やはり映画館しょ

2016-12-21 13:31:02 | 映画
神保町に岩波ホールが始まった頃、私も若かった。
40年以上も前の話です。

この時代で映画の文化が変わったようです。

高い位置の映画面で見やすく、上映中の出入り禁止
喫煙禁止、立ち見なし、などへ。

引っ張ったのは岩波ホールの高野さん。

映画が(大衆娯楽、ヒマつぶし)の世界から
芸術の世界に移ったのです。


以前は、もうもうたるタバコの煙、立ち見あり、
映画の途中から見始め、入れ替えはなし、など。

呼び出し、ってのもありました。
皆が映画を見ているのにドアをあけ(光が入る!)

「○○さ~ん、至急会社へ電話してください」

だれも文句を言わなかった筈ですね。

こんな世界に革命が起こり、映画を丁寧に見るように
なったのです。

映画、岩波ホールの出発はサタジット・レイ監督の
『大地のうた』三部作。

衝撃でした。


映画に感動した時は、映画館から外へ出たときの
景色が違います。

妙なほど世界が鮮やかなものに見えますね。

近年はそれがありません。
「ん、ま、良いんじゃない」・・程度


それでも映画館に行きます。

映画は映画館で見るのを前提にして作られています。

たこ焼きは熱々を歩きながらいただくのが美味で
家に持ち帰ってではちょっと味が落ちます。

映画もたこ焼と似ていませんか?

あ、そう。

『パコ・デ・ルシア』

2016-08-31 16:56:02 | 映画
かのパコ・デ・ルシアのドキュメンタリーです。

私とほぼ同じ世代で、世界的なギタリスト、
出身はフラメンコですが、そこを出発点にし
より広い音楽世界を目指した天才。


ただ、映画の副題が「灼熱のギタリスト」
これはどうなんでしょうね。

言葉の多くにはプラスや反対にマイナスの
語感があります。

灼熱ってのはどうでしょう。


CDを聴くだけでは私のような素人は
どれほど凄いテクニックかは分かりません。

画面でみると驚くべきテクニックですね。

左の指の速い事
人間業とは思えないですね。


ドキュメンタリとしても出来が良い作品

最後にたっぷりと聴かせてくれるところも
音楽の世界なら、であります。


母の処にフラメンコのレコードやカセットを
置いたままでした。

カンテ・フラメンコの名盤もありました。

聴きたいけれどもうゴミで棄てられているでしょう。
こういうフラストレーションって消えないんですよね。

千と千尋・・4位

2016-08-26 20:28:29 | 映画
イギリスBBCが21世紀の映画ランキングを
発表したそうです。

180人程の評論家からデータを得たとか。

『千と千尋の神隠し』が堂々4位だとか。
そこまで評価されているのですね。

1位はリンチ監督の映画、この人は嫌いですから
映画も見ていません。

2位が『花様年華』この映画は良かった。

台湾と中国と香港と、良い映画を競って生んでいた時代が
ありました。

香港映画の最後の輝きがこの作品ではなかったか?


評論家の先生方の評価ですから、きっと妥当なものが
ランキングされているのでしょうね。

ただし若干の疑問があります。

評論家とはいえ、どれほどの映画を見ているのか。
重要な作品などは全て鑑賞したうえでの自己評価で
あるべきなのです。

全てを網羅されているのか、かなり疑問ですね。


どういう基準でランキングされているのか
これも各自が適当に好き嫌いで並べただけではないか?

たしかに、すごく良い、とかまあまあ良いとか
・・程度は分けられるでしょうが、4位と5位なんて
順番がつけられるのですかね。

カレーも旨いしパスタも旨いんじゃない?


どんな素情のランキングか分からないのに、何番かを
気にするのも妙なものです。

私などランキングは絶対に作れません。
これは凄かった、と言えるのが2~30本ですかね。

『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』

2016-07-13 17:15:19 | 映画
ドキュメンタリ映画です。
たいへん面白かった。

バンクシ-という仮名のアーティストが一か月に渡って
ニューヨークのあちこちにアートを発表する、
それを追っかけただけなのです。

もともと私は現代アートが分かりません。
つい「それがどした?」と思ってしまうのです。

突拍子もない事をすればそれだけで評価される、って
下らないと思うのです。

だから、そのほとんどが消え去ります。

歴史の上だけに名を残すのかもしれません。

作品の値段はキープしておかないと。
皆さんそれで生計をたてたり、金持のかたは資産の
一部にされているのですから。

そんなヒネくれた人間にも現代アートというものが
少し分かる、ような映画でした。

近年多い、ちらと手を入れたドキュメとは言いにくい
作品とは違い、とてもよくできた映画でした。

やはりアメリカや欧州は日本と違いますね。
人間の周りにユトリがあります。

日本も江戸時代は人間にその手のユトリがありました。

今の日本はちょっと寂しいね。

キアロスタミ

2016-07-06 13:32:24 | 映画
新聞などで書いてある通りです。
振り返れば凄い監督でしたね。

お前が言う必要はどこにもない、とは思いますが。


日本映画が全盛より(ずり落ちた)時代ですから
イラン映画の台頭は目立ちました。

もともと文化的に似た部分がある日本&イランです。

キアロスタミが世界中に知らせてくれました。

人間て何処も同じだな、と。

皆がこういう認識であればテロなんて無くなるのに。
アメリカやロシアの武力主義もよくないよね。
テロを呼ぶ面がありはしませんか?


『緑はよみがえる』

2016-07-05 10:57:02 | 映画
すごい映画です。

セバスチャン・サルガドの写真を思わせる
モノトーンの美しいカメラが惹きつけます。
(実はカラーの作品ですが)


今の時代、第一次大戦を取り上げる意味は?

歴史の流れより、一人一人の人間が戦争に
どう関わるかを問うものです。

現代のテロ事件にまで結び付くのではないか?

世界中が、とめどもなく下り坂を転げているのに
人は無関心なのかもしれません。

資源の無駄遣いとも言える「経済」の
おこぼれでマヒしているのです。


私の祖父も父も従軍の経験があります。

私はあまり話を聞いていません。

思い出したくもないことでしょうから。

当たり年

2016-06-28 16:36:40 | 映画
今年は私にとって映画の当たり年になっています。

「う~ん、いいねえ」が連続しているのです。

『ブラック・スキャンダル』
『火の山のマリア』
『牡蠣工場』
『ディーパンの闘い』
『ヘイル・シーザー』
『ジプシーのとき』
『アンダーグラウンド』

半年でこれだけというのはスゴイでしょ?

7月にはオルミ監督の映画が来ます。
これも期待しているのですが。


私がヒマになっていることと関係がありますね。

映画を見に行く時間がとれるのです。

仕事の片付けはまだまだ終わりませんが
なに、そちらは先き延ばし出来ますから。

その代わり、年金生活者としては厳しく
無駄を省いた生活をしなければなりません。


日清のどん兵衛、138円+税で買ってカミサンに
叱られました。
(ついこの間のことです)

今日は98円+税、これならまずまずですかね。


・・・映画の話でした。

先日『アンダーグラウンド』を見たときの話です。

若いお父さんと子供が私の前で見ていました。

どうみても子供は小学生高学年の少年
退屈してグズられると嫌だなと心配しました。

性描写も結構ある映画だし、子供に見せるの
どうかな。

ところが約3時間、子供は見入っていたようです。

驚きました。

あの年齢でこの映画。
将来、天才と呼ばれるようになるかもしれません。

クストリッツァ

2016-06-15 09:35:13 | 映画
エミール・クストリッツアの映画を横川シネマで
上映中です。

東京や大阪で開かれた映画祭の流れです。
そちらでは6本でしたが
広島では3本です。

すでに見ていた『黒猫白猫』はパスして
代表作と言われる2本を見ました。

評判通り凄い作品ですね。
私には『アンダーグラウンド』が特に面白く
私がみたベスト映画20には入ります。

現代のテンポからすると遅いとも思えますが
自らの世界をたっぷりと描くと、こういう
分厚い作品になるのでしょう。

人間というものへの圧倒的な支持と
戦争という最悪の暴力への凝視があります。

現在の世界にも通じる内容でした。

小津映画とは正反対の描きかたですね。


広島では客の入りが悪そうな特集を組んだ
横川シネマさん、ありがとう。
さすがです。

これぞ映画。
映画でないと表現できない世界。

デジタルリマスタ

2016-05-30 16:17:52 | 映画
暫く前にNHKで小津を何作品か流してくれました。
デジタル・リマスター版です。

フィルム特有の画面のちらつきがありません。
人も景色もくっきりと見えます。
雨なども降りませんしね。

音が良くなったのにも感心します。
昔の映画館なぞ聞こえにくい処がありました。

これで作者の意図するものが明確に分かります。

役者の表情、発声の細やかさ、音楽の効果・・

原節子はいかなる美人であったか・・等など。

言うことなしに、デジタル化は有り難い!


フィルムで見る場合は画面のちらつきを
脳が修正してくれます。

それでもどこかでチラツキを見ているのでしょう。
デジタルになったことで、フィルム上映がどんな物か
改めて分かりますね。


小津映画の場合、カメラがじっとしていて
更に、映っている人もじっとしています。

デジタルだと静止している感じが余りに強く出る
そんな気になってしまいます。

ツウぶって「いやデジタルも良いけどさ」
なんて言いたくなってきます。

正直、ちょっとイラつきますね。


どちらが良いか、などは言えず
共にそれぞれ良い、という平凡な結論になりそうです。

『ヘイル、シーザー』

2016-05-18 10:49:35 | 映画
映画?
減りましたね。
一年間に10本くらい、多くても20本です。

どんな映画か、内容も偏っています。
今の俳優さん、さっぱり区別がつきません。


『ヘイル、シーザー』見てきました。

コーエン兄弟。
らしさが変わらず、良い作品です。

今NHKがやってる『トットてれび』に似ています。

(あの頃)を思い出し、現在にちょっとだけ注文
・・隠し味ですけれどね。

『・・シーザー』を見ていて、我ながら何も知らないと。

「トットてれび」で九ちゃんを錦戸くんが演じていますが
『シーザー』でも、あの頃の超有名な俳優を現在の俳優が
演じていて、そこが映画のキモなんでしょう。

ところが、ハリウッドの今も昔も詳しくない私です、
→九ちゃんも錦戸君も知らないで「トット」を見ても
 面白さ半減ですよね。


なるべくCGを使わないで、今でもこれだけ出来る、と
作り手が楽しんでいる様子です。

映画というものに詳しいほど面白さが増し
にやにやしてしまう映画のようですね。

詳しい人はウンチクを傾けることが出来ます。

あ、これも有名な俳優さんだろうな、
私はそこで止まってしまうので、残念至極。


けれども小中生のころに『十戒』『ベンハー』などを
見ているので少しは空気が分かる気がします。

カミサンの世代となると、もう時代の空気が変わり
ハリウッドのワンパタン大作は馴染が薄いようです。