語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【読売】国民のための仕事人をつぶす「読売新聞」と自民党

2015年09月28日 | 社会
 (1)訪問販売で、高齢者や認知症患者などの被害が絶えない。
 この訪問販売に一定の制限をかけるべく検討していた消費者庁の担当者が、8月の人事で相次いで異動となった。
 訪問販売を規制する特定商取引法の改正には、読売新聞社(山口寿一・社長)と自民党が猛反対していた。
 
 (2)特商法改正の審議に関与していた官僚で、今回異動になったのは、服部高明・前消費者庁審議官だ(金融庁参事官へ異動)。そして、山田正人・前同庁取引対策課長だ(関東経済産業局地域経済部長へ異動)。
 とりわけ山田前消費者庁取引対策課長に対する風当たりは強く、「FACTA」2015年7月号では、「イクメン課長が『消費者庁暴走』の元凶」という記事で、顔写真入りで批判された。
 霞が関関係者は語る。
 「経産官僚でありながら核燃料サイクル政策に疑問を呈したり、みずから育休をとったりと、山田氏は改革派官僚として知られた人物。横浜市副市長として保育所待機児童ゼロを実現したことでも有名です。去年から出向していた消費者庁では訪問販売規制に取り組み、読売と自民党の標的になっていました。6月頃、経産省幹部が『山田は読売とケンカしているのか』と驚くなど、経産省内では大騒ぎになっていたそうです」

 (3)山田氏は、1991年に経産省入省。2002年に原子力政策課の課長補佐に就くと、匿名で「19兆円の請求書--止まらない核燃料サイクル」と題する文書を作成した、と言われる。
 山田氏の地方局への異動について、消費者団体や消費者保護を専門とする弁護士の間では、「読売と自民党が霞が関の人事に口を出したのではないか」という疑念が広がっている。
 8月31日、消費者団体から山口俊一・内閣府特命担当大臣に抗議書が提出された。

□野中大樹(編集部)「改革派経産官僚に左遷人事 背景には『読売新聞』と自民党か」(週刊金曜日」2015年9月18日号)
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 【参考】
【古賀茂明】国民のために働く官僚の左遷 ~読売新聞の問答無用~ 


【詩歌】会田綱雄「醜聞」

2015年09月28日 | 詩歌
 耳の上に
 耳が生えてくる
 耳の上に耳を生やして安心してはいられない
 菌(きのこ)のように引っこぬければいいのだが
 そんな生やさしいシロモノではない
 血もかよっている
 毒もまわっているだろう
 安全剃刀の刃でそいつをひと思いに削ぎおとす
 痛いけれども我慢はできる
 我慢できないのは
 切っても切ってもそいつが生えてくることなのだ
 真実
 耳ふり
 泣きたくなる
 切りとった耳の始末にもこまる
 豚の耳なら酢で殺して食えるが
 こいつ川へ流しても土に埋めても死なないのだ
 川へ流された耳に流れこむ遠い悲鳴や微かな呻きごえ
 土に埋められた耳に忍びこむ暗い囁きや低い笑いごえ
 それらがみんな聞こえてきて
 ひっきりなしに聞こえてきて
 夜もろくろく眠れない
 せっかく生えてくる耳ではないか
 むざむざ削ぎおとすことはない
 人目に曝して図太く生きろと
 苦しまぎれの掛けごえだけは掛けるのだが
 それができない言いわけもある
 新しい耳が生えてくると古い耳が萎びてくる
 どうにも折りあいがつかないのだ
 耳の上に
 耳が生えてくる

□会田綱雄「醜聞」(『鹹湖』、緑書房、1957):第一回高村光太郎賞
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 【参考】
【詩歌】会田綱雄「聖家族」
【詩歌】会田綱雄「鹹湖」
【詩歌】会田綱雄「伝説」