“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「量子の世界をみる方法 「スピン」とは何か」(村上洋一著・編/講談社)

2022-11-25 09:56:20 |    物理



<新刊情報>



書名:量子の世界をみる方法 「スピン」とは何か

著・編:村上洋一

発行:講談社(ブルーバックス)

 同書は、「スピン」をもっと深く、そして正しく理解してほしいという思いから、物理学者とサイエンス分野の広報関係者、そして素人!? がチームを組んで執筆した。この本は、多様な読者を想定したもの。物理に興味のある高校生から「スピン」をきちんと理解したい大学生。学生時代に量子力学の授業で「スピン」の話を聞いたことがあるけど、もう一度、きちんと理解したいと思っている方などなど。さまざまな人に同書をとおして「スピン」の不思議さやおもしろさ、凄さを知ってもらいたいと考えている。「スピン」の正体とは? 量子力学の誕生からスピンの発見までの歴史的な背景。さらに「スピン」はどのように記述され、捉えればいいのか? 同書では、できるだけ具体的に理解できるように「シュテルン=ゲルラッハの実験」を紹介しながら解説していく。さらに、電子だけでなく、陽子、素粒子のスピンまでを取り上げ「量子」の世界をみていこう。そして、2022年度のノーベル物理学賞の受賞でニュースでも話題になっている「量子もつれ」を利用する量子コンピューターや生き物の特殊な能力について、そのほかにも超伝導や永久磁石など社会の様相さえ劇的に変えつつあるスピンを利用した技術最先端までをていねいに解説していく。同書を片手に「量子」と呼ばれる摩訶不思議な世界に飛び込み、「スピン」をめぐる冒険に出かけよう。
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●科学技術ニュース●MONETの医療MaaSの取り組み、導入が計5地域に拡大

2022-11-25 09:53:30 |    輸送機器工学
 MONET Technologiesは、全国各地の自治体や企業などと連携して展開している医療MaaSの取り組みについて、2022年11月から開始された岩手県の北上市と京都府の宮津市での実証実験を含めて、導入が計5地域になった。

 また、MONETが提供する「マルチタスク車両」の医療MaaS向けの架装オプションとして、簡単に設置や取り外しができる車載用ベッドを開発しました。この架装オプションは、2022年度中に提供開始する予定。

 MONETは、看護師が医療機器などを搭載した車両で患者の自宅付近まで訪問し、医師の指示に従って検査や必要な処置を行いながら、車内のテレビ会議システムを通して病院内の医師がオンライン診療を行うモデルを中心に、自治体や企業などと連携して医療MaaSを展開してきた。

 これまでに、2019年12月に実証事業を開始し、2021年4月から社会実装運行が始まった長野県の伊那市をはじめ、浜松市や、三重県内の市町村(広域連携)、岩手県の北上市、京都府の宮津市での実証実験など、全国5地域で医療MaaSの取り組みを展開している(終了した事例を含む)。

 MONETは、これらの取り組みにおいて、各地域の環境やニーズに合った車両の他、診療の予約状況とそれに応じた最適な運行ルートを確認できる運行管理システム、車両の稼働状況などを確認できる管理者向けのシステムなどを提供している。

<医療MaaSの展開地域と内容>

伊那市:2019年11月26日

 医療×MaaSを実現する車両「ヘルスケアモビリティ」が完成し、伊那市で12月から運行を開始

浜松市:2020年10月27日

 浜松市の「春野医療MaaSプロジェクト」に参加

三重県広域連携:2021年11月1日

 「オンデマンド医療MaaS」の実証実験を11月4日に開始
        2022年10月6日
 「令和4年度 医療・行政MaaS」の実証実験を10月6日に開始

北上市:2022年11月1日

 岩手県の北上市における医療MaaSの実証実験に協力

宮津市:2022年11月24日

 京都府の宮津市における「医療MaaS実証事業」に協力

 伊那市では、現在10医療機関がこの取り組みに参画しており、診療回数は延べ330件超となった(2022年10月末時点)。また、2019年12月の実証開始時は慢性疾患を抱える高齢者の診療が対象であttが、2022年7月からは、周産期の妊婦検診も開始した。妊婦検診は、市内の産婦人科医と連携するとともに、遠隔地から検査ができるポータブルエコー(超音波診断装置)を車内に搭載することで実現している。さらに、三重県や宮津市では、保健指導などの取り組みも進んでおり、高齢者以外の年齢層でも医療MaaSの活用が広がってきている。<ソフトバンク>
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●科学技術ニュース●NIMS、微生物発電が広い電位範囲で効率を維持できる現象を発見

2022-11-25 09:40:42 |    生物・医学
 物質・材料研究機構 (NIMS) は、従来の数百倍のデータを生み出す革新的な電気化学デバイスを用い、計測した大量のデータを解析・活用することで、微生物発電が広い電位範囲で効率を維持できる現象を発見、その分子メカニズムを解明した。

 同手法は、微生物と相互作用する材料、例えば生分解性プラスチック材料などへも応用可能であり、革新的な材料探索技術への展開が期待できる。

 廃水を浄化しながら電力を生産する微生物発電は、環境調和型の発電技術として期待されている。微生物電流は様々な条件により影響を受けるため、従来の経験的・理論的なアプローチでは微生物発電を理解し、制御することは困難であった。

 そのため、大量の計測結果を活用するデータ科学の活用が求められていた。しかし、データ科学を適用するために必要な明確な条件付けがあり、誤差の小さい「高品質なデータ」を大量に電気化学で取得するには、これまではコストや測定の煩雑性の問題があり、高いアウトプットとデータ品質を同時に実現することはできなかった。

 今回、研究チームは、従来の数百倍のアウトプットを実現できる電気化学測定系を開発し、データ科学を活用できる高品質なデータベースを構築することで、微生物が効率的に発電する条件の「見える化」に成功した。

 さらに同研究チームは、微生物発電では、リボフラビン分子という電子を運ぶ物質が働いて、広い電極電位幅で発電促進の効率を維持できる現象を発見し、その機構を解明した。

 同研究では電流計測のコストを大幅に下げ、かつ安定した条件下での再現性の高い電気化学計測システムを開発したことで「微生物電気化学分野における大量の計測データを活用した研究手法の有効性」をはじめて実証した。

 微生物がつくる電流は、微生物の活性のバロメーターであるため、バイオ材料が微生物に与える影響を測るセンサーとしても応用できる。

 例えば、生分解性プラスチック材料が速く分解されるほど、微生物がより大きな電流を発生する。様々な材料が存在する条件で微生物からの電流を計測することで、より良い材料がデータ科学から予想できるため、材料探索が大幅に加速されると期待できる。<物質・材料研究機構 (NIMS) >
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「悪魔の英語術」(黒田莉々著/集英社インターナショナル)

2022-11-25 09:40:02 |    語学



<新刊情報>



書名:悪魔の英語術

著者:黒田莉々

発行:集英社インターナショナル(インターナショナル新書)

 日本人的な気遣いが英語習得を妨げる!日本の文化の中で育まれてきた日本人のマインド。それこそが、日本人が英語を話すときに枷となり、アメリカ人が理解に困る英語を生み出してしまう。同書ではこれを「おりこうさん英語」と名付けた。日本人が教育されてきた謙譲や謙遜、そして無意識に培われた同調主義的事なかれ精神、つまり「おりこうさん」マインドを悪魔のごとく削ぎ落とし、英語ネイティブであるアメリカ人のマインドに導く……それが「悪魔の英語術」である。同書は典型的な日本の会社員であるヤマトと、突如やって来たアメリカ人の同僚リリーという架空のキャラクターの対話形式で展開。「言いにくいことを伝えるとき」などの場面で使える“I hate to say this, but~”や、伝えた後のフォローに使える “Feel free to~”など、日本人にも無理なく使える「脱・おりこうさん英語」のためのノウハウが満載。また、映画のセリフから学ぶネイティブのマインドや、オンライン会議で使える英語表現、そして実践的な説得・交渉術を指南する。英語に悩むすべてのビジネスパーソンにおすすめの1冊。
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