10月30日、トルコ西部のイズミル沖で大地震が発生した。
4日経ち、徐々に被害の詳細が報じられつつある。
被害は甚大だ。イズミルの中心地ではビルが崩壊し、
多くの死傷者が出ているという。
また、沿岸の港町クシャダスなどが津波被害にあったようだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/1e/cc0ca3227ec294bf67a532786845661c.jpg)
2016年9月、沖合に浮かぶギリシャ領サモス島へ渡るため、
クシャダスを訪れていた。ここは露店のカフェやバーが並ぶ
賑やかな観光地だ。
正直、ここで津波が発生するとは思えなかった。
内海だし、海も大変穏やかであった。その内海が
ピンポイントで狙われたように震源となってしまった。
今は人命救助が最優先で、次に被災者への住居援助等が
優先されるのは当然だ。
それから街の復興という算段となろう。建造物の再建や修復、
そして観光資源の復興。
ここで気掛かりとなるのは、今回の震源にほど近い所にある
2つの世界文化遺産だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/91/decc460a126066a7c8abef9dc4e7af67.jpg)
そのひとつは、古代ローマ遺跡のエフェス(エフェソス)だ。
イズミルのメイン観光地といえるだろう。
エフェスは古代ギリシャの植民都市であり、
アカイメネス(アケメネス)朝ペルシアの支配、
そしてアレクサンドリア大王の侵攻を経て、
古代ローマの都市として栄えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/49/c9ef6189a0f246d6a50d2f3d97b159ca.jpg)
もう一つは、先に述べたギリシャ領のサモス島にある
ピタゴリオとヘラの神殿だ。
地図を見ると、なぜサモス島がギリシャ領なのかと思いたく
なるのだが、トルコ自体がペルシア帝国やローマ帝国になったり
オスマントルコになっては十字軍と対峙したり(貿易したり)と
歴史的にややこしいから、尚更わからない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/6c/5191d949f262442f7df3fd54ee66b7e8.jpg)
日本では知る人ぞ知る、ピタゴラスの出身地だ。
これにちなんで「ピタゴリオ」に改称された小さな港町は、
世界遺産の登録範囲に含まれている。
ピタゴリオとヘラの神殿は島の南東側にあり、
震源地である北側の沖からの津波は免れたかと思われるが、
被災状況はまだ伝わってこない。
島の北に面する町では残念ながら死傷者が発生したという。
世界遺産ではないもののギリシャ正教会などが倒壊した。
それを言うなれば、フェリーの発着場であった対岸のクシャダスにも
要塞などの文化財が多数存在し、その被災状況も気掛かりだ。
先に述べたように今は人命救助が最優先だが、
長い目で見て文化財修復も被災地の復興として重要なことだ。
今の時点では文化財の被害状況は正教会の件しか
承知していないが、もし被害がほかの文化財にも
及ぶ事態となれば、修復のためにトルコやギリシャ以外の国も
支援を積極的に行う必要があると考える。
ただでさえコロナ禍による観光客激減の中での
大地震は大きな痛手だ。復興を祈念したい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/b4/ac430cf0aadb005d319a89906888c2e7.jpg)