ー大統領の執事の涙ーLEE DANIELS' THE BUTLER
2013年 アメリカ 132分
リー・ダニエルズ監督 フォレスト・ウィテカー(セシル・ゲインズ)オプラ・ウィンフリー(グロリア・ゲインズ)ジョン・キューザック(リチャード・ニクソン)ジェーン・フォンダ(ナンシー・レーガン)キューバ・グッディング・Jr(カーター・ウィルソン)テレンス・ハワード(ハワード)レニー・クラヴィッツ(ジェームズ・ホロウェイ)ジェームズ・マースデン(ジョン・F・ケネディ)デヴィッド・オイェロウォ(ルイス・ゲインズ)ヴァネッサ・レッドグレーヴ(アナベス・ウェストフォール)アラン・リックマン(ロナルド・レーガン)リーヴ・シュレイバー(リンドン・B・ジョンソン)ロビン・ウィリアムズ(ドワイト・アイゼンハワー)クラレンス・ウィリアムズ三世(メイナード)ヤヤ・アラフィア(キャロル・ハミー)ミンカ・ケリー(ジャッキー・ケネディ)ネルサン・エリス(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア)マライア・キャリー(ハッティ・パール)アレックス・ペティファー(トーマス・ウェストフォール)
【解説】
実在したホワイトハウスの黒人執事の人生をモデルにしたドラマ。奴隷から大統領執事となり、7人の大統領に仕えた男の波乱に満ちた軌跡を追う。主演を務める『ラストキング・オブ・スコットランド』などのフォレスト・ウィテカーを筆頭に、ジョン・キューザック、ジェーン・フォンダ、テレンス・ハワードなどの実力派が結集。メガホンを取るのは、『プレシャス』などのリー・ダニエルズ。濃密なドラマとストーリー展開に加え、アメリカ近代史を見つめた壮大な視点にも引き込まれる。
【あらすじ】
綿花畑で働く奴隷の息子に生まれた黒人、セシル・ゲインズ(フォレスト・ウィテカー)。ホテルのボーイとなって懸命に働き、ホワイトハウスの執事へと抜てきされる。アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、フォードなど、歴代の大統領に仕えながら、キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争といったアメリカの国家的大局を目の当たりにしてきたセシル。その一方で、白人の従者である父親を恥じる長男との衝突をはじめ、彼とその家族もさまざまな荒波にもまれる。(シネマトゥデイ)
【感想】
驚きに満ちた作品でした。
こんなに最近まで黒人差別は熾烈だったし、それでもアメリカは大統領にオバマという黒人を選んだ。
人々のエネルギーや歴史の重さというものを感じる作品でした。
綿畑の奴隷のような待遇の使用人の子供として生まれ、綿畑で両親とともに働いていたセシル・ゲインズ(フォレスト・ウィテカー)。
母親が主の姓の奴隷となっていることを知り、それに対して声をかけた父親が目の前で射殺される。
その傍若無人にも、抗議することも悲しむこともできない。
茫然とするセシルに女主人(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)が声をかけた。
「ハウスニガーにおなり」
しかし、父親を射殺した主人は、セシルに敵対の目を向けていた。
ここにいると殺されると思ったセシルは、ある日お屋敷を出た。
母は、廃人のようになっていた。
お屋敷を出たセシルに、世間はさらに過酷だった。
仕事も拠り所もない黒人に仕事などなかった。
お腹をすかせて盗みに入ったホテルで、バーテンの老黒人に助けてもらい、執事見習いとしていろんなことを教えてもらった。
あるとき、ワシントンの一流ホテルから執事にと声がかかり、セシルはワシントンへ向かった。
ワシントンのホテルでは、その誠実な働きぶりを評価され、メイドをしていたグロリア(オプラ・ウィンフリー)と結婚し、二人の男の子にも恵まれ、幸せだった。
セシルの評判を聞いたホワイトハウスの人事を任されている人が、セシルをホワイトハウスの執事に雇い入れた。
ホワイトハウスの仕事は忙しく、秘密ばかりで、家庭を顧みる余裕がなくなった。
グロリアは酒に溺れ、長男のルイス(デヴィッド・オイェロウォ)は黒人解放運動にのめりこんでいった。
☆ネタバレ
7人の大統領に仕えたセシル。
でも、黒人執事は白人のスタッフの給料の半額、管理職への昇進の道もありませんでした。
それでも、社会運動をする我が子との確執は深まるばかり。
ルイスの身が心配な一心で、彼の行動に理解が及ばなかったのですね。
次男はベトナム戦争で帰らぬ人となり、セシルの考えも少しずつ変わっていきます。
やがて、ホワイトハウスを辞め、ルイスの行っているデモ行進に参加するセシル。
この親子の和解が心を揺さぶります。
そして、グロリアも失ったセシルですが、家族と共にオバマに応援をする姿で映画は終わっています。
セシルの半生、長い年月ですが、うまくまとめてありました。
大統領やその妻を演じた俳優たちも、あまり似ていないけど楽しめました。
しかし、アメリカがここまで来るまでの長い道のりや多くの犠牲を考えると、やはり複雑な気分になります。
オススメです。