両足で支えている私の身体の重さは、
足の力を緩めることで、普段とは違う場所でその重さを感じる。
足ならば、そう感じない重さは、
腕にとってはずっしりと感じる、重さ。
それは。決して辛い重さではなく、
むしろそれを心地よく感じてしまう。
膝を曲げ、ほぼ全身の重さを腕に感じるようになっても、
その重さがますます、心地よいものとなっていく。
腕を縛っている縄によって、吊るされている私は、
自らの足で立つのではなく、
その縄にすべての重さを掛け、自らの重さで
縄目がはっきりと残るほどに、縄が食い込んでいても、
そのまま、揺ら揺らと吊るされている。
揺れることで、少しだけ力が掛かることすら楽しく。
振り子のように自分の身体を揺らし始めてしまう。
目を開いていても、閉じていても、
私一人の世界。
食い込んでいく縄が抱きしめていただいているようで
この瞬間が永遠に続いていくような感覚。
縄に酔ってしまう。
背中に回し、きっちりと両手を縛った縄から
別の一本の縄が天井へと伸びていく。
ピンと張ったその縄に、思わず頬ずり。
女王様に強く抱きしめられ、頬に手を触れていただきたい。
そんな気持ちからか、縄に頬を絡ませてしまいます。
もうどのくらいの時間が過ぎたのでしょうか。
今まで感じていた、自分の重さが手から離れ、
背中に女王様の身体を感じます。
そして、頬には、縄ではなく、手の平を
縄に火照った、私の頬を静める冷たい手です。
「帰っておいで。」
揺ら揺らと空間を浮遊していた私の心が目覚め、
再び、しっかりと両足で自分の体重をささえます。
腕にしっかりと深く刻み込まれた縄目の痕、
自分の身体の重さ全部を支えていた重さの感覚が、
私の置かれた幸せな時の思い出です。
指先でそれを辿り、そのときのことを思い出し
縄無しで、縄に酔いしれています。
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