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安倍晋三VS日刊ゲンダイ 第8回

2023年11月22日 | ブログ
恫喝政治(メディアの封殺)

 『2023年3月。安倍政権時代に行われていたメディアへの“圧力”が、国会の場でにわかにクローズアップされる事態となった。

 14年11月から15年5月にかけて安倍内閣が放送法4条の「政治的公平」の解釈を変更しようとした経緯が詳細に記された総務省の内部文書を、立憲民主党の小西洋之参議院が入手。参議院の予算員会で、当時の総務会長だった高市早苗経済安保相と異例の応酬を繰り広げた。

 高市大臣「まったくの捏造文書だ」小西議員「捏造でない場合は大臣も議員も辞めるか」高市大臣「結構です」 

 高市氏が理性を失ったかのような詭弁を繰り返す醜態を続けたため、“場外乱闘”に世間の注目が集まってしまったが、ことの本質は時の政治権力による「報道の自由」の侵害、言論弾圧である。安倍官邸と総務相だった高市氏が一緒になって放送法をねじ曲げ、気に食わない番組への介入を可能にしたことだ。・・・

 政治とメディアの微妙な関係について、メディアは自らでは語りたがらないし、たとえ他社のことだとしても積極的には触れない傾向がある。放送局を取材するのは新聞社では文化部で、同業者のなれ合いもあってか、厳しく追及するようなことはほとんどない。

 そんな中で、ゲンダイは放送局に対する政治介入について頻繁に報道してきた。安倍政権が執拗かつ複合的にメディアを“恫喝”し、現場を委縮させ、羊のようにおとなしく飼いならしていった過程を幾度も記事にしてきた。・・・

 「安倍さんの周辺では、特定の民放番組を名指しして<左巻きすぎる> <何とかしないと>という話がしょっちゅう出ていました」安倍側近だった自民党議員が漏らしてもいる。

 安倍首相は第一次政権が短命で終わった大きな理由に、メディア対策の失敗があると考えたのではないか。そこで2012年に再び首相に就くと、真っ先にメディア対策に手をつけたのだ。

 官邸がまずやったのは、NHK人事への介入だった。13年10月、会長職の決定権を握る経営委員会に次々と“シンパ”を送り込んだ。そのメンバーはかって安倍氏の家庭教師だった本田勝彦元JT社長、長谷川三千子埼玉大名誉教授、作家の百田尚樹氏など“お友達”。「政府が右ということを左というわけにはいかない」と仰天発言をした籾井勝人会長を誕生させると、NHKは政権の広報機関に成り下がっていった。これで一丁上がりだ。

 次はNHK以外の民放。“裏”で露骨な介入が始まったのは、14年の総選挙の時だった。同年11月20日、自民党の萩生田光一筆頭副幹事長らが、「総選挙期間における放送の公平中立」を求める文書を在京テレビキー局に渡し、報道の仕方に注文をつけたのだ。萩生田氏は安倍首相の側近中の側近であり、当時、自民党の総裁特別補佐(つまり、安倍総裁の補佐役)も務めていた。

 ゲンダイはこの文書を入手し、2014年11月27日発行の紙面で報じた。』

本稿は、小塚かおる氏「安倍晋三VS.日刊ゲンダイ」2023年10月刊からの引用です。





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