![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/47/a161b34084a9506497f05d5316763748.jpg)
ーヒトラー ~最期の12日間~ー
2004年 ドイツ/イタリア オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督 ブルーノ・ガンツ 、アレクサンドラ・マリア・ラーラ 、ユリアーネ・ケーラー 、トーマス・クレッチマン 、コリンナ・ハルフォーフ 、ウルリッヒ・マテス 、ハイノ・フェルヒ 、ウルリッヒ・ノエテン 、クリスチャン・ベルケル 、ミハエル・メンドル 、マティアス・ハービッヒ 、ゲッツ・オットー
【解説】
本年度アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた衝撃作。監督は『es』のオリヴァー・ヒルシュビーゲル。『ベルリン・天使の詩』のブルーノ・ガンツがヒトラーにふんしている。本国ドイツでは映画公開自体が一つの事件として大きな社会現象を巻き起こした作品。
【あらすじ】
1945年4月20日、ベルリン。ソ連軍の砲火を避けるために、ヒトラー(ブルーノ・ガンツ)はドイツ首相官邸の地下要塞に退却していた。すでに正常な感覚を失っていたヒトラーは部下に実現不可能と思える作戦を熱く語っていた。 (シネマトゥデイ)
【感想】
なんとなく怖そうで敬遠気味でしたが、155分もある長い映画とは、全く感じませんでした。
場面場面が興味深く、飽きたり、中だるみを覚えることはありませんでした。
ヒトラー役のブルーノ・ガンツの演技はすごい。
もちろん、ヒトラーがどんな人だったか知らないけど、リアルでした。
人を思いやり、穏やかで優しい面があるかと思えば、部下に恫喝し、注進も聞かない、すぐに銃殺と叫ぶ狂気の一面も。
絶対に降伏しないとか、自殺、そして、その死体を焼き付くして証拠隠滅を計るとか、本当に、悪の独裁者そのものでした。
地下の密室でのできごとというので、「太陽」も連想しましたが、その様子はまるで違っていました。
「太陽」の方はシーンと厳かで、地上では悲惨な空襲が行われているとは想像もできないほどの静けさでしたが、こちらの方は将校たちが飲んだくれていたり、いろんな人の出入りも多く、騒々しい様子でした。
町の中が戦場で、しかもSSの思想弾圧ー私刑に近いものでしたが、ぎりぎりまで行われていました。
至る所に恐怖が溢れていました。
それでも、ナチの行った悪行については、語り尽くすことが出来ないでしょう。
ヒトラーの思想についても少し触れられていたし、最後まで狂信し、自ら子供まで殺してしまったゲツペルス夫人の狂気には、ぞーっと悪寒が走りました。
この映画は秘書の女性の目を通して描かれたもので、最後に当人が出てきて述懐します。
「若いから知らなかったと言い訳をしてきたけれど、ゾフィー・ショルがいた。若くても知るべきだった」と。
その涙には真実の懺悔が込められていると思いました。
近々「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」を見たいと思います。