【閑話休題2】乳海撹拌(ヒンドゥー今日の天地創造神話)
アンコールワットの回廊には、いろんな神話が描かれていました。
その一つをご紹介。
インドの天地創造の物語です。
ショーで見た舞に登場したアプサラ(天女)が、誕生したわけも描かれています。
ヒンドゥーの最高神ヴィシュヌ神の化身である巨大亀に大マンダラ山を乗せ、大蛇を絡ませて、神々(インドラ)は大蛇の尾を、アスラたち(悪神)は大蛇の頭を持ち、互いに引っ張りあうことで山を回転させると、海がかき混ぜられた。
アスラが蛇の頭を持って引っ張っています。
海に棲む生物が細かく裁断されて、やがて乳の海になった。
下の方に描かれているのが亀
上の方にアプサラが描かれています。
大蛇が苦しんで口から毒を吐くと、シヴァ(破壊の神)がその毒を飲み干したため事なきを得たが、彼の喉は毒によって青く変色した。
さらに1000年間攪拌が続き、乳海から白い象や、馬、牛、宝石、願いを叶える樹、聖樹、アプサラたち、ヴィシュヌの神妃である女神ラクシュミーらが次々と生まれた。
蛇を引っ張っているところ
最後にようやく天界の医神ダヌヴァンタリが妙薬アムリタの入った壺を持って現れた。
しかしアムリタをめぐって神々とアスラが争い、一度はアムリタを奪われかけたが、ヴィシュヌ神は機転を利かせて美女に変身し、アスラたちを誘惑した。
アスラたちは美女に心を奪われ、アムリタを手渡した。
その結果、アムリタは神々のものとなったが、神々がアムリタを飲むさいにラーフというアスラがこっそり口にした。
それを太陽神と月神がヴィシュヌ神に伝えたので、ヴィシュヌは円盤(チャクラム)でラーフの首を切断した。
ラーフは首から上だけが不死となり、頭は告げ口した太陽神と月神を恨み、追いかけて食べようと飲み込むが体がないためすぐに外に出てしまう(日食・月食)。