妖怪ふわタリ

2008-05-22 22:32:19 | 塾あれこれ
世の中には「ふわタリ」というエラク怖ろしいものが
いるらしい、とは子供のころの記憶です。
掴むと「夜逃げ」ならマシなほうで下手をすると
生きていけなくなる、というのだからこれは怖い!
しかも人間が一枚咬んでいて他人に騙されること
もあるらしいのです。

私はてっきり妖怪だと信じていました。

その間違いが正されたのは中学生のときです。
手形小切手を習って分かりました。
手形小切手の「不渡」だったのですね。
長く抱えていたものですが、オカゲで授業が
興味深いものになりました。

妖怪が御近所でも飛び交っていたのだ・・


子供は大人の会話を耳にして??なのですが
それでも知りたい、覗いてみたい。
身の回りには知らないことや中途半端な知識が
あふれています。

それが一番よい勉強なのですね。
知識の裾野が広ければ積み上げがきくのです。

海の向こうがアメリカ、と聞いて尾道水道を挟んだ
向島をその外国と思っていた。
渡船に乗るには「パスポート」が要るらしい・・

友達「なんな、それ?要るかー。乗ってみりゃー」


昔は大人と子供の境界が低かったと思います。
もちろんタブーのような強いものはあって
それは現代とは逆で子供から隔離されていました。

妖怪「ふわタリ」を子供が知るのは大人と子供の
境界が低くても構わない文化だったのです。
垣根が低かったから、子供は覗けたし小耳に挟み
ました。
なにやら分からなくても。

分からないことがバレて笑われてもいました。
クジラジャク?竹でできてるじゃん?

でもアトランダムで不均衡な知識こそが
大切なのです。


今は知識を大人が整理して子供に与えます。
順に覚えてゆけばよいので子供は省エネ。

理科や社会の教科書だっておおむね上手く
できていますよね。
もちろん算数などは体系が整っています。

順に勉強し、言われた通りにワークをし・・
なかなか良くできています。

その代わり習っていないことはまるで知らない、
学校で塾で習ってないから知らないで当然と
いう顔をしています。

問題の答えは合っているが理解はできていない
こういった生徒も多いようです。

それを見ると何のための教育法の研究、改善か
と思ってしまうのです。

こういう話ですぐに総合学習や体験学習を持ち出す
のは少しばかり短絡的でしょう。
役に立たないとは言いませんが、現実はそれだけで
解決していないからです。


昔は垣根が低かったと書きました。
今は上手に教えられるために却って垣根が高く
なっています。
これだけを覚えればよい、と。

そのため、反対に大人の側も子供が見えなくなって
きているようです。
子供のネット社会が分からないとか。

お互いが見えなくなっているのですから、親が背中で
教える、なんて大変になってきているのです。


中1で時差の勉強をします。
分からないと聞いてきたら逆に聞き返しましょう。
何でそんな勉強するん?世界標準時でいけんの?

教える、ということを考えるから子供が育たない
・・・かもしれない・・・という気が・・少しだけ・・