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いい話を尋ねて⑪

2009年05月04日 | Weblog
経営者の言葉(上)

 100年に1度どころではないと言われるこの大不況は、まだ予測もされていなかった頃ではあるが、2005年10月に開催された「第7回日経フォーラム世界経営者会議」の参加経営者の講演や対談の内容が、2005年10月25日(火)の日本経済新聞に「持続的成長 指導力が源/技術力、企業価値高める」との大見出しの下に掲載されている。少し乱暴ではあるが、その中から私の心に響いた「いい言葉」を切り取って、まとめて「いい話」として紹介したい。 

 エルピーダメモリ*10)社長の坂本幸雄氏。日本テキサス・インツルメンツの副社長から各社の半導体部門を渡り歩き、「再建請負人」と呼ばれた。2002年エルピーダメモリの社長に就任。
『「会社は夢で始まり、情熱で大きくなり、責任感で安定し、官僚化でダメになる」。・・・「日本人は創造的か?」と聞かれれば、「その通りである」と私は答える。マニュアルを読まなくても使える携帯電話のソフトウエアや、ゲームなどは好例だ。技術者のレベルは、私が勤めていた外資系企業と比べても高い。』

 73年に28歳で日本電産*11)を設立して社長に就任した永守重信氏は、『社員の意識を上げていくために絶えず夢を語り、形にしていくことを重視している』という。
『「夢は必ず形にできる」。「難しいことを考えがちだが、当たり前のことを当たり前にするだけだ」・・・「整理」「作法」「躾(しつけ)」などの6S運動もある。工場が汚くて社員の躾もできていないのに、株価が高くて成長している企業を紹介してもらえれば1億円を差し上げてもいい。傘下に収めた20社以上を再建したが、6Sができていなかった会社ばかりだった。』

 米IBMのパソコン事業を買収し、世界三大パソコン会社の一つとなったレノボ・グループ会長の楊元慶(ヤン・ヤンチン)氏。『中国が計画経済から市場経済に移行する時代、事業インフラが整っていない環境に適応することを学んだ。そこでの競争はウサギとカメの競争に似ている。ウサギは平らな道では勝つが、泥沼ではカメが勝つ。』

 サムスン電子半導体総括社長の黄昌圭(ファン・チャンギュ)氏。『21世紀は相互依存の時代だ。どこの国も企業も単独では成長できない。同時にIT業界では大きな変革が起きている。・・・世間ではリスク管理の重要性が説かれるが、もっと大切なのはリスクをとることだ。世界の先頭を走るには、有力なパートナーと早い段階から協力し、リスクを共有する必要がある。』

 この黄氏の視点は、先月*12)の日経BP社創立40周年記念シンポジウムにおいて、日本電気(株)会長の佐々木元氏やカリフォルニア大学ヘンリー・チェスブロウ教授、IBM副社長ジョン・ケリー氏らが強調されていた「オープンイノベーション」に通じているように思う。優れた経営者は時代を読む鋭い目を持っている。以下次号

  *10)エルピーダメモリ株式会社:PC向けDRAM、RAM製品の製造販売2009年3月期連結売上高3300億円    
  *11)日本電産株式会社:精密中小型モーター、電子・光学部品の製造・販売09年度連結決算見込み/売上高5500億円、営業利益450億円
  *12) 2009年4月16日東京ミッドタウン・ホール
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