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蚊焼です。日記です。
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文化の日に、トルコ沖地震の文化財への被害を憂う

2020年11月03日 | 雑感散文

 10月30日、トルコ西部のイズミル沖で大地震が発生した。
4日経ち、徐々に被害の詳細が報じられつつある。
 被害は甚大だ。イズミルの中心地ではビルが崩壊し、
多くの死傷者が出ているという。

 また、沿岸の港町クシャダスなどが津波被害にあったようだ。



 2016年9月、沖合に浮かぶギリシャ領サモス島へ渡るため、
クシャダスを訪れていた。ここは露店のカフェやバーが並ぶ
賑やかな観光地だ。
 正直、ここで津波が発生するとは思えなかった。
内海だし、海も大変穏やかであった。その内海が
ピンポイントで狙われたように震源となってしまった。

 今は人命救助が最優先で、次に被災者への住居援助等が
優先されるのは当然だ。
 それから街の復興という算段となろう。建造物の再建や修復、
そして観光資源の復興。
 ここで気掛かりとなるのは、今回の震源にほど近い所にある
2つの世界文化遺産だ。



 そのひとつは、古代ローマ遺跡のエフェス(エフェソス)だ。
イズミルのメイン観光地といえるだろう。
 エフェスは古代ギリシャの植民都市であり、
アカイメネス(アケメネス)朝ペルシアの支配、
そしてアレクサンドリア大王の侵攻を経て、
古代ローマの都市として栄えた。



 もう一つは、先に述べたギリシャ領のサモス島にある
ピタゴリオとヘラの神殿だ。
 地図を見ると、なぜサモス島がギリシャ領なのかと思いたく
なるのだが、トルコ自体がペルシア帝国やローマ帝国になったり
オスマントルコになっては十字軍と対峙したり(貿易したり)と
歴史的にややこしいから、尚更わからない。



 日本では知る人ぞ知る、ピタゴラスの出身地だ。
これにちなんで「ピタゴリオ」に改称された小さな港町は、
世界遺産の登録範囲に含まれている。
 ピタゴリオとヘラの神殿は島の南東側にあり、
震源地である北側の沖からの津波は免れたかと思われるが、
被災状況はまだ伝わってこない。

 島の北に面する町では残念ながら死傷者が発生したという。
世界遺産ではないもののギリシャ正教会などが倒壊した。
それを言うなれば、フェリーの発着場であった対岸のクシャダスにも
要塞などの文化財が多数存在し、その被災状況も気掛かりだ。


 先に述べたように今は人命救助が最優先だが、
長い目で見て文化財修復も被災地の復興として重要なことだ。
 今の時点では文化財の被害状況は正教会の件しか
承知していないが、もし被害がほかの文化財にも
及ぶ事態となれば、修復のためにトルコやギリシャ以外の国も
支援を積極的に行う必要があると考える。

 ただでさえコロナ禍による観光客激減の中での
大地震は大きな痛手だ。復興を祈念したい。