パドヴァには、聖アントニオを祀っているサンタントニオ教会があり、カトリックの一大巡礼地となっています。
聖アントニオは、聖フランチェスコで有名なフランチェスコ会の修道士で、生まれはポルトガルだそうですが、
パドヴァの近くで亡くなったため、この町に教会(墓所)が建てられたそうです。
病気や怪我の治癒に、また失くし物にご利益があるそうです。
この教会の外観は一種独特で、ファサードだけを見るとゴシックやロマネスクの様式のように見えるのですが、
その後ろにはビザンチン風(イスラム風?)のドームが8つ、上から見ると十字状に並んでいます。
一方、内部は、これが質素を旨とするフランチェスコ会の教会なの? と言いたくなるくらい絢爛豪華で、
特に聖ア ントニオの墓はひときわ目立つ場所にあって、触れようとする人たちで行列ができ、
またたくさんの願い事の書かれた紙がかけられていました。
朝は、鐘の音で目を覚まし、窓を開けると、朝のお祈りに向かうたくさんの人たちが教会に入っていきます。
夜は、教会前の広場の街灯でほのかにライトアップされた教会が、静謐な姿を見せてくれます。
サンタントニオ教会は、俗世間の願いが満ちている空間と、聖なる空間の凛とした雰囲気をあわせ持った、
そんな教会でした。