インドのコルカタ(カルカッタ)で弱者を助けるために一生を捧げたローマカトリック教会の修道女マザーテレサのお話は感動的です。彼女が所属した修道院は金持ちの女子の教育に力を入れ、町の路上に横たわるホームレスなどを助けることはしませんでした。彼女は有能な教育者であったが、ホームレスのことを思い続け、イエスから啓示を受けたと思い、修道院を出て、ホームレスなどを助ける仕事を始めました。教会は彼女の個人的行動に反対したが、彼女の信念の強さがわかると、教会の中でも有力者で支援する人が増え、破門されることはありませんでした。彼女を見ていると何とか支援したくなったようです。
彼女は最初は一人で乞食をやって食料を集め、弱者に与えたそうです。ホームレスの子供達には教育を熱心に行いました。彼女と共に働くボランティアも増えていきました。その子供達は大人になると何かと彼女を支援したようです。
彼女はローマカトリック教会のみならず、インド当局も動かす信仰の力を持っていました。ローマカトリックの教義を信じる信仰ではなく、弱者を助けるという愛の信仰だったので宗教をこえて人々の共感を得たようです。
ローマカトリック教会の枠をこえ、支援者が増え、事業が大きくなるとどうしてもしっかりした新しい組織が必要になります。支援者の中には協会を設立すべきと主張する人がいたのですが、彼女は組織化を嫌いました。組織で仕事をするのではなく愛で仕事をすると考えました。ボランティアは朝から夜まで働く過酷な仕事だったので彼女のもとに来てもすぐ逃げ帰る人は無数だったようです。しかし彼女の反対を押し切る形で協会ができたようです。やがてこの協会が重役の多数決であれこれ決め、マザーテレサに注文をつけるようになったようです。すると彼女はすぐ協会を捨てたそうです。自分はイエスの啓示で動いているのに協会が自分に指示するなんてとんでもないと思ったのでしょう。
このお話は組織とボランティアの仕事の違いをよく示しています。古い組織はまず保守、新しい仕事、むずかしい仕事に挑戦しません。ボランティアはそれが自分の仕事と思うと、一人でも新しい仕事、むずかしい仕事に挑戦します。