JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

馬鹿でアホな聴き方も、それはそれ

2009年12月12日 | d-f

前回クリスマス映画の話なんかしていたものですから、
「バブちゃんは洋画オンリーかい?」
なんて、昨日昼食を食べていた喫茶店でマスターに言われてしまいました。
(「あらま、まだマスターは私のブログを読んでいてくれたんダァ」)
「いやぁ、正直、邦画でクリスマスってぇのもねぇ・・・・」
「でもほら、日本人はイベント好きだから、邦画にだってクリスマス映画はいっぱいあるんじゃないの」
すると、隣に座っていたOさんが
「そうねぇ、『戦場のメリー・クリスマス』『7月24日通りのクリスマス』『クリスマス・クリスマス』とか、『君は僕をスキになる』『大停電の夜に』とか・・・・」
「ほう、よくご存じで」

邦画に関しては、見ていないものも、内容を忘れてしまったものも、洋画のそれに比べてひじょうに多い私ですが、『大停電の夜に』は覚えています。
たしかビル・エバンスの「MY FOOLISH HEART」が、大きな意味合いを持っていたような・・・・・・

てなことで昨晩は「WALTZ FOR DEBBY」を聴きながら一杯やっていました。
じつをいうと久しぶりに聴いたんです。
不思議なものですよねぇ、先日我が部屋がジャズ喫茶へと変貌した折も、いわゆる定番の名盤をかけるのはなんだか気が引けたりして、別に他人に聴かせているわけでもないのに、いったいどういう神経なんでありましょうか?
みなさんはそんな事無いんでしょうかねぇ・・・無いんでしょうねぇ(笑)
それゆえ、「WALTZ FOR DEBBY」も好きなくせになかなかターンテーブルに乗らなかったりします。(ほんと、変なの)

そういえば、昔ジャズ喫茶に行くと、特に始めて行ったジャズ喫茶なんかだと、リクエストというのがじつに難しかったですよね。(私はめったにリクエストする人種ではありませんでしたが)
まっ、ふつう初めてのジャズ喫茶でリクエストするなんてぇことは、ある種御法度で、そうそうするものではありませんでしたが、なかには初見の客なのにリクエスト・カードと鉛筆をそっと置いていくなんて余計な事をしていく店主がいたりして
「さっきから偉そうな態度で聴いてんけど、どの程度の者か試してやろう」
そんなこたぁ思わず、実際は優しさからだったのでしょうが、こっちがゲスの勘ぐりをしたりしてね。(笑)

例えば、その店でどんな感じの曲が流れているかを観察して、「この店は何傾向だから、あれはまずいんだろ」てな事を考えつつ、「バカにされないアルバムをリクエストせねば」なんてまぁ、じつに馬鹿らしい事で悩むんであります。
でもね、馬鹿らしいと言いながらも、下手なリクエストをすると、まわりのお客さんがジロッと鋭い眼差しでにらむ、てな事は事実ありましたもんね。だから悩むんですよ。(笑)

目を閉じて難しい顔をして聴き入ってる姿・・・・考えてみれば日本人独特の文化『オタク』に限りなく原点が通じる怪しい世界でありました。
いやいや、批難しているわけじゃないんですよ。私だって他人様の事を言えたもんじゃありませんでしたから。

そんな時、「WALTZ FOR DEBBY」だの「KIND OF BLUE」だの「SOULTRANE」だの・・・・・いやいや、マイルスやコルトレーンやエバンスなんかのリクエストは、ネームだけで却下みたいな。(笑)
それじゃあ、そういったビックネームを聴きたけりゃどうするかっていうと、比較的自分志向の店で、ひたすら粘るんですよねぇ(これもさらに馬鹿みたいですが。笑)
それでも、「WALTZ FOR DEBBY」だの「KIND OF BLUE」だのは滅多にかかることはありませんでしたねぇ・・・・かけている店もあったんでしょうけど。
「そういったものは自宅で聴く」
みたいな、なんとも不思議というか、「何のためのジャズ喫茶じゃぁい」というか・・・・・・そんなこと、ありませんでした?
そのくせ、ジャズ喫茶以外でジャズ談義になると(ジャズ喫茶では話せませんから)「かの名盤○○も聴いてないの?」なんてね。(笑)

あれ?何の話でしたっけ??????
そうそう、私は今現在も、自宅でさえその傾向を引きずっているところがあるのかもしれません。
もちろん聴くのは私一人ですから、誰に気兼ねなくメジャー盤だろうがマイナー盤だろうが聴けるんですよ。それでも二、三枚連続で聴いたりすると「なんだか、メジャー盤ばっか続いちゃったなぁ」なんてね。ほんとアホみたい

その「WALTZ FOR DEBBY」には、演奏など無視しているんじゃないかというくらいお客さんの雑音が聞き取れますよね。じっさいさほど有名でもなかったエバンスの演奏だけを目的に来ていた客なんてほとんどいなかったのでしょうし、いかに『ヴィレッジ・ヴァンガード』とはいえ、日本のジャズ喫茶的雰囲気で聴いている人はまずいなかったのでしょう。
しかしそこは日本人の生真面目さというか、「音楽は構えて聴かないと」・・・これがジャズを難しい音楽に仕立て上げた原因なんですがねぇ

「素直な気持ちで音楽を楽しめばいい」それに尽きるのであります。
でもね、最近「もっと素直でいいジャン」って思うようになったんです。つまり、他人様に強要しない限りは、長く長く培ってきた我が聴き方を捨てる必要は無いんじゃないかってね。

とりとめない話になってしまいました。
結局は、馬鹿でアホな聴き方だけど、今日もまるでジャズ喫茶でアルバイトでもやっているかのように選曲しながらジャズを聴いているバブ君でありましたとさ。お終い。(笑)

さて、ということで、今日の一枚は、マイルスのブルーノート盤です。
このころのマイルスは、ご存じの通り「メタメタドロドロの時期」であったわけですが、ブルーノートは、アルフレッド・ライオンとマイルス、二人の約束とされる年に一回のレコーディングを行いました。
お聴きになると分かることですが、これがいわゆるライオンの完全主義なのでありましょうか、この録音には「メタメタドロドロ」さはほとんど感じられません。
今日の第一集、「DEAR OLD STCKHOLM」なんて聴くと、マイルスがビ・バップからハード・バップへの移行を「メタメタドロドロ」とはいえ確実に進行しているさまがうかがえますし、魂が込められたようなソロはググッときてしまいます。(このマイルス、好きです。笑)

アルバム「DIG」を経てもなお、ハード・バップへの模索はマイルスのイメージ通りには進まず、マイルスだけでなく東海岸全体が混沌とする中で、いずれ見えてくる光にいかに進んでいったか、これを示してくれるものはこのブルーノートでの録音のみではないかと・・・・評論家のようなことを言ってます。(笑)

ともかく、「マイルス復活の過程には、いろんなものがあったんやなぁ」と思わせてくれるアルバムだと思います。
う~~む、月並みではありますが、ブルーノート、アルフレッド・ライオンの功績は偉大だぁ。

MILES DAVIS Vol.1
1952年5月9日, 1953年4月20日録音
MILES DAVIS(tp) JACKIE McLEAN(as) JAY JAY JOHNSON(tb) JIMMY HEATH(ts) OSCAR PETTIFORD(b) PERCY HEATH(b) KENNY CLARKE(ds) ART BLAKEY(ds)

1TMPUS FUGIT
2.KELO
3.ENIGMA
4.RAY'S IDEA
5.HOW DEEP IS THE OCEAN
6.C.T.A.
7.DEAR OLD STOCKHOLM
8.CHANCE IT
9.YESTERDAY
10.DONNA
11.C.T.A.
12.WOODY 'N YOU AKA WOULD'N YOU