JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

東京JAZZ 2009 その二

2009年10月03日 | a-c

せっかくの十五夜も、お月様が恥ずかしがり屋なようで、ときおり顔を出す程度であります。

今日も昨夜に引き続き『東京JAZZ 2009』の感想です。

まずは、大西順子・トリオ
これは拾い物というか、じつに私好みの演奏でありました。私としては今年放映された演奏のなかではピカイチ賞を贈りたいと思います。
ただ、女性の繊細さと逆に心の強さ、両面を感じさせる彼女のピアノに怖さも感じたりして、これは「女は可愛い者」という若き日の我が妄想がヅタヅタにされた年月が、私にそう思わせるだけかもしれませんけど。(笑)
ともかく、7年のブランクが彼女に何をもたらしたのか?それは分からずともこの演奏を聴けば「けして無駄なブランクではなかったのかな」と私は思いました。

次は、マッコイ・トリオ+ジョン・スコフィールドです。
スコフィールドに関しては、マイルス・グループ時代も含めほとんど聴くのを拒否してきたギターリストですから、ここでなんか言うのも申し訳ない思いです。が、この演奏を聴いて感じたことが一つ、マッコイ・タイナーは、ギターであれ、管であれ、対比があるとき若さがいっそう蘇るんじゃないかということ、トリオ演奏のそれとはあきらかにソロ部分が違うように感じ取れました。
エリントン・ナンバー「IN A MELLOW TONE」もなかなかお洒落でようござんした。
それにしても、見た目ジジイの集団がこんな演奏を聴かせるんだから、やっぱり音楽ってぇのは若さの特効薬なんですかねぇ。

次は、いよいよルー・ドナルドソンです。
管楽器というのは非情なもので、やはりピアノなんかと比べると老いをまともに受ける楽器なんですね。それでも「とぼけたジジイも、聴かせどころだけは押さえている。」てな感じでしょうか。
商業的に走ったどうだと言っても、彼のソウルフルな曲は心を弾ませます。「ALLIGATOR BOGALOO」のソロ部分で見せた敦賀明子の表情にまさにそれがうかがえますよね。
それにしてもこのジジイ、キャバクラかなんかで若いオネェちゃんのケツでも触りながら飲んでそうな、そんでもって「やだぁ、おじいちゃぁん・・・・でも可愛いから許しちゃう」みたいな。こりゃまさに私が目指すジジイ像であります。(笑)

その後は、クオシモード、そしてマンハッタン・ジャズ・クインテット+ルー・ドナルドソンと続くわけですが、私の興味はドナルドソン一本に絞られてしまいました。
クオシモードも悪くなかったんですが、番組の取り上げ方がドナルドソンありきみたいな感じでしたからねぇ。
いかに老いたとはいえ、「CHEROKEE」やマンハッタン・ジャズ・クインテットとの共演で聴かせてくれた「BYE BYE BLACKBIRD」でのソロには唸らせられました。
とぼけたジジイだけど、ことアルトサックスに関しては、どれだけ真面目に取り組んできたのか、それを再認識させていただいた思いです。

いよいよ最後はスペシャルジャムですが、内容どうのこうのではなく「このお祭りのお決まり」みたいなもんですから、「今年も楽しませていただきありがとうございました」みたいな感じですかね。

ともかく、もう一度最後に
「NHKさん、どうかもう少し放送枠を増やして下さい。」

さて、今日の一枚は、もちろんルー・ドナルドソンなんですが、クリフォード・ブラウンと互角に渡り合い、まさにドナルドソンここにありと言わしめたアート・ブレーキーのこのアルバムにしてみました。もちろん過去に紹介済みですが、ここでのドナルドソンをぜひとも聴きたいと思いましてね。

それにしても、この晩バードランドに集結したブレーキーのレギュラー・クインテットは、短期間だったとはいえとんでもないメンバーで、これ以降、もちろんブレーキーはジャズ・メッセンジャーズを、ホレス・シルバーもメッセンジャーズを経て自己コンボを、クリフォード・ブラウンはマックス・ローチと、ハード・バップ全盛時代を築き上げるわけです。
あれ?ドナルドソンは?
もちろん、彼も頑張りましたが、当時多くのアルト奏者がそうであったように、チャーリー・パーカーの幻想が影響を及ぼしたことは明かで、彼をいわゆる商業的と言わしめるソウル・ジャズに走らせた原因であるとも考えられます。

いずれにしても、

 ♪ アリゲーター・ブーガルー 二人だけの
   アリゲーター・ブーガルー 恋の踊り
             ・・・・・・・ ♪

これが、ただただ商業的に作られたドナルドソンの曲であるかどうかは別として、ブラウニーと互角に渡り合う彼なればこそのヒットであったと再認識しつつ、今晩はこのアルバムを聴き返したいと思います。

A NIGHT AT BIRDLAND Vol.2 / ART BLAKEY
1954年2月21日録音
CLIFFORD BROWN(tp) LOU DONALDSON(as) HORACE SILVER(p) CURLY RUSSELL(b) ART BLAKEY(ds)

1.WEE-DOT
2.IF I HAD YOU
3.QUICKSILVER(Alternate Master)
4.NOW'S THE TIME
5.CONFIRMATION