仙太の「雑杷ひとからげ」

「工房仙太」の新作紹介及び日々の雑想を連ねています。(ショップ http://k-senta.com/)

林檎の木のチェロ

2015年12月23日 20時44分33秒 | オーダーもの
 長野県のK様よりご注文。

 駒ヶ根のクラフトイベントに行かなくなって何年か経ちます。行きたいのはやまやまですが、やはり経費がバカにならないので遠出の出展は控えるようになってしまいました。
 K様は駒ヶ根のイベントに来ていただいたお客様。オーケストラでチェロを弾いておられる方で、楽器アクセサリーのチェロを気に入っていただいています。

 そんなK様から久しぶりにご連絡をいただき、「林檎の木でチェロはできませんか?」と。
 リンゴが木になるものだということは知っていましたが、リンゴの木を木材として考えたことはなかったので一瞬返事に詰まってしまいました。で、「あ、ああ…。リンゴの木も木だからきっとできると思います…。」と答えた次第。

 実はK様宅は果樹園を経営されているらしく、更新のために伐採したリンゴの木をなんとか利用できないかということでわたしのチェロに思い当たった、ということのようです。



 なにはともあれ原木を送っていただきました。「できるだけ太いところを」という私の要望で届いたものがこれ。赤身が使えるように、という思いからのお願いでしたが、今思えば細いところのほうが木目が詰まっていてよかったかもしれない。



 15mmくらいに製材して約10ヶ月ばかり乾燥。若い木なので赤身がすくなく、芯をはずしたら赤身だけでチェロの幅を確保するのは無理でした。しょうがなく白太部分で作ってみたらこれがなかなかきれいです。リンゴの実のようなアイボリーがかった白で、気のせいか香りもしてくるような気が。

 エンドピンとストラップを付けて完成。気に入ってもらえるといいが…。

 ありがとうございました!