マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日

2013-02-01 09:02:54 | 映画ー劇場鑑賞

ーライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日ーLIFE OF PI

2012年 アメリカ

アン・リー監督 スラージ・シャルマ(パイ・パテル(少年))イルファン・カーン(パイ・パテル(成人))アディル・フセイン(サントッシュ・パテル)タブー[女優](ジータ・パテル)レイフ・スポール(カナダ人ライター)ジェラール・ドパルデュー(コック)

 

【解説】

世界的な文学賞ブッカー賞に輝いたヤン・マーテルのベストセラー小説「パイの物語」を、『ブロークバック・マウンテン』などのアン・リー監督が映画化。動物園を経営する家族と航行中に嵐に遭い、どう猛なトラと一緒に救命ボートで大海原を漂流することになった16歳の少年のサバイバルを描く。主演は、オーディションで選ばれた無名のインド人少年スラージ・シャルマ、共演にはフランスの名優ジェラール・ドパルデューが名を連ねる。227日間という長い漂流の中で、主人公がどのように危機的状況を乗り越えたのかに注目。

 

【あらすじ】

1976年、インドで動物園を経営するパイ(スラージ・シャルマ)の一家はカナダへ移住するため太平洋上を航行中に、嵐に襲われ船が難破してしまう。家族の中で唯一生き残ったパイが命からがら乗り込んだ小さな救命ボートには、シマウマ、ハイエナ、オランウータン、ベンガルトラが乗っていた。ほどなくシマウマたちが死んでいき、ボートにはパイとベンガルトラだけが残る。残り少ない非常食、肉親を失った絶望的な状況に加え、空腹のトラがパイの命を狙っていて……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品を予告編で見たときから、3Dで見たいと思っていました。

やはり、3Dで見てよかったです。

水がこの作品の一つのテーマ。

とてもきれいでした。

水族館に行ったようでした。

  このシーンが見たかったんです!!

内容も深いです。

事実の映画化ではありません。

むしろ、ファンタジーとしてみた方がいいでしょうね。

 

私は感動して泣いてしまいました。

映画が終わって真相を知ったあとでも、私は魂の漂流の記憶として解釈することにしました。

いやあ、よかったです。

 

カナダで暮らすパイ(イルファン・カーン)の元に、スランプに陥っているカナダ人の作家(レイフ・スポール)がやって来た。

パイのおじから、パイの冒険の話を聞いて書くように勧められたからだ。

パイは、作家に生い立ちから語り出した。

そこには、信じられないサバイバルストーリーがあった。

 

パリにあるステキなプールにちなんで名前を付けられたが、インド語では「おしっこ」という意味だったためにいじめられた僕。

ある新学期から、自らの名前を「πパイ」と名乗った。

パイの父は動物園を経営していたが、体制が変わり、カナダへの移民を決意する。

動物は大切な財産なので、一緒に船に乗せた。

 

日本船籍の大きな船。

(この乗組員とパイとのやりとりを覚えておいてくださいね。

最後にこの物語を読み解く鍵があります。

嫌みなコックにジェラール・ドパルデュー。私はわからなかったんだけど…。汗!)

だが、日本海溝の真上を航行中に嵐に遭い遭難。

パイは救命ボートにしがみついたが、父、母、兄は船とともに沈没した。

 

☆ネタバレ

救命ボートには、足の折れたシマウマ、バナナに乗ってやってきた子供を捜す母オランウータン、凶暴なハイエナ、そしてもっと獰猛なトラ(リチャード・パーカー)が乗り合わせていた。

 

動物たちは死に、トラとパイが生き残った。

パイは、筏を作って、救命ボートと綱でつないで漂流した。

なんとかトラを飼いならそうとするが、うまくいかない。

 

あるとき、猛烈な嵐がひとりと一匹を襲った。

激しい嵐の中でパイは神を感じ、トラは衰弱した。

嵐の後、パイはトラと心が通じたと思った。

 

それから不思議な無人島にたどりついた。

ミーアキャットが無数に生息するこの島で、パイには海藻、トラにはミーアキャットがご馳走となり、しばし体力を回復することができた。

しかし、この島は人食い島だった。

パイは再びトラと漂流を開始した。

 

トラもパイも衰弱して、ようやくメキシコに着いた。

パイは砂浜に倒れ込んで動けなくなった。

トラは、パイに一瞥もくれず、振り向くこともなくジャングルに消えていった。

 

パイは、それが一番悲しかったと言う。

 

☆ネタバレのネタバレ

助けられて入院しているときに日本人の保険会社の人が来て、話をした。

彼らは「そんなおとぎ話は聞きたくない。何があったか、本当のことを言って下さい」と言った。

 

パイは違う話をした。

救命ボートで難を逃れたのは、意地悪なコックと仏教徒の船員、そして母だった。

船員は足をけがしていた。

コックは、「足を切らないと体が腐って死んでしまう」といい、パイと母親は痛がる船員を押さえて、コックが足を切った。

しかし、その足は魚を捕るための餌だった。

母は怒り、パイに筏に乗り移るように言った。

母もすぐ乗り移ると思っていたが、コックに刺されて海に落とされた。

パイは、怒りに燃え、その剣幕にコックもおとなしくなったが、パイはコックを刺し殺した。

そのあとは、海を漂い、メキシコに着いたのだ。

 

日本人はその話を信じたのか?

報告書には、「少年はトラと漂流して奇跡的に生き残った」と書かれてあった。

 

☆ネタバレ

これは、公式ホームページに書いてあるこの作品の元の話になっている話です。

 

ひとつは、エドガー・アラン・ポーが1837年に発表した長編小説「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」。海を漂流することとなった4人の男が、食料が尽き、誰が「生け贄」となるかくじ引きで選ぶという恐怖小説。その生け贄となったのがリチャード・パーカーというのです。

 

さらに、その47年後の1884年、「ミニョネット号事件」と呼ばれる事件が実際に起こった。イギリスからオーストラリアに向けて航海中のミニョネット号が難破、乗組員4名が4名が救命ボートで脱出した。漂流20日目、衰弱した17歳の乗組員が他の3人の食料となった。この殺された少年の名前がリチャード・パーカー!!

 

このように、この作品は寓意に満ちています。

パイの一家はヒンズー教徒で、ベジタリアンだったということも大きな意味を持っていると思いました。

パイ=πという名前も、輪廻というか、永遠の命とか、そういう無限に続くものの暗喩かも…。

 

普通に考えれば、パイの冒険の話は、あとで彼自身の口から語られる恐ろしい話が事実なのでしょう。

作家が指摘したように、シマウマは仏教徒の船員、オランウータンが母、ハイエナがコック、トラはパイ自身なのでしょう。

 

私は、トラはパイの罪悪感や凶暴性や恐怖の象徴だと思いました。

パイは長い漂流の間、自分自身と闘っていたのでしょう。

重罪を犯したという呵責との闘いが、彼の漂流を支えた原動力かもしれません。

 

リチャード・パーカーと名付けたトラがジャングルへ帰っていったのは、過去のリチャード・パーカーへの哀悼の気持ちかもしれません。

また、振り向かずに行ってしまったのは、トラをパイの自制できない感情だと考えたら、パイが大人になったということなのかもしれません。

大人になるということは、自分のピュアな部分を失うということでもあるから、声を上げて泣きたいほどの気持ちも理解できると思いました。

また、別れは突然やってくる。

「さようなら」を言う暇もない時もある。

一期一会が大切だということかもしれません。

 

この物語は少年の成長の物語として、とても深くていい作品だと思いました。

オススメです。

 



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4 コメント

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Unknown (杏子)
2013-02-01 15:31:31
予告で見た美しい風景が頭に残って、3Dを選びましたが正解でした。時間的に吹替になってしまったのですが後でパイ(成人)の声は本木雅弘さんと知りちょっと意外でした。観ている時には吹替えが誰かなんて全く気にならなかったので(^^;

虎の名前にまつわるエピソードはこちらを拝見して初めて知りました。深いのね・・・。

真実を示されてから先がこの作品の見所なのかもしれませんね。
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杏子さんへ (マダムよう)
2013-02-02 08:48:51
そうそう、映画館を出てからじわっと来る映画でした。
映画館ではきれいな映像がいっぱい楽しめてよかったです。
私は単純に、トラと心が通ったシーンで泣いていました。
泣く時、3Dめがねがじゃまね。
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良かったねぇ・・・ (NAKAちゃん)
2013-02-02 09:39:19
友人から「クマちゃんにする?トラちゃんにする?」の誘いに 迷わず「3Dのトラ!」笑!正解でしたね!
この映画は 哲学論だわ!と見終わった私達の感想でしたが
リチャードパーカーが どう撮影されたかが気になり パンフで すべてCGと知り やっぱり・・・と納得すると同時にちょっとガッカリ!笑!
彼の名前がそんなに 深い意味があったとは・・・
やはり深い映画ですね!
アン・リー監督 すごいですね!
返信する
NAKAちゃんへ (マダムよう)
2013-02-03 09:11:19
トラはCGでしょうね。
海のシーンもそうでしょう。
だから、ファンタジーだったのでは?
でも、すごい技術よね。

アン・リー監督、またまたすごいと思いました。
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