JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

休日がちょっと楽しみ

2010年06月08日 | d-f

定期的に見ていただいているかどうかは別としても、先日もお話ししたようにこんなブログでも読んでいてくれる方はおりまして、まっ、たんに「継続こそなんとか」なんでしょうが、それはそれで嬉しいものです。

「いつも見てるよバブちゃん、ところで、こんなDVDはもちろん見たことあるよね?」
と、W氏が差し出したのは
「オヨヨ、『DINGO』じゃぁござんせんか・・・・え?こんなんDVDになってたの?」
そうなんです。あのマイルスが亡くなるちょっと前に準主役をはった映画『DINGO』のDVDです。

ディンゴ少年は、オーストラリアの空港に緊急着陸して降り立った伝説のジャズ・ミュージシャン、ビリー・クロス(MILES DAVIS)が、滑走路で突然始めた演奏を見てしまうんですなぁ、
「パリへ来たら俺を訪ねろ」
この時の感動と想いが、20年後彼をパリへと旅立たせ・・・・・・

と、いかにも何度も見たかのように話していますが、じつをいえば、存在は知っていても見たことがない映画なんであります。

「いやぁ、オレ、この映画見てないんですよ」

正直に言うと、1991年当時のマイルスにはほとんど興味がなかったし、公開時(日本で公開になったのかなぁ?)1994年というと、私が最もジャズからも映画からも離れていた時期でもありましたから「是が非でも見たい」との思い入れが無かったのかもしれません。
しかし、こうして目の前にDVDなんぞをちらつかされると、やっぱり見てみたいですよねぇ
「Wさぁ~~ん、ちょっくらお貸しいただくなんてわけには・・・・・・・」

Wさんいい人、偉い!!!!
快くお貸しいただきました。
さっそく今晩見たい気持ちでいっぱいですけど、ここはグッとこらえて休日にゆっくりと見ることにします。
「マイルスは実際どの程度演奏してるんかなぁ・・・ワクワク」
答えを知っているあなた、今はなにもおっしゃらないで下さいね。(笑)

さて、ということで、今日の一枚は、もちろんマイルスです。
1955年といえば、マイルスが揺るぎない地位を築き上げた原点の年と言っても良いかもしれませんよね。いやもちろんそれ以前に築き上げたものがあってこそではありますが、レギュラーバンドを維持できる状況となると、この年のコロンビアとの契約が最大のターニングポイントであったことは間違いありません。

どうにもイメージですが、1955年にはすでに、ジョン・コルトレーン、レッド・ガーランド、ポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズというメンバーでの活動が中心のような勘違いをすることがあります。(私だけかな?笑)
しかし、3月の時点ではコルトレーンではなくソニー・ロリンズでレギュラーを組んでも結局は維持できませんでしたし、つまりは、プレスティッジとコロンビアとの二重契約に、急遽レギュラーバンドの編成を余儀なくされ、さらには過密スケジュールの中で成熟されていった事実を考えるに、まさにこの年が、マイルスの揺るぎない地位を築き上げた原点の年と言っても間違いではないと私は思っていますが・・・どうでしょう?

そして、そうなった大きな要因は何かといえば、7月17日のニューポート・ジャズ・フェスティバルであり、そのまた前にさかのぼれば、前年のクリスマス・セッション、かのケンカ・セッションとなるわけです。
モンクとの係わりはさておき、こうしてみるとミルト・ジャクソンとマイルスの係わりというのもちょっとした興味を誘います。

ともあれ、ニューポートを終え、コロンビアでの初録音「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」までの間に録音された一枚が、今日のアルバムです。

アルバムの本題にはいるまで、エライ長くなってしまいましたが、このアルバムにも余談がありまして、
本来、このアルバムはクインテットのみで、カルテット演奏が入る予定ではありませんでした。(ちなみに数が合わないと思った方、マイルス・アンド 5人、4人という意味で、マイルスは数に入っていません。)
ところが、この頃のジャッキー・マクリーンは完璧なまでのジャンキー、自作2曲の録音を終えたまでは良かったんですが、マイルスがアート・テイラーに優しく教える姿に
「どうしてテラーにはそんなに優しいのぉ、どうしてアタシには冷たくあたるのぉ」
そんなオカマ調ではなかったでしょうが、ジャンキー、マクリーンは嫉妬のあまり帰ってしまい、けっきょくカルテットでの演奏になってしまったという・・・・・

いやはや、この頃のアルバム制作には、いろいろと物語が隠されておりますなぁ(笑)
ですから、そんな状況で録音されたこのアルバムに過度な期待は禁物です。それでもそこはマイルスとミルト、私の好きなレイ・ブライアント、もちろんマクリーンもいるわけですから、過度でなければじゅうぶん満足できる一枚だと思います。
「Dr.JACKLE」と「MINOR MARCH」、ジャンキーとはいえ、マクリーンがいるクインテットがやはり聴き所ですかね。

MILES DAVIS AND MILT JACKSON QUINTE / SEXTET
1955年8月5日録音
MILES DAVIS(tp) JACKIE McLEAN(as) MILT JACKSON(vib) RAY BRYANT(p) PERCY HEATH(b) ART TAYLOR(ds)

1.Dr.JACKLE
2.BITTY DITTY
3.MINOR MARCH
4.CHANGES