海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、産業技術総合研究所(産総研)およびニュージーランドカンタベリー大学と共同で、小笠原諸島の西之島の海底および陸上に噴出した溶岩の採取・分析を行った結果、西之島直下のマントルが融解して安山岩質マグマを噴出していることを明らかにした。
安山岩質マグマは、太陽系で地球にのみ噴出する特異なマグマで、大陸地殻を形成する原料として地球表層の形成に深く関わっている。同研究グループでは、西之島で安山岩マグマが噴出することから、大陸の出現を再現しているのではないかと仮説を提唱していたが、今回の研究結果はその仮説を実証したもの。
これまでにも、特異なボニナイトのような安山岩質マグマがマントルから直接生成されたことは指摘されていたが、現在活動中の海底火山の安山岩からその証拠を発見したのは同研究が初めて。
この成果は地球における大陸の成因を明らかにするとともに、人間活動の基盤となる陸地を形成するプロセスの解明に向けて重要な役割を果たすことが期待される。
今後は、この仮説が他の地殻の薄い海底火山でも成立しているのか、地殻の薄い海洋島弧で同じようにマントルにおいて安山岩質マグマが生成しているのかを検証していく。