語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】中原中也「雪の宵」

2015年09月10日 | 詩歌
       青いソフトに降る雪は
       過ぎしその手か囁(ささや)きか  白秋

 ホテルの屋根に降る雪は
 過ぎしその手か、囁きか
  
   ふかふか煙突煙(けむ)吐いて、
   赤い火の粉も刎(は)ね上る。

 今夜み空はまつ暗で、
 暗い空から降る雪は・・・・

   ほんに別れたあのをんな、
   いまごろどうしてゐるのやら。

 ほんにわかれたあのをんな、
 いまに帰つてくるのやら

   徐(しづ)かに私は酒のんで
   悔と悔とに身もそぞろ。

 しづかにしづかに酒のんで
 いとしおもひにそそらるる・・・・

   ホテルの屋根に降る雪は
   過ぎしその手か、囁きか

 ふかふか煙突煙吐いて
 赤い火の粉も刎ね上る。

□中原中也「雪の宵」(『山羊の歌』(文圃堂、1934)所収)
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 【参考】
【詩歌】中原中也「言葉なき歌」
【詩歌】中原中也「北の海」
【詩歌】中原中也「春日狂想」
【詩歌】中原中也「幸福」
【詩歌】中原中也「朝鮮女」
【詩歌】中原中也「朝の歌」
【詩歌】中原中也「曇天」
【詩歌】中原中也「つみびとの歌 ~阿部六郎に~」
【詩歌】中原中也「夕照」
【詩歌】中原中也「骨」
【詩歌】中原中也「月夜の浜辺」
【詩歌】中原中也「一つのメルヘン」
【詩歌】中原中也「湖上」
【詩歌】中原中也「汚れつちまつた悲しみに・・・・」
【詩歌】中原中也「サーカス」
【詩歌】丸ビル風景 ~正午~

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【食】食品表示法の施行で添加物が明確に

2015年09月10日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)食品表示法が4月に施行された。わかりやすい食品表示を目的として。
 何かが特別に改善されたわけではない。今までとほとんど変化はない、と感じる消費者が多数だろう。
 ただ一点、少し分かりやすく変わった。すなわち、「加工食品の原材料と添加物の明確化」だ。
 従来の原材料表示は、添加物以外の原材料に続いて、何の区分けをすることもなく、原材料と同じように添加物を続けて表示してもよかった。これが、食品表示法では、①添加物以外の原材料と②添加物とを明確に区分することになった。

 (2)原材料と添加物の表示例。
  (a)大原則・・・・原材料と添加物をそれぞれ別欄に表示し、欄ごとに「原材料名」「添加物」の項目名を記す。
  (b)(a)のほかに次の表示をすることも「できる」。
    ①原材料と添加物をそれぞれ別欄に表示し、項目は両者共通に「原材料」と記す。
    ②原材料と添加物を同一欄に表示するが、改行して区別し、項目は両者共通に「原材料」と記す。
    ③原材料と添加物を同一欄に表示し、両者の区別は「/」で記し、項目は両者共通に「原材料」と記す。<例>砂糖/ゲル化剤(ペクチン)

 (3)(2)の(a)と(b)を比べると、区別している意味あいが、
    (a)>(b)-①>(b)-②>(b)-③
の順に薄れているのがわかる。
 どうしても事業者の負担を減らしたいから「できる規定」を作る。本来、「できる規定」はイレギュラーなのに、それがいつの間にか標準になっていくのが常だ。
 (b)-①は、欄を設けているのだから項目名を「原材料名」「添加物」とすればよいのに、少しでも添加物と消費者に悟られないために「添加物」という言葉を省略する。
 (b)-②の改行も、改行の意味が分かりづらい。
 (b)-③の「/」も、とても明確とはいえない表示法だ。

 (4)それでも、少しは進歩したと言える。
 今までの表示は、どこまでが添加物以外の原材料で、どこから添加物なのか、よくわからなかった。
 しかし、これからは、(a)はさて措き、(b)の3つの表示例を示せばいい。
 おそらく事業者の多くは(b)-③の「/」を使ってくるだろう。文字数が少なくて済むし、何よりも添加物が何かが一番わかりにくい表示例だからだ。

 (5)わかりにくいからといっても、「/」が何を意味するのか、消費者にだんだんと浸透していくだろう。そうなれば、添加物が多い食品なのか、少ない食品なのかが、一般の消費者にも一目でわかるようになる。
 添加物が多い食品より少ない食品のほうがいいにきまっている。できるだけ添加物の少ない商品を選ぶ消費者が増えるだろう。
 まだまだ消費者より事業者の利益を優先する消費者庁だが、この変更に関しては、消費者のための食品表示であることを少しは理解し、実践したのだ、と受け止めてあげたい。
 食品表示法は、非常に理解しづらい文面だ。わかりやすい食品表示にするためには、「わかりやすい法律を作る」ことが最低条件だ。改善の余地はまだまだあるのだ。

□垣田達哉「食品表示法の施行で添加物が明確に でもイレギュラー表示はナシよ」(「週刊金曜日」2015年9月4日号)
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