JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

明日待たるるその宝船

2009年12月14日 | j-l

「年の瀬や水の流れと人の身は」
師走の十三日、江戸は両国橋の上で、俳人宝井其角(たからいきかく)は、昔俳句仲間だった大高源吾に偶然出会いこう問いかけました。するとすかさず源吾、
「明日待たるるその宝船」
と返したという、歌舞伎『松浦の太鼓』でおなじみの赤穂浪士大高源吾の討ち入り前日の逸話であります。

「正月始め」を明けた今日は、その討ち入りの日でありますが、いかに寒くなってきたとはいえ、しんしんと降りしきる雪の中、陣太鼓が鳴り響き、「おのおのがた、討ち入りでござる!」ってぇ雰囲気ではありませんねぇ。(むろん以前取り上げたとおり、旧暦と新暦の差は大きいのではありますが)
それでも、今週はかなり冷え込む予報で、雪不足に悩むスキー場では「待たるる宝船」(もちろん雪ですが)がいつ現れるか祈る気持ちでありましょう。

スキー場ねぇ・・・いったい何シーズン行ってないでしょうか?
数えるのも面倒なくらいご無沙汰していますけど、これでも、小学生時代まではスキー場が目と鼻の先にありましたのでしょっちゅう滑ってましたし、小学校1、2年の時には体育の時間にスキーをやったりして、(あはは、いわゆる山スキーみたいなものでしたけどね。)もちろん、成人後もときおり行ってたんですよ。スキーも自転車みたいなもので、おそらくは未だに滑れると思います。
ただし、しっかりした指導は一度も受けたことがありませんので、転ばないってだけですけどね。(笑)

そういえば、小学校の3年か4年生の時、父からのクリスマスプレゼントはスキー板でしたねぇ・・・そりゃもう嬉しくて嬉しくて何日も「出しては磨き、磨いては出す」てな事を繰り返していた覚えがあります。

はて?
今ふと思ったのですが、私の人生は、まるで私のスキーのごとし・・・・
「大きな転倒や事故は無かったものの、滑り落ちるいっぽう」
なんちゃってね。
あ~あ・・・・・
自分で言っておいて落ち込んでりゃ世話ありませんけど、ここ年の暮れを迎えて一年を振り返っても、進歩どころか後退しか無かったように思えて悲しくなってしまいます。
・・・・・いや、まだ今年は半月以上残ってるじゃありませんか。私も「明日待たるるその宝船」きっと宝船が現れると・・・・・・・
「やっぱ、年末ジャンボを買ってこようかなぁ」
だめだこりゃ。

さて、今日の一枚は、ハロルド・ランドです。

ブラウン~ローチ・クインテットを人の良さから離れ、常に地味な存在であったハロルド。彼の最も失敗した要因は、ロサンゼルスへのこだわりでしょうか。
なぜなら、このアルバムを聴いてもウェストコーストに居座るジャズメンではないと確信できるからです。
彼の優しさは、冒険を恐れる消極心も生み出したのか?
いやぁ、優しいバブ君としてはよ~~く分かりますねぇ(笑)

よくブラウン~ローチ・クインテットの後がま、ロリンズと比較する方がいらっしゃますが、これはやってはイカン事なんでありまして、ハロルドを正面から聴き取れば彼なりの魅力を感じられますし、ハード・バップの最右翼ブラウン~ローチ・クインテットを支えた力量は、それだけでただ者ではないのです。

私の注目はエルモ・ホープ、6曲中4曲が彼のオリジナルで、リズム・セクションの緊張感はなかなかよろしいんでないでしょうか。

このアルバムも「そこそこに素敵」という、いかにもハロルドらしい評価が適当だと思いますし、それが「冒険を恐れる消極心」ゆえの安定であるかもしれないとも思う私でした。

THE FOX / HAROLD LAND
1959年8月録音
HAROLD LAND(ts) DUPREE BOLTON(tp) ELMO HOPE(p) HERBIE LEWIS(b) FRANK BUTLER(ds)

1.THE FOX
2.MIRROR-MIND ROSE
3.ONE SECOND , PLEASE
4.SIMS A-PLENTY
5.LITTLE CHRIS
6.ONE DOWN