マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

小さいおうち

2014-02-01 13:38:51 | 映画ー劇場鑑賞

ー小さいおうちー

2013年 日本 136

監督=山田洋次 原作=中嶋京子 キャスト=松たか子(平井時子)黒木華(布宮タキ)片岡孝太郎(平井雅樹)吉岡秀隆(板倉正治)妻夫木聡(荒井健史)倍賞千恵子(布宮タキ(平成))橋爪功(小中先生)吉行和子(小中夫人)室井滋(貞子)中嶋朋子(松岡睦子)林家正蔵[9代目](治療師)ラサール石井(柳社長)あき竹城(カネ)松金よね子(花輪の叔母)螢雪次朗(酒屋のおやじ)市川福太郎[3代目](平井恭一(少年期))秋山聡(平井恭一(幼年期))笹野高史(花輪和夫)小林稔侍(荒井軍治)夏川結衣(荒井康子)木村文乃(ユキ)米倉斉加年(平井恭一(平成)

 

【解説】

143回直木賞を受賞した中島京子の小説を、名匠・山田洋次が実写化したラブストーリー。とある屋敷でお手伝いさんだった親類が残した大学ノートを手にした青年が、そこにつづられていた恋愛模様とその裏に秘められた意外な真実を知る姿をハートウオーミングかつノスタルジックに描き出す。松たか子、黒木華、吉岡秀隆、妻夫木聡、倍賞千恵子ら、実力派やベテランが結集。昭和モダンの建築様式を徹底再現した、舞台となる「小さいおうち」のセットにも目を見張る。

 

【あらすじ】

健史(妻夫木聡)の親類であった、タキ(倍賞千恵子)が残した大学ノート。それは晩年の彼女がつづっていた自叙伝であった。昭和11年、田舎から出てきた若き日のタキ(黒木華)は、東京の外れに赤い三角屋根の小さくてモダンな屋敷を構える平井家のお手伝いさんとして働く。そこには、主人である雅樹(片岡孝太郎)と美しい年下の妻・時子(松たか子)、二人の間に生まれた男の子が暮らしていた。穏やかな彼らの生活を見つめていたタキだが、板倉(吉岡秀隆)という青年に時子の心が揺れていることに気付く。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

予告編を見ると、なんか深刻な不倫話みたいな印象でしたが、そのこと自体は、もっとたわいないお話でした。

それより、山田洋次監督が言いたかったことは、戦争の残酷さだと思いました。

よくできた作品でしたよ。

オススメです。

 

お話は、タキ(倍賞千恵子)が一人暮らしで亡くなったというお葬式のシーンから始まりました。

タキが残した大学ノートと、封を開けていなくて宛名もない封筒。

  タキ(倍賞千恵子)

大学ノートは甥の健史(妻夫木聡)がタキに勧めて書かせた自伝。

タキは18歳のときに山形から女中奉公のために東京に出て来た娘だった。

昭和10年のことだった。

 

最初は小説家の小中先生(橋爪功)の所で働いていたが、その先生の奥様(吉行和子)の親戚筋に当たる平井雅樹(片岡孝太郎)と美しい年下の妻・時子(松たか子)の家で働くこととなった。

平井家は、印象的な赤い屋根のある小さな家だった。

 

 平井夫婦

平井夫婦には恭一という幼い息子がいた。

恭一がポリオにかかり、足がマヒしてしまった。

その足を治すために、タキは一生懸命看病して、1年後、恭一の足は歩けるように回復した。

 

平井家の主、雅樹は玩具メーカーの重役だった。

日清事変が始まったものの、日本国内はまだまだ戦争への気運は高まっていなかった。

 

あるお正月、会社の人たちが平井家に集まって新年会をやっているところに、新入社員のデザイナー板倉(吉岡秀隆)が呼ばれてやって来た。

 

☆ネタバレ

板倉も東北の出身で、タキも板倉が気に入ったが、時子もいい印象を持ったようだった。

板倉に見合い話があり、それをまとめるように雅樹は時子に言いつけた。

板倉は固辞していたが、時子はタキを伴って板倉の下宿に出かけ、その後も一人で板倉の下宿に行くようになり、説得を続けていた。

 

それを出入りの酒屋に見られたこともあり、タキはひやひやしていた。

そんなとき、板倉の元に召集令状が届いた。

 

一言お別れにと、板倉の元へ行こうとする時子を、必死の思いでタキは引き止めた。

「手紙を書いたら、私が届けるから、来てもらいましょう」

タキは手紙を持って出かけたが、板倉は来なかった。

 

その後、戦争は激しくなり、お手伝いを置くのは贅沢と言われ、タキは故郷に帰った。

東京大空襲で、平井夫婦は防空壕の中で亡くなった。

二人は抱き合っていたという。

 

そこで、タキの手記はここで終わっていた。

タキは「長く生き過ぎた」と号泣した。

 

☆ネタバレのネタバレ

東京で社会人として働き出した健史。

あるとき、「イタクラショージ」という童話作家の存在を知る。

記念館へ行くと、赤い屋根の家の絵が飾ってあった。

家の前には時子とタキの姿が描かれてあった。

 

そして、イタクラショージは生前、その家の息子と親交があったという。

健史は、恭一(米倉斉加年)が存命していることを知り、さっそく訪ねる。

 

そして、タキの残した封の切っていない封筒を恭一に許しを得て開けた。

 

そこには「きっと来てください」という時子の切羽詰まった思いが書かれていた。

タキは、この手紙を板倉に届けなかったのだ。

それが、タキの涙の理由。

「この年で母の不倫を知るとは…」と恭一はつぶやいた。

 

罪を背負って、一生結婚しなかったタキの人生。

板倉も結婚しなかったそうです。

人と人の絆を断ち切ってしまったものが、戦争です。

 

「少年H」を見たときも思いましたが、戦前の人々のおおらかさやつながりの豊かさを知るほどに、戦争の残酷さが伝わってきます。

 

タキも板倉のことが好きだったんじゃないかなあ。

そしても奥様のことも大好き。

その狭間で揺れて、小さな心を痛めたことが、とてもよくわかりました。

一生苦しんだんだものね。

いい人だなあ。

 

せめて、タキの命のあるうちに恭一と会えていたら、タキの罪の意識も少しは和らいだのではないかと思いました。

 

たわいのない生活をこんなに素敵に描けるなんて、やはり山田洋次監督はただ者ではないわ。

 

ラストで出てくる米倉斉加年さん、圧巻の演技でした。

泣いてしまいましたよ。

 

松たか子さんの着物や帯、すごくかわいかった。

着物っていいなあと思いました。

 

いい俳優がそろい、いい映画でしたよー。

 

きっと、うまくいく

2014-02-01 12:25:04 | 映画ーDVD

ーきっと、うまくいくー3 IDIOTS

2009年 インド 170

ラージクマール・ヒラニ監督 アーミル・カーン(ランチョー)カリーナ・カプール(ピア)R・マドハヴァン(ファラン)シャルマン・ジョシ(ラージュー)

 

【解説】

インドで製作された、真の友情や幸せな生き方や競争社会への風刺を描いたヒューマン・ストーリー。入学したインドのエリート大学で友人たちと青春を謳歌(おうか)していた主人公が突然姿を消した謎と理由を、10年という年月を交錯させながら解き明かしていく。主演は、ボリウッド映画の大スターであるアーミル・カーン。『ラ・ワン』のカリーナー・カプールがヒロインを務める。抱腹絶倒のユーモアとストレートな感動を味わうことができる。

 

【あらすじ】

行方不明だったランチョー(アーミル・カーン)が街に戻ってくると聞き、ファルハーン(マドハヴァン)とラージュー(シャルマン・ジョシ)は母校に向かう。10年前、三人は名門大学の学生だった。真っすぐなランチョーは異議があれば学長にすら物申し、好きなことに打ち込んでいた。しかし、ランチョーと学長の娘・ピア(カリーナー・カプール)が接近したことから、3人は卒業目前で退学を言い渡されてしまう。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

これはチョーオススメ作品。

こういう映画に出会うために、日々たくさん映画を見てる気がする。

とにかくすごい。

インド映画の集大成、最高峰じゃないかしら?

夫も大絶賛。

スピルバーグも大絶賛しているらしい!!

 

始めっから、インド映画らしい無理無体。

飛行機に乗り込んだばかりのファルハーン(マドハヴァン)に、なにやら電話がかかって来た。

離陸するんだから、携帯切らなあかんでしょう、と思っていたら、ファルーンは心臓マヒを起こしたみたいに倒れてしまった。

飛行機は引き返し、ファルーンは車椅子で運ばれていく。

目を開けて、やおら、立ち上がったファルーン。

あとは、一目散に逃げる逃げる。

 

旅行客とだましてリムジンを捕まえると、まずはラージュー(シャルマン・ジョシ)のマンションに寄り、ラジューを拾って母校の工科大学へ。

その屋上で待っていたのは、探していた親友ランチョー(アーミル・カーン)ではなく、憎き宿敵、チャトゥルだった。

チャトゥルは、ランチョーの居場所を見つけたと言う。

「自分はランチョーと出世競争をして、10年後の9月5日にここで会おうと約束した。その約束を果たすんだ!!」

3人は、チャトゥルの車でランチョーがいるという町へ向かった。

 

ファルーンたちが大学生だった頃、ファルーンとラージューとランチョーは尞が同室ですぐに仲良くなった。

ランチョーは不思議な学生で、成績抜群なのに、いつも先生が叱るような言動をして、教室から退室させられていた。

一方、ファルーンとラージューは、成績最低で、この3人は学長にまで目をつけられる劣等生だった。

これが原題の「3 IDIOTS」3バカと呼ばれる。

 

優等生のチャトゥルは、いつもランチョーに負けて1番が取れないことが悔しくてならなかった。

 

学長は学力至上主義者で、成績がよくて、良い会社に入り、出世する生徒を作り出そうとしていたが、3バカは、学長の神経を逆撫ですることばかりやっていた。

 

あるとき、ランチョーは学長の娘ピア(カリーナ・カプール)と出会い、二人は恋をする。

 

☆ネタバレ

インド映画らしい、歌とダンスシーンも満載。

170分と長丁場ですが、まったく飽きることはありません。

これでもか、というほど事件があり、そのたびにランチョーは「All Izz Well(All is Well=うまくいく)」という魔法の言葉を唱えて、スーパーマンのように解決していきます。

 

もともと工学は苦手で、動物写真家になりたかったファルーンに、両親を説き伏せる勇気を与えた。

貧困の中でラジューをエリートにしたい、と過度の期待をかける家族のプレッシャーから解放して、ラジュー本来の実力を取り戻させた。

 

そして、天敵のような学長も、ランチョーの人間力に感服する出来事がありました。

 

ランチョーは工科大学を主席で卒業しました。

しかし卒業式の後、ランチョーはこつ然と姿を消したのです。

ピアはもちろん、親友たちがどんなに探しても、ランチョーは見つからなかったのです。

 

そして、10年後の今、ランチョーが見つかったと言う。

着いたところは、丘の上のお屋敷。

この屋敷の主人の葬式が盛大に行われていた。

跡継ぎの男がランチョーだと言う。

しかし、それは似ても似つかぬ別人だった。

 

その男が言うには、探しているランチョーはこの屋敷の庭師の息子で、小さい時から近くの学校に潜り込んで勉強していたが、ある日おとなに見つかりばれてしまった。

しかし、その少年のあまりのできの良さに、屋敷の主人が学校へ行くことを許し、工科大学へも、学位を取るために息子の身代わりとして送り込んだのだった。

 

そして、地方の小学校に探しているランチョーがいることがわかった。

「ピアも知っているのだろうか?」

ピアに連絡したら、いまから結婚式だと言う。

それはたいへん!今からなら間に合うと、チャトゥルを縛り上げて、ピアの元へ。

結婚式場からピアを連れ出して、ランチョーのいるという小学校へ。

果たして、ピアたちはランチョーに会えるのか?

 

というお話。

インド映画お約束の歌とダンスも最高。

青春映画みたいに友情物語が爽やか。

二人の恋愛シーンもユーモアいっぱい、ラブコメみたい。

 

でも、エリート主義から落ちこぼれて、傷ついて自殺する学生。

カースト制度の中で勉強できる環境にいない子供たち。

そういう弱い立場の若者の問題意識を持って描いているところが、この映画のすごいところでした。

 

キャストも素敵。

これは、これは、すごい映画に出会ってしまった!!

 


奇跡のリンゴ

2014-02-01 11:30:15 | 映画ーDVD

ー奇跡のリンゴー

2013年 129

監督=中村義洋 キャスト=阿部サダヲ(木村秋則)菅野美穂(木村美栄子)池内博之(もっちゃん)笹野高史(深津)伊武雅刀(三上幸造)畠山紬(雛子)渡邉空美(咲)小泉颯野(菜ツ子)原田美枝子(三上葺子)山崎努(木村征治)

 

【解説】

『ポテチ』の中村義洋がメガホンを取り、『舞妓 Haaaan!!!』の阿部サダヲと『ジーン・ワルツ』の菅野美穂が夫婦を演じた感動作。石川拓治原作のノンフィクションを基に、夢物語だといわれていたリンゴの無農薬栽培を成し遂げた農家の苦難の道のりを映し出す。笹野高史や伊武雅刀、原田美枝子や山崎努らベテラン俳優たちが豪華共演。実話をベースに描かれる、地道な研究から奇跡を成し遂げた家族の波瀾(はらん)万丈の生きざまに感極まる。

 

【あらすじ】

1975年、秋則(阿部サダヲ)は青森県弘前市で妻の美栄子(菅野美穂)と共にリンゴを栽培していた。彼は、年に十数回にわたり散布する農薬が原因で皮膚に異常をきたしてしまい、寝込むこともある妻の体を心配して無農薬でリンゴを育てることを心に誓う。だが、農薬を使わないリンゴ栽培はその当時「神の領域」ともいわれ、実現するのは絶対無理だと思われており……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品の主人公、木村秋則さんは有名人なんですね。

画像検索したら、たくさん出てきました。

歯のないお口で笑う顔が印象的な方ですね。

 

この作品は、事実が元に作られているだけあって、なかなか説得力もあり、キャストもよく楽しく見られました。

リンゴ農家のご苦労、常識や常道を覆すことの大変さなどが、伝わってきました。

木村さんが、ここまで頑張られたのも、妻への愛情、家族への思いがあったからなのですね。

 

リンゴ農家の次男として生まれた秋則(阿部サダヲ)は、高校卒業後東京で会社員として働くが、ある収穫時に帰省して、同じくリンゴ農家の一人娘美栄子(菅野美穂)とお見合いをして木村家の養子に入った。

 

リンゴの育て方はとても難しい。

外国からリンゴが入って来たときは日本全国で作られたが、その難しさにどんどん諦めていった。

その中で残ったのが弘前。

津軽人持ち前の粘り強さで、リンゴを特産物に育て上げた。

 

しかし、リンゴを立派に育てるためにはたくさんの農薬がいる。

美栄子は農薬アレルギーで、農薬をまくたびに辛い思いをしていた。

秋則は、そんな妻を気遣い、農薬なしでリンゴを育てる研究を始めた。

 

しかし、その道は険しかった。

畑を手放し、冬は出稼ぎに出かけ、一家はどんどん貧乏になっていった。

村八分にもなった。

それでも、舅の征治(山崎努)は協力を惜しまず、家族も秋則を信じていた。

 

秋則は、そんな中でどんどん追いつめられていった。

異常な行動が目立ち、ある日とうとう、死ぬことを思い詰めて山の中へ入っていった。

そして、そこで目にしたものは…!

 

☆ネタバレ

無農薬リンゴがいいか悪いかと言う話ではありません。

木村さんはただ、農薬アレルギーの妻を苦しませるのがしのびなかったということなんだろうと思いました。

 

娘の雛子が「なんのために貧乏して来たんだ!」と父を叱咤するシーンがありますが、この無謀とも思える挑戦を支えたのも家族でした。

舅の征治も、娘見栄子のために努力している木村さんを止められなかったのでしょう。

 

成功物語なので、安心して見てられますが、1歩間違えば自殺もあったのですから、怖いお話とも言えます。

 

キャストと演出に救われて、とてもいい作品に仕上がっていました。

おいしいリンゴが食べたくなる、素敵な作品でした。