◆◆プロローグ◆◆
いきなり引き気味の書き出しだけど、スタート前はそれなりに盛り上がっていた、盛り上げていた。6月以降、ツールド八ヶ岳・多摩川源流ぐるり・おんたけウルトラと3本のロングランをしっかりと走り切っていないという、もはやあるまじき、許されざる事態を抱えていたハリ天。ここは何が何でも、そう一切の欲もプライドも捨ててまずはしっかり走り切る・・・と心に決めていた。タイムや順位はどうでもよく、自分なりに納得の行く走りをしてフィニッシュラインを越える。これは失いかけているロングランへの自信を取り戻すためのレースなのだ。エヘラエヘラしていたけど、実は、こうして、結構、シリアス感いっぱいの胸の内だったのだ。
◆◆序盤戦(スタート~40km)◆◆
・・なので、スタートも本当に前目に並ばず、ゆっくり。走り出してからも応援の皆さんとゲッツ写真。Twitterでスタートした旨も送信。
昨年の富嶽周回以来仲良くなった長野のM隊長とPMTM(Perfect Machine gun Talk Mode)で進む。いやぁ、楽しいなぁ。
意外な(単に知らなかっただけ)過去を暴き合い、笑い合い、時々追いつく友人達とエールを交感していれば、あっという間に第1エイド(18.5km)通過。
斑尾山の山頂も通過。
ぐんと下って第2エイド(23.9km)もあれよあれよと。ずっとM隊長とPMVMランだ。心拍数も130~140台で楽ちん。
この斑尾山をぐるりと巡る序盤は3年前の第1回斑尾50K(Madarao Forest Trails 50km)のコースと同じ。あの時は中間地点の25km過ぎから招待選手だったフランス人女性招待選手キャリン・ヘリーさんからの逃走レースだった。膝が痛くなってうめきながらもトップ10入りを何としてもと踏ん張り、後半25kmを逃げ切り成功、
気持ちの良いトレイルに突入してから、M隊長とはお別れ。少しずつペースアップ。決して心拍が上がり過ぎぬように気をつけながらだけど、上りでも下りでも平坦部分でも面白いように順位が上がっていく。のってきた。自分でもいい感じだ。いいぞいいぞだ。袴岳を越え長い下りも足に負担をかけず上手に走ることが出来、順調に順位を上げて元気に第3エイド(38.5km)に到着。
塩たっぷり振りかけた冷やしトマトがうまい!
それにしてもここまでの各エイドでも色んな方(ボランティアスタッフ)から声をかけていただいた。たとえ面識がなかったり、普段のお付き合いがなくても、ブログを読んで下さっているということは、少なからずハリ天のことを知ってくれているわけで、そう思うとひと言の声援もストレートに胸に響いてくる。遠くの地でのレースなのに嬉しいことだ。支えていただいている。
◆◆中盤戦(40km~80km)◆◆
さて、第3エイドを出発した所で、iPhoneを取り出しハリマネ通信だ。車で各ポイントを回れるから、一緒に来ていたら面白いことになっていたぞぉとか、とっても元気だからこれからさらに後半に向けて上げていくぞ宣言とか、おっと今抜いていった選手のザックにチビちゃん人形発見!とかの通信。
で、電話を切ってから、本当にペースアップ。河川敷の道は陽をさえぎるものがなく暑くてつらい・・・そう聞いていたけど、川に沿って上っていくこういう道って結構好きだぞとマイナス要因なし。前に見えている選手を次々とゲットしつつ、半分くらいまでは実に順調で文句ない走り。が、問題は突然起こるものなのだ。ちょっと辛いかなって初めて感じ、SUUNTOの心拍表示を見ると軽く160を超えている。今、そんなガツガツ走っていないのに、だ。慌てて思いっきりスピードダウン。が、全く心拍数は落ちない。歩く。が、ほとんど落ちない。オーバーヒート?これはやばいぞという信号だ。ちょっとのってきていたハイな気分はほぼ消滅、現状をしっかり見つめ、歩く。トボトボ歩く。なのに高い心拍で苦しい。そうだ、左手を流れている川だ。降りられそうな所を見つけて川の水を浴びる。あまり冷たくなかったけど、心拍数はスーッと下がっていった。が、走り出すとまた急上昇。繰り返し。全然走れない。ダメか、ダメなのか、ホントにダメなのか。
長い河川敷も終わり、再びトレイルに入ると一気に涼しくなってきた。だからといって、完全に蘇ったわけではない。6月以降のロングラン失速時と同じ状況になってきた。一気に萎える。力が入らない。相当の脱力感だ。水もいっぱい飲んでいるが、顔の汗はかなりの塩気。嗚呼、嗚呼、嗚呼。
頑張って上ると、スタッフとして参加のなべちゃんがかっこよく声援を。ありがとう!いやぁ、知り合いからの応援は本当に力だ。
しばらく我慢すると平坦でとても走りやすいトレイルに。完全に稼ぎ所なのに足が出ない。トボトボ進むと後方から「ハリ天さん」と声をかけてくれた青年・take4さん。ハリ天ブログの愛読者で、トレイル歴はまだ浅いけどかなり頑張っている。トライアスロンも視野に入れているとかで、あれこれ夢中で話ながら進むうちに不思議なことに元気が出てくる。彼のおかげで「何とかまとも」な程度まで復活。
第4エイド(51.5km)には元気に到着できた。と、ここで色々あってずっと心配していた友人が家族と一緒に応援に登場。あまりの嬉しさに今日の全てって感じなくらいにエキサイト。
すっかり元気は出たが、やっぱり足はへたってきて、take4さんにも先に行ってもらう。
ドロップパックを預けてある第5エイド(66.6km)へはヘロヘロの到着。先着していたtake4さんと補給。トマト風リゾット、スープパスタと食いまくる。それでもまだぐったりしていると序盤一緒に移動していたM隊長の姿が・・・。元気になって来たぁとホントに元気そう。
もうかなり心ポッキリ状態に近かったけど、力振り絞ってスタート。
ダム上の急階段を上ると、またまた気持ちいいトレイル突入だが、いかんせん・・しっかりとは走れない。トボトボと一人ラン。
つなぎの林道で、またまた後方からのペーサーの方に声かけられる。ここであれこれ話をしながら上っていると、またまた復活。ありがたい。ウルトラのパターンだな。
◆◆終盤戦(80km~ゴール)◆◆
すっかり調子が出て、まぁまぁまともな走りになってきた。ぎりぎりまで粘ってライト投入。すっかり涼しくなって、あの河川敷の暑さがウソのよう。
ロードへ出る下りで先行していたtake4さんに追いつき、一緒に第6エイド(81.0km)へ。笹寿司が美味い!温かいみそ汁が美味い!おかわりおかわり。マッサージを受けるという彼を残して先へ。ロードの上りはしっかり走れたけど、その後戸隠神社奥社の参道付近はだれまくる。
第7エイド(87.0km)では座り込んでコンソメスープがぶ飲み。ハリ天さんと声をかけて下さった年配のスタッフから、独走の相馬選手は2時6分に通過と聞いた。時計を見たら7時半だよ、嗚呼。
take4さんも追いついて来た。昨年はここでリタイアだったからとゴールへ執念を燃やす彼だが、もう絶対に大丈夫だ。
次の最終エイドまでは5kmちょっと。いい感じで走れているぞと思うとパタッとへたれる。また走れるようになるがダメにもなる。なんとも情けない後半なのだ。とにかくエイドが待ち遠しい。野辺山のエイドではドリンクのみしか摂らなかったけど、ここ信越五岳では食いまくり飲みまくりでコストパフォーマンス高し。
闇夜に煌々とライトアップされた第8エイド(92.3km)が浮かび上がった。
心から救われたって思いが湧き上がる。エイド毎に先回りして応援してくれているM隊長の相方さんに笑顔を返せなくなっている自分。巨峰を貪り喰らう。戸隠そばをつゆまで飲み干す。あと17.7km。アンテナ立っていて、おっとここでハリマネ通信だ。けどゴールはまだまだだよ。
一人でしばらくヘロヘロと進むと真っ暗な山中にライト、タンバリンの音が鳴り響く。おぉあの音は、あんちゃんだ。スタッフとして声を嗄らしてくれている。たっぷり元気を注入していただいた。YAMAYAさんが6位、tomoさんが8位の情報もここでもらった。すげぇ!頑張ったなぁ、よし、オレも。って思っているんだけど、なんか足は死んでるよ。でも止まらず登る最後の山は瑪瑙山(めのうさん)。ぐいんと直登。前の選手に張り付いて引っ張ってもらう。もう一つゲレンデ直登もそのまま。下りに入ると下からライトを振った石川さんが激励逆走だ。嬉しい心配り。
100km手前の山中では、山トピ仲間・ご近所のヘロリンさんがスタッフで登場。待ちに待たせてしまった。もっと早くにさっそうと通り過ぎたかったけど、ホッとして座り込ませてもらっちゃった。
あと10km。微妙なアップダウンを繰り返し、最後はほぼフラットな林道をひたすら進む。もうガツンという心の力が残っていなくて、足を前に出すのが精一杯。ライトの光量がだいぶ少なくなってきた。暗くなってすぐにゴールするくらいのつもりでいたのだから、とんだ油断。嗚呼。
ゴール地点のMCの声が風に乗って耳に届いてくる。ようやくゴールだ。ライトアップされたゴールゲート。直前でごーやすさんの声援。18時間49分52秒、143位のゴール!。素晴らしい走りをしたYAMAYAさんとtomoさんのお二人が迎えて下さった。ありがとう。
【YAMAYAさん提供】
しかし、ゴールしたけど、嗚呼、なんも言えねぇ。何一つ変わらぬ撃沈型レース。あれだけ押さえて入ったことがなんのメリットも産まなかったという徒労感。こういうこともあるさって慰められない毎度のパターン。何がいけないのか、何をすればよいのか。5月の野辺山ではどんなにスピードが落ちても上り坂をちゃんと走り切っていた。その強いイメージとこの日実際の走りとのギャップにウォンウォン苦しめられた一日だった。足のどこも悪くない、体もおかしくない。ならば心か。わからない。
・・・とにかくそんなようなことをゴールの周辺で感じ、もうしばらくロングは嫌だって心の中でつぶやいている自分。こんなこと「珍しい」じゃなくて「初めて」だなと冷たく突き放した表情でもう一人の自分が腕組みして眺めていたっけ。大きく両手でバッテンも出していたよ。
★★★写真です。ご自由にどうぞ★★★
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