JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

ジャズっぽくねくねぇ?

2010年04月01日 | y-その他

気温もどうやら平年並みに戻り、やっと桜の開花が近づいたかな?なんて思っています。それにしても我が田舎の開花が東京からこれほど遅れているてな事が、過去にあったでしょうか?

今日は珍しくもジャズの話をしようかと思います。(最近は何のブログなんだか本人もよくわかっておりません。笑)
といっても、ひねくれ者の私のことですから、素直なお話しではありませんで。

 神は なくてもある
 また 彼はユーモラスである ので
 ある種の人間に似ている

 このたびは
 巨大な 男根を連れて わたしの夢の地平線の上を
 ピクニックにやってきたのだ
 ときに
 スミコの誕生日に何もやらなかったことは
 悔やまれる
 せめて 神の連れてきた 男根の種子を
 電話線のむこうにいる スミコの
 細く ちいさな かわいい声に
 おくりこみたい
        ・・・・・・・・

って、べつに官能小説を読み上げているのではなく、白石かずこの詩『男根(Penis) スミコの誕生日のために』の冒頭部分の紹介です。
白石かずこといえば、以前も紹介した「DEDICATED TO THE LATE JOHN COLTRANE(ジョン・コルトレーンに捧ぐ)」という、サム・リバースをバックに朗々と詩を語るアルバムを出したバンクーバー生まれの現代詩人であります。

その「DEDICATED TO THE LATE JOHN COLTRANE」を最近はじめて聴いたというYさんが、
「バブちゃん、あれもジャズのアルバムといえるのかねぇ?」
と訊いてきました。

どうにもこうにも日本人ってヤツはジャンル分けしないと気が落ち着かないようで、しいては「ジャズとはなんぞやの話をせい」というのか?てなもんですよ。

昔、私の大好きな野沢那智と金井克子が出した「甘い囁き」はシャンソンか否か?いやいや、そもそもの本歌、ダリダとアラン・ドロンの「PAROLES PAROLES」はシャンソンだろ?って、フランスの歌手が歌えば全部がシャンソンかい??
ならば同じフランスでブリジット・フォンティーヌなんてぇのは、やっぱりシャンソン?え~~~だって、ジャズっぽい音楽をバックにあの人も語ってるよぉ、ほんじゃそん時はジャズかい?
ほんじゃほんじゃ、この前亡くなった浅川マキはバックをジャズミュージシャンが勤めればやっぱジャズ?
そもそも、ジャズ・ボーカルってなにさ?ストリングスバックに朗々と歌うのもやっぱジャズかい??????
ひょっとしたら、それよりも前衛バックに詩を語る白石かずこのほうがジャズっぽいちゃジャズっぽくねくねぇ(ここは今風な言い方で 笑)

なんてぇ事を頭の中で巡らせて
いやぁ、Yさん、それは聴く方の捉え方で良いんじゃないの。Yさんが白石かずこを聴いてジャズっぽいと思えばジャズだし、こりぁジャズじゃねぇって思ったらジャズじゃないんだよ。ちなみに、ジャズをバックに詩を朗読するってスタイルのアルバムはけっこうあるよ、そんでもって、販売ジャンルを見るとジャズになってるけどね。」

とじつに曖昧な答えをしてしまいましたが、どう思います?

語りがメインのアルバムっていうと、例えばラングストン・フューズの「WEARY BLUES」なんてぇのがありましたねぇ、ミンガスのベースが印象的だったりしました。映画『怒りの葡萄』にも出演していた名優ジョン・キャラダインも語りをやっていた「JAZZ CANTO」なんてぇのもありました。和物でも先日亡くなられた五代目三遊亭圓楽の「円楽のプレイボーイ講座12章」だって、大橋巨泉の「プレーボーイ入門」だって大きい意味でその手のアルバムだし、けっこうあるものです。

ちなみに、私的にはそれらを『キワモノ』と切り捨てるのはいかがなものかと思っていますけどね。
・・・・・????????あれ?今日の話ってジャズの話になってた?(笑)

さて、ということで、今日の一枚は、その白石かずこにしました。
前衛と現代詩、その融合は何を産み出すのか?
時に怪奇、時に瞑想、時に官能・・・・・・・・・・!?
言葉で、しかも日本語で(私にはこれが重要、笑)語られているのに、耳にというより脳髄に響いて、意味云々以上の訴えが心に伝わってくるような、そんな錯覚に捕らわれるのは、詩の朗読にもまた音楽同様、感覚的秘密兵器が潜んでいるからに違いないと思ってしまいます。

なんと、Yさんに聞くまで知りませんでしたが、このアルバムがCD化されてるんだそうで、ならばぜひ一度はお聴きになっても損はないかと、そのように思うしだいです。(笑)

DEDICATED TO THE LATE JOHN COLTRANE / 白石かずこ
1976年10月録音
白石かずこ(朗読)
SAM RIVERS(saxes,fl,p,perc) ANDREI STROBERT(perc) BUSTER WILLIAMS(b) ABDUL WADUD(cello)

1.MY TOKYO
2.DEDICATED TO THE LATE JOHN COLTRANE
3.ONCE AGAIN THE SEASON OF THE SACRED LECHER