「桜を見る会」の消滅
疑惑の『もうひとつは、「桜を見る会」の前夜祭として安倍後援会によるパーティーが毎回、都内のホテルで開かれているのに、政治資金収支報告書に一切の記載がない「首相自身による公選法、選挙資金規正法違反疑惑」だ。こちらについては、高級ホテルでの前夜祭が会費5000円という破格の安さだった裏で、差額分を安倍事務所が補填していたとして、政治資金規正法違反(収支報告書への不記載)の罪で安倍氏の公設第一秘書が東京地検特捜部に略式起訴された。だが検察は、安倍氏については嫌疑不十分で不起訴とした。・・・
刑事責任は問われずとも、前述のように首相が虚偽答弁を繰り返し、国会を愚弄した罪は重大だ。「結果として事実に反するものがあった」では済まされない。
立憲民主党の要請を受けた衆議院調査局の調べによれば、安倍首相は「桜を見る会」前夜祭の問題に関し、2019年11月から20年3月の衆参本会議や委員会で少なくとも118回の虚偽答弁をしていたことが判明している。夕食会の収入と支出に関して「事務所は関与していない」の類が70回、夕食会を開いたホテルの「明細書はない」が20回、「差額を補填していない」が28回だ。これらすべて事実とは異なっていた。息を吐くように嘘を重ねる。こんな首相は前代未聞だ。』
結果、1952年(昭和27年)から2019年(平成31年)まで、例年ヤエザクラが見頃となる4月中旬頃に新宿御苑で開催されていた内閣総理大臣が主催する公的行事であった「桜を見る会」は消滅した。
一方、天皇皇后陛下主催の秋の園遊会が、今年11月、5年ぶりに赤坂御苑で開催されたそうで、その時のエピソードは断片的ではあるが、ネットで知ることができた。出席者と両陛下の会話の内容は、お互いのリスペクトが溢れており、その内容に、私なども本当に日本人に生まれて良かったと皇室への尊敬の念を改めて強くしたものだ。
限られた招待客しか参加できないにせよ、日頃隔離された皇居に住まいされている両陛下にとっては、国民と親しく接することのできる数少ない場のひとつであり、両陛下もきっと毎回楽しみにされているのではないかと思う。
一方、総理大臣が一般国民と親しく接し、直接国民からの声を聴く機会であった「桜を見る会」は当面消滅した。自身の権威を強調し、われこそがこの国の支配者と勘違いも甚だしい総理大臣の所為である。
その総理大臣の「回顧録」を「アンチ安倍の人達こそ、ぜひ読んで欲しい」と宣った大新聞の編集局次長さえやっていたという人物が居る。国会でさえ嘘をつきまくった御仁の自身の回顧録に、どれほどの信憑性があるというのか。
本稿『 』内は、小塚かおる氏「安倍晋三VS.日刊ゲンダイ」2023年10月刊からの引用です。