語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【ブラック企業】対策講座 ~騙されないための心得~

2013年12月02日 | 社会
 (1)ブラック企業で苛酷に働かされ、鬱病になって辞めてしまう場合、その時点で人生からドロップアウトしてしまう人もたくさんいる。そういう人たちの社会復帰も大きな課題だ。
 失ってしまったものを取り戻すのはかなり難しい。
 記録さえ残っていれば、労働災害を適用することで、国から給付を受けられる。しかし、何年前かの話になると、できることがなかなか無い。
 そうなる前に、現状の対策として、まずは記録を取ること。出社してから退勤するまでの時間、どんな業務命令を受けているかの業務日誌だ。なるべくパソコンでログインしている間のスクリーンショットを取るなりして、証拠に残るものを確保するのだ。

 (2就活する者のために言えば、「自分の目で見て決めろ」と言われても、相手も人事のプロだから、学生が本音を見抜けるはずがない。一番大事なのは、企業の客観的データの見方を知ることだ。就活生は、1~2割しか企業データを見てない。
  (a)離職率
  (b)男女比率
  (c)社員数
  (d)募集人数
  (e)労働組合の有無
  (f)契約内容、契約形態・・・・裁量労働があるとか、残業代も給料に含まれる(「含み算」)とか、管理監督者がいる、とか言う会社は怪しい。

 (3日本の企業や働き方は、働かせてもらっているのだから、何でもやるのは当たり前。世界の中では、相当レアな社会だ。
 欧米では、労働者の仕事の内容は、限定されている。職業別に労働協約が設定され、仕事の内容やそれに応じた賃金があらかじめ決まっている。これは、職業別に労働組合と企業団体との交渉で設定される。
 日本の労組は企業別なので、企業の中のルールしか設定できない。
 労働市場で、カネを払ったら「何でも命令できる」というのが、日本の働き方だ。しかし、欧米では、たとえカネを払っても「ここまでしか命令できない」。日本は、カネの力がもっとも強力な社会だ。

 (4会社と従業員のよい関係は、「高福祉」「中賃金」「低命令」だ。
 日本では、普通に働くことがほとんど許されていない。みながみな滅私奉公ではないが、猛烈に働くのが当たり前、とされている。「全員エリート」社会だ。
 一方、企業は国に税金をあまり払わないから、福祉が充実しない。だからこそ、ますます猛烈に働いて家族を養わなければならない。
 その結果、労働生産性が下がったり、過労死が蔓延する。
 明らかに不合理だ。
 そこそこの働き方で過労死しない(鬱病にならない)働き方、持続可能な働き方、かつ、福祉とセットで何とか暮らせる。このような労働のモデルを作るべきだ。
 <例1>一定の所得以下の人は医療、住宅、教育を無料 or 低額にする。すると、給料が多くなくても、何とかなる。過労死、鬱病を防げる上に、地域活動にも参加できる。子どもも育てられる。社会全体のコストが引き下げられていく。
 <例2>「低命令」は、労働時間、配置転換、職務についての「命令権限」に限界をつくる、ということだ。無限の命令のせいで体を壊したり、家族が崩壊している。それを防ぐ。「お前は社会人として甘い!」と言われてサービス残業、休日出勤をさせられている人がいる。以後との中身について制約がないので、「甘い」と言われると、どこまでも仕事をさせられてしまうのが、日本の社会だ。自分の仕事のラインを明確にすることが必要だ。

□インタビュイー:今野晴貴(POSSE代表)/インタビュアー:平井康嗣(本誌編集長)「ブラック企業対策はなぜ国家的問題なのか」(「週刊金曜日」2013年11月29日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【ブラック企業】対策講座 ~就活~
【社会】ブラック企業大賞2013 ~ワタミフードサービス~
【社会】「ブラック企業」への反撃 ~被害対策弁護団が発足~
【社会】「ワタミ」の偽装請負 ~渡辺美樹・前会長/参議院議員~
【社会】学校もこんなにブラック ~公教育の劣化~
【社会】私学に広がる教員派遣と偽装請負
【社会】私学に広がる教員派遣と偽装請負・その後 ~裁判~
【本】ブラック企業 ~日本を食いつぶす妖怪~
【本】ブラック企業の実態
【社会】若者を食い潰すブラック企業 ~傾向と対策~
【本】ブラック企業の「辞めさせる技術」 ~違法すれすれ~
【心理】組織の論理とアイヒマン実験 ~ブラック企業の心理学~
【社会】第二回ブラック企業大賞候補 ~7社1法人~
【社会】ブラック企業における過労死、ずさんな労務管理 ~ワタミ~
【社会】ブラック企業の見抜き方 ~その特徴と実例~


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。