東芝デバイス&ストレージは、モデルベース開発(Model Based Development: MBD)向けに、車載半導体の動作検証時間を同社従来技術に比べて約10分の1に短縮できるシミュレーション技術を開発した。
今回開発したシミュレーション技術により、同社半導体を用いた機器の動作を迅速に評価可能となり、車載機器の開発および設計時間の短縮に貢献する。
モデルベース開発では、機能をブロックに分け、そのブロックを繋いでいくことで全体の機能や性能を検証するが、車載機器で重要視される熱やEMIノイズなどの指標を検証するためには、各ブロックにおける半導体の動作も考慮した高精度なモデルが必要。
一方、実際の機器の動作を詳細に再現するほど、計算時間も増大してしまうという問題があった。
今回同社が開発したシミュレーション技術は、「Accu-ROM」と呼ばれる技術が特長。同技術では、メカ機構のみの動作を検証した後にメカ機構のモデルを簡素化し、その後半導体の動作を計算することで、動作速度の差から発生していたメカ機構における無駄な計算を大幅に削減している。
また、半導体の計算では、予め検証範囲を熱やEMIノイズなど検証する頻度が多い指標に限定したVHDL-AMSモデルをSPICEモデルから自動で生成し、シミュレーションに組み込むことで、SPICEモデルによる計算よりも時間を短縮した。
これらの特長を備えた「Accu-ROM」技術により、同社従来技術では32時間51分かかっていた車載半導体の熱やEMIノイズのシミュレーションを3時間27分で完了させることに成功した。
同社は今後、同技術を用いて、低ノイズで放熱性の高い車載半導体の開発を促進するとともに、同社製品の車載機器への搭載を容易にする開発環境を提供していく。また、同技術を産業機器や家電など車載機器向け以外の用途にも展開する。(東芝)