今宵放送されたNHK教育のETV特集「基地を笑え~人気舞台でみる沖縄のホンネ~」が、なんたかとても刺激的で面白かったです。
沖縄の基地問題をはじめとした様々な問題が、どうも「本土」の人たちにはズレて解釈されているらしい。そのギャップを笑いにしているという発想が、とても印象深かったです。
例えば基地移転の問題で、中心街では「右翼の軍歌」から「左翼のシュプレヒコール」まで、喧々囂々とした音に包まれているのを見て、
「まるでコントですよね」
と語る沖縄の芸人さんに、成る程賛同してしまいました。
笑いは、ズレの発生とか間逆の融合など、「ありえないような」ギャップに気がついて発生するもの、であると思います。そんなとき、まさに間逆の政治思想を持った人たちが一同に集結するという、考えてみれば滑稽なこの状況はまさに、笑い話であるなぁと思いました。
それも、両者は「本土」からの人たちばかりで住民は遠くから眺めているという光景と、両翼の喧騒が空軍ヘリよりもうるせぇ、という本末転倒な様は、まさによく出来た笑い話だ、と思いました。
「本土」でも現地でも、米軍基地問題については賛否両論。あえてここで、どちらがどうだということは申しますまい。
けれども、「本土」の人たちは、米軍基地を政治の手段や社会思想という鏡で越して見ているようです。国益に叶うから賛成、反するから反対、のように。
そこには完全に、その地域に住む人たちの生活のことを忘れ去ってしまっているわけでしょう。地域活性化のために賛成とか、水産業確保のために反対など、生活に直結する話が、忘れ去られているようです。
あえて言えば前者は「マクロ」の視点、後者は「ミクロ」の視点とでもいえましょうか。この両者の視点を持ってして、問題というものは論じてゆかなくてはならないなと思いました。
これは基地問題に限ったことではありません。いやむしろ、沖縄には世界中の全ての問題が集積されているようにすら思えてしまいました。
経済発展の中で「お金」に対する考え方の問題や、観光産業の発展でその土地の文化が誇張されるなど「違和感」が生じる問題など、本当に数多くの問題が山積しているように思えました。
観光の問題なんて、日本ではそこら中にあるではないですか。お客を惹き付ける為にネオンをピカピカさせたり、何かに似ているキャラクター人形を置いたり。一番懸念することは、外部の人の「勝手なるイメージ」に反してがっかりさせないように、そのイメージに添った街づくりをしたり。例えば番組中に出たのは、南国感を出すために商店街を色とりどりに装飾したり。
尤も観光客の「期待」という功罪こそ、考えねばならないのでしょうがね。
世の中には笑えない事件とか、不条理が蔓延っています。
けれども同時に滑稽なものとして大いに笑える。本人は「寿限無寿限無…」と一生懸命に覚えども。もちろん本人にとっては、至極真剣な話であるし、陽気に笑っている場合ではないのだが。
笑い飛ばすというのは、これ以上無い処世術、若しくは問題解決作なのかもしれない、と思いました。