。
つまり、麺や具材のおいしさを立てるために、
スープは敢えて薄めにこしらえてあったのだ。
これは…30分並んだ価値が十二分に
あるというものだ。
同期から珍しく、
「ラーメン食いに行こう」
という誘いを受けた。
普段は山行って蝶を撮ろうという誘い
が多いのだが、そういうのも面白いと思って、
群馬の高崎へと向かった。
開店1時間前。もう、2人並んでいる。
が、いくらなんでも早すぎるだろうと、
暫く周辺を散策。
30分後に戻ってきたら、なんと
12人くらい並んでいた。
慌てて列に並ぶ。その後ろにも
行列ができていく。
開店時間となり店の中へ。
カウンターの席数が限られており、
店内で待つことに。
先客の前に出される丼に、
「なんだありゃぁ!」と
ひそひそ声で驚嘆の意を同期に伝える。
もう、遠目に見ても凄さが分かった。
いやぁ、面白い体験をした。
ラーメン店に行列に並んでまで食べようとは
思っていなかったのだが、いざ食べてみると
その行列に納得した。なるほど、30分や1時間
並んででも食べたいものが、確かにあるものだと
つくづく感心した。