ー万葉の阿騎野にかぎろひを観る会 (30周年記念・夜明けツアー)ー
何年か前に、奈良県大宇陀町で行われている「かぎろひを観る会」の存在を知って、一度は見てみたいものだと思っていました。
私の大学の先輩が主催している「万葉の大和路を歩く会」が、その発足30周年を記念して、40周年を迎えるなら県大宇陀市主催の「かぎろひを観る会」に参加するというので、私も前日泊の付いた「万葉の阿騎野にかぎろひを観るツアー」に申し込みました。
「かぎろひ」とはー
万葉集の巻1-48に柿本人麻呂が作った歌があります。
東(ひむがし)の 野にかぎろひの 立つ見えて
かへり見すれば 月傾(かたぶ)きぬ
これは、壬申の乱という大きな内乱の後で、ようやく世の中が落ち着いた頃に、軽皇子(かるのみこ・後の文武天皇)一行が阿騎野(大宇陀地区)に猟りに行かれたときに詠んだ歌だと言うことです。
実際に詠まれた場所は、かぎろいの丘を見上げる位置にある、今は阿騎野・人麻呂公園になっているところだと考えられているそうです。
人麻呂の歌では野宿したように表現されていますが、この公園からはこの時代の掘建柱建物跡が発掘されて、狩り場用の施設があったことがわかっています。
この公園には、りっぱな柿本人麻呂像がありました。
かなりなハンサムさんでした。
人麻呂を含む軽皇子一行は、この地で夜明けを迎えて、白々空ける東の空を見ていたら、凍るような闇の中にかぎろひ(陽炎)が立ち、振り返ったら月が沈んで行ったという情景です。
古代人が見たのと同じ景色を、私も見られるかもしれない。
期待に胸はわくわくします。
午前5時前に、大宇陀のかぎろいの丘万葉公園に到着すると、大きなかがり火が焚かれ、葛湯の振る舞いもあり、たくさんの人がその瞬間を待っていました。
気温は3度。
西には雲もなく、大きな月がこうこうと輝き、西山に傾きかかっていました。
折しも、前日は皆既月食。
残念ながら、私が泊まった橿原神宮駅前は雨で天体ショーは見られませんでした。
さて、東の山脈に目を向けると、分厚い雲に覆われていました。
それから1時間半ほどの間、雲の切れ間から見えるオレンジ色の光を見つめていました。
いつのまにか、月も姿を消し、瞬いていた星も見えなくなって、急に夜明けがやってきました。
「夜明け前が一番暗い」と言ったのは誰だったかな?
私の感想は「夜明け前が一番寒い」でした。
地元の方がおっしゃるには、この日の「かぎろひ」のできは、50パーセントとのこと。
でも、「かぎろひ」の解説をしてくださっていた人は、「私は39年間このかぎろひを観る会に参加していますが、完全に見えたのが3回、ほぼ見えたというのを合わせても7回くらいです」とおっしゃっていたので、初めての体験で50パーセントのものが見られたら上出来だと、とても満足しました。
かぎろひもとても神秘的な体験でしたが、その時間を待つまでの期待に満ちたわくわく感は、あまり味わえないものだと思いました。
エジプト旅行で、アブシンベル神殿で見た夜明けも圧巻でしたが、やはり、奈良で見る万葉の夜明けも郷愁を誘うステキな時間となりました。
それから公園の丘を下り、阿紀神社に参拝。
大宇陀温泉あきのの湯で朝食と温泉をいただきました。
そのあとは、宇陀松山地区の散策をして、道の駅で昼食を食べて解散になりました。
松山地区は古い町並みが残る町で、しかも人々の生活のあるステキな町でした。
吉野葛が名産で、日本でも最古と見られている薬草園がありました。
標高が高いので、本州の北から南までの植物があるそうです。
古代から薬草の宝庫で、ここから創業者が出ている製薬会社も数多くあるそうです。
奈良は、奥が深い場所です。
もっとみんなが興味を持っていもいいのになあ。
今回のツアー、とても楽しかったです。
奈良に居るときは「京都は素敵なのに 奈良はイモっぽくて・・・」とせっせと京都に通っていましたが 最近奈良に行くと奈良の「サビ」に惹かれるように・・・
改めて奈良を勉強したいと思います。
かぎろひも観てみたい!!
寒いけど、よかったよ。
奈良は、なんかもったいないよね。
広くて点在していて、一度に味わえないのよね。
不便がいいのかもしれないけどね。
このあいだも、正倉院展を見た後、お茶飲んでいたんだけど(私はビール)、5時で店が閉まったよ。
あり得へんわ。