ートウキョウソナター
2008年 日本/オランダ/香港
監督=黒田清 キャスト=香川照之(佐々木竜平)小泉今日子(佐々木恵)小柳友(佐々木貴)井之脇海(佐々木健二)井川遥(金子先生)津田寛治(黒須)児嶋一哉(小林先生)役所広司(泥棒)
【解説】
東京に暮らす、ごく普通の家族がたどる崩壊から再生までの道のりを、家族のきずなをテーマに見つめ直した人間ドラマ。『回路』などで知られる黒沢清監督が、累積したうそや疑心暗鬼などにより、ありふれた家庭を壊していくさまを現代社会を映す鏡として描く。リストラを家族に言えない主人公を香川照之が好演するほか、小泉今日子、役所広司ら実力派が脇を固める。日本が直面している社会問題を、独特の緊迫感でサスペンスフルに描く黒沢の演出に注目。(シネマトゥデイ)
【あらすじ】
仕事に没頭する毎日を送っている平凡なサラリーマンの佐々木竜平(香川照之)は、ある日突然、長年勤め上げた会社からリストラを宣告されてしまう。一方、世の中に対して懐疑的な心を持っている長男・貴(小柳友)は家族から距離を置くようになり、一家のまとめ役だったはずの妻・恵(小泉今日子)にも異変が起き始めていた。(シネマトゥデイ)
【感想】
従妹に誘ってもらって、郊外の名画座まで見に行きました。
宝塚にあるピピアという映画館。
個性を出した作品のチョイスで存在感を示しています。
この映画、「東京」とはパラレルワールドの「トウキョウ」のある家族の物語と思ってみると、なかなか面白かったです。
リストラされたお父さん(香川照之)、運転免許を取ったお母さん(小泉今日子)、個人の幸せより、日本人みんなの幸せのためにと、アメリカの軍隊に入隊した大学生だけど未成年の長男(小柳友)、親に内緒でピアノを習っている小学5年生の次男(井之脇海)の4人家族のお話。
どこがパラレルワールドなのかと言うと、いろいろ現実とは違う設定もたくさんあるのですが、特にクライマックスで、それぞれに起こるある夜の出来事がとても不幸なファンタジーです。
☆ネタバレ
その中でもお母さんに起こる出来事がすごい。
その日の午後、突然佐々木家にピッキング泥棒(役所広司)が入ります。
家の中で母の恵は泥棒に出くわし、縛られてお金を要求されますが、現金がないと言うと、泥棒は諦めて覆面を外し家を出ようとします。
そこへパトカーのサイレン。
泥棒は家の中に引き返し、恵に顔を見られてしまいます。
泥棒は恵を連れ出し、人質にして逃げることにしました。
逃走に使う車は、盗んだプジョーのオープンカー。
恵が欲しかった車でした。
運転するように言われ、夫の竜平が掃除夫をしているスーパーへ立ち寄りました。
夫と顔を合わせても、夫は逃げて行きました。
実は彼、トイレで大金を拾って葛藤していたのです。
そんなことにも動じないで、恵は車の屋根を広げて、泥棒とドライブに出かけました。
この泥棒もまた、人生に行き詰まり、絶望しかけている人でした。
着いたところは海。
「やり直したい」とつぶやきながら、泥棒と一夜を共にする恵。
朝起きてみると、泥棒は車ごと海の中に消えていました。
恵は歩き出し、やがて我が家へ。
すでに帰っていた次男。
彼は、無銭乗車がみつかり、一晩中拘置所に入れられていたのでした。
朝食を作り始める恵。
そこへ、夫も帰ってきました。
夫もやはりやり直したい」とつぶやきながら、夜の街をさまよい、車にはねられて気を失っていたのでした。
拾ったお金を遺失物ロッカーに入れ、やっと帰る気持ちになったのでした。
大きな秘密を胸に、何事もなかったかのように朝食を食べる3人。
一緒にご飯を食べたら、心もつながるということではなさそうですが。
家族なのに、一番他人みたいな家族のお話でした。
特に、このお母さんが不思議。
私なら、長男がアメリカの軍隊に入るなんて、絶対阻止だなあ。
「私を蹴飛ばしてから行け」くらいのことは言いそうだなあ。
次男のピアノにしたって、どんなに彼が望んでいるか、もう少し、思いやってあげれるんじゃないかなあ?
夫のリストラを知っても、知らん顔のできる人。
こんなに冷静で、こんなに感情のない母親って、すごーく不思議でした。
オープニングの、大雨の日にいったん閉じた窓を開けた時から、彼女も中から変わり始めていたのでしょうね。
家族のためだけにいた自分から、自分のために何かをする自分に。
「引っ張ってー」と言っていたのは、夫に言ってたみたいだったけど、誰でもよかったのかなあ?
彼女を引っ張ったのは、泥棒だったけど、それでもよかったのか?
そこまで、夫に失望していたのかなあ?
だから、見ず知らずでしかも泥棒と逃避行に出たのか?
でも、結局、何事もなかったかのように、再び家庭に戻ったのね。
すごい人だなあ。
まあ、この人なら、この先なにがあってもやって行けそうだけど。
この映画のポイントはここかしら?
お父さんは「こんな人いそうだ」と思える感じで、一番リアルでした。
香川照之が、うまい。
平凡で、なんの魅力もない主人公に、命を吹き込んでいました。
役所広司も、難しい時間帯で登場して、インパクトのある演技で世界観を変えることに成功しました。
ほんと、うまい。
この家族、次男の才能のお陰で、また絆を取り戻したようだけど、リアルな世界では、とっくに壊れている家族だと思いました。
2008年 日本/オランダ/香港
監督=黒田清 キャスト=香川照之(佐々木竜平)小泉今日子(佐々木恵)小柳友(佐々木貴)井之脇海(佐々木健二)井川遥(金子先生)津田寛治(黒須)児嶋一哉(小林先生)役所広司(泥棒)
【解説】
東京に暮らす、ごく普通の家族がたどる崩壊から再生までの道のりを、家族のきずなをテーマに見つめ直した人間ドラマ。『回路』などで知られる黒沢清監督が、累積したうそや疑心暗鬼などにより、ありふれた家庭を壊していくさまを現代社会を映す鏡として描く。リストラを家族に言えない主人公を香川照之が好演するほか、小泉今日子、役所広司ら実力派が脇を固める。日本が直面している社会問題を、独特の緊迫感でサスペンスフルに描く黒沢の演出に注目。(シネマトゥデイ)
【あらすじ】
仕事に没頭する毎日を送っている平凡なサラリーマンの佐々木竜平(香川照之)は、ある日突然、長年勤め上げた会社からリストラを宣告されてしまう。一方、世の中に対して懐疑的な心を持っている長男・貴(小柳友)は家族から距離を置くようになり、一家のまとめ役だったはずの妻・恵(小泉今日子)にも異変が起き始めていた。(シネマトゥデイ)
【感想】
従妹に誘ってもらって、郊外の名画座まで見に行きました。
宝塚にあるピピアという映画館。
個性を出した作品のチョイスで存在感を示しています。
この映画、「東京」とはパラレルワールドの「トウキョウ」のある家族の物語と思ってみると、なかなか面白かったです。
リストラされたお父さん(香川照之)、運転免許を取ったお母さん(小泉今日子)、個人の幸せより、日本人みんなの幸せのためにと、アメリカの軍隊に入隊した大学生だけど未成年の長男(小柳友)、親に内緒でピアノを習っている小学5年生の次男(井之脇海)の4人家族のお話。
どこがパラレルワールドなのかと言うと、いろいろ現実とは違う設定もたくさんあるのですが、特にクライマックスで、それぞれに起こるある夜の出来事がとても不幸なファンタジーです。
☆ネタバレ
その中でもお母さんに起こる出来事がすごい。
その日の午後、突然佐々木家にピッキング泥棒(役所広司)が入ります。
家の中で母の恵は泥棒に出くわし、縛られてお金を要求されますが、現金がないと言うと、泥棒は諦めて覆面を外し家を出ようとします。
そこへパトカーのサイレン。
泥棒は家の中に引き返し、恵に顔を見られてしまいます。
泥棒は恵を連れ出し、人質にして逃げることにしました。
逃走に使う車は、盗んだプジョーのオープンカー。
恵が欲しかった車でした。
運転するように言われ、夫の竜平が掃除夫をしているスーパーへ立ち寄りました。
夫と顔を合わせても、夫は逃げて行きました。
実は彼、トイレで大金を拾って葛藤していたのです。
そんなことにも動じないで、恵は車の屋根を広げて、泥棒とドライブに出かけました。
この泥棒もまた、人生に行き詰まり、絶望しかけている人でした。
着いたところは海。
「やり直したい」とつぶやきながら、泥棒と一夜を共にする恵。
朝起きてみると、泥棒は車ごと海の中に消えていました。
恵は歩き出し、やがて我が家へ。
すでに帰っていた次男。
彼は、無銭乗車がみつかり、一晩中拘置所に入れられていたのでした。
朝食を作り始める恵。
そこへ、夫も帰ってきました。
夫もやはりやり直したい」とつぶやきながら、夜の街をさまよい、車にはねられて気を失っていたのでした。
拾ったお金を遺失物ロッカーに入れ、やっと帰る気持ちになったのでした。
大きな秘密を胸に、何事もなかったかのように朝食を食べる3人。
一緒にご飯を食べたら、心もつながるということではなさそうですが。
家族なのに、一番他人みたいな家族のお話でした。
特に、このお母さんが不思議。
私なら、長男がアメリカの軍隊に入るなんて、絶対阻止だなあ。
「私を蹴飛ばしてから行け」くらいのことは言いそうだなあ。
次男のピアノにしたって、どんなに彼が望んでいるか、もう少し、思いやってあげれるんじゃないかなあ?
夫のリストラを知っても、知らん顔のできる人。
こんなに冷静で、こんなに感情のない母親って、すごーく不思議でした。
オープニングの、大雨の日にいったん閉じた窓を開けた時から、彼女も中から変わり始めていたのでしょうね。
家族のためだけにいた自分から、自分のために何かをする自分に。
「引っ張ってー」と言っていたのは、夫に言ってたみたいだったけど、誰でもよかったのかなあ?
彼女を引っ張ったのは、泥棒だったけど、それでもよかったのか?
そこまで、夫に失望していたのかなあ?
だから、見ず知らずでしかも泥棒と逃避行に出たのか?
でも、結局、何事もなかったかのように、再び家庭に戻ったのね。
すごい人だなあ。
まあ、この人なら、この先なにがあってもやって行けそうだけど。
この映画のポイントはここかしら?
お父さんは「こんな人いそうだ」と思える感じで、一番リアルでした。
香川照之が、うまい。
平凡で、なんの魅力もない主人公に、命を吹き込んでいました。
役所広司も、難しい時間帯で登場して、インパクトのある演技で世界観を変えることに成功しました。
ほんと、うまい。
この家族、次男の才能のお陰で、また絆を取り戻したようだけど、リアルな世界では、とっくに壊れている家族だと思いました。
私の友人が2008年で1番の映画だと勧めてくれたのですが私にはそこまでは・・・
本当不思議な家族で 特にお母さんは理解できませんね。
香川さんのお父さんもうちの家族にオーバーラップするところがあり身につまされて・・・笑!
それに一つの映画であんなに自殺者が出るのは嫌ですね。
そう言えば「誰も守ってくれない」でもお母さんが自殺してしまうし 映画などで自殺をそんなに簡単に扱うのはどうでしょうね?!
後味は悪いですが考えさせられる映画でした。
また、見逃した映画を見に行きたいと思います。
ほんと、自殺者の出る映画はなんかがっかりしますね。
この映画はリストラで夫婦が娘を置いて死んでしまうし、ちょっと無責任だよね。
「誰も守ってくれない」のお母さんは、もっと納得できなかったわ。
容疑者の段階、家宅捜索の段階で自殺するだろうか?
そういうとき、一番強いのがお母さんじゃないかな?