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秋山好古に送られて来た招待状

2016年08月01日 | 伊予松山歴史散策


秋山好古と多美さん(奥方)還暦祝い、大正8年。

伊予松山藩は関ヶ原の戦いで武勲を上げた加藤嘉明に対し徳川家康は、伊予国を二分し20万石を加藤嘉明に与え伊予松山藩が誕生、半分の20万石を藤堂高虎に与え、今治藩が誕生した。
その後伊予松山、二代目藩主は、蒲生忠知に24万石、三代目藩主には徳川家康の甥が伊勢国桑名藩から15万石で入藩し親藩となり明治維新を迎える。
親藩となった伊予松山藩は苦難の始まりとなる。
江戸後期幕府の命を受け長州征伐に侵攻したため明治新政府から朝敵とされ、制裁金15万両を課せられ伊予松山藩の民は苦悩の時代となる。
民達は、何処からも支援は無く自分の身は自分が努力して切り開いて行くしか方法は無かった。その一人に秋山信三郎がいた。
信三郎は、安政6年1月7日、伊予松山藩徒歩目付の家系に三男として生誕した。
信三郎は、16歳の時福沢諭吉の学問のすすめを読みこれからの近代国家を構築していくには青少年の教育が必置であると悟り、17歳の時に父親、久敬の許しをえて教師を目指して大坂高等師範学校に入学、この時に好古と改名する。
卒業後は、名古屋師範学校付属小学校の教師として赴任、赴任した学校には伊予松山藩の先輩の和久正辰教務官が在籍、そして名古屋鎮台に山本忠昭武官がいた。
山本武官も伊予松山の先輩であった。この二人の先輩の強い勧めで教師を断念し軍人の世界に身を投じる事となる。時は、明治10年西南戦争の年に陸軍士官学校に入学、寺内正毅の勧めで騎兵を専攻、卒業後は日本の騎兵の育成に努めた。軍人時代は親藩出身者であるが故に昇進が遅れた。好古は人を押しのけ、人を踏み台にして昇進しようなど考えもしない男であったが大将まで昇り、大正12年には元帥に推薦されるが此れを辞退、大元帥は好古が元帥を辞退した事に大変驚かれ、特旨として官位従二位を授与された。
大正13年3月、郷里の伊予松山から熱望されて北豫中学校の校長として昭和5年3月まで故郷の青少年の教育に尽力した。16歳の時、福沢諭吉の学問のすすめを読み教師を志したが最後も教師として人生を送った。座右の銘は「独立自尊」である。昭和5年11月4日、東京で72歳の人の生を閉じた。

画像は、好古自ら進んで入った組織では無かった軍人の世界であったが与えられた職を忠実に果たした。その勲を認められて宮内庁から贈られて来た招待状である。


明治25年10月20日、陸軍騎兵大尉時代の招待状。
招待状が一部焼失しているのは、昭和20年7月26日、松山大空襲の際B29大型爆撃機による焼夷弾が投下されその時秋山兄弟生誕地も焼失した。
サイパン、イスレイ飛行場所属の米陸軍第73爆撃団、(B-29は、スーパー・フォートレス、空飛ぶ要塞と呼ばれた)による松山攻撃は、5月4日に始まり、10日、14日、そして運命の26日にB-29、128機で松山を爆撃、一夜にして街は焼け野原となった。
招待状は運よく焼失を免れた。
現在招待状は愛媛県生涯学習センターに寄贈され所蔵されている。



明治27年2月21日付の招待状。
好古は、明治10年5月4日、陸軍士官学校に入学。明治25年11月1日、陸軍騎兵少佐に任官。


明治33年5月3日付の招待状。
明治30年10月11日付で陸軍騎兵大佐に任官。


明治36年12月23日付の招待状。
明治35年6月21日付で陸軍騎兵少将に任官、好古44歳の時。


明治44年12月22日付の招待状。
明治42年8月1日付で陸軍騎兵中将に任官、好古51歳の時。


大正5年4月13日付の招待状。
大正4年2月15日付で陸軍近衛師団長に任官、好古57歳の時。
同年11月16日陸軍騎兵大将に昇進、58歳の時。
大正13年4月陸軍大将の現役で北豫中学校校長就任。
大正14年4月1日付で後備役、昭和4年4月1日、退役、昭和5年3月、北豫中学校校長辞任して東京に帰る。
11月4日、陸軍軍医学校にて没 72歳であった。
大正3年4月から昭和5年3月まで、松山の自宅で一人で生活、奥さんと子供達は東京に残して単身赴任であった。そして北豫中学校校長時代は一日の休暇も取らず校長職を全うした凄い校長であった。軍人時代の生活は長かったが、中身は教育者、大坂高等師範学校で身に着け、幼少時代は伊予松山藩校「明教館」で養った武士の教育を身に付けた教育者であった。
北豫中学校校長時代よく教師達が軍人時代の話をして欲しいと要求があったが一切話さなかった。私は軍人ではなく今は教育者である。此れからも軍人時代の話をするつもりはない・・と言ったそうだ。


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