JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

明けぬ夜は無し

2009年10月10日 | d-f

   ♪ 星の流れに 身を占って
    何処をねぐらの 今日の宿
     荒む心で いるんじゃないが
    泣けて涙も 涸れ果てた
    こんな女に誰がした ♪

今日の朝日新聞土曜版beの『song うたの旅人』は、菊地章子の「星の流れに」でありました。
じつはこの歌、私が大好きな歌なんでありまして・・・・・
いやいや、もちろん戦後の新宿に彼女達の姿を見た世代ではありませんよ。
私がこの歌に本当の意味で出会ったのは、大学二回生の夏だったと思います。それ以前に何度も耳にしていた歌ではあったのでしょうが、意識して聴き、口ずさんだのがこの時でした。

その年の夏、大学の自治体活動に日々の時間を取られていた私は、長期のアルバイトを行う事が難しくて、短期のビアガーデンのアルバイトに就いておりました。それも、新宿や渋谷といった大きな繁華街の大きなビアガーデンではなく、神奈川県の小さな街のビルの屋上にあった、しかも、そのビルに入っていた怪しげなスナックが夏だけ営業する小さな屋上ビアガーデンです。

当時の屋上ビアガーデンには何処でも、ショーを行ったり、バンド演奏を行うステージが設けられておりましたが、そこは小さな街の小さな屋上ビアガーデンですから、そんなおくがましい物はなく、それでもギターアンプとマイクが一・二本置かれたスペースは用意されていて、これまた、アマチュアに毛が生えたような二人組のフォークグループの演奏を行っていました。

あはは、忙しかったからなのか、暇すぎたからなのか、定かではありませんけど、二人が何を歌っていたかほとんど覚えていません。ただ、必ずステージの最後に歌っていた「星の流れに」だけが、耳に残っているのです。(「こんな女に誰がした」の部分を、「こんなオカマに誰がした」と変えたりする「オチャラケ・星の流れ」でしたけどね)

仕事が終わった深夜、提灯(ビアガーデンにはつきものでした)も消えた屋上で、同じビルの1階にあったミスドの女の子達と飲むビールが美味くてねぇ・・・・
「星が右に流れたら、今晩付き合うか?」てなこと言いながら「星の流れに」を歌うんでありますなぁ
今思えば、この曲を作詞された清水みのる氏の想いなど、まったく無視した失礼なお話であります。

その後、しみじみとこの曲を味わうにつれ、歌詞の意味も理解できるようになりましたし、益々好きになった歌でした。

今日の記事の「戦後日本の現実を歌う」との表題を見るとき、戦争で散っていった命の尊さはもちろん、残された者の辛さ、苦しさ、「死んでも地獄、生きるのも地獄」ただ、「明けぬ夜がないのなら、生きてさえいれば」との想いだけで身を落とす・・・なんと戦争とは無意味なものでありましょうか。
それと同時に、現代においても、戦争など起きてもいない日本で、多くの人たちが同じような「死んでも地獄、生きるのも地獄」の想いをいだいているのではないのだろうか、しかも「明けぬ夜がないのなら、生きてさえいれば」との希望すら捨ててしまっている・・・・・・・
いや、「明けぬ夜がないのなら、生きてさえいれば」の想いは捨てちゃいけません。戦後『闇の女』とまでさげすまれながらも、生き抜いた彼女達に、今こそ学ぶべきなのかもしれない、なんて、ちょっと思ったりしちゃったりして。(笑)

 ♪ うられうられて 北の国へ
   
女がひとり 山を越えて
   国を追われた その日から
   わたしの夢は 散っていく
   女に生まれた この身を嘆いても
   
涙も夜露に 消えていく
   何処へ行くのか 誰に逢うのか
   わたしの道は人任せ

   今日からわたしは 人形のように
   他人のしとねに 身を任す
   いつかわたしが 戻れる日が来たら
   故郷の花よ 咲いてておくれ
   何処へ行くのか 誰に逢うのか
   わたしの道は人任せ
   うられうられて 北の国へ
   女がひとり 山を越えて ♪

これも大好きな歌、泉谷しげるの「うられうられて」ですが、必ず、故郷の花が咲いて迎えてくれる明日があると、私は信じています。

さて、今日の一枚は、ケニー・ドーハムです。

トランペットというと、ジャズの王道、花形楽器でありますが、ドーハムに対する私のイメージは、「はなははなでも『華』じゃない『花』」・・・なんだか分かったような分からないような表現ですが、つまり華やかな魅力は無いと思っています。
いやいや、されとて「それが嫌い」という事じゃないんですよ、「それが逆に魅力だ」と言いたいわけです。
そして、それがどんなホーン奏者を向こうに回してもなお、彼の変わらぬスタイルであるから安心できるという事なのかな。

そんな前置きで、今日のアルバムを聴くと、向こうに回したホーン奏者は、チャールス・デイビス、いやぁ渋いですねぇ、ニューヨークに出てくる前は、ダイナ・ワシントンの伴奏、そうそうビリー・ホリデイとの共演もあったそうですが、このログでもロニー・マシューズやサム・ジョーンズらの共演者として名前は出ているものの、触れたことは無かったかもしれません。

そのデイビスが、このアルバムではとても魅力的に感じられます。
「華がない花を引き立てる花」ってどんな花じゃい
と、ひとりツッコミを入れながら聴くこのアルバムは、今日のような秋空を眺めながらの珈琲タイムにはうってつけかもしれませんね。

JAZZ CONTEMPORARY / KENNY DORHAM
1960年2月11,12日録音
KENNY DORHAM(tp) CHARLES DAVIS(bs) STEVE KUHN(p) JIMMY GARRISON [1-3], BUTCH WARREN[4-6](b) BUDDY ENLOW(ds)

1.A WALTZ
2.MONK'S MOOD
3.IN YOUR OWN SWEET WAY
4.HORN SALUTE
5.TONICA
6.THIS LOVE OF MINE


間違い電話にご用心

2009年10月08日 | a-c

台風18号は各地に傷跡を残しながら北へ過ぎ去ろうとしていますが、みなさんがお住まいの地域では何か被害がありましたでしょうか?
このあたりは、今日一日風は強かったものの、雨のピークは朝方には過ぎ、午後には青空が拡がってきました。おかげさまでボロの我が家も被害を受けず原型を維持しています。
今日は二十四節気の一つ『寒露』、野草に露も落ちようかという季節を迎えたわけですから、できれば今後は台風さんにはご遠慮いただきたいと思いますよね。
いずれにしても、被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。


まだ青空になる前に、揺れる木を写したつもりなんですが、
まったく伝わってくるものがありませんね。(笑)

昨晩は、Mさんのお店の手伝いも10時過ぎには終わり、いつものバーのママからメールも入ってたりなんかして、「ちょいと一杯・・・」とも思ったのですが、
「うちなんか、台風でどうなるか分かんないんだからねぇ、あんまり遅くなんないでよ!」
と、釘を刺されていたことを思い出し、自宅で飲むことにしました。

「いくら真っ直ぐ帰ってきたって、家で飲んでりゃ何の役にも立たないじゃないの」
「いやいや、夜中になんかしようてぇのが間違いなんだから、家が壊れりゃそれまで、ね、あとは天に任せるしか方法はないんだし、家にオレがいるという安心だけで充分じゃないの
「そんなら、いない方が安心だったりして」
「・・・・・・(くそう!飲みに行ってりゃよかった)」(笑)

まっ、そんなこんなで、徐々に風雨が激しくなる中、久しぶりにジェリー・マリガンの「NIGHT LIGHTS」なんぞ聴きながら一杯やっつけておりますと、携帯電話が・・・
(「なんだぁ?こんな夜中に?」)
「てめぇかぁ!」
「??????」
男の声ですが、聞き覚えがありません。もちろん着信の電話番号にも心当たりはなく(非通知じゃないということはいたずら電話でも無さそうだし)
「ふざけたことすんじゃねぇぞぉぉ、この野郎!」
どうも相手様も飲んでおられるようで、いささかロレツがまわっておりません。
「あのぉ、どちら様でしょ?」
「どちらさまぁ?ふざけやがってぇ、△△知ってんだろぉ!」
「あなたのことも△△さんも知ら・」
「うっせぇよ、これからそっちに行ってやんから、何処にも行くなよ!」
ガシャン
って、べつに私ゃ何処にも行きませんけど、△△さんにもまったく心当たりはなくて・・・

するとまた携帯電話が・・・・先ほどと同じ電話番号です。
「もしもし、□□、ごめんねぇ、ごめんねぇ」(今流行のギャグじゃありません。)
と、今度は半べその女性です。
「あのぅ、ひょっとして間違えてません?」
「え????」
「どちらに電話しましたぁ?」
「え?□□・・・・え?やだぁ、自分で番号押したんだぁ」

どうもお付き合いしている男性が、□□という方と彼女が浮気をしていると勘違いしたかなにかで、怒った彼が電話をかけその人の所に向かったというんでありまして、しかも彼女の携帯で電話したにもかかわらず、酔っぱらった彼が電話帳からではなく、自分で電話番号を押したがために我が携帯に通じたという、笑い話みたいな話で
「でもあなたまで間違えるって?」
「リダイヤルしたからです。」
なるほど、いやいや、納得している場合じゃない、今どきの若いヤツは何をしでかすかわかりません。
「間違いはしかたないけど、早くそのもう一人の彼に連絡した方が良いんじゃないの」
「はい、そうします。本当にどうもすいませんでした。」

いやはや、こんな事ってあるんですねぇ、いやね、昔、泣きながら間違い電話してきた女性には遭遇したこともあるし、今回のように突然怒鳴られた間違い電話もあったんですよ。だけど、なんだか昨夜の間違い電話は、より真に迫っていて、
「ひょっとして、事件の証拠に携帯電話を提出してください。てな事になっちゃったりして」
今朝、珈琲を飲みながら必至にニュースを見ちゃいました。
幸いかな男女間の縺れで男が男を襲ったといったニュースは流れておりませんでしたので、事なきを得たのでしょうけどね。

「昨夜、そんな電話があったのよぉ」と同僚に話すと
「あれぇ?じつはバブさんにも、そんな心当たりがあったりして」
「うんうん、じつは○○ちゃんとね、って、そんなわきゃねぇだろう!」
東北人ですから、じつにヘタなノリツッコミでした。(笑)

ここで教訓です。電話番号はくれぐれもお間違いにならないように、特に酔っぱらっている時には気を付けましょうね。(「あんたもね。」)

さて、今日の一枚は、チェット・ベーカーです。
昨晩ジェリー・マリガンを聴いたからというわけでもないんですが、白人オールスターズといった布陣の一枚を選びました。
題名のとおり、アラン・ジェイ・ラーナとフレデリック・ロウが書いた『マイ・フェア・レディー』『ブリガドゥーン』『ジジ』『ペイント・ユア・ワゴン』といったミュージカルの名曲を演奏したというアルバムです。
とはいっても、中心になっているのは、これもジャケットを見れば明らかなように『マイ・フェア・レディー』なんでありますが、『マイ・フェア・レディー』と聞くと、シャリー・マンの「MY FAIR LADY」も思い浮かべますよね。聴き比べが適当かどうかは別としても、このミュージカルの音楽はたしかに名曲揃いであります。


私的には、今日のアルバムの女の子の方が
可愛らしくて好きなんですけど(そこかい!)

個人的にはもっと後のチェットのほうが好きなんですが、それでもいわゆるリリカルなチェットは充分に堪能できると思います。
おっと、ここですよね、「リリカル」てな言葉をついつい使ってしまう、本当に意味が分かって使ってんのかってんですよね。日本人なんだから素直に「いかにも叙情的な」とかなんとか言えばいいのに。(自分にツッコんでます。)

その他にも名だたる白人ミュージシャンのソロもそこそこに楽しめます。ただ、ちょっと前にも口にした「私好みの臭さ」はこのアルバムにも欠けるところです。
まっ、それは詮無きこと、「だったらウエストコーストなんぞ聴くな!」と言われそうですよね。
「臭みはなくとも、イヤミもない」
それもまた良いものなのであります。

PLAYS LERNER & LOEWE / CHET BAKER
1959年7月21,22日録音
CHET BAKER(tp) HERBIE MANN(fl,ts) ZOOT SIMS(as,ts) PEPPER ADAMS(bs) BILL EVANS(p) BOB CORWIN(p) EARL MAY(b) CLIFFORD JARVIS(ds)

1.I'VE GROWN ACCUSTOMED TO HER FACE
2.I COULD HAVE DANCED ALL NIGHT
3.THE HEATHER ON THE HILL
4.ON THE STREET WHERE YOU LIVE
5.ALMOST LIKE BEING IN LOVE
6.THANK HEAVEN FOR LITTLE GIRLS
7.I TALK TO THE TREES
8.SHOW ME


美・恋・快楽????

2009年10月06日 | p-r

昨晩、12時過ぎに帰宅すると、なんともいえない香りが家中に充満しておりまして、
「う~~ん、この香りはたしか嗅ぎ覚えがあるあの・・・・・」

そう『月下美人』の香りでありました。
我がブログで振り返ると、昨年は7月24日、一昨年は8月22日に開花しておるようですが、いずれも一年に一度だけだったはず、ところが今年は夏に花をつけたカブから、またしても昨晩開花したのでありました。
「ふ~~ん、二度咲くこともあるんだぁ・・・・」

「『月下美人』はメキシコ原産のサボテン科に属する植物だ。」というお話は以前もしましたよね。ただ「何故に夜中だけ咲くのか?」という私の素朴な疑問は、おそらくは夜行動する昆虫か何かとの共進化が原因だろうとの察しはついたものの、調べる気力もなく未解決のままでした。

それが、前回、夏に開花したときにそんな話を持ち出すとN君が
「あ~『月下美人』ねぇ、あれはねぇ、花粉媒体役がコウモリなのよ。蜜や花粉を食用としているヘラコウモリ科の小型のヤツ。そいつらが夜行性だから花も夜開くんだよね。ほら南米にはその手のコウモリが多いから、吸血コウモリだっているようぉ~~~」
って、
「おまえはコウモリ博士か!」
って、おもわずツッコミを入れたくなりましたが、花の咲く向きまでコウモリが蜜を採りやすく進化してるんだそうですよ。
でも、『月下美人』がコウモリを意識して進化したように話してますが、コウモリも『月下美人』の蜜を吸うために何か変化しているかもしれないし、そもそもどちらがどう進化して今のようになったかは・・・あはは「鶏が先か、卵が先か」みたいな話は学者さんにでもお任せしましょう。ともかく、自然というものは凄いものです。

「ところでコウモリ博士、吸血コウモリってぇのは、南米とルーマニアのトランシスバニアと、もっといっぱい住んでるところがあるんかね?」
「アホかいな、ヨーロッパ、ましてルーマニアにチスイコウモリはいないの。」
「え?だってほら、バンパイヤが・・・ドラキュラ伯爵がいるジャン」

これも「目から鱗」始めて知りましたが、新大陸にいるチスイコウモリとバンパイア伝説を、ヨーロッパの作家が混ぜ合わせたというだけのことで、実際にモデルとなったチスイコウモリは南米のもんだったんだそうであります。

「実際には1000種類近くいるコウモリのなかで、新鮮な血液を餌としているのは、チスイコウモリ属、シロチスイコウモリ属、ケアシチスイコウモリ属、この3種類だけで、チスイコウモリ属のナミチスイコウモリはメキシコ北部からアルゼンチンにかけてけっこう広い範囲でいるけど、シロチスイコウモリとケアシチスイコウモリの生息地はかなり狭いわけよ。・・・・・・・」
「もういい、それ以上は、コウモリオタク同士の会合ででも語ってくれ」
と言いつつ、ブログのネタになりそうだとメモしている自分が怖い。(笑)

ともかく、チスイコウモリの話は置いておいて、『月下美人』は、花言葉のごとく自分の「儚い恋」のために、「儚い美」でコウモリ達を誘惑し、一夜の受粉に全てをかけるんでありますな。
あ~~私も「儚い美」に出会い、「儚い恋」をしてみたい・・・・一夜限りの恋い、そして、もう一つの花言葉「快楽」あればそりゃもっと良い。
「けっきょくは、後腐れのない一回ぽっきりのお付き合いがしたいって、それだけだろ」
「いえ、一夜だけでも良いから本当の恋をしてみたいという・・・・ごめんなさい、そのとおりです。」
チャンチャン。

さて、今日の一枚は、アート・ペッパーです。
「残り物には福がある」的アルバム「THE WAY IT WAS !」(季節的には「AUTUMN LEAVES」が収録されているこちらの方が良かったかもしれません。 )にも一部収録されている、ペッパーのコンテンポラリー初リーダーセッションの全容を聴こうと思えば、今日のこのアルバムということになります。

トリスターノの愛弟子ウォーン・マーシュを向こうに回しがっぷり四つ、というより、親友が楽しく飲んでいるってな感じですかね。後のペッパーとマーシュを考えると、ちと違和感もあるのですが。
それでも、よくよく聴いてみると、どこまでもクールなマーシュと、やっぱりついつい燃えてしまうペッパーが、「イカンイカン、ほどほどにしなくちゃ」的なところもあったりして、そこが面白いアルバムでもあります。

本日はCDでの紹介です。

ART PEPPER WITH WARNE MARSH
1956年11月26日録音
ART PEPPER(as) WARNE MARSH(ts) RONNIE BALL(p) BEN TUCKER(b) GARY FROMMER(ds)

1.I CAN'T BELIEVE THA YOU'RE IN LOVE (TAKE 1)
2.I CAN'T BELIEVE THA YOU'RE IN LOVE (TAKE2)
3.ALL THE THINGS YOU ARE (TAKE 1)
4.ALL THE THINGS YOU ARE (TAKE 2)
5.WHAT' NEW
6.AVALON
7.TICKLE TOE
8.WARNIN' (TAKE 1)
9.WARNIN' (TAKE 2)
10.STOMPING AT THE SAVOY


月の鏡に身を映し

2009年10月04日 | j-l

今日は日曜日にもかかわらずお仕事で・・・・・・なんで仕事だってぇと天気が良くなるんですかねぇ、頭に来たんで早めに切り上げて帰ってきました。って、最初から遅くなるつもりはなかったんですが、「だってぇ料理当番だも~~ん」(笑)

てことで、今日はまず『料理当番、本日の一品』です。

鶏はニンニク醤油で、豚はサッパリ塩で、秋刀魚はゴマを眩しそれぞれ焼き上げました。ついでにネギと長芋もね。
付け合わせは、牛蒡サラダと、一日遅れましたが、なんとなく『お月見』にあわせて、お芋さんを添えてみました。(仲秋の名月を芋名月ともいうんですよ。)

それにしても、今晩は良い月夜で、「一日遅れだろうがなんだろうがかまわねぇ」とばかり、さっきまで狭いベランダに出ての月見酒。
考えてみれば満月なんざぁ毎月あるわけで、何故にいまさらの月見なのか?
そりぁあ~た、暑くもなく寒くもなく、蚊もそろそろいなくなるし、春と違って空気も澄んでますからお月さんもぼやけた姿じゃござんせん、まして、ほら、あたしみたいに心まで澄んでると、なおさら綺麗に見えるってぇもんで・・・・・

 我が盃に月を移(映)して月見酒

まったく、こんな贅沢はありませんね。

でもこうして綺麗な月を見ていても、昔はたしかに見えた兎の姿が、ぼやけて見えなくなってしまいました。
「う~~ん、近いところだけかと思ってたけど、遠目もきかなくなってきたかな?」
そう思うと、さっきまで美しいと感激していた月が、今度は私に何かを諭しているかのようにも思えます。

月には、太陽と違い鏡のような力があるんでしょうかねぇ、時に心を弾ませる美しさであったり、時に涙を誘う美しさであったり、見る人の心を描くようじゃありませんか。

仲秋の名月は見逃したものの、一夜遅れの美しき月に、我が身を映すバブ君でありましたとさ。

「○○~~~!そんなとこでお酒なんて飲んでると、近所の人に何言われるか分かんないから、止めなよ!」
まったく、ひとがいい気分で浸ってるっていうにねぇ。

さて、今日の一枚は、あら珍し、ジョン・ルイスです。(笑)

MJQからミルト・ジャクソンが抜けてなんの面白味があろうか、そう思うのですが、このアルバムはちとわけが違います。

ブリジット・バルドーの恋人、サッシャ・ディスティルとジョン・ルイスの双頭バンド的扱いにはなっているものの、もちろん主導権はルイスのもの。
えっ?私が好む要素がないって?
まぁまぁ、話は最後まで、
私が注目するのは、ディスティルてなフランスの色男でも、ルイスなんてな美しきピアニストでもないわけでして、テナーのバネル・ウィランなんですねぇ。

もちろん、ルイスとディスティルのしっとりとした掛け合いに文句を付ける気はまったくありません。ありませんが、そこに割り込むウィランがなんともよろしいんですなぁ(笑)
「DEAR OLD STOCKHOLM」なんて、まさにそんな感じでしょ?

いずれにしても、秋の夜長にこんなアルバムもアリじゃないでしょうか。

AFTERNOON IN PARIS / JOHN LEWIS & SACHA DISTEL
1956年12月4[4-6], 7[1-3]日録音
JOHN LEWIS(p) SACHA DISTEL(g) BARNEY WILEN(ts) PIERRE MICHELOT[1-3], PERCY HEATH[4-6](b) KENNY CLARKE[4-6], CONNIE KAY[1-3](ds)

1.I COVER THE WATERFRONT
2.DEAR OLD STOCKHOLM
3.AFTERNOON IN PARIS
4.ALL THE THINGS YOU ARE
5.BAGS' GROOVE
6.WILLOW WEEP FOR ME


東京JAZZ 2009 その二

2009年10月03日 | a-c

せっかくの十五夜も、お月様が恥ずかしがり屋なようで、ときおり顔を出す程度であります。

今日も昨夜に引き続き『東京JAZZ 2009』の感想です。

まずは、大西順子・トリオ
これは拾い物というか、じつに私好みの演奏でありました。私としては今年放映された演奏のなかではピカイチ賞を贈りたいと思います。
ただ、女性の繊細さと逆に心の強さ、両面を感じさせる彼女のピアノに怖さも感じたりして、これは「女は可愛い者」という若き日の我が妄想がヅタヅタにされた年月が、私にそう思わせるだけかもしれませんけど。(笑)
ともかく、7年のブランクが彼女に何をもたらしたのか?それは分からずともこの演奏を聴けば「けして無駄なブランクではなかったのかな」と私は思いました。

次は、マッコイ・トリオ+ジョン・スコフィールドです。
スコフィールドに関しては、マイルス・グループ時代も含めほとんど聴くのを拒否してきたギターリストですから、ここでなんか言うのも申し訳ない思いです。が、この演奏を聴いて感じたことが一つ、マッコイ・タイナーは、ギターであれ、管であれ、対比があるとき若さがいっそう蘇るんじゃないかということ、トリオ演奏のそれとはあきらかにソロ部分が違うように感じ取れました。
エリントン・ナンバー「IN A MELLOW TONE」もなかなかお洒落でようござんした。
それにしても、見た目ジジイの集団がこんな演奏を聴かせるんだから、やっぱり音楽ってぇのは若さの特効薬なんですかねぇ。

次は、いよいよルー・ドナルドソンです。
管楽器というのは非情なもので、やはりピアノなんかと比べると老いをまともに受ける楽器なんですね。それでも「とぼけたジジイも、聴かせどころだけは押さえている。」てな感じでしょうか。
商業的に走ったどうだと言っても、彼のソウルフルな曲は心を弾ませます。「ALLIGATOR BOGALOO」のソロ部分で見せた敦賀明子の表情にまさにそれがうかがえますよね。
それにしてもこのジジイ、キャバクラかなんかで若いオネェちゃんのケツでも触りながら飲んでそうな、そんでもって「やだぁ、おじいちゃぁん・・・・でも可愛いから許しちゃう」みたいな。こりゃまさに私が目指すジジイ像であります。(笑)

その後は、クオシモード、そしてマンハッタン・ジャズ・クインテット+ルー・ドナルドソンと続くわけですが、私の興味はドナルドソン一本に絞られてしまいました。
クオシモードも悪くなかったんですが、番組の取り上げ方がドナルドソンありきみたいな感じでしたからねぇ。
いかに老いたとはいえ、「CHEROKEE」やマンハッタン・ジャズ・クインテットとの共演で聴かせてくれた「BYE BYE BLACKBIRD」でのソロには唸らせられました。
とぼけたジジイだけど、ことアルトサックスに関しては、どれだけ真面目に取り組んできたのか、それを再認識させていただいた思いです。

いよいよ最後はスペシャルジャムですが、内容どうのこうのではなく「このお祭りのお決まり」みたいなもんですから、「今年も楽しませていただきありがとうございました」みたいな感じですかね。

ともかく、もう一度最後に
「NHKさん、どうかもう少し放送枠を増やして下さい。」

さて、今日の一枚は、もちろんルー・ドナルドソンなんですが、クリフォード・ブラウンと互角に渡り合い、まさにドナルドソンここにありと言わしめたアート・ブレーキーのこのアルバムにしてみました。もちろん過去に紹介済みですが、ここでのドナルドソンをぜひとも聴きたいと思いましてね。

それにしても、この晩バードランドに集結したブレーキーのレギュラー・クインテットは、短期間だったとはいえとんでもないメンバーで、これ以降、もちろんブレーキーはジャズ・メッセンジャーズを、ホレス・シルバーもメッセンジャーズを経て自己コンボを、クリフォード・ブラウンはマックス・ローチと、ハード・バップ全盛時代を築き上げるわけです。
あれ?ドナルドソンは?
もちろん、彼も頑張りましたが、当時多くのアルト奏者がそうであったように、チャーリー・パーカーの幻想が影響を及ぼしたことは明かで、彼をいわゆる商業的と言わしめるソウル・ジャズに走らせた原因であるとも考えられます。

いずれにしても、

 ♪ アリゲーター・ブーガルー 二人だけの
   アリゲーター・ブーガルー 恋の踊り
             ・・・・・・・ ♪

これが、ただただ商業的に作られたドナルドソンの曲であるかどうかは別として、ブラウニーと互角に渡り合う彼なればこそのヒットであったと再認識しつつ、今晩はこのアルバムを聴き返したいと思います。

A NIGHT AT BIRDLAND Vol.2 / ART BLAKEY
1954年2月21日録音
CLIFFORD BROWN(tp) LOU DONALDSON(as) HORACE SILVER(p) CURLY RUSSELL(b) ART BLAKEY(ds)

1.WEE-DOT
2.IF I HAD YOU
3.QUICKSILVER(Alternate Master)
4.NOW'S THE TIME
5.CONFIRMATION


東京JAZZ 2009

2009年10月02日 | s-u

嵐のような雨と風、ひどい天気でした。来週は台風が日本列島に近づきそうですし、秋雨前線と合間ってとんでもないことにならなきゃいいんですが・・・

今日は毎年恒例であります『東京JAZZ』自宅鑑賞の感想です。(笑)
NHKのBShiビジョンで放映された4夜連続延べ6時間の放送も昨晩が最終日、私も録画しておいた同番組の鑑賞をさきほど終えました。

まずは最初に文句というかお願いを一言。
以前はナマで延々放送していた同ライブが、毎年毎年、放映時間が短くなってきているように思えるのですが、NHKさん、もうちょっと時間を増やしてもいいんでないですかねぇ、もちろん、お金を出して東京に聴きに行けば良いことはじゅうじゅう承知しているんですが、時間も金もない私には、NHKさん、あなたが頼りなんですから、来年はもう少し時間枠を増やしていただけるようお願いしますよ。(笑)

私にとって今年の『東京JAZZ』のお目当てはといえば、やっぱりマッコイ・タイナーとルー・ドナルドソンだったでしょうかねぇ
だからというわけではないのですが、前半二日間の放送は、私的には「どうなんだろ?」的なところが正直ありました。
ですので勝手ながら今年は第3夜分放映からの感想とさせていただきます。

まずはマッコイ・タイナー・トリオです。
いやいやお歳をめされて、いいおじいちゃんになってしまい、演奏はどうなんだろうと思いきや、もちろん全盛期とまでは行かなくとも力強いタッチは健在ですねぇ、「AFRICAN VILLAGE」なんて、いかにもマッコイてな感じでよろしかったんじゃありません?

変なところに感動してしまったのは、翌日放送分のジョン・スコフィールドを加えたカルテット演奏でのこのアングルからのマッコイ。
何度見直したか分からないほど見ている、西ドイツのテレビ番組『バーデン・バーデン』やサンフランシスコのテレビ番組『ジャズ・カジュアル』で、コルトレーンと奏っているあのマッコイの姿に完全にダブるんです。ちょっと見、指が動いてるんだか動いてないんだか分からないほど上半身は静止しているというか、演奏のわりには見た目クールなんですよね。

ともかく、私の知るジャズ・ミュージシャンがどんどんあちらの世界へ旅立たれてしまう昨今、マッコイにはまだまだ頑張っていただきたいものです。

次は、チャイナ・モーゼスです。
私、そもそもこの方の歌を聴くのは初めてでして(笑)、じつにチャーミングな方ですねぇ。
ダイナ・ワシントン好きということで、彼女のナンバーをノリ良く歌っておられましたが、嫌いじゃありません。(笑)

次は、オランダのウーター・ヘメル・・・・う~~ん、これはコメントを控えさせて下さい。(笑)その前にチラッと写ったティネカ・ポスマ・カルテットの方が、私は気になったんですが・・・

次は、デビット・マシューズ率いるマンハッタン・ジャズ・クインテット
王道で安心して聴いていられるという点では文句はないのですが、私には今ひとつインパクトが無いんです。スマートすぎるっていうのかなぁ、臭くなさすぎるっていうのかなぁ、でもこれはあくまで個人的好みです。いかに「こってりラーメン」が好きでも「あっさりラーメン」が悪いという理由にはなりませんからね。

3日目の放送最後は、原信夫とシャープ&フラッツです。
ビッグバンドがどうのこうのではなく、常に日本のビッグバンドジャズを牽引し続けてきた同バンドが、こうして元気な演奏を聴かせてくれる、それだけでなんだか嬉しいじゃありませんか。
それにこれだけ大きな会場ですから、ビックバンドは栄えますよね。私はテレビでの鑑賞ですが、会場で聴けばこの演奏はじつに盛り上がったのだろうと想像がつきます。

今日はここまで、明日はルー・ドナルドソンの出番ですよ。(笑)

さて、今日の一枚は、もちろんマッコイ・タイナーです。

マイルストーンに移籍したマッコイは、完全にコルトレーンの呪縛から解き放たれていたのか?
コルトレーンの曲を避けて通るうちは間違いなく呪縛があったんでしょうねぇ、しかし、ここに至っては、それも一つの糧にしてしまったマッコイがいると思います。
さらに同じくコルトレーン時代の盟友エルビン・ジョーンズと一緒にコルトレーンの曲を演奏する、完璧でしょ(笑)
この時期、トリオ演奏ってぇのは珍しいんですが、攻めのマッコイはトリオであっても魅力的です。

あっ!そういえば、この時のマッコイもアフロまでは行かないけど、それっぽいよねぇ、やっぱりトレンドだったのかなぁ????

TRIDENT / McCOY TYNER
1975年2月18,19日 録音
McCOY TYNER(p) RON CARTER(b) ELVIN JONES(ds)

1.CELESTIAL CHANT
2.ONCE I LOVED
3.ELVIN (SIR) JONES
4.LAND OF THE LONELY
5.IMPRESSIONS
6.RUBY,MY DEAR


小用に考える?

2009年10月01日 | m-o

連続する大地震、地球がいよいよ怒り出したんでしょうか?
大きな被害も出ているようで、お見舞いを申し上げるとともに、救助活動が迅速に進み一人でも多くの方が助かることを祈っております。

そんなことはなんも関係ないように、今朝の私は一日休んだおかげですこぶる快調でした。
「昨夜あんまり飲まなかったからでしょ」
「・・・・・・」

そんな快調な朝、トイレで用を足していると、
プ~~~ン
いやいや、私の不浄な臭いではありません。毎年のことですがトイレの外に咲いているキンモクセイの香りです。
たしかこの話題はここでは3年連続だったかもしれませんねぇ、え~と昨年はというと・・・・おお、10月7日に気が付いておりますから、今年のほうが少し開花が早いのかな。(ブログが日記だと気付く瞬間ですよね。笑)

バッサバッサと無造作に枝を切られたにもかかわらず、けなげに咲く我が家のキンモクセイ、しかも、しっかりトイレの芳香剤代わりまでしてくれるってんですから、なんとも愛らしいじゃござんせんか。

そういえば、昔のトイレ用芳香剤には『キンモクセイの香り』ってぇのが定番のようにありましたよね。あれ?最近もあれってあります?
やれラベンダーだ柑橘系だ、森林の香り(何が森林なんだか私には理解できませんが)にせっけんの香り・・・・キンモクセイって見なくなったような?????
トイレの芳香剤も都度都度トレンドってぇのがあるんでしょうかねぇ?

トイレの香りでもっと懐かしいといえば、衣服の防虫剤のような代物で、丸い玉状の芳香剤があったじゃないですか、あの香りですねえ。
ぶら下げるデカイ玉と小用便器にゴロゴロしているチッチャイ玉と二種類ありましたけど、あはは、あれにめがけてシャーってね。

「あれ、たしかまだあれって売ってるよ」
「え?うっそう!」
と、ネットで調べてみると。
ありました、ありました、白元で今も製造販売している『オーダーL』という商品です。
「昭和27年販売開始ってことは、なんと57年も販売を続けてるの?そりゃすげぇや」

そうそう、デカイほうのやつはいろんな色のパラフィン紙に包まれてたんですよね。なんだかとっても懐かしいなぁ・・・・「う~~ん香ってみたい」なんちゃって

ともかく、快調な朝にトイレで香りを一考した私でしたとさ。チャンチャン。

さて、今日の一枚は、チャールス・マクファーソンです。

1975年といえば、やっとベトナム戦争が終結した年でしたね。私もすでにジャズを囓りだした頃でありましたが、ジャズの世界では、「ジャズは何処に進むのか?」という、集結どころか混沌とした時代。クロスオーバーだのなんだのと私にはついて行けない物体が襲いかかる時代でもありました。(最初はフュージョンなんて言わなかったですよねぇ、笑)
「ちょっと髪が長いとみんなアフロなんかにしやがって、なにがリターン・フォー・エバーだ!なにがヘット・ハンターズだ!」
まっ二つはこの2年3年前の録音でしたが・・・・・そうそうアフロ頭のキース・ジャレットが唸りながら「KOLN CONCERT」を録音したのもこの年でしたよね。(べつに恨み辛みを語ってるわけじゃありませんよ。笑)
でもなんであの頃、猫も杓子もアフロだったんだろう????
まっそんなことほっといて、
そんな中、小泉チュルドレン?小沢チュルドレン?ちゃうちゃう、ミンガスチュルドレン、いや正確にはバリー・ハリスの影響の方が大きかったのかな?ともかく、そんなマクファーソンが、同じアフロ頭で出したこのアルバムは「やっぱり王道はここだ!」と思わせてくれる一枚でした。

「クロスオーバーなんて」と否定する一方で、ただ限界まで音を張り上げるがごときフリースタイルには徐々にはまりつつあった私。
しかし、張り上げるばかりが楽器じゃありませんよね。
デューク・ジョーダンのビューティフル・ピアノ(マクファーソンが、ジョーダンのピアノをそう称した事でタイトルが決定したとか)に絡み合うアルトの美しい音色、「オー!ビューティフル」。
魅力ある一枚だと思います。

「でもさぁ、このジャケットからビューティフルはイメージできなくなぁい?」

BEAUTIFUL ! / CHARLES McPHERSON
1975年12月8日録音
CHARLES McPHERSON(as) DUKE JORDAN(p) SAM JONES(b) LEROY WILLIAMS(ds)

1.THEY SAY IT'S WANDERFUL
2.BUT BEAUTIFUL
3.IT COULD HAPPEN TO YOU
4.LOVER
5.THEY CAN'T BE LOVE
6.BODY AND SOUL
7.IT HAD TO BE YOU
8.ALL GOD'S CHILLUN GOT RHYTHM