語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】会田綱雄「聖家族」

2015年09月27日 | 詩歌
 おんなは
 へそのおを
 貝をちりばめたふくろにたたみ
 ちぶさにあてがっていた
 発見されて
 こどもは死にましたと
 泣いた
 それもうそだと
 おとこはおんなをけっとばし
 あやしげな酒場で
 めちゃくちゃにおどっていたが
 おんなを死なせてはならぬと
 かけもどり
 へそのおを焼かせた
 そのときから
 おとこはわかれたがったが
 わかれれば死ぬとおもい
 なんねんもいっしょにくらしたあげく
 なぜ死なせてはならぬのか
 とうとうわからぬままに
 旅さきで死にたえ
 おんなは死に目にもあえなかったが
 やがて再縁さきで
 りっぱににどめのこどもをうんだ

□会田綱雄「聖家族」(『鹹湖』、緑書房、1957):第一回高村光太郎賞
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【詩歌】会田綱雄「鹹湖」
【詩歌】会田綱雄「伝説」



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。